2007年12月31日月曜日

At this final moment of 2007.

日本では間もなく除夜の鐘が鳴り始める時間となりました。

おっと・・・失礼しました。どうやら始まっているようですね。

今紅白歌合戦で白組が勝ち、途中でチャンネルを換えて見た格闘技のイベントでは、7年振りに現役に復帰した舟木が桜庭に関節技で敗れ、ムサシやマサトは見事なKO勝ちを飾り、更に別番組のプロレスのイベントでは最早立派な芸人となった高田がハッスルして笑いを取っていました。

残念ながらいまだ社会全体、国全体にまでは勢いが波及していない気がしますが、これらの番組やイベント等を見ていると、日本も新しい世代によって多様な価値観が共存する足腰の強い文化の基礎が形成され始めているような気がします。
 まだまだ時間が掛かると思いますが、この流れが途絶えることの無いように我々が自分の出来ることで手を抜かないと言う姿勢を維持していきたいものです。

今年は私にとって大きな変化がありました。春には自分が、夏には家族を連れて海を渡りましたが殆ど同胞を説得して"約束の地"を目指した旧約聖書のモーゼのような気持ちでした。
 モーセがカナンに中々入れなかったように私が目指した"約束の地"もそう簡単に"よそ者"を受け入れれてくれる場所ではないことは直ぐにわかりました。当初はとにかく驚きと失望の繰り返しだったように思います。

イスラエルの民は結局カナン到着後40年経過してからやっとカナンに入ることが出来、モーセはそこに入ることなく他界してしまったのですが、私と家族は会社、地域、学校で少しずつ居場所を確保して何とか無事に2007年を終えるところまでこれました。
 一時は添い寝しながら子供が寝言で米国に帰りたいと言うのを聞いて暫く考え込んでしまった時もありましたが、先日「お父さんがまた米国に行くといったらどうする?」という質問に少し考えてから別れるのが辛い友達お名前を二人ほど教えてくれたり、冬休みもそんな友人たちと近所の川原で野球をやったりしている姿を見て安堵しています。

日本の新年は3日までお休みなのでとても嬉しいです。大晦日も休日になっていますが、私は午前1時頃に家を出て午前8時半まで夜勤(シドニー市場の当番)をしたので、これが仕事納めとなりました。

夜勤は、試験なら "night shift"と書くべきでしょうが、よく" graveyard shift "という言い方もします。
墓場番・・・・なんだか一発で覚えてしまう表現ですよね。

色々あった節目の年の仕事納めが墓場番というのも面白いですよね。

今年も本当に色々とありがとうございました。全ての皆様にとって2008年が健康で素晴らしい年になることを心から祈願申し上げます。一緒に頑張りましょう。挫けそうになった時、周囲が冷たいとか味方が居ないような気持ちになった時は絶対に思い出してください。私は心から応援していますよ。

Just remember that I am here right behind you.

Best wishes.

Robert Henry.

Seed for thought3 : Decoupling vs Recoupling.

Decoupling か Recoupling か・・・・ これも2008年を考える上で非常に重要なテーマです。
簡単に整理すると次のようになります。

Decouplingシナリオ・・・・ かつては米国が風邪を引くと世界がくしゃみをすると言われた位世界景気は米国経済に依存しており、特に日本のような輸出立国は輸入立国兼大量消費国である米国への依存度が高いと指摘されてきました。
 これに対して最近の中国、インド主導のアジア経済や欧州、英国の経済成長は独自の強みに基づくものであり、米国への依存度はかなり減少しているとの主張があり、この考えをベースに今後米国が失速、縮小、景気後退に転じても世界経済は米国を置き去りにした発展を維持出来ると考えるのがDecouplingの考え方です。基本的に米株、米ドルの下落や米国金利の下落を想定しています。

Recoulingシナリオ・・・・ 世界経済と米国経済のDecouplingは世間が望むほど進行しておらず、今後予想通り米国景気が失速し、リセッション入りと言う事態にでもなれば結局は世界経済全体が影響を受けて同じような道を辿るという考え方です。世界的な株安、金利低下がメインシナリオとなり米ドルには複数の可能性が混在します。

Decoupling/Recoupling という言葉を使うかどうかは別として主要な市場参加者の相場観は依然としてDecoupling陣営が優勢ですが、2007年度末にかけてRecoupling陣営も勢力を盛り返してきた感があり我々も2008年はどちらのテーマをメインシナリオにして動くかはとても重要な選択になります。

これは世界経済の根幹部分の議論としては従来からあった古くて新しいテーマですが、2008年度に答えが出そうだと言う意味では個人的にも大いに気にしています。

現時点では両論併記というのが無難なところでしょうか。私個人としては実はRecoupling陣営に軸足を置いて市場を見つめていると言う段階です。

2008年はこのテーマもじっくり考えていきましょう。

2007年12月30日日曜日

Seed for thought2 : Volatility

Volatility という言葉ほど色々な意味がごちゃ混ぜになって使用されている言葉もあまり無いのかもしれません。実際に色々な概念が全てこのVolatilityという言葉で表現されるので受け手のほうで判断する必要があります。

オプション市場で建値されるImplied Volatilityは将来の予想変動, 既に実現している過去の値動きの大きさを数値化したものが Realised Volatility, Historical Volatilityと言われるものです。
 当然ですが過去の値動きは歴史であって書き換えることは出来ませんので計算間違いをしない限りにおいて同じ答えが出るわけですが、将来を予想するImplied Volatilityは予想の数だけ違う水準がある筈で、市場に出ている他人の予想が甘いと思えばオプションを買い、大きな変動を予想しすぎていると思えばオプションを売るという行為が日々行われています。これはプットやコールという上がるか下がるかの方向(Direction)の勝負ではなく、どのくらい変動するかと言う予想Volatility の水準を取引するものでVolatilityトレード等といわれますが銀行のオプションデスクや世間のデリバティブハウスなどはこうして顧客向けにオプションの値付けをしながら他人の作るプライスを値踏みしては叩き合っているわけです。

ところで・・・・これらの数値の最大の欠点は、Volatilityという名前であるにも関わらずそれらが市場がどのくらいVolatileかという状態を必ずしも表していないと言うことです。
 例えば、毎日市場が上下に値幅を拡大しながら乱高下を繰り返しながらも終値だけは同水準で推移したとすればHistorical Volatilityはどんどん低下しますし、Implied Volatilityも現状維持がいいところでしょう。或いは短期ゾーンが上昇して長期ゾーンは下落すると言う痛み分けとなる可能性も高いです。

以上のことはオプションをある程度以上専門にやっている人達には常識でも金融市場参加者一般には認知されていない事実です。例えば実際にドル円が円安ドル高方向に3円位足早に上昇したとしてもオプション市場のVolatilityは上昇しませんが、市場参加者の過半数はVolatilityが上がっていると錯覚します。実際にはSmileカーブという非対称性の呪縛によりオプション市場のImplied Volatilityは、円高ドル安方向に1円動いた方が円安ドル高方向に3円動いた時よりも断然上昇するのですが、ここでは深入りせずに再度Volalityは市場のVolatile度合いを表していないと言う事実を強調しておきます。

そこで一部のCTAやファンド勢が「そんなの関係ね~」というノリで重要視しているのが、ATRと言うものです。これは当初は"Average Trading Range"の事だった筈ですが、最近では"Average True Range" という表記も目にするようになりました。Volatilityよりも真実を表していると言う含みでもあるのでしょうか。
 これは基本的には日々の値幅(最高値ー最安値)を記録して直近の一定期間分の平均値幅を計算したものです。期間設定や平均の種類(単純平均か直近データにウェイトを付けるかなど)で流派がありますがこちらのデータを重視する勢力も増えてきていることは間違いありません。

そして・・・このデータを見ると明らかな傾向として8月以降はATRが上昇傾向を維持しており、水準も年度前半比ほぼ倍増している事が分かるのですが、これはVolatilityの推移からは読み取れないトレンドであるといえます。
2007年度は金融市場の振幅幅の拡大傾向を維持しながら2008年度にバトンを渡そうとしているのです。

我々が乗り出そうとしている海は結構波が高く流れも速いようですね。

2007年12月29日土曜日

制御不能なリスクの増大 : Has her destiny run its course?

何年も前にドイツがパキスタンへの技術支援でデリバティブ取引の基礎を伝授する事にしてセミナーを開きました。オプション取引に焦点を当てた非常に重要なプロジェクトでしたので、双方の国家元首自らが音頭を取って積極的な参加を呼びかけていました。以上、まさにコールとブットのお話でした。

今後はこんなくだらない駄洒落は、あまりにも不謹慎で使えなくなってしまいました。

パキスタンの反政府民主運動のシンボル的な存在であったブット元首相が自爆テロにより暗殺されてしまいました。情報が交錯していますが、現時点ではアルカイーダの関与も濃厚と言う事らしく、いずれにしてもイスラム過激派の犯行と思われますが、ムシャラフ政権もそのようなリスクを承知で十分な警備を敷かずに事実上彼女を見殺しにした可能性が高いという事のようです。

パキスタン辺境地には事実上の無法治地帯があり、アルカイーダなどの活動拠点になっているという指摘がありますが、一応は米国の同胞として彼らと対立関係にあるムシャラフ現政権と民主化を求める反政府対立勢力とこのイスラム過激派は利害と言う意味で複雑な三角関係にあったようです。イスラム過激派としてもかの国が民主化の道を歩んでインドのような経済成長でも始めてしまう事は大きなリスクだったということかもしれません。

多くのメディアが今後の展開について潜在的なリスクの大きさを指摘する専門家の意見を伝えていますが、辺境地にテロ組織の巣食うパキスタンが核保有国である事、国境を接する同じく核保有国のインドと根深い対立関係にある事などを考えれば全く正しい指摘だと思います。
 胡散臭いと思いながらもムシャラフ政権を米国が支援し続けている背景もかの国周辺にまさに世界平和や人類の存亡そのものを危機に晒しかねないくらいの脆弱性があることを認識しているからなのでしょう。

この国周辺がおかしくなるようだと中国と共に世界経済を牽引するインド経済への投資も鈍る可能性がありますし、世界経済、そもそも世界平和に対する影響は大でしょう。

オプションのプットがダウンサイドリスクをヘッジするものであるように、ブット女史暗殺後の世界のダウンサイドリスクは増大していると言えましょう。

世の中は我々が思う(望む)ほどには平和では無いということも重要なポイントになりそうですね。

それにしてもブット女史は、何故こうなるリスクを承知で帰国したのか・・・・かつてほぼ確実に暗殺されると言われながらフィリピンに戻ったアキノ氏などとも共通する何かがあるような気がします。
 志し半ばで亡命生活という隠遁状態にあった人間が不名誉な安定よりも名誉ある終結を求めると言うのは真田信繁(幸村)あたりにも通じるのですが、運命というものにも思いを馳せてしまうような悲劇だったと思っています。

Her destiny may have run its course.  彼女は運命を全うし、前向きな動きが続いていくものと信じたいものです。

2007年12月27日木曜日

Seed for thought 1 : Liquidity.

所与の材料の多くから判断して2008年はとても重要な年となりそうだと確信していますが、複雑に絡み合うグローバルな金融市場の中で各市場がどのように振舞い、影響し合うかを予想することはとても楽しく、且つ困難な作業だと言えるでしょう。

Lighthouseとしては、自分なりに頭の中を整理する作業にあわせて2008年度を展望したいくつかの着眼点から世の中に光を当ててみようと思います。今回は手始めにLiquidity, 流動性というものを考えてみたいと思います。

年度末越えの資金繰り需要とそれに対応する中央銀行の資金供給というのは12月相場の大きな注目材料の一つでした。8月以降クレジット問題に大きく揺さぶられた米国、欧州、英国など主要経済圏では中銀等金融当局が細心の注意を払って潤沢な資金供給を断行して円滑な年越えを演出しています。

日本では文字通りの年度超え(12月→1月)と会計年度越え(3月→4月)という二重構造があり、不便なだけだと思ったこともありますが資金繰り圧力のイベントリスクの分散という意味では中々味のあるシステムなのではないかと再評価してしまいました。

ところで、この年末越えの資金供給の仕組みと規模ですが、諸般の事情から上記の通り殆どの主要経済圏において供給規模が大幅に拡大される一方で、米ドルについてのみ特別な国際協調による流動性供給スキームが発表されて市場を騒がせました。

 具体的には12月12日に米国、欧州、スイス、英国、カナダの五カ国による緊急声明で短期資金の入札方式による大量供給スキームが発表されましたがそのうちの米国、欧州、スイスは自国通貨に加えて米ドルを供給すると言う内容だったのです。

 米国が400億ドル、欧州が200億ドル×2回、スイスが40億ドル(欧州とスイスは米国からドル調達)、英国が113.5億ポンド、カナダが30億カナダドルという凄い規模でしたが、世界中の経済活動における年度越え資金需要の規模的な大きさと同時に米国外での米ドル需要という物を再認識させられた人々も多かったようです。
 実際に12月の為替相場は、大方の予想に反して米ドルが上昇する展開が目立ってきましたが上記のような特別な米ドル供給スキームが無ければより大規模な為替市場での米ドル調達(米ドル上昇)と年度越え先物市場での出し圧力から市場が歪み(フォワードが左にずれて)金利が上昇するという混乱が続いていた事は間違いないでしょう。

白状すれば私自身もその一人なのですが、米国にいた時に何度も聞いていながら半信半疑だった大手マクロファンドの長老による"米国経済が減速する時はドル高"という指摘を思い出しました。

最後の部分は別稿で考察したいと思いますが、2008年もクレジット危機の動向が大きな材料となる事が確実な中で、Liquidity, 流動性と言う切り口からも様々なシナリオが描ける事が分かります。

市場動向はまさに流動的なのです。

2007年12月26日水曜日

Post X'mas Brain Workout.

クリスマス相場の中で、要するにヒマだったのでしょう。もともと仕事とは直接関係の無いコールやメールも飛び交うのがこの時期の特徴でもあり、クリスマスや年末の挨拶が多いのですが、中にはクイズのようなものを送りあったりする事もあります。今年は次のような"命題"を送ってきたファンドがありました。

決して秀作とは思いませんが、ちょっと考えてみてください。

Imagine that you are stuck (naked) alone in a room with 5 feet thick concrete/steel walls, reinforced floor and ceiling with NO door and NO windows.
 
There is nothing in the room.

So how do you get out of this situation in a snap, even though you are no James Bond.

私は、30分考えても駄目だったので職場の同僚達をも巻き込んで必死に考えました。色々な仮説が出ましたが、全て不正解。一時間以上経過したところで、"答えは一行目にある"と言われて遂に正解に辿り付く事が出来ました。

Imagine をやめればよい : それが答えでした。

"決して秀作とは思わない"と書いたとおり、喜びというよりは何だか時間を無駄にしたような脱力感すら感じたのですが、どうせならもう少しひねりが欲しかったと思いませんか?

・これでは目からうろこが落ちる代わりに、鼻から鼻くそが落ちるだけだ。
・Imagine をやめるなんて、John Lennon が激怒するぞ。

そう抗議(?)したところ、彼は笑って、申し訳なさそうに色々教えてくれましたが、その内容が共感出来る物でしたので私もこの決して秀作とは思えない命題をここに転記する事にしたのです。

・この命題は、年齢層が上がるほど正解率が下がる。
・"Imagine をやめる"という回答は子供達からはよく出てくるが、大人からは殆ど出ない。
・Naked とか、窓やドアが無いというNOを大文字にしたのは読み手の注意をそらすための小技。

と彼は教えてくれました。

人間は成長するほどに世の中が複雑である事を理解して受け入れていく訳ですが、一方で問題解決の姿勢の中で最も単純な可能性を最初から切り捨ててしまったり、"そもそも論"を置き去りにして細部の技術論に走ってしまう傾向を強めてしまうと言う事なのでしょう。
 面白かったのは、我々が知恵を絞った一時間以上の間に、まさに注文どおりにNaked である事に意味があるのではないかとか、NOを強調しているのは気になるが、これはドアや窓という物が無いわけでそれらがあるべき場所に穴が開いているということではないかという珍説が出たましたし、私などは5feetというのは5本足という状態で、どうせImagineの世界なので自分も人間ではないのではないかなどと考えていました。(笑)

実は丁度最近子供が学校から持ち帰る試験の問題などを見ても感じていた事があります。本来理解しておくべき事項の理解度を素直に問うと言うよりも、色々複雑な前提条件(ノイズ)を与えて混乱させるような設問が少なくないように感じているのです。うちの子供の場合は設問の日本語に困惑していたというケースも多く見られるのです。今更"お受験"などは考えていないので帰国子女が英語力を維持する塾にのみ行かせているのですが(あ、これはまだ書いていませんでしたね。今度書きましょう)、そこの宿題をやっている時の方が随分明るいようなのでちょっと考えさせられています。

話を戻しますが、我々は知識面でも技術面でも色々な事を知りすぎているが故に、時として最も基本的な部分をSKIPしてしまう傾向があるのかもしれません。
 長年金融市場に参加していると、情報ソースも増え、やがて多くの知識や着眼点を手に入れることが出来る一方で、最初に感じる直感、フィーリングなどは一旦SKIPしてしまう傾向も強まってしまうのではないかとも感じる事があります。

恐らく同様のジレンマを感じたのでしょう。この直感力の衰えを防ぐためかある後輩は少し前から情報交換先や情報ソースの整理に動き始めたようです。
 市場でリスクを取ると言う事はとても危険であり、怖いことです。少しでも勝率を増やすために少しでも多くの情報が欲しい、少しでも安心したいし、少しでも自分の戦略の裏付けを増やしたいが為にひたすら情報交換先や情報チャネルの拡大・充実に努めてきた人間がある時点でその弊害にもぶつかり、熟慮の末にバランスを取り始めると言うのは不思議ですね。

これは、人類の幸福、進歩の為に産業育成・推進に従事してきた人類が、地球温暖化や格差の発生・拡大という弊害を認識して少しバランスを取ろうとし始めているという現象にも通じるものがあるのかもしれません。

Think globally, act locally. と言う言葉がありますが、今日の脈絡では、Think like an old professor,act like a young kid. という感じでしょうかね。

原点回帰的なレビュー。 年末年始はそれのよい機会かもしれません。

2007年12月25日火曜日

Christmas in Japan

そういえばそうだった・・・と言う気もしますが、日本のクリスマスはチキンを食べる習慣が根付いているのですね。実は記憶が衰えているだけかもしれませんが、米国ではあまりクリスマスにチキンを食べていたという明確な記憶が無いのですが、一応キリスト教のイベントだからでしょうか。Thanksgivingでは皆が七面鳥を食べますが、あれは宗教色の無いイベントですからね。

と言う事で地元のスーパー等にもやたらとローストチキンなどが並ぶのですが、私はKFC(ケンタッキーフライドチキン)をBarrelで買って来ようと思い運び役に子供たちを引き連れてわざわざ電車に乗って最寄のKFCまで行ってきました。(余談ですが、日本にはやたらとKFCがあるという気がします)

ところが・・・行ってびっくり玉手箱。

入り口にお兄さんが立っていて、「チキンのご注文は3時間半程お待ち頂く事になります」 とのこと。
凄い人気だ・・・・大したものだ・・・・と驚いた私は、「商売繁盛で何よりですね」と言って諦めて帰ろうとしたのですが、お兄さんの「これらのチキン以外の商品ならばお待ち頂かなくて大丈夫なのですが・・」
という言葉に振り返ると、彼がメニュー上で指し示していたのは全てチキンでした。

大いに困惑した私がよくよく聞いてみると、正確にはKFCの”オリジナルチキン”なるものが大人気で3時間半待ち状態(恐らくクリスマス限定の商品?)、それ以外の通常メニューは待たなくて大丈夫と言う意味だった事が判明しました。

私にとっては通常のちょっとスパイシーなKFCのチキンで充分だったので、そのまま受付カウンターに向かいましたがこれがまた凄い人・・・・3つか4つほどある注文窓口の1つを"チキン専門"としてそれ以外を"チキン以外"として店員さんたちが忙しく対応していました。

私は、KFC の常連客ではないのでメニューには詳しくありませんので、混雑の中で不要なリスクは取れないと思い愚直にチキン専門のカウンターで順番待ちをしましたが、自分の番が来て分かった事は私が買い求めたローストチキン、チキンナゲット、スパイシーチキンのセットは、"チキン以外"という空いていた窓口でよかったと言う事でした。

KFCは立派な企業ですので、例年のクリスマス時期の注文履歴や来店客数データなどから相応の準備と対応を打ち合わせているのだと思いますが、どうやらボキャボラリーの選択を誤っていたのではないでしょうか。
 容易に察しが付く事ですが、彼らが仲間内で"チキン"と言えば、それは彼らの"オリジナルチキン"を意味するのでしょう。これが大ヒット商品となったことは天晴れなおめでたい事ですが、内部の打ち合わせの延長線上で顧客に対しても”チキン"、"チキン以外”等といわれては理解出来ない人が殆どでしょう。

そもそもKFCのメニューの中にチキン以外のものがどれだけあるのか私は知りませんが、店員さんの説明を文字通り受け取って彼らの通常メニューをも購入せずに諦めて帰ってしまった潜在顧客も相当数いたのではないかと思うと極めて勿体無い話です。

でも、久しぶりのKFCチキンはとても美味しかったですよ。実は2バレル購入したので今晩も活躍しそうです。

そう言えば、欧米ではFamily eventであるクリスマスが若い恋人達のイベントという色彩が強い事やクリスマス当日よりもクリスマス・イブのほうが盛り上がると言うのも日本の特徴だそうで、先日ある番組で前者に対してはユーミンや山下達郎の歌などがきっかけだったのではないかと言う分析が行われていました。

バレンタインズデーに女性が男性にチョコレートを送ると言うのも日本独自のものですが、外部から柔軟に色々なものを取り込んで独自色を加えると言う日本の得意芸はこういうところにも生きているのかもしれませんね。

独自色と言っても・・・チキンの話は、もう少しキチンとして欲しいという気はしますけどね。

2007年12月24日月曜日

Will zodiac effect make 2008 a year of realignment?

まだ終了してはいませんが、今年は夏場まで続いた世界中の資産価格上昇の動きに対して8月に米国のサブプライム問題の表面化で急ブレーキが掛かると言う展開となりました。

世界をリードする繁栄を謳歌し続けてきた米国景気、金融革新の中心地であり続けたWall Street、多くの邦銀や世界中の金融機関がビジネスモデルのお手本とした米国投資銀行に対して大きな疑問符が付けられる結果となりましたが、面白い事に程度の差こそあれ世界中で同様の現象が起きていることが分かります。

豪州、英国、スペインなどで住宅価格のバブルが弾けた事や、欧州の金融機関が米系金融機関と同様の問題を内包していた事、景気にしても英国中銀、カナダ中銀が米国に追随して利下げに踏み切り、日銀も利下げを見送り続けている事・・・・・これらは依然として米国の影響力が大きいという事実を起点とした因果関係で説明出来るのですが、私が面白いと感じるのはこのような因果関係が不明な領域でも同様の現象が拡大しているように見える事です。

China Miracleと言う言葉で歴史に残る事が確実な経済拡大を続ける中国における知的所有権を無視した贋物の横行、それに毒野菜問題や禁止材料、禁止薬物を使用した台所用品等の氾濫や海外輸出の実態は、モラルやコンプライアンスを置き去りにした経済成長の実態とそれに追いつかない管理者としての行政システムの整備遅延と言う問題を浮かび上がらせています。

日本でも鶏肉や豚肉を牛肉として売る業者がいたり、製品の成分表示を隠したり、偽ったりする業者の摘発が相次ぎ、食品業界でも製造年月日、賞味期限などをちょろまかしていた業者が続出し、特に老舗や名門と言われる複数の業者が長年消費者を騙していた事が明るみに出た事は多くの国民に衝撃を与えました。高級料亭なんて元々縁がありませんが、我々もよく行くような複数の大手居酒屋チェーンでも赤身の肉に油を注入したものを"霜降り"として客に食わしていたと言う話もありましたね・・・・
 以前人工イクラというのがありましたが、あれを本物として売っていたようなものですね・・・

干支、十二支(Zodiac)が一巡して来年が鼠年のようですが、一巡して最初に戻った時には、真実が明るみに出るという Zodiac Jinx があったはずです。

2008年も色々なものが出てきて、最後は収まるべきところに収まると言う展開になるような気がします。

A year of realignmnet.   そんなテーマを意識しながら来年を展望していきましょう。

2007年12月23日日曜日

Here comes another one : Weekend surprise continues.

クリスマス前の週も基本的に株式市場は堅調で、米ドルも上昇基調を維持して終了しました。

年度末のドル需要は大したもので、ドル円で見れば114円台を回復して終了していますが、個人的にはこれに一番驚きました。
 12月前半は、年度末に向けたリスク量やポジションの調整作業をベースとしたLiquidation, Repatriationの動きが市場を動かしてきましたが、中盤以降は年度超えの資金繰り需要という要素が前面に出てきており、ますます動きが読み難くなってきました。(そもそも簡単な時など無いのですが・・)

トップダウンかボトムアップかという話は、よく組織内の意思決定について使われる言葉ですが、資産運用の世界でも重要な概念であり、特に運用資金をどの資産にどういう比率で配分するか、世界中のどの地域にどういう比率で配分するか等を決めるAsset Allocationの方針決定でも重要な概念です。
 最初に大枠の配分比率を決めて個別銘柄の選択は最後に決まると言うのがトップダウンで、反対がボトムアップと言うことになりますが、演繹法か帰納法か、アクティブ運用かパッシブ運用かという議論にも通じる深いテーマです。

実はこのアセット・アロケーションですが、資産バブルと言われ続けた市場環境の中で少しでも高い運用実績を追求するべく今年は多くのファンドがCashへの配分比率を極端に落として世界中のペーパーアセット(株、債券、商品先物、クレジット等仕組み債、ETC)に投資していました。米国のMutual Fundのデータで見れば、ポートフォリオ内のCash比率は2%程度しかなかった事がわかりますが、年末の配分比率の調整の中で世界中のAssetが売られて米国に資金が還流する動きが出ていたことも今月の日本株を含む株式市場のスランプと米ドルの意外な復権の流れの一端を説明する動きだったと思われます。 年度末にはMutual FundのCash比率は数倍になっていることでしょう。

さて、これまでの経験からも間違いないのですが、特に欧米人は市場にどんな大きな材料があろうともクリスマスの時期だけはしっかり休みますので年度最終週となる来週は非常に閑散な状況になると思います。ここで流動性の枯渇を狙って市場を動かそうとする人々も出てくるとは思いますが、そういう動きとは距離を置いて適当にあしらうのがベストではないでしょうか。

金曜日に後輩が送ってくれた飾り(?)が気に入ったので皆様にもお送りしましょう。

From the very bottom of my heart, I wish you all great holiday season.God bless us all.
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        ♪☆☆Merry Christmas☆☆♪
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Your Friend.
Robert Henry

2007年12月17日月曜日

In For More Weekend Surprises?

All is well that ends well.

終わりよければ全てよしと言いますが、各金融市場が今年はどのような終わり方をすることやら・・・・そんな気になる今日この頃ですね。

個人的にも親交のある有名なチャート分析の大家から"末の需給"と言うものを軽視してはいけないと教わったのはもう10年以上前のことになりますが、我々が報告書を作成したり、学生時代には宿題等を仕上げなければいけなかった時と同じように特に実需筋の市場参加者、或いは投資家達にとって資金を出し入れするタイミングには期日や期限があります。

本邦勢の場合は輸出入の実需にしても投資勘定にしても所謂"ごとう日"という5日,10日、15日・・・・という5の倍数にあたる日に如実に活発なフローが出る訳ですが、全世界的な基準で見れば圧倒的に週末,月末,四半期末,年度末と言ったところに注目をする必要があります。

例えば、モデル系のファンドなどでも人間の相場観が入る余地が無いのかというとそうでもなくて、業界の人なら誰でも知っているファンドの例で言えば、モデルが出した方針をいつどのレベルで実行するかはトレーダーの相場観に任されたりしているケースもあります。そうしないと人間が考えなくなるし、そういう運用で腕を磨いたトレーダーの相場観に執行を任せることでアルファが稼げるとファンドのCEOが信じているからと言うことなのですがこのような職人志向は残っていって欲しいと個人的には思っています。

話を戻しますが、毎日のNYクローズというのは、その日のうちに売り買いしなくてはならない需給が全て消化されて均衡した水準であり、金曜日のそれは週の需給、月末のそれは月の需給が均衡した水準と言うことで重要な意味を持ちます。

最近の相場を見ていると、「週末の驚き」というのがパターン化しつつあるようです。株式,債券,コモディティ,為替と週の半ばまでの展開からは想像しにくかったような方向に動いてみたり、水準的にもまさかここまで来るとは思わなかったと言うような水準で週の取引を終えていることも少なくありません。

ドル円を例にとっても先週の終値が113円台でした。金曜日に忘年会で酔ってしまい、どうせあまり動かないだろうと思って細かく相場を見ていなかったのですが、土曜日の朝に数字を見て驚いてしまいました。勿論インフレ指標が強く、FRBの追加利下げへの期待が後退したという材料はあったにせよ、やはり季節的にもLiquidationやRepatriationという予測不能なフローが中心になる12月の金曜日であったという事実は見逃せないし、先週にドルが多くの主要通貨やコモディティに対して高値引けしたと言う事実は軽視するべきではないでしょう。

今週は、俄然重要性を増している中東勢がラマダンに次ぐ規模と言うイスラムのお祭りでお休みになるのですが流動性の悪化と言う意味も含めて相応の注意を継続するべきでしょう。特に週末の動きにはまた注意したいところですね。

少し身軽というか、機動的に動ける体制で臨むべき週ではないでしょうか。アルファがアジャパにならないように。

2007年12月9日日曜日

From Good to Great and finally....Legacy.

私は格闘技ファンなのですが、Boxingをコアに何でも見ます。

今や総合格闘技の分野で世界をリードすると言っても過言ではない日本ですが、この週末はK-1の放映もあり画面に釘付けになってしまいました。

米国生まれの総合格闘技、UFC(Ultimate Fight Chanpionship)は、ブラジリアン柔術を世界に知らしめる等の功績もあるものの、特に初期の頃にはやや刹那的な殺伐とした大会も多く、一時全てのケーブルチャネルが報道を中止すると言う時期もありました。一方日本生まれのK-1は、ベースとなっている空手の文化が根付いておりUFCとの比較において多分に武道的な美しさがあると思うのですが如何でしょうか。実は立ち技、打撃技が基本であって寝技、締め技、関節技などが無いからだけかもしれませんが。

さて、実は個人的にこの週末それ以上に注目していたのがラスベガスで行われた世界ウェルター級タイトルマッチ、Floyd Mayweather Jr. 対 Rickey Hatton という米英の無敗王者同士の対決でした。
 Mayweatherは間違いなくAmerican Boxingの最高傑作で、今までに多くのスター選手の栄枯盛衰を見てきましたが、この選手だけは頂点に君臨し続けています。一方のHattonは、英国の若き猛牛というイメージだったのですがオーストラリアのロシア人王者Kostya Zyu選手を文字通り力で粉砕して世界の超一流に駆け上がった選手でした。

ここで試合解説をしても仕方が無いのですが、結果はMayweather選手が10回にHatton選手を2度倒してのTKO勝利を収めました。試合内容は予想通りHatton選手が圧力を掛けて前に出て手数でも勝者を上回ったのですがスピードと正確性で上回ったMayweather選手が確実にポイントを重ね、10回には勝負を掛けて見事に決着をつけたという展開でした。

最近の若い世代には随分と変化も見られますが、かつての日本選手には有力選手同士の対戦を避ける傾向があったと思います。それに対して海外の選手たちの絶えず上を目指すような姿勢は最初は物凄く新鮮でした。

Good である事を目指し、GoodになれたらGreatを目指す。Greatの領域に到達しても守りに入らずに自分のLegacyを高めるために最後まで強敵とのBig Matchを追い求め続ける。それはあたかも武芸者、求道者のような世界があると言う気がします。

Mayweatherにしても、あのDeLahoyaにしてもこの辺りの貪欲さは目を見張るものがあり、我々も見習わなければならないと思っています。

He is good but not great. 相手は素晴らしい選手だけど勝てない相手ではないと言う時によくそんな表現が使われますが、勝負の世界におけるGoodとGreatの差は大きく、更に引退後も語り継がれるようなLegacyが残せるような選手はほんの一握りです。

MayweatherもHattonもまさに天晴れな武芸者だったと思います。このGoodからGreat,そしてLegacyへという上昇志向は素晴らしいですね。

Good と Great には名詞形にしてこういう対比もあります。

Goodness is not tied to greatness, but greatness to goodness.

偉い人が人格者であるとは限らないが、人格者は偉くなるものだ。

う~ん・・・・・どうですか? ノーコメント? まともな人事制度なら・・・と言うところでしょうか。

Indonesia : A land of widening disparity.

 
この国が最初だったら私のアジアへの印象はどれだけ悪かった事でしょう。

ここで頑張る同僚達を初めとして多くの素晴らしい人々に出会いましたが、はっきりとそうではない人達がいたことが全体としてこの国の印象を押し下げてしまった感じがします。勿論この辺りは私の勝手な主観であり、私の体験などは国や民族を一般化して語るほどのサンプルには到底なりえない事は確かなのですが。

ただ、同国の当局者や為政者には100%の善意を持って心の底から助言したいのですが、空港は国の玄関だと思うのでスタッフの教育はまじめに考え直した方がいいのではないかと思いました。

マレーシアからインドネシアに移動したのですが、マレーシア航空の座席もスチュワーデスもJALのそれとは比較にならない素晴らしさでした。唯一の問題はスチュワーデスのやや長めのスカートに入ったスリットの悩ましさで、お陰で私は仮眠を取り損ないました。

やはりミニスカートなどよりも長めのスカートにスリットを入れた方がよほど悩ましい訳で、これはビジネスの交渉事などでも充分に参考にするべきでしょう。やはり足はスリット、ご飯はリゾットです。

仮眠を取り損ねた私が降り立ったのは、ジャカルタのスハルト空港でした。

数日の滞在でもこの国はVISAが必要であり、空港で確か10米ドルで購入する形式になっています。

先ずは窓口でVISAを購入し、直ぐ横にある別の窓口に行ってVISAの領収書をパスポートに添えて提出するとパスポートにスタンプが押してもらえると言う仕組みでした。

先ずは、最初の窓口で日本円でも大丈夫と言う担当者に一万円札を渡して領収書とお釣りを貰いましたが、後でよく勘定すると全くひどい換算レートだったことが分かりました。イノドネシアルピー(IDR)のレベル感など全くなかったのでその時には全く分からなかったのですが、後からそれをネタにして大笑いしているので、これが本当の"後の祭り"と言う感じでしょうか。

ひどかったのは、直ぐ横のVISAの発行担当者でした。私がパスポートと領収書を提示しても全く動く気配が無く、私が丁寧に、「これがパスポートでこれが領収書です。VISAのスタンプを下さい」と言っても人を馬鹿にしたように見上げるばかり・・・・やっと口を開いたと思ったら・・・・・・

VISA係  ”You do not have anything for me?”
私     " What else do you need please?"
VISA係 " I need OMIYAGE"
私 " ????"
VISA係 "No MIYAGE? No OMIYAGE for me?"

一瞬頭の中で、”幾らくらい渡すのが相場なんだろう・・・”と思った私でしたが、直ぐに気を取り直して睨み付ける様にして " I have no idea what you are talking about" とだけ言って黙っていたら、3分後くらいに彼はVISAスタンプを投げるようにしてよこしたままそれ以後は目線も合わせませんでした。

もう一度言いたい・・・飛行場は国の玄関だとすれば、国としてよく考えた方がいいと思います。 後で知り合った人々に確認すると、私の対応で問題はないということでした。また、上位者を呼べと言って脅したらどうだっただろうかと言う質問に対しては、恐らく上位者からも"みやげ”を要求されるだけだから意味はないとのことでした。

閑話休題

未開発なれど相当な資源があると言う事で幾分先行投資的な外国資本が流入していると言うのが現状ではないかと言う気もしますが、金融当局はしっかりと機能しており、現地の新聞を読むとスハルト政権時代の汚職が次々と裁断されている様子なので、政治的にも金融的にも近代化への道を着実に歩んでいる事が分かります。

公的、民間双方の金融機関を回ってみましたが、ここでも恐らくは留学経験があると思われる若い世代が組織を牽引している感じで、欧米人並みの英語を話す人が多くて驚きました。明らかに"教えてやる"と言う態度の上から物を言う感じの人もいましたが、概ね柔軟な人達と言う感じでした。

格差・・・という日本でも流行(?)の言葉が適切かどうかは分かりませんが、貧富、教育水準等あらゆる切り口で分布の広い国ではないかと思います。

交通量を制限するために、市街には車に3名以上乗っていないと入れて貰えませんが、チェックポイントの近くに来ると員数合わせの人達がいて、乗車人数が足りない車は彼らを乗せて市街地に入ります。私を乗せた車も、そんな人を乗せて移動しましたが途中で少額のお金を渡して降ろしてしまうで2度驚きました。彼らはどうやって帰るのか・・・・・運転手と彼の会話は現地語で分からないし、運転手は私の " Is he ok? " という英語を理解しませんでした。

ジャカルタの交通事情はマンハッタンより怖いです。イメージとしては歩道でも車が走りそうだと言うくらいで、ここで車を運転するのは相当危険だと思いました。イェローキャブの運転手ですら躊躇するのではないかと思います。ルールも秩序も無いのか・・・・私は何度も信じられない思いがすると共に事故に遭わなかったのが不思議な気持ちにすらなりました。

ところが・・・・最終日にホテルで朝食を取りながら市街を見下ろすと、全体としては整然とした動きのように見える事に驚きました。
 部分で見ると、全くの無秩序のように見えて、全体としては一応の流れが維持されている・・・・・・・もしかしたらそれは、今のインドネシアそのものなのではないか・・・・ふと私はそんな思いに駆られました。

同国はかつて3年程日本による統治下にありましたが、一部高齢者を除けば特に若い世代の対日感情は概ね良好だそうです。それまで350年同国を統治したオランダに比べれば非常に短期間であったこと、日本がそのオランダを駆逐したという印象もないではないという事のようです。

ここの経済も市場も気候同様に当分は熱気を保つと思われますが、上述のとおり全体が動いている中での部分の無秩序さは、不思議な躍動感にもつながっているような気がしてきました。

部分部分の微細な秩序を完璧に積み重ねて全体の流れを保とうと言う今の日本のコンプライアンス主義は、この躍動感を殺しているのではないか・・・・・そんな危惧が頭をよぎりました。

殺すべくは躍動感ではなくて不埒な空港職員だと、声を大にしていいたいのですけどね。

2007年12月8日土曜日

Kuala Lumpur : E-BusinessのHUB? 

春にはインドが第一候補だったのですが、私の初めてのアジア訪問は、結局マレーシアでした。諸事情あって時期も冬になってしまいましたが、この国の印象がとてもよかった事は結果的にとても幸運でした。それまで圧倒的に欧米に傾いていた私の視線をアジアにも向けてくれたのはこの国の美しさと善良且つ知性豊かな人々のお陰でしょう。

米国で働き始めた時にマレーシア出身の女性が同僚だった事もあって元々親近感はあったのですが、飛行場も非常にクリーンで入国手続きも流れるように進み、ホテルまで使用したタクシー運転手も親切に街の説明をしてくれた上に、宿泊したのが東京では絶対に泊まれる訳も無いMandarin Orientalと言う事で滑り出しから好調そのものでした。
 東京の同ホテルは、春先のイベント会場として使用した事がありますが、確か宿泊は安い部屋でも一泊5万円は下らないのではないでしょうか。それが当地では高級感はほぼ遜色ないのに日本円換算で1万5千円程。当然ですがホテルのスタッフも非常に親切で、英語が通じると言う安心感もあって私はこれだけで来た甲斐があったという気になっていました。

ビジネス面では、代表的な機関投資家を回りましたが、第一印象としては権限を持って組織を動かしている人々が若い世代で、非常に柔軟な考え方をしていると言うことに驚きました。

マレーシアは、イスラム教が強い国で、金融街の中にもモスクがあり、会社でも昼には多くのスタッフが礼拝のために職場から消えてしまいます。
 2001年のSeptember 11 以降は、米国から多くのイスラム系のファンドなどが同国に本拠地を移動したとの話も聞きましたが、私の印象では、この国の金融、経済活動には二つの潮流が出来上がっており、双方が車の両輪のように機能しているのではないかと思いました。

一つ目の潮流はまさにイスラム金融です。もともとイスラム教が強い国である上に、イスラム系ファンドが米国などから移動してきた事で、クアラルンプールの金融街が大いに活気付いているのだと思います。もう1つは、その前のマハティール氏の時代から推進してきた同国をアジアのサイバーエコノミーのハブにするというコンセプトの元で通信やIT産業が発達していると言う潮流です。

アジア経済全般が好調である事は確かですが、その後の情報収集活動なども含めて総括すると、やはり何か明確なコンセプトのある国や地域が特に強いのではないかという気がしています。

サイバーエコノミー、E-Businessのアジア地域におけるHUB的な役割を目指す同国がイスラム金融と共にどのように発展していくのかは大いに注目したいところです。投資先としての魅力も十分にあると思いました。

最近訪れた香港では、かつての英国統治下にあったという歴史の面影も薄く、驚くほど英語が通じない状況でしたが、マレーシアではかなりのレベルで普通に英語が通じるというのも上記コンセプトの背景であり、メリットだと感じました。
 ただ、色々聞いてみると、伝統回帰的な運動が強まっているそうで学校教育は英語からマレー語に戻されている地域もあり、若い世代の英語力が随分低下してきており一部で心配され始めていると言う話も聞きました。

世界は広いと、純粋に目を開かせてくれた感じがします。

Evangelistic stability?

ひえ~・・・・

もう12月・・・・・ですか・・・・

この時期は誰でもこの一年を振り返り始める時期なのですが、特に年度中に何か大きなイベントがあった人々にとっては感慨ひとしおと言ったところでしょう。

海外に出た、帰国した、家族が増えた、転居した、家を買った、学校に行き始めた、転職した・・・・自ら能動的に踏み出したケースもあれば、受動的に受け入れたケースもあるでしょう。そんな人生の転換点や触媒にも成り得るようなイベントを振り返りながら来年の事を考え始める・・・・そんな時期ではないでしょうか。

今年の金融市場は年初から中盤までのGlobal growth,Low volatility等がテーマだったある意味で平和な相場展開と、米国のサブプライムローンの延滞率急上昇が引き金を引く形で拡大した8月以降のGlobal Decoupling,High Volatility等がテーマとなってきた市場の混乱との間の強烈且つ鮮明なコントラストが記録にも記憶にも残り続けるであろう激しい流れとなりました。

馴染みの深いドル円の為替水準で見ても、124.14→111.71→117.95→107.22と来て105円が視野に入る流れとなりましたが、週末兼月末となった11月30日の金曜日の終値が111円台となって月足、週足に修復感が強まり、12月に入って再度109円台を固めて先週の週足が111円台後半となっており、株式市場の修復と共に円高も年内は一服したかなという印象が強まっています。

実際に特に12月に入ってからは、中東のアブダビ投資庁のCitiグループへの大口投資の発表や米国金融当局と金融機関の間で騒動の根源であるサブプライムローンの段階的金利上昇を当面凍結する旨の合意がなされたと言う報道などが出た事で株式市場や為替市場における市場心理の改善は相当なものです。

個人的にかなりの意外感を感じているのですが、秋口には先行きに相当悲観的な見通しを持っていたヘッジファンドの一部や世界的な大口機関投資家の動向にも目に見える程の変化があります。一時はこの世の終わりみたいな話しすらしていた勢力の中に自分たちを含めて多くの市場参加者はあまりにも悲観的になり過ぎていたという見方が広がっている事実は無視できず、事態が簡単に修復はしないまでもちょとした修復過程に入っている可能性はかなり高いと言えるのではないでしょうか。

実は笑われるかもしれませんが、私は12月に入ったという季節的要因が果たしている役割が物凄く大きいと考えています。この時期欧米では一気にクリスマスムードに入りますが、ラジオ局なども終日クリスマスソングをかけまくるという状態となります。例えばかつて我家も掛けっぱなしにしていたNYのFM局106.7litefmなどもそうなのですが(http://www.1067litefm.com/)、何か苦しい出来事があった年ほどこのInspiration効果は大きく、例えばテロのあった2001年などもこの時期から過度の悲観論が後退し、連帯感、一体感、前向きな気持ち・・・と言ったものが復活して来たと記憶しています。

私は今年は東京で色々な意味で辛い事もありましたが、Josh Grobanがロックフェラーセンターで歌う"Oh Holy Night"に何度と無くInspirationを貰いました。この時期にまたこれがよく掛かるようになり、株式市場などで投資家心理の回復が見られる事は何か象徴的な現象のようにも思えるのです。

どうやら過度の悲観論は一旦後退したとして、ここからは楽観も悲観もせずに冷静に世の中を見て行く事にしましょう。ところで、押し売りはしませんが、先ずは心のリセットスイッチを押したいという方は、私のお気に入りをどうぞ! www.youtube.com/watch?v=zQWXfHzOKUU