2010年6月6日日曜日

Census destroyed Con-census.

先週は週初の月末・月初の特殊需給、週央には資源国の金融政策会合、週末には米国雇用統計という注目材料がある重要週でした。

週初の月末月初に切り替えに関しては31日(月)がロンドン、NYの休日で両主要市場の参加者にとっては事実上先々週末で月末を終えていたという事情もあるので主に本邦勢の動向に注目が集まりましたが、ここは輸入サイドの動きが活発で為替市場で円安方向のバイアスが確認された程度で大きな材料にはなりませんでした。

週央には欧州発の世界経済混乱による影響への懸念もあってRBA(豪州の中銀)が政策金利を据え置く一方でカナダ中銀は利上げを断行し、一時的に世界中の投資資金がカナダを目指す動きに為替市場でもCAD(カナダドル)が大きく上昇しました。またこの頃から一旦は落ち着き始めていた欧州でもハンガリー政府から自国の財政懸念が表明されたりEU(欧州連合)内では再びイタリア、スペインへの懸念が増大したり複数の欧州系金融機関の資金繰り懸念が流布されたりと言う動きから欧州通貨には反落の気配が強まり始めました。

週後半には、二転三転した結果遂に鳩山政権の自爆的崩壊が起こり、管政権が誕生する事になったことで、管氏の過去の円安を望む言動を想起した海外勢による円売りが席捲しましたが、週のメインイベントとも言える金曜日NY時間の米国雇用統計(5月分)が市場予想を大きめに下回る内容であったことから投資家の自衛意識が急速に上昇し、資金引き上げの動きを背景に株式市場や商品市場から安全地帯(=安全資産)とされる米債市場,GOLD,米ドル,日本円に大きな資金移動が観測されて週の取引を終了しています。

2009年春先からのGreenShootsと呼ばれた市場回復や新興国経済の経済成長の持続性への期待感から世界経済はサブプライム問題(2007年)、リーマンショック(2008年)のダメージから完全に回復基調に乗ったと思われていましたが、2010年は欧州危機という予想外の火薬庫を中心に世の中を再び疑心暗鬼状態に引きずり戻してしまいました。

今、悪いと思われて資金流出が起きているエリアは間違いなく悪いと言わざるを得ませんが、良いと思われて資金が移動している先になるものも比較優位でしかなく、絶対的な安全を求めた場合の資金の行き先は今後大きく変化していく可能性も残ります。

先週は、週末の米雇用統計がせめて予想通りくらいの水準で出ていればもう少しOptimisticな週末になっていた事でしょう。NFP(非農業部門雇用者数)の増大は国勢調査要員としての政府系臨時雇用者だけでも400千人増が見込まれていましたので民間部門と併せれば500千人は超えるだろうと言う気体がありましたが、結果は431千人の増加に過去月分の下方修正でした。一部で懸念されていた政府系雇用の増加時は民間雇用は割を食って伸び悩むという指摘が当たってしまった格好です。

センサスがコンセンセンサスを破壊したという結果になってしまいました。株式市場などは再び試練に立たされた格好です。