前項でフランスの大統領選の事を書きましたが、ちょっとイランの状況も気になっています。
イランは核開発問題がクローズアップされており、イスラエルとアラブの緊張関係における中心的な存在でもあるのですが、実はあの地域ではトルコに次ぐ親日国でもあり、原油取引を抜きにしても日本にとって重要な国である事は疑いの余地もありません。
イランでは、かつて日本のドラマ”おしん”が大ヒット(恐らく一番有名な日本人)したり、最近では忍者ブームが起きていたりというところにもイラン国内での親日度が表れていると思います。
ちょっと本題から逸れてしまいましたが、そのイランでは現職のMahmoud Ahmadinejad 大統領の勢力が非常に苦戦しています。
核開発に対する世界中からの経済制裁が国民の生活に影響し始めている事や核開発そのものに対する国内世論もあるようですが、最も大きいのは革新派の大統領が保守色の強い聖職者Ayatollah Ali Khamenei氏との対立にあると思われます。
この週末(5月4日)に改選された65議席のうちでも、大統領派が獲得できたのが13議席、Khamenei氏の勢力が41議席、無所属が11議席と言う大統領派の惨敗と言う結果が出ています。
同様に大統領派が苦戦した3月6日の選挙結果と合わせれば、国会の290議席のうちでKhamenei氏が主導する勢力の98議席に対して大統領が率いる勢力(Stability Front of Islamic Revolution)は43議席に留まると言う状況です。
こうなると国を問わずもう政局です。権力の中枢にあった大統領派の要人達に対する過去の権力濫用の有無などを詮索する動きも活発化しており、今回の結果を受けて最大勢力となったUnited Front of Conservatives Coalitionは国会議長にKhamenei氏の義理の息子を送り込む方向のようです。
今後大きな転換が無い限り、Ahmadinejad大統領の2014年退任に向けた動きが加速する事は不可避であり、核開発を含めたイランの動向はここから流動的になっていく事は不可避でしょう。
日本のメディアはあまり興味が無いのかもしれませんが、実はその後のシリアやエジプトの情勢も相当緊迫している訳で、ここからは地政学リスクの再台頭と言う事も意識の中に置いておくべきだと思っています。