2010年6月28日月曜日

A potential transition of market theme or trend.

もう随分長期間RiskのOn/Offを軸に相場を分析すると言う期間が続いていますが、ここへ来て少し構図が変わり始めているように感じています。

株式市場には大幅調整のリスクが残ります。世間の相場観はむしろ建設的なものが多いのですが気になる兆候が増えてきているのです。

また、為替市場でも欧州危機などの影響もあってトレードオフ的な逆相関にあったドルとユーロが仲良くその他通貨に対して下落し易い状況になってきており、その中でダークホース的とも言えるワイルドカードシナリオとしての円高相場の様相が強まってきました。

チャートなどを使って少し詳しく書いてみましたので、以下のリンクをご覧ください。

https://docs.google.com/document/edit?id=12PIDehde2_L-V08KwjNZ5SkYYohzkMLrBT399PZzV5s&hl=en

2010年6月27日日曜日

Like a cheetah or a cheater ?

世の中には一般には知られていなくても実に才能溢れる人々が沢山埋もれているものですが、金融市場においても一服の清涼剤の如く出回る”作品”群には時として思わず引き込まれてしまう傑作があります。

前週末に中国当局による人民元の柔軟性向上を意図した通貨バスケット性への移行の発表があった事で注目された先週の為替市場では、”詠み人知れず”の傑作が出回りました。友人からこれが転送されてきた時には思わず唸ってしまったのですが、ちょっと紹介しておきましょう。

人民元のマーチ (「三百六十五歩のマーチ」の替え歌)

切上げは~言わなきゃ来ない。だから、みんなで言うんだねー。
貿易均衡、インフレ防止、許せないのは「独り勝ち」。
人民元は4割安い、対ドル、対円、対ユーロ~。
ビッグ・マックで比べれば~、1ドル=4元当たり前。
仲間集め、肩を組んで、ワン、ツー、ワン、ツー、中国を叩け~。
それ、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー。

切上げは~答えにならぬ、それでもみんなは期待するー。
欧米しかり、中国しかり、日本もアジアもメキシコも~。
人民元が上がれば買いだ! 為替も株も商品も~♪
むやみな期待が広がればー、嘘も真になるでしょう。
ユーロ買って、金も買って、ワン、ツー、ワン、ツー、リスク資産買いだー。
それ、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー。

元高は~進んで止まる、だけど元には戻らないー。
一月(ひとつき)、1%(いっぱー)、三月(みつき)で2%(にぱー)、そこまで進んでまた止まる~。
人民元は自国の問題、切り上げ、切り下げ、ありますよー。
中国政府は言うけれど、バブルとインフレ止まらない~。
思い切って、元を上げて、3%(さんぱー)、6%(ろくぱー)、びびらないで上げろ~♪
それ、1割、2割、3割・・・・・・

どうですか?

私はこの存じ上げない作者の方に(実は知っている人だったりして?)、惜しみない敬意と賞賛を送りたい気持ちになりました。

この三百六十五歩のマーチは、水前寺清子さんの歌でしたが、彼女はチーターという愛称で呼ばれていたと思います。あのチーターとはどういう意味だったのでしょうか?・・・そんな事を考えていたら丁度この替え歌の対象でもある今の中国こそまさにチーターなのかなという気になりました。

自国経済の強靭さや瞬発力はまさに中国を世界の中心的立場にまで押し上げていますが、これはまさに、アジアの虎、世界のライオン、という表現もありますが、チーターは虎やライオンよりも速い短距離走の王者のようですので今の中国はまさに世界のチーターと言えるのではないでしょうか。

一方でチーターと言えば英語圏の人間は、騙す人、嘘つき、たらし、詐欺師を連想するでしょう。
先週の金融市場では週初に注文通り人民元が上昇しますが、その後は人民元は反落してしまい、殆ど”行って来い”的な往来相場となったことでまさに世界中の市場参加者が中国にいっぱい食わされた格好になっています。実際に週初の人民元上昇もその後の人民元反落も多分に中国当局に近いとされるプレーヤーによる誘導的な動きに市場が追随した物でした。
 そこには、人民元相場の柔軟性向上とは文字通りの柔軟性向上でしかなく、世間が期待するような一方向の動き(人民元上昇)を意味する訳では無いと言う中国当局の無言のメッセージが込められていたと解釈出来る動きだったと言えるでしょう。

動物のCheetahのようでもあり、信用出来ないCheaterのようでもある・・・・・今の中国はまさにそんなつかみ所のない存在になっているのではないでしょうか?

2010年6月21日月曜日

仮面サイダー



ちなみに、こんな感じです。


味もさわやか系ですのでこの季節私もはまりそうです。




2010年6月20日日曜日

Getting older and slower.

恥ずかしい話、歳を取るにつれてITリタラシーを含む新しい物や変化への適応力や順応力が衰えているような気がします。

従来から多くの場合WORDで文書を作りチャートなども貼り付けてGoogleドキュメントに保存したものをこのBLOGにUPする方法を続けてきましたがどうやら先々週末位にGoogle機能の変更があったようでGoogle DocumentからこのBLOGに文章をUPする処理が何度やってもうまくいかなくなりました。

このような与太話は直接書けばよいのですがチャート、グラフ等を使用するマーケット関連の話は今週はUP出来ませんでした。

かつてWindowsが世に出てきた頃にあった話ですが、業界の偉い人が部下からPCの指導を受けていて、PCの前に座ってマウスを持った彼に若手が「画面左下のスタートボタンを押して始めます」と説明をしたところこの偉い人は右手でマウスを握り締めたまま左手の人差し指で画面左下のスタートボタンを押していたという笑い話(実話!!)がありました。

気を引き締めないと私もやがて彼のようになってしまうと真剣に思います。

父の日なので、子供が「仮面サイダー」を買ってくれました。仮面ライダー世代には懐かしいネーミングですが、缶の裏には歴代仮面ライダーやショッカーなどの情報もあり結構今の子供達にも人気があるようです。100円というのもあの時代に合わせているのでしょうか。

と言う事で・・・・・仮面ライダー世代の皆さん、一緒に頑張りましょう。

A strategic move by China on CNY.

欧州混乱などによるRisk回避の動きやそれらを背景とした株価などのリスク資産の下落リスクも今月の2週目あたりから徐々に一服し、この2週間ほどは完全に調整的な反転過程が進行しています。


台風の中心だったEURも対ドルで1.18台から1.23台へろ500ポイントレベルの反転をしており、各国の株式市場も概ね堅調な推移をしています。


夏枯れ相場を心配するにはまだ早いのですが、株や為替のオプション市場のVolatilityもかなり低下しておりパニック感の後退を印象付けています。

その深刻さは相変わらずですが欧州を中心としたソブリンリスクなどの所与の材料に短期的には目新しさに欠けるというパンチ力不足が目立ってきた中でこの週末には大きな起爆剤になる可能性のあるニュースが飛び込んできました。

中国が遂に動く・・・? 

中国の中央銀行である中国人民銀行は19日土曜日にCNY(人民元)の為替レートに一層の弾力性を付与すると言う声明を発表しました。現行のCNY相場は米ドルにPEG(固定)された状態なのですが今後は事実上世界中から批判されてきたこの仕組みを解除して事実上CNYの上昇を容認していく姿勢を示したものとして大いに注目されています。

丁度26日からカナダでG20首脳会議が開催されるのでこれに向けた政治的な駆け引きが水面下で継続していると言う思惑はあったのですが、いまや欧州没落によりこれまで以上に世界経済の牽引役が期待される中国経済を失速させるような大幅なCNYの切上げは他国も望んでいない訳ですので今後の実施時期や実施方法に大いに注目していきたいと思います。

週明けの相場ですが、このニュースを受けて先ずはシドニー/ウエリントン時間から為替市場にどのような反応が出るかが注目材料になり、アジア勢が出揃ってからは各国の株式市場の反応にもっ風目する必要があります。

為替市場の注目点は過去のCNY切り上げ時の代表的な受益者だった円の動向でしょう。CNY切り上げで円高というのは合理的な説明が付かないとも言われていますが、これまでは切り上げの発表時や実施時には円高になってきました。ただしその後は徐々に円安方向に反落すると言う傾向も強いので円高バイアスが維持されるかどうかはその後の株式市場の動向次第かもしれません。

また中国経済が通貨切上げにより一時的にでも減速すると言う事になるならAUD,CADなどの資源国通貨に一旦売りが入る可能性もあります。(これもその後は切り返す可能性が高いですが)

とにかく週末にVolatilityが一段安となった金融市場ですが、週明けからの展開は大いに注意する必要がありそうです。

2010年6月14日月曜日

Clash of Titans of FX and Stocks?

金融市場では軒並みオプション市場のVolatilityが軟調推移しており、リスク回避バイアスの後退と所謂Risk-ON相場への回帰がメインシナリオとなっているのですが、詳細に見ていくとあちこちにConflictが起きている事が判ります。

1 Fundamentals vs Technicals

ファンダメンタルズ分析では欧州問題は相当長引くはずであり、まだまだ表面に出てきていない火薬庫も沢山ありそうな話も聞こえてきます。中長期的には欧州売りの動きは相当な水準まで進展していく可能性が高いでしょう。
 一方でテクニカル分析はかなり明確な反転を示しています。少なくとも短期的な潮目は反転したという見方が急速に広まっており株式市場や商品市場などのアセット市場に大きな復活の兆候が出てきていますが、これはテクニカルプレーヤー達がベアトレンドが一旦走りきって息切れしたと言う兆候を見て一斉に動き出したからで、基本的にはショートスクィーズ的な動きが中心でしょう。

2 Inside Technicals.

テクニカル分析をよく見ていくと、少しMIXな絵が見えてきます。ユーロ下落が注目を集める形で今回の相場の牽引役を勤めてきた為替市場ではかなり明確な形でユーロの反発、ドルの反落というベクトルが見えています。ここからはこれまでのリスク回避バイアス下での受益者兼勝ち組であったドルと円が下落していく動きが暫く続くように見えます。

一方で株式市場なのですが、こちらは買戻しが激しかった分少し心配な兆候が出ており、1週間以内に再びより大きな下落が再開されるリスクを指摘する分析も出ています。私も愛読しているElliot Wave Internationalの分析を紹介するとこんな感じです。
 
①DowもS&Pも週次で2.5%以上の反発上昇を記録したpositiveな週だった。
②しかし金曜日の取引高は4月12日来約2ヶ月ぶりの低水準。
③木曜日の取引高も今月2番目の低水準。
④金曜日のトレーダーズインデックス(簡単に言えば市場の鼻息の荒さです)は約58年振り低水準で過
  去70年で8番目の低水準。(注意;これは低いほど鼻息が荒いと言うインデックスです)
⑤金曜日のニューヨーク証券取引所のTICKデータ(上昇銘柄数ー下落銘柄数)は実に+1644となり23
 年振りに記録された高水準。

と言う具合に一見物凄い強気相場に見えるし、そういう分析も実際にあるのですが、彼らの指摘はこの④と⑤で言及しているインデックスはベアマーケットラリーにおける最終局面で高値を更新してきたと言う歴史があると言うことなのです。
 株価が木曜日、金曜日と出来高を伴わない形で上昇してきたことに加えて、これら定義はBullなるも実績はBearなシグナルが不気味に点灯中という状況から今回の元々ReversalではなくBear Market Rallyであると考えられる株価の反発は早くも最終局面に来ていると言うリスクシナリオを頭に入れていく必要があると言う事です。

ただし、為替市場のユーロ反発気配、ドルや円の反落気配には今のところ大きな死角は無いように見えます。もしかすると株価が反落しても為替ではユーロが反発してドルや円が売られると言うこれまでとは違う図式(為替市場と株式市場のDecoupling)が起こる可能性もあるのでしょうか。

中長期ファンダメンタルズと短期テクニカル、為替のテクニカルと株のテクニカル・・・・・今の金融市場にはあちこちに大物同士の戦いが展開され始めているようです。金融市場版のタイタンの戦い・・でしょうか。

Extreme  → Exhaustion → Consolidation

先週の動きは短期的な潮目の変化を感じさせる内容になっています。

欧州諸国の財政問題や民間の債務問題という闇が横たわる状況を考えれば中長期的な大きな潮流は変わり様もない位に深刻だと思いますが、金融市場に関しては一旦テーマ認識が加速度的な普及を見たことで相場観やポジショニングが一方向に偏りすぎた状態が調整され始めたと言うところでしょうか。まさにExtreme  Consolidation というフェーズに入った感じです。

1 Extreme

メジャーなメディア(雑誌、新聞)の表紙や一面は様々な社会現象が取り上げられますが、ここに取り上げられるようになるとそろそろ市場のセンチメント、ポジショニング、トレンドなどは最終段階に来た可能性が高まるとされています。政治、スポーツ、芸能など様々な候補を抑えて金融市場ネタが取り上げられると言う状態はやはりExtremeであるということなのでしょう。そしてここの所まさにそういう現象が起きているのですね。

左はNewsweek誌の表紙で、表題がThe End of The Euro ですね。

右はBusinessweek誌の表紙で、Bearが唸っています。株の下落を取り上げているのですね。

2 Consolidation

上述のようなExtremeな状況から先週の金融市場は小規模な反転を見せました。規模的には本格反転(Reversal)と呼ぶほどではないのですが、今のところは調整(Correction)とか沈静化・保合い(Consolidation)という見方になると思います。

株式市場は結構な反発となりましたが、米国のS&Pで1週間での上昇幅幅が3月来最高幅となっています。

為替市場の週を通したパフォーマンスの上位TOP10を見るとここまで売り込まれていた通貨が買い戻され、買われていた通貨が売られていた事が判ります。

      先週   前週  変化幅(Pips)  変化率(%)

USDCAD  1.0318  1.0624  -306     -2.97%

AUDJPY   77.90  75.64  +226     +2.90%

NZDUSD  0.6896 0.6702 +194 +2.81%

GBPAUD 1.7105 1.7552 -447 -2.61%

CADJPY 88.75 86.45 +230 +2.59%

NZDJPY 63.19 61.59 +160 +2.53%

GBPCAD 1.5011 1.5355 -344 -2.29%

GBPNZD 2.1071 2.1537 -466 -2.21%

AUDCHF 0.9769 0.9562 +207 +2.12%

EURAUD 1.4238 1.4531 -293 -2.06%

全体的なリスク回避バイアスにより震源地の欧州通貨以上に売り込まれていた資源国通貨がしっかり上昇していますね。このあたりは主要国、新興国の株式市場の反発にも呼応した動きであると言えるでしょう。

この動きは基本的には数日レベルではなく、数週間から数ヶ月と言う規模で継続する可能性のある動きだと思われます。株式市場のリリーフラリーがサマーラリーに進展出来るかどうかが当面の味噌と言うところかと思います。

2010年6月7日月曜日

From "Kan"didate to "Kan did it"

鳩山政権が崩壊し、現在菅政権の発足準備が行われています。

私自身鳩山政権には少し時間をあげるべきだと思っていた部分がありますが、当初から厳しい評価を持たれていた方々が全く正しかったとしか言いようのない過去8ヶ月の迷走ぶりでした。

就任直後に国連まで出向いて積極的なCO2削減で国際社会の喝采を浴びたところが恐らくピークだったような気がします。特に沖縄の基地問題での迷走振りは筆舌に尽くしがたいレベルでしたが、馬鹿にされたと憤らない沖縄県民がいるのだろうかと言う気になります。

当初から無理な連立だった部分があり、この政権のアキレス腱は恐らく沖縄の基地問題と社民党(福島瑞穂党首)だと思っていましたが、全くその通りに沖縄の基地問題によるベクトルの不一致から社民党が離脱し、党内からの突き上げに逆切れした鳩山さんが最後の執念で小沢幹事長を道連れにした辞任劇だったと伝えられています。

鳩山政権のリスクは、「普天間と御転婆」などと言っていた私は少し不謹慎だったかもしれません。

菅さんがどこまでやれるかは全くの未知数ですし、そもそも菅さんになったところで7月に予定されている参院選で民主党が惨敗する確率は高いままだと思いますが、せめて国際社会から無関心でいられるような状態だけは打破出来るように頑張って欲しいと思います。

その意味で北朝鮮との緊張が続く韓国の釜山で開催されたG20にはどんなに無理をしてでも駆けつけたほうがよかったのではないかと言う気がします。

とにかく評価や期待は色々あるでしょうが、万年候補者的な存在だった菅さんが日本の首相になると言う事も含めて世界はまさに激動の時代に突入し始めていると言うことなのではないでしょうか。

2010年6月6日日曜日

A hidden loser in the forest of currency.

為替市場に関する先週の動きは、結局EURが腰砕け的に落ちた事が目に付くのですが週を通して大きな値動きがあったものを順番に並べてみるとこうなります。

GBPAUD

1.7057 →1.7552

+495 pips

+2.82%

AUDCHF

0.9818 →0.9562

-256 pips

-2.68%

EURUSD

1.2272 →1.1967

-305 pips

-2.55%

EURGBP

0.8487 → 0.8278

-209 pips

-2.52%

EURCHF

1.4224 → 1.3914

-310 pips

-2.23%

AUDCAD

0.8933 → 0.8745

-188 pips

-2.15%

AUDJPY

77.13 → 75.64

-149 pips

-1.97%

EURCAD

1.2942 → 1.2715

-226 pips

-1.78%

AUDNZD

1.2467 → 1.2264

-203 pips

-1.66%

EURJPY

111.75 →110.00

-175 pips

-1.59%

一部太字で示した通り、この先週のBig Moversのトップ10の中の下落する方の通貨としてEURAUD5回ずつ登場しています。この2通貨が最弱通貨を争っていると言う事に他なりません。

では、この2通貨の直接対決となるEURAUDはどうかと言うと先週は完全な痛み分け状態で上下にヒゲが出ているだけで実態部分は殆どないトンボ状態となっています。一応地味ながら陽線ですが、これは週末で水入りと言うイメージでしょう。

EURAUD WEEKLY

height=

このペアは欧州問題勃発後は長期間にわたり、沈没する欧州と堅調なコモディティ生産国経済というコントラストを意識した欧州売り・コモディティ買いの流れでずっと右下がりのチャートになっていましたが、上のチャートで言えば右から3本目の大陽線の部分で問題は欧州から世界経済に飛び火してAUDのロングポジションにパニック的な調整が入りました。その翌週となる先々週には再び投資家センチが回復した事で欧州売り・豪州買いという動きになりましたが、先週は最後に株も大反落する展開となり広範なリスク回避モードの上昇を受けて実態が短いながらも陽線で終了と言う展開になりました。

HUFなどのマイナー通貨は除いた分析ですが、主要国通貨の分析では先週の際弱通貨は欧州通貨ではなく意外にもAUD(豪ドル)だったというお話でした。

欧州不安はいまや完全に世界経済不安となっていると言う事が言えます。

Contagion links PIGS and ブタpest

遂にEURが対米ドルで1.20を割り込んできました。EURUSDは以下の通りDAILYでもWEEKLYでも非常に弱気なチャートになっています。

EURUSD DAILY

このDAILYチャートでは、ここ2週間ほどはもみ合いながら横ばい推移していたものが最後の一本=先週金曜日にしっかり下に抜けて来たという形状になっています。

EURUSD WEEKLY

WEEKLYでは、過去8週間で陽線は一本だけの17敗だった事がわかります。もう相当期間反発は弱く、一定期間横ばいに推移しては結局安値を更新すると言うパターンが続いている事が判ります。

EURは対円ではどうでしょうか?

EURJPY DAILY

これはこの2週間ほど横ばい推移なのがわかりますが、最後の一本=先週金曜日の陰線の印象が強いですね。市場には円の先安期待も存在するのですが足元はやはりEURへの不安の方が大きいようです。

EURJPY WEEKLY

EURJPYWEEKLYチャートは過去10週間で陰線が8本も立っており、過去6週間は全て陰線になっています。しかも実体部分以外の所謂ヒゲの部分も長く大きな値幅を記録してきている事がわかりますね。

既に触れましたが、先週はハンガリー政府筋から自国の財政収支の先行きに懸念が示されており、主要因が前政権による粉飾まがいの処理により実態が見えにくくなっていたと言うものでした。これは非常に深刻な事態であり、まさにギリシャと同じパターンです。ギリシャは将来の宝くじ事業(=国家事業)から国庫に入る収入と引き換えにUpfrontで今Cashを受け取ると言う特別にアレンジされたデリバティブ取引を行うなどで財政赤字を少なく見せる処理をしていた訳ですが、当時から絶対にギリシャだけではないだろうと言われていた通り、まさにContagionは起きていたと言う事になります。既にEU(欧州連合)内ではPIIGS諸国へのContagionが織り込まれ始めている訳ですが、ハンガリーの問題はEUの外側にもContagionが起きていたという事を確認するようなものです。

ハンガリーはEUに加盟していないので通貨はEURではなくHUF(Hungary Forint)ですが、当然このHUFは急落中です。

それにしても・・・EU内の問題国はPIGS,またはPIIGと呼ばれていますが、EUの外側のハンガリーの首都はブタペスト。PIGSとはブタ同士でもあり、それにPEST(流行病)まで付いている訳ですので、Contagionは不可避でしたと言うのは不謹慎なこじつけですね。

Census destroyed Con-census.

先週は週初の月末・月初の特殊需給、週央には資源国の金融政策会合、週末には米国雇用統計という注目材料がある重要週でした。

週初の月末月初に切り替えに関しては31日(月)がロンドン、NYの休日で両主要市場の参加者にとっては事実上先々週末で月末を終えていたという事情もあるので主に本邦勢の動向に注目が集まりましたが、ここは輸入サイドの動きが活発で為替市場で円安方向のバイアスが確認された程度で大きな材料にはなりませんでした。

週央には欧州発の世界経済混乱による影響への懸念もあってRBA(豪州の中銀)が政策金利を据え置く一方でカナダ中銀は利上げを断行し、一時的に世界中の投資資金がカナダを目指す動きに為替市場でもCAD(カナダドル)が大きく上昇しました。またこの頃から一旦は落ち着き始めていた欧州でもハンガリー政府から自国の財政懸念が表明されたりEU(欧州連合)内では再びイタリア、スペインへの懸念が増大したり複数の欧州系金融機関の資金繰り懸念が流布されたりと言う動きから欧州通貨には反落の気配が強まり始めました。

週後半には、二転三転した結果遂に鳩山政権の自爆的崩壊が起こり、管政権が誕生する事になったことで、管氏の過去の円安を望む言動を想起した海外勢による円売りが席捲しましたが、週のメインイベントとも言える金曜日NY時間の米国雇用統計(5月分)が市場予想を大きめに下回る内容であったことから投資家の自衛意識が急速に上昇し、資金引き上げの動きを背景に株式市場や商品市場から安全地帯(=安全資産)とされる米債市場,GOLD,米ドル,日本円に大きな資金移動が観測されて週の取引を終了しています。

2009年春先からのGreenShootsと呼ばれた市場回復や新興国経済の経済成長の持続性への期待感から世界経済はサブプライム問題(2007年)、リーマンショック(2008年)のダメージから完全に回復基調に乗ったと思われていましたが、2010年は欧州危機という予想外の火薬庫を中心に世の中を再び疑心暗鬼状態に引きずり戻してしまいました。

今、悪いと思われて資金流出が起きているエリアは間違いなく悪いと言わざるを得ませんが、良いと思われて資金が移動している先になるものも比較優位でしかなく、絶対的な安全を求めた場合の資金の行き先は今後大きく変化していく可能性も残ります。

先週は、週末の米雇用統計がせめて予想通りくらいの水準で出ていればもう少しOptimisticな週末になっていた事でしょう。NFP(非農業部門雇用者数)の増大は国勢調査要員としての政府系臨時雇用者だけでも400千人増が見込まれていましたので民間部門と併せれば500千人は超えるだろうと言う気体がありましたが、結果は431千人の増加に過去月分の下方修正でした。一部で懸念されていた政府系雇用の増加時は民間雇用は割を食って伸び悩むという指摘が当たってしまった格好です。

センサスがコンセンセンサスを破壊したという結果になってしまいました。株式市場などは再び試練に立たされた格好です。