2011年3月27日日曜日

This may tip demand/supply balance of currencies.

今回の大地震と津波の被害は甚大ですが、本邦輸出企業においては多少の明暗はあっても総じて甚大な影響を受けていると言い切ってよさそうです。

先ずは生産拠点の海外にシフトを進めてきた企業と国内中心だった企業の間には一定の明暗が分かれています。また国内中心の企業においては西日本中心か東日本中心かで更に明暗が分かれています。
 ただし、自社の生産拠点の多くは西日本だと言う所でも結局は部品の調達などで影響を受けてしまうと言うところが殆どであり一時的にではありますが生産力そのものが大きく落ち込む結果となるでしょう。

一方で輸入企業ですが、被災地の復興需要等もあり様々な資材、食料、エネルギーの輸入は大幅に増加する事が確実です。

これらの事象が齎す結果は明らかで、輸出の大幅な減少と輸入の大幅な増加ということになります。

その結果として、4月から6月位にかけては日本は一時的に貿易赤字になってくるのではないかと見ており、為替市場の需給バランスも大きく変わってくる事になるでしょう。先々週につけた76円台がドル円の大底になるとしたら今後は需給バランスの変化と本邦貿易収支の一時的な赤字転落トリガーに相場は円安方向にトレンドを転換させていく事になるのではないでしょうか。

中長期的な相場観と言う事になりますが、夏場にかけては円安トレンドが発生する展開を想定しておく必要があるかもしれません。

Focusing on USDJPY this week.

今週は木曜日が3月31日の本邦会計年度末であり非常に重要な日になります。ついでに言えば海外勢にとっても2011年の第一四半期の締めの日となりますのでグローバルに重要な日と言っても良いでしょう。

この3月31日(木)のドル円ですが、以下の意味でとても重要です。

1 各企業がこの日の為替レートで決算を行う事。
2 歴史上最も円高の水準での決算がほぼ確実である事。
3 しかも新会計制度で広範囲での徹底した時価評価が義務付けられている事。

2についてですが、3月18日(金)に断行された協調介入を継続して90円台にまで円安ドル高にしたとしても史上最高値(円高)での決算となるのです。

3についてはIFRS等大企業を中心に適用される会計制度の厳格化により従来は簿価評価をしていたようなものも徹底した時価評価が求められるようになるので従来簿価評価をしてきたような資産を80円台の円高で再評価するとかなりの損失が実現してしまうと言うケースも多い事が懸念されます。その意味でも期末の為替レートの重要性は当局も承知しているので今週の介入再開の可能性には一定の注意が必要だと思われます。

実は2011年については年初から先々週まで81円ー84円と言ったゾーンでの長期レンジ相場が続いた訳ですが、年初の水準としては過去最も円高の水準で始まった年と言う事になります。

先週はかなり落ち着いた取引となっていた印象ですが、期末週に波乱があるのかどうかに注目していきましょう。

Top FX Movers Last Week.

先週も材料的には豊富な週でしたが、結果的にはVolatilityの低下と投資家のリスクテイク意欲の回復が目立つ展開となりました。

週次の主要通貨ペアの変動に面白い結果が出ています。上位10ペアを見てみましょう。

      通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)


①NZDCHF↑ 0.6927   0.6582    +345     +4.98%


②AUDCHF↑ 0.9434   0.8971    +463     +4.91%


③GBPNZD↓ 2.1274   2.2195     -921      -4.33%


④GBPAUD↓ 1.5630   1.6290     -660     -4.22%


⑤NZDJPY↑   61.25     58.86      +239    +3.90%


⑥AUDJPY↑   83.43     80.22      +321    +3.85%


⑦EURNZD↓ 1.8683   1.9393     -710     -3.80%


⑧EURAUD↓ 1.3725   1.4233     -508     -3.70%


⑨NZDUSD↑ 0.7531   0.7306     +225    +2.99%


⑩AUDUSD↑ 1.0257   0.9959     +298    +2.91%

これ位ある意味で偏った結果となる事はあまりないと思うのですが、上位10ペアの構成はこういう結果になっています。①全てが南半球通貨の上昇、②NZDとAUDがその他主要通貨に対してタンデムに上昇、③下落通貨はCHF,GBP,JPY,EUR,USDの順に弱い。

結果は単純なのですが解釈は二つあると思います。

・リスクテイク意欲の回復
 これがメインシナリオと考えてよいでしょう。先々週は日本株を中心に広範な資産価格の大幅下落が見られましたので状況が改善しないまでも膠着してきた先週はバーゲンハンティング的な資産買戻しが中心となりました。先週の終値時点で各資産価格の日本の地震・津波・原発パニック直後の底値からの回復具合をチェックするとS&P500は+5.1%、CRBインデックス(商品市場)は+6.7%となっており他の資産価格も同様に反発しています。Gold価格は1オンス当たり$1,448.60の史上最高値を更新し原油価格も1バレル当たり$106.95の直近高値に肉薄する展開でした。

・実は地政学リスク要因も
 安全資産とか市場混乱時の避難先的な性格を持つCHFやJPYは後退しており、USDも弱いのですからRisk-onという事で良いのでしょうが、何故南半球のAUD、NZDなのかという事になるともう一つの側面を考えたくなります。
 中東・北アフリカの情勢は遂にNATO連合軍の軍事介入という事態になり、日本の原発問題も予断を許しません。欧州でも遂にポルトガルが格下げされたり英国も利上げ観測がやや後退しました。こうなるとこれらどの地域からも結構距離のある豪州・NZの安定感は魅力ですし、高金利通貨であるという点も再評価されて良いのではないでしょうか。

全体的にはRisk-onですが、現在進行形のリスクには神経質になっており週越えの資金の置き場所として地政学リスク上メリットのある南半球が選択されたと言う要素もあるのではないかと考えています。

今週はこの二つのファクターを意識して見て行く事にしましょう。

2011年3月21日月曜日

Other sides of the cordination.

今回の介入の背景について非常に蓋然性の高い話を二つほど紹介しておきます。

1 日本の当事者能力への疑問と不安

今回の東日本大地震の発生や巨大津波の被害に関しては、地震先進国である日本ですら予知出来なかったという事実に世界中が驚愕していますが、だからこそ日本をサポートしようと言う有難い機運が世界中に共有されていたと思います。
 ある意味で、それとは一線を画する評価になっているのが毀損した原子力発電所への対処を巡る日本政府の当事者能力・対応能力です。海外メディアの報道姿勢にも如実に現れていますが、情報は東電からしか出てこない状況であり、日本政府もそこからしか情報を得ていない事。換言すれば当事者である東電が情報を操作出来る環境にあることが海外勢の恐怖を増大させているのです。

これは日本に到着した各国のレスキュー部隊の中で日本政府の情報開示が不十分であると言う理由で(そもそも特に初期段階では把握しているかどうかも疑問視されていたでしょう)現地に行かずに帰国しているところも出ている事でも明らかですし、日本政府が原発から半径20km以内の住民を退去避難対象とし、20km以上30kmの圏内の住民には屋内避難を誘導している中で各国が日本に滞在中の自国民に半径80km以上離れていることや、関西方面への一時避難、場合によっては国外退去を勧告している事でも明らかです。

今回のG7の緊急電話会議に”ええかっこしい”のフランス・サルコジ大統領の呼びかけに各国が応じ、形の上では日本に要請させながらも実質的には周囲が日本を抱込む形で行われた協調為替介入も”放っておいたら日本政府は何も出来ない”という危機感があった可能性が指摘されています。

2 本当に助けたいのは実は日本ではなくて自国企業

国際業務を行う企業には外貨の資金繰りという作業が付きまといます。何か問題が起こると日本企業は外貨の調達に苦しみますが、それと同じ事が外国企業の円の資金繰りで起きています。
 私の周りでも公私共に多くの外国企業や外国の人々が東京から、場合によっては日本から避難しています。拙宅は道路を挟んで向かい側の3軒が欧州企業の駐在員ですが、今はもぬけの殻です。誰もいません。実は業務面でも、自分達は東京から避難するので、東京に残るのならその間の円の資金繰りを代行してくれないかと言う依頼が来たりしもています。

日本や東京から避難する人々を腰抜けと言うのは間違っています。事実危険なのだし、情報開示も不十分でしょう。ポイントは実は中東・北アフリカ情勢も緊迫しており、日本も今のような状況にある中で日系企業は外貨調達に走り、外国企業は円の調達に苦労しているのです。その調達しなければならない円の値段がどんどん高くなってしまっていると言うのが今の状況であり、実は円高で困るのは日本の輸出企業だけでは無いと言うことです。

日本でも事業展開をしている自国の企業にとって調達コストが上昇し、物理的にも(日本や東京を離れて)一層調達活動が困難になる円の価値を下げておきたいというインセンティブが外国政府にあっても何ら不思議ではありません。
 勿論日本を助けると言うのが一義的な事由であった事は疑いませんが、同時に自国企業をサポートする意味もあったという解釈には一面の真理があると思います。

世の中複雑ですね。

More on G7 Intervention.

金曜日の朝は、木曜日に円が急騰していた事やG7各国が緊急の電話会議を行うと言う事でかなりの緊張感がありましたが、多くの市場関係者にとっては協調介入を確信する状況ではなかったと思います。

兎に角日本の立ち位置が非常に難しいものでした。万が一にも原発事故を回避出来なかった場合には怒涛の日本売りとなり、株、債券、通貨のトリプル安となる事は明らかですので原発事故のリスクを回避するメドが立ったところで介入を行うと言うのがベストシナリオだったと思います。従って、これは本邦当局も認めていますが、このG7緊急電話会議は日本が招請したものではありませんでした。フランスのサルコジ大統領が音頭を取った格好なのですが、日本として拒否する選択肢もありませんでしたので後はその場の流れで決まったと言っても過言ではないような過程だったのではないかと思っています。

ところで実際の介入ですが、野田財相から「G7各国が円高阻止の協調介入で合意して午前9時から実施する」という発表が8時台になされるという極めて珍しい事実上の予告介入となりました。

金曜日だけの主要通貨ペアの動きを見てみましょう。

      通貨ペア  終値   前日終値 変動(pips) 変動(%)
①NZDJPY↑58.86 56.60      +226      +3.84%


②AUDJPY↑80.22 77.30      +292      +3.64%

③EURJPY↑114.24 110.59   +365      +3.20%

④GBPJPY↑130.75 127.25   +350      +2.68%

⑤CADJPY↑81.83  80.05     +178      +2.18%

⑥USDJPY↑80.56  78.88     +168      +2.09%

⑦NZDCHF↑0.6582 0.6447 +135     +2.05%

⑧AUDCHF↑0.8971 0.8807 +164     +1.83%

⑨CHFJPY↑89.39   87.78    +161     +1.80%

⑩NZDUSD↑0.7306 0.7176 +130     +1.78%

当然ですが、1位~6位までを含む合計7通貨ペアが円安方向の動きでランクインしています。上昇したサイドの通貨は多様な状況で NZD3回,AUD2回,EUR,GBP,CAD,USD,CHFが一度ずつでした。

USDJPYの上昇がやっと6位という状況なのでも判るとおり、今回のG7各国による過度の円高是正の円売り介入はUSDJPYの買い上げ介入だけではありませんでした。
 日本時間に東京市場で行われた介入は当然USDJPYの買いだったのですが、市場の関心は他国の中銀の介入がUSDJPYの買いなのか、各国通貨に対する円売りで来るのかという点にシフトしていきましたが、どうやらECBはEURJPYの買い、BOEはGBPJPYの買いという具合に介入が執行された模様です。これも極めて稀有な事と言えるでしょう。
 欧州時間に介入に参加したことを認めているのは、ECB,BOE,ドイツ中銀(ブンデスバンク)、イタリア中銀、フランス中銀です。北米市場では米、加の参加があったようです。

兎に角珍しい事ずくめの協調介入でした。昨年の9月15日の介入が本邦のMOF/BOJによる単独かつ単発(単日)で終わってしまった事との比較において今回はどの程度の規模で持続出来るのかに注目が集まります。

Top FX Movers Last Week.

東日本を大地震と大津波が襲ったのが3月11日(金)でした。今でも奇跡的な生存者が発見・救出されている事に勇気付けられる思いですが、犠牲となられた方々のご冥福をお祈りするとともにご遺族の方々や避難所で不便な生活を送られている方々に心からお見舞い申し上げます。

先週は、地震や津波の被害規模以上に原子力発電所のダメージや放射性物質の拡散度合い、そして日本の問題対処能力への疑問・評価を材料に相場が乱高下する展開でした。
 金曜日には、G7当局による協調為替介入で急騰した円を売る動きもあり、今週以降の相場展開も極めて先の読みにくい状況となっています。実はリビア情勢も欧米中心の連合軍が軍事介入する展開となっていますので原発関係が落ち着くと、これもより大きな材料になってきそうです。

先ずは先週の週を通した動きを主要通貨ペアの動きで確認してみましょう。

  通貨ペア      先週終値 前週終値 変動(pips) 変動(%)
①AUDCHF↓ 0.8971    0.9421    -450       -5.02%



②NZDCHF ↓0.6582    0.6900    -318       -4.83%


③CADCHF ↓0.9150    0.9547    -397       -4.34%


④EURAUD↑1.4233     1.3709   +524      +3.68%


⑤EURNZD↑1.9393     1.8711   +682      +3.52%


⑥AUDJPY↓ 80.22       82.93     -271       -3.38%


⑦USDCHF↓0.9008    0.9295    -287       -3.19%


⑧NZDJPY↓ 58.86      60.72      -186      -3.16%


⑨EURCAD↑1.3955   1.3524    +431    +3.09%


⑩CADJPY↓ 81.83     84.07      -224      -2.74%

この組合せの上昇サイドでの登場回数はCHF4回,EUR3回,JPY3回となっています。逆に下落サイドに登場した回数は AUD3回,NZD3回,CAD3回,USDが1回でした。

ポイントは2点あると思います。

・日本の原発とリビア情勢の緊迫を材料にCHFが上伸している。
・日本の復興需要による資金の本国還流(及びそれを期待した動き)により円が上昇している。

更に円に関しては、本邦個人投資家を中心とした証拠金勢のポジションが大きく円売り・外貨買いに傾いていた事や日経平均の大幅下落によるリスク回避圧力の急上昇等の要因も指摘出来ると思います。

円の高値更新は3月17日(木)でしたが、ドル円が76円25銭、ユーロ円が106円50銭まで一気に急落しています。これが翌日となる3月18日(金)のG7協調円売り介入の引き金を引いたと言う事になりますが、昨年9月15日の日銀単独介入の時よりはかなりの効果があると思われます。

大局的には、遂に世界中のSocial Trendが旧秩序の破壊の過程に入っていると思いますので金融市場も大きなうねりの中にいることは間違いないでしょう。

家族や資産をしっかり守る時が来ました。

2011年3月14日月曜日

Things to consider.........

地震が起きた時に私は顧客訪問をしており、先方の応接室で商談中でした。

「あれ?」という感じで揺れを感じ始めましたが、その揺れ幅が大きいと感じた事と、それ以上に長時間それが止まらないという事で危機意識が急上昇しました。

先方の方々もよく訓練されている感じで、取り乱すことなくレセプションの人達が各応接室のドアを開けて回ったり、別の人がテーブル上のお茶を床に置くなどの動きをしていましたが、流石によろめくような揺れが恐らく5分以上継続していたと思うので皆顔は引き攣っていました。

応接室には大きなTV画面(会議用?)がありましたが、その薄型スクリーンが団扇のようにパタパタ前後に揺れ始めたので慌てて私はそれを抑えに行きました。

訪問していた会社のビルは近代的で、免震構造なので揺れを吸収しながら余計に動く事もあると言う説明があり、少し安心したのですがもう商談どころではなく、そこに居続けても先方に迷惑が掛かると思い数十階分を久し振りに非常階段で下りました。

少し危険かと思いながらビルの外に出ると周辺の各ビルから非難用具を持ってヘルメットなどを被って出て来た人々が行く当ても無くうろうろしている光景があちこちで起きていました。
 何とか自分の会社に戻り、当然ながらエレベータが止めてあったので非常階段で今度は上がって行ったのですが剥げ落ちた壁の塗料などが階段上に散乱している状態でした。

自分の部署に戻ると既に非難した人達以外は徒歩覚悟で帰宅準備をしているところでした。余震のリスクも大きかったのですがどこにいれば安全なのかもよくわからない状況でしたので基本的には各人の選択で殆どの人は三々五々意を決して退社していきましたが、私は安否確認などもあってオフィスに残り、結局は金曜日は徹夜となりました。

土曜日の朝までには私鉄の殆どが運営を再開して夜通しの運行をしてくれていたので私も最終的には朝の5時台の電車で帰宅しましたが、普段の通勤ラッシュ程度の混み具合だったと思います。

週末の48時間中にも大きな余震がある可能性が高いとされていましたが、結果的には落ち着いていました。(少なくとも今までは)

それにしても今更ながら色々と考えさせられる事がありました。

2001年の9月11日のワールドトレードセンター、2003年の8月14日の広域停電の際にも同じように非常階段を下った経験がありましたが、その時の経験との比較において非常階段が極めて狭い事に気が付きました。下から上がってくる人もいたのですがすれ違うのがやっとと言う状態でしたので多人数の移動には問題があるような気がします。またパニックが発生したら間違いなくドミノ倒し的な二次災害も不可避なのではないかと感じます。

また安否確認についでですが、そもそも連絡網と言うものが通常の交信手段が機能する事が大前提である事に改めて気が付かされる感じで本当に苦労しました。電話が通じない・・・・、固定電話の方が少しマシでしたが携帯電話は壊滅的に機能しなかったと言えます。通信施設がダメージを受けると言うよりは通信各社が利用制限をかける為なのですが、これは何とかならないでしょうか。ある意味では一番必要な時に機能を取り上げられてしまうようなものです。平時の世間話の為の携帯電話ではないと思うのですが・・・

少なくとも今回は最も安定していたと思われるのがインターネットでしたが、多くの会社が社内でのWEBメールの使用やBlog,Twitterの類を閲覧禁止にしている事で殆どがこれを生かせないという状況でした。非常時には柔軟に使用を解禁できるようなシステムを検討するべきではないでしょうか。また会社のメールアドレスからの外部送信に制限を加えているところもあるようなのでこれでは完全にアウトですね。

最後に交通ですが、安全第一は当然として如何にMobilityを維持できるか、如何に迅速にチェックを終えて(超低速運行でも)運行を再開できるかは非常に重要な事だと思います。
 その意味で私鉄各社にはその姿勢が見られていました。物凄く短い区間から運行を再開し徐々に正常に戻していくという流れには安心感を感じた人も多かったのではないでしょうか。徹夜状態だった多くの人達が勇気を持って復活して終夜営業を行ってくれた路線で家族のもとに帰宅する事が出来たはずです。

一方で当事者には反論もあるのでしょうが、JRのスタンスには疑問と失望の声ばかりです。早々と運休し、私鉄各社が必死の努力で復活して終夜営業をする中でJRだけは翌朝まで電車を出す意志は無く、殆どが朝の7時からの再開でした。山手線の8時再開などは主要路線で一番最後だったのではないでしょうか。事故防止を第一にリスクを取らないという選択をしたのだと思いますが、そうであってもスタッフの深夜業務投入を制限したか、或いは技術レベルそのものが低いと言われても仕方が無いのではないでしょうか。それ以外に他社との違いを説明出来る材料は探すのが難しいでしょう。

以上つらつらと今回考えさせられた事を書き殴ってみました。

2011年3月13日日曜日

How Currencies Finished The Week.

大地震のあった金曜日は週末に向けて各通貨はどのような振る舞いをしたのでしょうか。
以下が金曜日単独での主要通貨ペアの値動きです。

      通貨ペア     先週終値  前週終値 値幅(pips) 値幅(%)

①AUDUSD↑1.0137   1.0006    +131       +1.29%


②GBPJPY↓  131.57   133.26    -169        -1.28%


③GBPAUD↓1.5856   1.6045    -189        -1.19%


④CHFJPY↓  87.99    89.01       -102        -1.16%


⑤CADJPY↓ 84.07    85.00       -93          -1.11%


⑥AUDCHF↑0.9421  0.9324    +97         +1.03%


⑦AUDCAD↑0.9863  0.9766   +97         +0.98%


⑧NZDUSD↑0.7424   0.7353   +71        +0.96%


⑨GBPNZD↓2.1641   2.1829  -188        -0.87%


⑩EURUSD↑1.3901   1.3797 +104        +0.75%

これら通貨ペアの上昇サイドで出てくるのがAUD4回、JPY3回、NZD2回、EUR1回。下落サイドを見るとUSD3回、GBP3回、CHF2回、CAD2回です。

色々な見方が出来るのですが、最近自然災害でダメージを受けた通貨が上昇していた事がわかります。AUD(洪水)、NZD(地震)、JPY(地震)です。南半球の2通貨に関しては初動は災害のダメージから海外資本が流出する形で通貨安となりましたがその後復活してきた流れが続いている感じですが、JPYは最初から上昇しています。

USDJPY DAILY


本邦のリテールFXのポジションが空前の円ショートになっていたのですが恐らく金曜日は海外勢の円買いにも誘発されて個人投資家のポジションにも小規模ながら手仕舞いが入った可能性が高いと思います。下落している通貨は対円でロングメイクされていた通貨とも重なる感じですので間違いないでしょう。単純な円買いではなくてもこれら通貨から南半球にお金をシフトする動きもあったのではないかと思います。

一応週末にはリスク回避的なバイアスが強まっていたと言えるのではないでしょうか。今週の動きにも兎に角注意しましょう。

Top FX Movers Last Week.

このような状況下で相場の分析もどうかとは思いましたが、敢えて普段通りに記述する事にしました。不謹慎だと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんがご容赦頂ければ幸いです。

先週の週を通した主要通貨ペアの変動上位10ペアは以下のようになりました。

      通貨ペア     先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)

①GBPNZD↓2.1641   2.2009     -368      -1.70%


②GBPCAD↓1.5644   1.5835    -191      -1.22%


③GBPUSD↓1.6079   1.6267    -188      -1.17%


④EURJPY↓113.77    115.10    -133      -1.17%


⑤GBPAUD↓1.5856  1.6041     -185      -1.17%


⑥EURNZD↓1.8711  1.8924    -213       -1.14%


⑦CHFJPY↓  87.99     88.97     -98        -1.11%


⑧NZDCHF↑0.6900   0.6824   +76       +1.10%


⑨EURCAD↓1.3524   1.3611   -87       -0.64%


⑩EURUSD↓1.3901   1.3985   -84       -0.60%

これら通貨ペアの上昇サイドを見るとNZD3回、CAD2回、USD2回、JPY2回、AUD1回となっています。下落サイドはGBP4回、EUR4回、CHF2回と面白い事に全て欧州勢でした。

EURに関しては前半にムーディーズによるスペインの格下げを引き金に大きく売り込まれていましたが終盤にはドイツが提案した周辺国支援パッケージ充実策の合意が好感されて買い戻されていますが前半の下げ幅を回復するまでには至っていません。
 GBPに関してはBOEの政策決定会合で政策金利が据え置かれた事で市場が織り込む5月乗り上げ期待が少し後退した感じでしょうか。

 NZDはRBNZによる50bpの利下げ(3.0%⇒2.5%)がありましたが、かなり織り込まれていたのでむしろショートスクィーズ的な動きとなっています。北米通貨(USD,CAD)も安定的で、JPYの上昇は主に地震の結果、復興需要から国内への資金還流が起こると読んで海外勢がJPY買いに動いた結果です。市場影響力のあるデニス・ガートマン氏も数日から数週間でUSDJPYは75円に到達するだろうと言う予想を出していました。

火山の噴火、大きな地震、津波、大洪水と天変地異的な現象が世界中で起きています。また中東・北アフリカ情勢も予断を許しません。金融市場においても何が起こるか全く予想が付かない状況だと思いますのでリスク回避的な傾向が強まる事だけは間違いなさそうです。

Earthquake : Beyond description...........

3月11日(金)に日本の東北・太平洋沖を襲った巨大地震は将来の歴史の教科書にどのように記述されるのでしょうか・・・・・

始めに被害に遭われた方々、何らかの影響を受けた多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。非常に多くの方々が行方不明のままですが最後まで希望を捨てずに最善が尽くされる事を強く祈念いたします。

週末の間には原発事故となる可能性も否定出来ない状況になってきており、大規模な余震が発生する可能性も極めて高い事も含めて、今週も引き続き予断を許さない状況が続くのではないかと思います。

とにかく皆さんもご自身とご家族の安全を第一に注意深くお過ごし下さい。

兎に角、心から祈りを捧げたいと思います。

2011年3月6日日曜日

Different Views on Rising Commodity Prices.

先週はEURUSDが一気に1.40台を回復する動きがありました。前項での述べたとおりの欧州利上げ観測が主因ですが、それにしても商品市場の上昇に関する欧州と米国のスタンスにはあまりにも大きな開きがありましたね。

EURUSD DAILY
 先週の当局者の主な発言を拾って見ましょう。

欧州

・"Increase of interest rates in the next meeting is possible", "Strong vigilance is warranted"(Trichet)

・"Question marks start to arise that some pressure for second-round effects develops.
     Some pass-through is being seen."(Noyer)

・"Failure to lift borrwing costs in response to faster headline inflation would make the monetary policy stance
     more accommodative and over time fuel core inflation" (Bini Smaghi)

・"The risks to inflation are on the upside and it is the mission of ECB to prevent those from materializing"
   (Gonzalez Paramo)

・"Cebtral banks must be pre-emptive in fighting inflation."(Cyprus Orphanides)

・"Irrespective of the questions of the ECB and interest rates,we must put a joint package for the EURO on the table to take the debt crisis."(Merkel)

米国

・"The recent surge in commodity prices does not yet pose a significant risk"
・"Oil prices alone would probably not be enough to make us(FED) respond".(Bernanke)

欧州も米国もベースとして、直面しているリスクはインフレなのかデフレなのかという議論があるのですが欧州当局者はインフレリスクへの対処を優先しており、米国はデフレリスクを退治するためには早まったインフレ対策は危険と考えている事になります。
 
最も特に米国ではインフレ懸念を重視してバーナンキ議長には同意しない意見もあり、FRB内部も決して一枚岩ではありません。その意味では景気が悪くてもインフレ退治の為なら利上げを躊躇しないと言う意味では欧州の方が当局者たちの意見は一致していると言ってよいでしょう。

ECBは4月、BOEは5月にも利上げをすると思います。また米国はQE2の延長こそ見送るでしょうが予定通り6月までは継続するでしょうし、FRBの利上げは(あるとしても)相当先になると思われるので足元はEURやGBPが対USDやJPYで上昇しやすい環境だと考えられます。

中長期的には物価上昇に対するスタンスの違いが欧州と米国の明暗を分ける可能性が高いのですが、これは2011年の最大のテーマの一つになりそうです。

Top FX Movers Last Week.

先週の金融市場は中東・北アフリカ情勢を睨みながら週後半のECB会合や米雇用統計等の予定されたイベントを消化していくと言う展開でした。
 
中東・北アフリカ情勢は一旦膠着と言う印象の中、コモディティ価格の高騰は継続し、原油価格は遂に2008年9月以来となる1バレル当たり$104.94まで上昇し、金価格も最高値を更新しました。

このような状況の中で欧州と米国の当局者による物価上昇への対処方針に対するスタンスの相違が明確になっており、為替市場では全般的なドル売りと欧州通貨の上昇が目立っています。日本円は週を通して需給が売りサイドに傾いた為に主に対欧州通貨で円安に振れる展開となりました。

      通貨ペア 先週終値 前週終値 変動(pips) 変動(%)


①EURNZD↑1.8924 1.8291 +633 +3.34%


②GBPNZD↑2.2009 2.1433 +576 +2.62%


③EURJPY↑115.10 112.32 +278 +2.42%


④NZDCAD↓0.7185 0.7342 -157 -2.19%


⑤NZDCHF↓0.6824 0.6973 -149 -2.18%


⑥EURAUD↑1.3791 1.3512 +279 +2.02%


⑦NZDUSD↓ 0.7383 0.7514 -131 -1.77%


⑧GBPJPY ↑133.86 131.61 +225 +1.68%


⑨EURUSD↑1.3985 1.3753 +232 +1.66%


⑩AUDNZD↑1.3719 1.3537 +182 +1.33%

上述の通り、大きく動いた通貨ペアの上昇サイドを見るとEURが4回、GBPが2回と欧州通貨の上昇が目立っています。先週は欧州からも英国からもインフレ懸念を背景として当局者から利上げの可能性を強く示唆する発言が出ており、ECBは4月、BOEは5月にも利上げを断行する可能性が上昇しています。

下落サイドでは、上位10ペアの中で6つがNZDの下落となりました。大規模地震の影響が尾を引いている事が明白ですが、EURJPYとGBPJPYの上昇がランクインしていることからJPYも下落サイドで2回登場しています。
 NZDの反発材料は多くない感じで、市場のショートポジションが溜まるまでもう少し下落余地がありそうです。JPYに関しては既に市場に随分JPYショートが溜まっている事や83円台から上には相当な規模での売りが待ち構えている中で本邦勢の海外出資フロー等が出続けるかどうかに注目していますが、それ以外にも株式市場の調整が始まるようだと一旦は上昇したクロス円の反落圧力に繋がるので双方向に注意していく必要が在りそうです。