2010年6月27日日曜日

Like a cheetah or a cheater ?

世の中には一般には知られていなくても実に才能溢れる人々が沢山埋もれているものですが、金融市場においても一服の清涼剤の如く出回る”作品”群には時として思わず引き込まれてしまう傑作があります。

前週末に中国当局による人民元の柔軟性向上を意図した通貨バスケット性への移行の発表があった事で注目された先週の為替市場では、”詠み人知れず”の傑作が出回りました。友人からこれが転送されてきた時には思わず唸ってしまったのですが、ちょっと紹介しておきましょう。

人民元のマーチ (「三百六十五歩のマーチ」の替え歌)

切上げは~言わなきゃ来ない。だから、みんなで言うんだねー。
貿易均衡、インフレ防止、許せないのは「独り勝ち」。
人民元は4割安い、対ドル、対円、対ユーロ~。
ビッグ・マックで比べれば~、1ドル=4元当たり前。
仲間集め、肩を組んで、ワン、ツー、ワン、ツー、中国を叩け~。
それ、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー。

切上げは~答えにならぬ、それでもみんなは期待するー。
欧米しかり、中国しかり、日本もアジアもメキシコも~。
人民元が上がれば買いだ! 為替も株も商品も~♪
むやみな期待が広がればー、嘘も真になるでしょう。
ユーロ買って、金も買って、ワン、ツー、ワン、ツー、リスク資産買いだー。
それ、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー、ワン、ツー。

元高は~進んで止まる、だけど元には戻らないー。
一月(ひとつき)、1%(いっぱー)、三月(みつき)で2%(にぱー)、そこまで進んでまた止まる~。
人民元は自国の問題、切り上げ、切り下げ、ありますよー。
中国政府は言うけれど、バブルとインフレ止まらない~。
思い切って、元を上げて、3%(さんぱー)、6%(ろくぱー)、びびらないで上げろ~♪
それ、1割、2割、3割・・・・・・

どうですか?

私はこの存じ上げない作者の方に(実は知っている人だったりして?)、惜しみない敬意と賞賛を送りたい気持ちになりました。

この三百六十五歩のマーチは、水前寺清子さんの歌でしたが、彼女はチーターという愛称で呼ばれていたと思います。あのチーターとはどういう意味だったのでしょうか?・・・そんな事を考えていたら丁度この替え歌の対象でもある今の中国こそまさにチーターなのかなという気になりました。

自国経済の強靭さや瞬発力はまさに中国を世界の中心的立場にまで押し上げていますが、これはまさに、アジアの虎、世界のライオン、という表現もありますが、チーターは虎やライオンよりも速い短距離走の王者のようですので今の中国はまさに世界のチーターと言えるのではないでしょうか。

一方でチーターと言えば英語圏の人間は、騙す人、嘘つき、たらし、詐欺師を連想するでしょう。
先週の金融市場では週初に注文通り人民元が上昇しますが、その後は人民元は反落してしまい、殆ど”行って来い”的な往来相場となったことでまさに世界中の市場参加者が中国にいっぱい食わされた格好になっています。実際に週初の人民元上昇もその後の人民元反落も多分に中国当局に近いとされるプレーヤーによる誘導的な動きに市場が追随した物でした。
 そこには、人民元相場の柔軟性向上とは文字通りの柔軟性向上でしかなく、世間が期待するような一方向の動き(人民元上昇)を意味する訳では無いと言う中国当局の無言のメッセージが込められていたと解釈出来る動きだったと言えるでしょう。

動物のCheetahのようでもあり、信用出来ないCheaterのようでもある・・・・・今の中国はまさにそんなつかみ所のない存在になっているのではないでしょうか?