先々週あたりから強まった為替市場の潮流の”金利差回帰”的な動きは先週で一層強まったと言えます。ここへ来てメディアなどの解説記事なども軒並み円キャリートレード再開の動きに言及するなど円安の動きが鮮明になってきました。
中国の利上げ、ECBの利上げ、豪州は据え置きましたが米国もQE2の出口を巡る議論が盛んな状況下で日銀が東日本大震災後の復興支援目的で追加緩和策を発表した事が為替市場の名湾を分けた格好です。
先週の主要通貨ペアの変動ランキングは以下のようになりました。
通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)
①CHFJPY↑ 93.47 90.95 +252 +2.70%
②EURJPY↑ 122.75 119.63 +312 +2.54%
③AUDJPY↑ 89.52 87.27 +225 +2.51%
④GBPJPY↑ 138.82 135.39 +343 +2.47%
⑤USDCHF↓ 0.9061 0.9236 -175 -1.93%
⑥NZDUSD↑ 0.7824 0.7674 +150 +1.92%
⑦EURUSD↑ 1.4483 1.4233 +250 +1.73%
⑧AUDUSD↑ 1.0563 1.0384 +179 +1.69%
⑨GBPUSD↑ 1.6381 1.6110 +271 +1.65%
⑩CADJPY↑ 88.67 87.23 +144 +1.62%
上位10通貨ペアの中で上昇サイドで登場した通貨の顔触れは多彩ですが、下落サイドで登場している通貨は円とドルだけです。具体的には上昇したのがCHF2回,EUR2回,AUD,GBP2回,NZD、AUD、CADで、下落した通貨はJPY5回、USD5回です。
緩和政策を続けるドルと円を調達通貨としてインフレ懸念から引き締めに転じた国々の通貨に投資されていると言う図式が際立ってきました。
それにして時間的にも値幅的にももかなり一方向の動きが続いてきました。市場のポジションもかなり偏り始めた感じがしますので、調整リスクは上昇していると思います。
ただし、所謂”通貨安競争”と言うものは完全休戦状態となっており、寧ろエネルギー価格や食物価格の上昇に対処して国民生活を守るべく自国通貨の購買力を維持する方向に舵を切る動きが続いている訳ですので、その状況でやむを得ず引き締め策が取れない円が売られる流れは中期的なトレンドを形成する理由が十分にあると言えるでしょう。
日米の緩和策が調整局面入りしそうだった世界中の株式市場をもサポートしている状況ですのでトレーディングではこの動きをフォローしていくのが順張りということになりますね。