2010年11月14日日曜日

So...what do we see now?

先週も金融市場全般で結構な変動がありました。

1 米国 : 皮肉な事にFOMC後でQE2の詳細が示された後に米国長期金利は上昇に転じており、米株には反落の兆候が増えて来ました。通貨では米ドルに底打ち⇒反発の兆候が増えてきました。

2 欧州 : ポルトガルやアイルランド等の所謂”周辺国”の債務不履行懸念が再上昇しています。その他の要因とも相まって欧州市場も荒れていますが、こちらでも金利上昇、株式反落の圧力が強まっています。通貨ではユーロに下落圧力が強まっており11月4日(木)につけた1.4283が戻り高値となってユーロが反落過程に入った可能性が高そうです。

3 日本 : この週末の海外メディアの報道を見ていて意外に感じている事の一つが週末にかけて行われていたG20サミットから手ぶらで(収穫無く)帰ることになる唯一の可哀想な主要国が日本だと言う内容が複数見られる事でしょうか。だから円安なのか、円高圧力再燃が不可避なのかは定見が無い印象ですが日本の株価に強気材料が少ない状況は変わっていません。先週後半はドルの反発を受けてドル円も素直に上昇(円安)していますが円債には売り圧力が強まっており円の長期金利上昇はいつ円高再燃の引き金を引いても不思議ではないという微妙な状況が続いています。

4 新興国 : 経済成長目覚しいアジアを中心とした新興国ですが、従来のG7諸国から見れば新興国勢力が従来のG7型ルールには従わずに新たな自分達で秩序を醸成していこうと言うベクトルを垣間見せる事が懸念材料になってきました。中国にはその中心になろうと言う思惑がありますが、実は他の新興国と中国の間にも微妙な歴史や距離感があるのも事実であり、どうやら世界は多極化に向けた複雑怪奇な過程の初期段階にあるのかなと思わせる状況です。
 市場としては新興国市場にも調整圧力が強まる中で流入過多状態だった海外資本の流出による株式市場や通貨の下落圧力が注目されます。これが加速するなら今週以降の市場動乱の中心になるでしょう。

5 中国 : 特に中国ですが、良い意味でも悪い意味でも”未成熟な大国”と言う状態なので発表される経済指標の信憑性を疑問視される事が少なくない中で、最近では経済実態は指標以上に加熱していた可能性があると言う従来とは逆のリスクを指摘するレポートも出始めています。事実中国はここへ来て人民元の決済レートの切り上げ速度を如実に加速させており、金融機関に課す準備預金のリザーブ義務を強化するなどインフレの暴走を食い止めるのに躍起になっている節があります。上海市場の大幅調整と言う事態になれば世界中の投資資本が結構痛む事は不可避でしょう。

6 商品市場 : 世界景気に強気な見方からも、インフレリスクに悲観的な勢力からもとにかく資本流入が継続してきた商品市場ですが、どうやら調整色が強まってきました。Gold以上のパフォーマンスを誇示してきたSilverに始まり、Cottonなどのソフトコモディティにも拡大の動きを見せる必要証拠金の引き上げなどの措置を受けて資本の流出が始まった格好です。

全般的にRISK-OFFバイアスが強まっている事になりますが、週初の11月15日(月)は今年の年末時点で投資元本を解約したい投資家がその旨を申し出る期限(45日前通知義務)ですので、最近の動きは迷っている投資家の背中を押す方向に動いている事にも留意する必要があるでしょう。当然ながら解約される分はファンドの資産売り、ドルの買い戻しとなる訳ですが年末までの45日間で行えばよいにも拘らず、今年は解約申し出が多いなどと言う噂が流れると市場が先んじて資産売りに動くと言う事も起こり得ます。

QE2直後にかなり売り込まれたオプション市場のVolatilityもここへ来て買戻しが目立っており、多くの市場参加者はちょっとフェイントを食らった格好となっているようですね。