2010年2月28日日曜日

欧州は、「呉越同舟」から「同床異夢」へ

このBLOGにも書いたことがありますが、欧州の歴史と言うのはまさに占領と殺戮に血塗られた歴史であり、とにかく戦争を繰り返さない体制を構築するのが欧州連合(EU:European Union)の最大の目的でした。中でも最も強くて残忍だったゲルマン民族の取り込みこそが最も肝要であったと言われています。

かつての政治、文化の中心地であったギリシャやイタリア、欧州の覇者でもあったポルトガルが国家破綻のリスクに直面しておりかつては欧州内でも蔑まれていたドイツの援助を期待せざるを得ないと言うのはまさに歴史の皮肉と言える訳ですが、ここへ来て先週あたりの動きを見てもかなり欧州内の混乱が悪化しているようにすら見えます。

月末且つ週末と言う事で需給が注目された金曜日にユーロが反発していますが、これはまさにゲルマン民族(ドイツ)からドイツ復興金融公庫にギリシャ国債を購入させる救済案が示されたことによるものですが、まだまだ解決への道のりは相当遠いように思われます。以下に主要なポイントを挙げておきます。

1 民族間の感情問題が復活していること。

これには驚きも感じますが、EUから財政再建策の提出を求められたギリシャ政府の副首相からナチス時代のドイツの戦争犯罪を糾弾する発言が出たり、財政状態の粉飾に関してはイタリアの方がもっとえぐいことをやっていると言う発言が出るなどギリシャ政府レベルにも一種の逆切れ的な言動が出始めています。

2 ギリシャ政府の逆切れと国民の反発

なぜいい加減な財政運営で問題を招いたギリシャを自国の税金で救済しなければならないのかと言う反発がドイツの世論調査などから伺えますが、一方で財政再建の為に痛みの共有を強いられる財政再建策を政府から示されたギリシャ国民の反発も強く、何とギリシャでは官民合同のゼネストが起きてその一部が暴徒化してしまいました。

3 PIIGSの問題

ジョージソロスが指摘している問題ですが、ギリシャが救済されるかどうかは実はあまり大きな問題ではないと言っています。つまり、ギリシャを救済すれば必ずポルトガルやイタリアなども救済を求めてくると言うことです。ギリシャを助けておいてイタリア、ポルトガル、アイルランド等を救済しないというのは道理が通りませんし、ベアスターンズを救済したのにリーマンブラザーズは救済しなかった結果米国が世界中を大混乱に巻き込んだことは記憶に新しいところです。ソロスも問題の拡大は不可避だと指摘している訳ですね。

このような状況を見ていると、「呉越同舟」状態で誕生したEUというシステムはいまや「同床異夢」という状態に陥っていると思えてなりません。

では同床異夢の中で本来の目的である互助会的な機能は果たせるのか?・・・・と言うことを考えていたら面白いことに気が付きました。

元々経済的に他国を救済出来る体力があるのはドイツとフランスの二国です。しかしより体力のあるドイツとギリシャの間には感情的な関係の悪化が明白になってきており、今後はフランスの動向が大きな焦点になってくる可能性が高いのではないでしょうか。超目立ちたがり屋のサルコジ首相にとっては願ってもないことかとも思いますがフランスの世論がドイツ同様のものであろうことは想像に難くありません。

そこで・・・同床異夢 ⇒ 同床イム  どうしょうイム  どうしよう・・仏(フランス)

というのを考えました。  ちょっと脱線しちゃいましたね・・・