4月後半はドル円が落ちると見せかけて上昇に転じ、逆に5月は上昇すると見せかけて反落。 5月2日の105円70銭、14日の105円45銭でダブルトップフォーメーションを形成した格好ではありますが、今月の動きだけを見てもかなりトリッキーで、105.70(5月2日)⇒102.57(5月12日)⇒105.45(5月14日)⇒104円割れ・・・という流れですのでトレンドが出ている状態とは言い難いものがあります。
ユーロも1.6020でトップアウトしたことは明らかですが、下値を大きく切り下げる事が出来るのかどうかは極めて微妙な状況となってきました。
為替市場は、主要通貨に明確なトレンドが出ている状態ではないというのが正直な感想です。
・米国経済は必ずしも確固たる回復軌道に乗っている訳ではないが、市場が性急に織り込んでしまった"最悪の事態"には少々行き過ぎ感があった。
・欧州経済などにも減速の兆しが出てきた。
・中国の四川地震等の不測の要素による市場のリスク回避バイアス上昇がドルをサポートしている。
等の要因がMIXしていると言ったところでしょうか。
通貨オプション市場の主要通貨ペアの一ヶ月物Volatilityの多くにテクニカル上のベアシグナルが出ており、特に長短の移動平均線の交差を見るクロス分析で、短期移動平均線が長期移動平均線を上から下にクロスするDead Crossシグナルが出ている事は現状のこう着状態の継続を示唆するものとして注目されます。これは昨年の7月に短期が長期を下から上にクロスするGolden Crossというブルシグナルが出て以来始めての事のようです。
主要通貨、特に米ドルに明確な方向感が出ていない時には、欧州通貨同士、或いはオセアニア通貨同士の"域内クロス"に面白いトレンドが出る事があり、時としてちょっとしたメガトレンドになる事もあるのですが、少し前までのEUROGBP,そして最近では南半球同士ですがAUDNZDの上昇トレンドに大きな注目が集まっています。
米ドル下落局面であれば、競って上昇するAUDとNZDですが、現状の米ドルの緩やかな回復局面下で、両者が対照的なパフォーマンスを示しているのです。
先ずは、AUDですが・・・ 先ずはこのカップ&ハンドルパターン(マグカップフォーメーション)を抜けてブルトレンドに乗っています。95セントレベルは結構タフでしたが、今回はしっかり超えてきたようですね。
一方でNZDですが、8%台の主要通貨では最高の政策金利であるわけですが、最近は景気の減速感も強まっており、利下げを織り込む動きも出ており、AUDとは対照的な状況にあります。
ある意味では、"似て非なるもの”とも言える両者なのですが、ある意味では米国と欧州もずっと”似て非なる”関係にあったわけですからやがてドルやユーロに明確なトレンドが出てくるものと思われます。
タイミングは神様が決めるとしか言えないのですが、それまではこのクロスで予行演習でもしておくしかないのでしょう。
個人的な経験からもAUDは非常に良く働いてくれる通貨ですが、一方でハネムーンで訪れたニュージーランドへの思い入れも強く、NZDにも意地を見せてもらいたいと言う気もあります。
それにしても為替市場は完全に煮詰まってしまいましたね・・・・