2010年11月22日月曜日

Taking the core concept of QE2 to heart.

今回の米国のQE2の凄いところは単なる流動性の大量供給と言うコンセプトを凌駕した大規模なリスク資産価格の押し上げを意図したところにあります。

QE2=LSAP(Large Scale Asset Purchase)というコンセプトなのですが、基本的に新規に発行される米国債をFRBが買い占めてしまう事で従来この市場に流入してきた投資家の資金を締め出してしまうのです。締め出された資金は利回りを求めて広範なリスク資産への投資に回る訳ですが、言葉を変えれば当局お墨付きのグローバル資産市場の壮大なReflation政策と言う事が言えるでしょう。

これまでにも書いてきたように実際の市場はかなり複雑な動きをしているのですが、それでもよく見るとかなりの市場が当局の意を汲んだ動きをしてきているのも事実です。

11月第一週のQE2の発表を受けて様々なリスク資産が2010年の最高値を更新しているのですがざっと拾うだけでも以下のような状況です。

11月5日に高値を更新したもの
Dow、S&P500、インド株、アルゼンチン株

11月8日に高値を更新したもの
香港株

11月9日に高値を更新したもの
Gold、CRB Index、Silver、Nasdaq、FTSE100、Platinum、Singapore株、Corn、

11月10日に高値を更新したもの
Coffee

11月11日に高値を更新したもの
Oil、Copper、Sugar

11月12日に高値を更新したもの
Soybean

色々と内外からの批判が噴出してFRBも反論に躍起になっている感じのするQE2ですが、これだけ見ると、リスク資産のReflationという役割は果たしているじゃないかと言う気にもなりますね。

ここに来てやっと日経平均の1万円台回復が注目されたりしていますが、これは円高の一服と円債(JGB)市場からの資金シフトが主要因であり必ずしも企業業績や経済全体のファンダメンタルズによるものではないでしょう。でもどうせなら一発年初来高値でも目指して欲しいものです。

金融市場はQE2の意図を一応重く受け止めてはいるようだと言うお話でした。