2007年5月28日月曜日

大相撲と日本

日曜日の千秋楽における結びの一番で白鵬が朝青龍に勝って全勝優勝で横綱昇進を確実にした一番は本当に力の入る大一番だったと思います。
 私はただひたすら感動してしまったのですが、関取になりたくてモンゴルから来た若者が当初あまりにも痩せていたので引き取り手が無く帰国を勧められたという試練を乗り越えて遂に頂点まで上り詰めたことはまさにJapanese Dreamといえるでしょう。

一部には日本の国技である大相撲の東西両横綱がモンゴル出身であることをとやかくいう視野の狭い日本人もいると思いますが、一刻も早くそういう考えを捨て去らないと日本は本当に縮小均衡型の衰退をたどるでしょう。還元すれば大相撲は日本再生の一つのモデルだと思います。

我々投資家が必ず読むいくつかのレポートの一つに Gartman Letter と言うものがありますが、このレポートも指摘する日本の問題の根本はまさに少子高齢化です。厳密に言えばこのレポートの発行人のDennis Gartmanというオッサンは、”Japan is a country of aging and decreasing population.”
という表現を使用していますが、人口が高齢化し、減少している国の経済発展には一定の限界がると言うことです。やはり国力、経済力は人口が確保出来ないと話にならないのでしょう。

日本経済が戦後最長の景気拡大などと言いながら、株価が他のアジア諸国のそれを大きくUnderperformし、なんと2007年度の調査で一世帯あたりの平均年間所得が史上最低を記録し6割方の世帯が生活が苦しいと回答していると言うのは驚くべきことですし、事実東京あたりで感じる好景気は地方の多くでは全く見られないと言うのが今の日本です。

みんなで早く気づきましょう。外国人力士を受け入れていなければ、朝青龍も白鵬も琴欧州もいないわけで恐らくは年中かど番になっては次の場所で辛うじて勝ち越して大関に留まっている連中が横綱でふんぞり返っていた事でしょう。
 つまり、外国人力士を受け入れていなければ我々は今よりも弱い横綱やレベルの低い相撲を見ていたわけです。外国人力士のおかげで強い横綱とレベルの高い取り組みが確保され大相撲も維持発展できていると言うわけです。彼らは侵入者ではなく救世主であることに早く気づきましょう。

国としてこれをやっているのが米国で、米国が大国であることや米国経済が世界最大であることなどは米国人が優秀なのではなく米国と言うシステムが優秀だからだと考えています。

米国には世界中から優秀な人材と大量の資本が流れ込むシステムが出来上がっており、これまで世の中を根本から変えるようなInnovationの多くは米国で起きてきました。強調しますが必ずしも米国人が起こしているわけではなく、米国にいる人間が米国に流入した資本でInnovationを起こしていると言う訳です。米国人の多くはこれを誇りに思っており、スポーツでも例えばMLBでイチローや松井、松坂などが活躍すればそれを絶賛し、日本の一流どころが才能を開花させて人生のを勝負する場に米国を選択したことを喜び、誇りに思いながら彼らを心から評価するわけです。

日本もいろいろな意味でドアを開いていかないと、衰退はしないまでも縮小均衡路線の中で鎖国状態となり、アジアの中でも完全に置いて行かれた存在に成り下がってしまうのではないでしょうか。

私はかつて米国の日本食料品店のTVで5年以上振りに見た大相撲中継に釘付けになったことがありました。先ずはとにかくその様式美に心を打たれたのですが、あとでわかったのは私の目を釘付けにした力士は外国人力士でした。人種や出目に関係なく相撲道に精進する力士が全身から発するオーラや細かいしぐさにも染み付いている様式美をこそ我々はAppreciateし、維持していくべきなのではないでしょうか。

白鵬の横綱昇進を喜びながら、日本経済の本格的な復活のヒントがあると感じたのですが、いかがでしょうか。

いずれにしても白鵬の不知火型の土俵入りはきっと美しいでしょう。