2007年12月8日土曜日

Kuala Lumpur : E-BusinessのHUB? 

春にはインドが第一候補だったのですが、私の初めてのアジア訪問は、結局マレーシアでした。諸事情あって時期も冬になってしまいましたが、この国の印象がとてもよかった事は結果的にとても幸運でした。それまで圧倒的に欧米に傾いていた私の視線をアジアにも向けてくれたのはこの国の美しさと善良且つ知性豊かな人々のお陰でしょう。

米国で働き始めた時にマレーシア出身の女性が同僚だった事もあって元々親近感はあったのですが、飛行場も非常にクリーンで入国手続きも流れるように進み、ホテルまで使用したタクシー運転手も親切に街の説明をしてくれた上に、宿泊したのが東京では絶対に泊まれる訳も無いMandarin Orientalと言う事で滑り出しから好調そのものでした。
 東京の同ホテルは、春先のイベント会場として使用した事がありますが、確か宿泊は安い部屋でも一泊5万円は下らないのではないでしょうか。それが当地では高級感はほぼ遜色ないのに日本円換算で1万5千円程。当然ですがホテルのスタッフも非常に親切で、英語が通じると言う安心感もあって私はこれだけで来た甲斐があったという気になっていました。

ビジネス面では、代表的な機関投資家を回りましたが、第一印象としては権限を持って組織を動かしている人々が若い世代で、非常に柔軟な考え方をしていると言うことに驚きました。

マレーシアは、イスラム教が強い国で、金融街の中にもモスクがあり、会社でも昼には多くのスタッフが礼拝のために職場から消えてしまいます。
 2001年のSeptember 11 以降は、米国から多くのイスラム系のファンドなどが同国に本拠地を移動したとの話も聞きましたが、私の印象では、この国の金融、経済活動には二つの潮流が出来上がっており、双方が車の両輪のように機能しているのではないかと思いました。

一つ目の潮流はまさにイスラム金融です。もともとイスラム教が強い国である上に、イスラム系ファンドが米国などから移動してきた事で、クアラルンプールの金融街が大いに活気付いているのだと思います。もう1つは、その前のマハティール氏の時代から推進してきた同国をアジアのサイバーエコノミーのハブにするというコンセプトの元で通信やIT産業が発達していると言う潮流です。

アジア経済全般が好調である事は確かですが、その後の情報収集活動なども含めて総括すると、やはり何か明確なコンセプトのある国や地域が特に強いのではないかという気がしています。

サイバーエコノミー、E-Businessのアジア地域におけるHUB的な役割を目指す同国がイスラム金融と共にどのように発展していくのかは大いに注目したいところです。投資先としての魅力も十分にあると思いました。

最近訪れた香港では、かつての英国統治下にあったという歴史の面影も薄く、驚くほど英語が通じない状況でしたが、マレーシアではかなりのレベルで普通に英語が通じるというのも上記コンセプトの背景であり、メリットだと感じました。
 ただ、色々聞いてみると、伝統回帰的な運動が強まっているそうで学校教育は英語からマレー語に戻されている地域もあり、若い世代の英語力が随分低下してきており一部で心配され始めていると言う話も聞きました。

世界は広いと、純粋に目を開かせてくれた感じがします。