2010年6月20日日曜日

A strategic move by China on CNY.

欧州混乱などによるRisk回避の動きやそれらを背景とした株価などのリスク資産の下落リスクも今月の2週目あたりから徐々に一服し、この2週間ほどは完全に調整的な反転過程が進行しています。


台風の中心だったEURも対ドルで1.18台から1.23台へろ500ポイントレベルの反転をしており、各国の株式市場も概ね堅調な推移をしています。


夏枯れ相場を心配するにはまだ早いのですが、株や為替のオプション市場のVolatilityもかなり低下しておりパニック感の後退を印象付けています。

その深刻さは相変わらずですが欧州を中心としたソブリンリスクなどの所与の材料に短期的には目新しさに欠けるというパンチ力不足が目立ってきた中でこの週末には大きな起爆剤になる可能性のあるニュースが飛び込んできました。

中国が遂に動く・・・? 

中国の中央銀行である中国人民銀行は19日土曜日にCNY(人民元)の為替レートに一層の弾力性を付与すると言う声明を発表しました。現行のCNY相場は米ドルにPEG(固定)された状態なのですが今後は事実上世界中から批判されてきたこの仕組みを解除して事実上CNYの上昇を容認していく姿勢を示したものとして大いに注目されています。

丁度26日からカナダでG20首脳会議が開催されるのでこれに向けた政治的な駆け引きが水面下で継続していると言う思惑はあったのですが、いまや欧州没落によりこれまで以上に世界経済の牽引役が期待される中国経済を失速させるような大幅なCNYの切上げは他国も望んでいない訳ですので今後の実施時期や実施方法に大いに注目していきたいと思います。

週明けの相場ですが、このニュースを受けて先ずはシドニー/ウエリントン時間から為替市場にどのような反応が出るかが注目材料になり、アジア勢が出揃ってからは各国の株式市場の反応にもっ風目する必要があります。

為替市場の注目点は過去のCNY切り上げ時の代表的な受益者だった円の動向でしょう。CNY切り上げで円高というのは合理的な説明が付かないとも言われていますが、これまでは切り上げの発表時や実施時には円高になってきました。ただしその後は徐々に円安方向に反落すると言う傾向も強いので円高バイアスが維持されるかどうかはその後の株式市場の動向次第かもしれません。

また中国経済が通貨切上げにより一時的にでも減速すると言う事になるならAUD,CADなどの資源国通貨に一旦売りが入る可能性もあります。(これもその後は切り返す可能性が高いですが)

とにかく週末にVolatilityが一段安となった金融市場ですが、週明けからの展開は大いに注意する必要がありそうです。