修理業者が来る日は、妻は朝からトイレの換気扇を稼動させ続け、業者は卒倒することなく無事に修理を終えてくれました。
原因は、上流のパイプの劣化との事で、築年数が20年弱位と思われる拙宅もあちこちにガタが来るタイミングなのでしょうか。
やはり詰まっていたものが開通すると、気分が晴れたような気になるようで、その後我々はトイレの臭気問題も改善して来たという印象を急速に強めました。私自身、徐々に劣化してきた上流のパイプが臭気を発していた可能性もあるし、そのせいで徐々に進行していた水量の減少が諸悪の根源であったと言う見事な仮説を打ち立てていました。
でも・・・・・・・・・・・・・ しかしですね・・・・・・・・・・・・・・・・・・ はっきり言って・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まだ臭かったんですわ。
やはり天真爛漫な小便小僧に話をしなくてはいけないようだ・・・・と思いつつ、私は妻に既に取替え時期がとうに過ぎている”ブルーレット置くだけ”の交換を依頼しました。詰め替え用の中身を買ってくればよいと。最近は環境への配慮と既存ユーザーの囲い込み戦略もあってこういうパターンが多いですね。
”山には草木がある”3部作をお読みいただきましてありがとうございました。いよいよ核心に入りますが、事実は意外なところにありました。
妻は、”ブルーレット置くだけ用”の詰め替え用中身を購入し、詰め替え作業を開始すると・・・・・プラスティク容器の蓋を開けた彼女は、既に役目を終えた中身に大量のカビが発生しているのを発見したそうです。間違いなくそれは異臭を放っていたそうで、これを処分して新たな中身を入れてからのトイレから”山の草木”は消滅し、以前の爽やかなトイレに戻りました。
思い返せば、私が家族を迎えに米国に行っていた約一週間の間に、風通しも無く高温となったこの家の中で・・・・・・・・その期間全く使用されなかったトイレの中で・・・・・・・・・・・・程よい湿気を保った置くだけスタイルのブルーレットの容器の中は、カビ君の発生する絶好の環境だったのではないでしょうか。
事実は意外なところに隠れているものであり、その解明過程においては、所謂”状況証拠”が全く無実の物や人を有力な容疑者に仕立て上げる事があると言うリスクを再確認するような出来事でした。
「ブルータスよ、お前もか・・・・・」と叫んだのはジュリアス・シザーだったでしょうか? 「ブルーレットよ、あんたでしたか・・・」 と叫んだのは、ロバート・ヘンリーでした。
冒頭の話題に戻ると、上杉謙信が手取川合戦で織田軍に圧勝した直後に次の出陣の3日前に突然49歳で他界した際には厠で倒れています。その事にも助けられて窮地を脱した織田信長が天下統一完成直前に明智光秀の謀反で本能寺で自害したのも49歳でした。
人間50年・・・という舞を好んだ信長ですが、謙信も49年は一夜の夢、そして一杯の酒のようだったという辞世の句が伝わっています。
"トイレ臭い騒動"の顛末において、自分の人生の中の自分の現在地と言うものにも思いを馳せる出来事でした。