Surging oil is re-fueling risk aversion.
ここ10日間ほどの間で、米国を中心とした官民双方の主要な金融市場関係者から昨年後半以来続いてきた信用不安、金融市場の混乱は最悪期を脱したという見解が立て続けに示された事等を背景に米株市場が牽引する形で世界中の株式市場が上昇してきました。
しかし、先週は実に週を通して毎日原油価格が史上最高値を更新するという事態に投資家のリスク回避志向が急速に高まった事で後半から株式市場が反落しています。
原油価格の上昇に関しては、もはや"無人の野を行く"という状況となっており、主要国も止める手立てが見つからないと言う困った状態になっているのですが、私なども真剣にこのままでは間もなくOPEC会合がG7やSummitなどよりも重要な国際イベントになるのではないかと思っているくらいです。
市場間のスプレッドや相関関係の多くが大きく歪んでしまっているというのが大きな特徴となっている今年の金融市場ですが、パターンとしての
リスク回避志向上昇 ⇒ 株価下落 ⇒ 円上昇 という図式は健在であり、ドル円も5月2日(金)の105円70銭を高値に反落し、5月9日の終値は102円台後半となってます。
ドル円は、これまで6週連続で週の高値が前週高値を上回る"Higher top"となっており、更に3週連続で週の安値が前週安値より高い"Higher Bottom"という状態も保ってきたのですが、この強気の形状があっさり崩壊してしまいましたので、5月12日(月)からの週でももたつく様だともう2円~3円程度の円高となる可能性が高まりそうです。
それにしても、全ては原油価格上昇につきるという気がしますが、なんと5月1日(木)に1バレルあたり$110台にまで大きく調整していたところから1週間で$15上昇したという脅威の軌跡を描いています。
2008年度の世界経済、そして金融市場の安定と復活の大きな鍵を握るのが原油価格の動向だと断言してもよいのですが、現時点では国際的な枠組みや取り組みと言うものも極めて限定的であると言わざるを得ないようです。
世の中あまり良い方向には向かっていないかもしれません。リスク回避傾向は暫く上昇するのではないでしょうか。