2012年5月6日日曜日

Eyes on the French Elections.

世界中が大注目のフランスの大統領選挙ですが、一国の選挙を超越した一大イベントと言えるのではないでしょうか。

かの地の選挙システムに精通はしていませんが、私の理解では1回目の投票で50%以上の票を獲得した候補者がいなければ上位2候補での決選投票となる仕組みになっています。

2週間ほど前に行われたこの1回目の投票では、現職のSarkozy大統領が27.18%の獲得率で何と野党社会党の対立候補のHollande氏の28.63%の後塵を拝してしまいました。この週末はこの2名による決選投票が行われる予定なのですが、ちょっとSarkozy大統領は苦しいと言う読みが多いようです。

初回投票で3位につけていたのがナショナルフロント党なる極右政党のLe Pen候補なる人物ですが、彼に票を投じた17.9%の支持者達を拘束せずに自主投票を促すと言う選択をしているようですのでちょっと読みにくくなっています。

フランスの大統領選は大抵は現職が強いようで、今回Sarkozy氏が敗れれば現職大統領が再選されないのは1981年以来の事になるそうです。

ところで、この現職の強みを生かして少し前までは優勢が伝えられていたSarkozy氏ですが、実際の選挙が近づくにつれて支持率が低下し、僅差と言えどもHollande候補の後塵を拝する事になってしまったのですが、気になるのはこのHollande候補の政策です。

・高額所得者(年収が1mioユーロ以上)への75%課税の提案
・全ての金融取引への課税
・大企業の法人税率引き上げ(35%へ)
・Sarkozy大統領が引き上げた(公務員の)定年退職年齢を元に戻す(62⇒60)

等がその一部ですが、既に世界最高のVAT(付加価値税)率25%と言う税負担に加えて大企業や富裕層への多大な税負担や金融取引税(金融には規制のみならず課税も強化する)の公約(?)が有権者の支持を集めてしまう今のフランス状況はちょっと心配だと言う声も聞かれます。

ここでSarkozy大統領が負けてしまうと、ドイツーフランスで支えてきたEuropean Unionと言うものの基盤が劇的に脆弱化してしまう恐れがありますので、同様に選挙のあるオランダやギリシャなどとは比較にならない位のインパクトがあるかもしれないと思います。

先週のユーロ売り然り、株式なども含む広範なリスク回避バイアスの上昇の背景の一つにもこのイベントがある事は疑う余地も無いでしょう。

兎に角注目しましょう。