原油価格が1バレル当り$129台にまで上昇し$130に迫っています。一時は1オンス当り$850を割り込むかと思われた金価格も$920に迫ってきました。
コモディティのブル相場が完全復活の様相を呈し、AUD,NZD,CAD と言ったコモディティ関連通貨の立ち上がりにも目を見張ります。前回書いたAUDは、対ドルで96セントを突破するなど実に24年振り高値圏での取引が続いており、コモディティ通貨群を引っ張っています。
米ドルと米株が守勢に回っており、依然レンジ取引の域を出ませんが、これらの下落が加速していくようだとマクロの図式にトレンド色が強まる事になり注意が必要です。
特に米ドルの上昇と原油の上昇の両立が崩れるまでは所詮はレンジ取引と見ていたわけですが、米ドルの失速⇒反落と言う展開が開けるかどうかですね。
実はこの週末に読んだ本に興味深い記述がありました。景気の停滞と物価の上昇は景気サイクルの中で交互に訪れる物であるという大原則から、両者が同時に起こる事はありえないという固定観念を払拭出来ずかつては世界的な経済学者でもStagflation というものを否定し続けていた時期があったと言うのです。
上記の通り、米ドルとコモディティ相場が並列で強気相場を作る事はないと言う私の考えも柔軟に見直していく事が必要なのかもしれないと考えさせられました。
コモディティ市場(商品先物市場)が、為替市場に続いて独立したアセットクラスに昇格したと考えられる事、過去の景気後退時の約8割が実はドル高になっている事等を考えても、Stagflationとなる可能性が否定できない現状で、Stagnation(景気停滞)のヘッジで米ドルが買われ、Inflation (物価上昇)のヘッジで原油や金が買われるという図式もあってもおかしくないのかなと今は思う次第です。
一歩引いて、視野を広げて、大きな絵を考え直す事も重要ですね。
Let's step back once in a while and enlarge our visions.