先週の金融市場は多くの注目材料を消化しながら小動きに推移しましたが週末には部分的ではありますが月初のお約束となった(?)どんでん返しも見られました。
ギリシャの財政問題に揺れる欧州に注目が集まる中で先週は特に木曜日のECBとBOEの政策決定会合、そして金曜日の米2月雇用統計に注目が集まっていました。
終わってみれば木曜日は市場の予想通りの結果に市場の反応も限定的でしたが金曜日にはちょっとした混乱がありました。
BOE(英中銀)は政策金利を0.5%に据え置き量的緩和スタンスを継続し、続くECB(欧州中銀)も1%に据え置きました。いつも通りBOEは結果発表のみで議論の詳細は3月17日の議事録発表待ちとなりますが、注目されたECB総裁の声明などでも特段のサプライズはなく、あとは金曜日の米雇用統計次第と思われたのですが東京時間の26時過ぎ(金曜日午前2時)過ぎから日本円が売られる動きがありました。
市場の注目が前述どおり木曜日の欧州(BOE,ECB),金曜日の米国(雇用統計)と完全に欧米に向いていたところで突然日経がBOJ(日銀)が追加の金融緩和措置を検討というニュースを出したことがキッカケでした。
東京の市場参加者にすれば迷惑千万な夜間の出来事なのですが、当然ながら本邦当局がこんな時間に声明を出す訳もなく、この情報を掴んでいた日経新聞が金曜日の午前2時まで報道を差し控えた為にこういう動きになったと考えて間違いなさそうです。ややインサイダー情報になりますが、午前2時と言うのが朝刊の校正作業のデッドラインなのでこれ以降の情報には競合他社は追随出来ないのだそうです。かくしてこのニュースは日経新聞の朝刊にしか出ないと言うことになる訳です。
もともと市場では金曜日の雇用統計という”乱気流”に向けて断続的にポジションを縮小していく動きが出ていましたが、このニュースを受けてドル円やクロス円のショートポジション保有者達が出口に殺到しましたので一気に円安が進行しました。
金曜日には真打ち登場という感じで米国の2月雇用データが発表となりました。国勢調査(センサス)担当者の臨時雇用が数字を持ち上げるとか昨今の大雪の影響で建築、土木等の工事が凍結状態となった分雇用の数字が劇的に悪化しそうだ等という様々な憶測が駆け巡る中で発表された数字は予想を上回る内容と評価されました。大幅減少懸念もあった非農業部門就業者数は36千人の減少に止まり、9.8%に戻ると予想されていた失業率も9.7%に踏み止まりました。
金曜日の米雇用統計後の金融市場の動きはこんな感じになります。
1 株式市場、商品市場が上昇。
2 債券市場は大幅下落⇒金利が上昇。
3 米ドルは指標直後に急騰してその後に上昇した以上の反落。
4 欧州通貨は指標直後に売り込まれ、その後大きく反発。
5 コモディティ通貨、新興国通貨は総じて堅調。
6 日本円が最弱通貨となりドル円、クロス円が断続的な急騰。
円の下落には①市場参加者のリスクテイク意欲の上昇、②日銀の追加緩和期待による円の市場金利の低下、という側面がありそうです。
本邦年度末という要因もあり、3月には急騰しやすいアノマリーのある日本円の旧反落は3月の台風の目となるのでしょうか。上記①の要因から市場が全面的なRISK-ON状態となるほど世の中が順調とは思えませんが、②の円金利が実際に低下していると言う要素は無視出来ないような気もします。
先週は、木曜日に出たBOJの緩和観測で市場センチがひっくり返りました。金曜日にはその”BOJ”をひっくり返した”JOB”データに主役が交代しましたが円安センチはそのままでした。欧州通貨と米ドルの綱引の中で円の立ち居地が随分変わってきたというところでしょうか。以下はドル円の日次チャートです。最後に2本の陽線が立っているのが判ると思います。木曜日と金曜日の分です。
USDJPY DAILY
今週の円にも引き続き注目ですね。