引き続き市場のVolatilityの根源は欧州問題なのですが、先週突如財務相が財政赤字削減ペースの鈍化を示唆して周囲を慌てさせたギリシャでは首相が中心となって必死の意見集約を図ることで当初の予定通りの財政健全化計画の堅持が確認されました。同時に独仏首脳会談でもギリシャが将来にわたり統合欧州に留まるとの共通認識が確認された事で目先の危機は脱した格好となりました。
しかし金融市場では徐々にギリシャの債務不履行を時間の問題と捉える風潮が強まり、私が確認しただけでもギリシャの1年ー2年物国債の利回りは120%を超える異常な状況となり週半ばにかけてEURも相当売り込まれていました。
これを受けて取られた措置が相場を再び反転させる結果となりました。9月15日の木曜日に発表された日・米・欧・英・スイスの協調ドル供給オペです。
ECBが、日・米・欧・英・スイスの中央銀行が協調して3回のドル資金供給オペを3ヶ月実施するとの声明を出し、これで株式市場、商品市場、為替市場などで進行していたリスク回避方向の値動きがかなり戻される格好で週末を迎える事になりました。
主要通貨ペアの値動きでおさらいすると以下のようになります。
通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 変動(%)
①AUDCAD↓1.0126 1.0425 -299 -2.95%②GBPCAD↓1.5414 1.5804 -390 -2.53%③AUDJPY↓ 79.50 81.18 -168 -2.11%④EURAUD↑1.3310 1.3031 +279 +2.10%⑤AUDCHF↓0.9057 0.9239 -182 -2.01%⑥AUDNZD↓1.2481 1.2715 -234 -1.87%⑦USDCAD↓0.9777 0.9960 -183 -1.87%⑧GBPJPY↓ 121.15 123.10 -195 -1.61%⑨EURGBP↑0.8735 0.8596 +139 +1.59%⑩GBPCHF↓1.3808 1.4015 -207 -1.50%上昇サイドでの登場回数はCAD,JPY,EUR,CHFが各2回ずつでNZD,CADが1回ずつでした。下落サイドはAUDが5回,GBPが4回でUSDが1回となっています。先週は、上昇サイドよりも下落サイドに特徴のある週で、AUDやGBPの下落が以外にも欧州通貨のそれを上回る規模であった事がわかります。これは改めて欧州通貨を売る動きよりも安全資産として持っていたAUDなどの持高までも圧縮するという流れであり、株価などが少々戻しているものの市場センチメントが大きく改善していると言う状況ではないでしょう。