先週も材料的には豊富な週でしたが、結果的にはVolatilityの低下と投資家のリスクテイク意欲の回復が目立つ展開となりました。
週次の主要通貨ペアの変動に面白い結果が出ています。上位10ペアを見てみましょう。
通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)
①NZDCHF↑ 0.6927 0.6582 +345 +4.98%
②AUDCHF↑ 0.9434 0.8971 +463 +4.91%
③GBPNZD↓ 2.1274 2.2195 -921 -4.33%
④GBPAUD↓ 1.5630 1.6290 -660 -4.22%
⑤NZDJPY↑ 61.25 58.86 +239 +3.90%
⑥AUDJPY↑ 83.43 80.22 +321 +3.85%
⑦EURNZD↓ 1.8683 1.9393 -710 -3.80%
⑧EURAUD↓ 1.3725 1.4233 -508 -3.70%
⑨NZDUSD↑ 0.7531 0.7306 +225 +2.99%
⑩AUDUSD↑ 1.0257 0.9959 +298 +2.91%
これ位ある意味で偏った結果となる事はあまりないと思うのですが、上位10ペアの構成はこういう結果になっています。①全てが南半球通貨の上昇、②NZDとAUDがその他主要通貨に対してタンデムに上昇、③下落通貨はCHF,GBP,JPY,EUR,USDの順に弱い。
結果は単純なのですが解釈は二つあると思います。
・リスクテイク意欲の回復
これがメインシナリオと考えてよいでしょう。先々週は日本株を中心に広範な資産価格の大幅下落が見られましたので状況が改善しないまでも膠着してきた先週はバーゲンハンティング的な資産買戻しが中心となりました。先週の終値時点で各資産価格の日本の地震・津波・原発パニック直後の底値からの回復具合をチェックするとS&P500は+5.1%、CRBインデックス(商品市場)は+6.7%となっており他の資産価格も同様に反発しています。Gold価格は1オンス当たり$1,448.60の史上最高値を更新し原油価格も1バレル当たり$106.95の直近高値に肉薄する展開でした。
・実は地政学リスク要因も
安全資産とか市場混乱時の避難先的な性格を持つCHFやJPYは後退しており、USDも弱いのですからRisk-onという事で良いのでしょうが、何故南半球のAUD、NZDなのかという事になるともう一つの側面を考えたくなります。
中東・北アフリカの情勢は遂にNATO連合軍の軍事介入という事態になり、日本の原発問題も予断を許しません。欧州でも遂にポルトガルが格下げされたり英国も利上げ観測がやや後退しました。こうなるとこれらどの地域からも結構距離のある豪州・NZの安定感は魅力ですし、高金利通貨であるという点も再評価されて良いのではないでしょうか。
全体的にはRisk-onですが、現在進行形のリスクには神経質になっており週越えの資金の置き場所として地政学リスク上メリットのある南半球が選択されたと言う要素もあるのではないかと考えています。
今週はこの二つのファクターを意識して見て行く事にしましょう。