2010年3月22日月曜日

It was a split week.

金融市場にとって先週はかなり複雑な経緯をたどったと言えるのではないでしょうか。

総体的に金融市場は3月に入ってからも短期的な潮流を頻繁に転換しながら御し辛い展開を見せていますが先週の動きにも色々な勢力による2010年度への思惑が見え隠れしていたように感じます。そのうちのいくつかについて考察してみましょう。

1 週前半の動き

先ずは簡単に振り返りますが、先週は序盤からFOMCBOJの政策決定会合という注目材料がありました。FOMCに関しては特にextended period異例な低金利を継続するとしてきた流れがありますが、出口政策を早める意味でこのextended periodという文言を消してくるかどうかと言う点に注目が集まりました。デフレ克服へ向けて追加緩和策が期待されたBOJに関しては既に日本経済新聞が昨年12月に導入した新型資金供給オペ(期間三ヶ月、金利0.1%)の規模を10兆円から20兆円に増額するというすっぱ抜き記事を書いていた事で市場は期間の長期化や規模の更なる拡大と言う強いメッセージを期待していました。

 結果はFOMCextended periodの文言を維持し、BOJは全くサプライズなく期間も金利もそのままで増額規模も20兆円までという日経の記事を裏書しただけの内容に留まりました。

 市場の反応はサプライズが無かった事、日米の金融緩和が継続する事、ギリシャ問題も小康状態で欧州市場も落ち着いていたこと、などから一旦株価上昇、商品上昇、ドル売り、欧州通貨反発という流れとなり、ここで株のVIX指数や各オプション市場で建値されるVolatilityは年初来安値水準にまで低下しました。

2 週後半の動き

やはりギリシャ救済ネタの再燃が引き金を引いたと言う事になるのでしょうか。週後半には先行していた楽観的な市場センチは大きく後退してしまいました。

 今の欧州は明らかに擦れ違っている感じがします。全体的には欧州の問題は欧州連合内デサポートしあうべきという美意識があり、この方向の動きが見えると市場はそれを好感するのですが救済の各論(具体論)になると救済する側から強い違和感が噴出するという展開が目立っており、こうなると市場はこれを嫌気するという展開になります。先週は欧州連合内で救済する流れが出ていましたが具体化のプロセスは難航し、業を煮やしたギリシャがIMFにもアプローチを開始。これを受けてドイツ首脳からもやはりIMFを入れた方が欧州連合内にモラルハザードが発生しないので好ましいと言う発言も出てかなりの暗雲が立ち込めました。ここに突然インドの金融引締めも発表されて投資環境は急速に悪化した格好です。

 市場の反応は、株式市場反落、商品市場反落、欧州通貨反落、VIX指数底打ち、オプション市場のVolatilityも底打ちという流れになりました。

欧州通貨ということでEURUSDDailyチャートで見ればこういう感じになります。

先々週の金曜日からの直近の6本を見れば、金、月、火で乱高下。水、木、金で3日続落という動きで終了しています。

EURUSD Daily Chart.

3月は本邦勢は期末、年度末であり、海外勢は第一四半期の締めという節目でもあるので季節要因から特殊なフローがまとまったサイズで出易いので月末までの期間でも先週のようなセンチメントのFLIPが繰り返される可能性がありますが、メインシナリオは週後半の混乱路線が継続すると言う方向で見ておくのが無難なのではないでしょうか。