2010年12月27日月曜日

ETF Performance tells a story.

今の金融市場には悲観と楽観が入り混じっていると思いますが、悲観論の視点から見れば財政破綻懸念のある主要国政府の発行する紙のお金は文字通り紙屑になる恐れがあると言う事でPaper AseetからReal Assetへの資金移動が起こり易いと言う事になり楽観的な視点から見ても新興国の人口増と生活水準の向上による食料、衣料、住宅、エネルギーへの需要増は確実なのでReal Assetが買われ易いということになります。

つまりは、いじれにしても実物資産の価格上昇の可能性は非常に高いということになるでしょう。

従来のRisk-on,Risk-offという尺度であれば、Risk-onなら実物資産を含むあらゆるリスク資産が上昇し、Risk-offならPaperAssetへの資金還流が起きてRisk資産は値崩れすると言う図式でしたので足元の動きは少し従来のRiskのOn/Offの動きとは違ってきていると言う事になるかもしれません。

最近では背景に様々な資産クラスを束ねてその価格変動にリンクして動くETF(上場投信:Exchange Traded Fund)がありますが、そのパフォーマンスをチェックしていたらまさにそんな図式が現れていました。下図は過去3ヶ月における各資産のETF価格の変動です。

   Big Winners                 Big Losers
  Cotton 67.60%             Livestock -3.40%


  Sugar 46.30%              Turkey -4.70%

  Silver 38.50%              Spain -8.30%

 半導体30.20%            Natural Gas -12.70%

Oil Services 26.60%      Volatility -45.50%

* Trends measured by major ETFs representing each asset.


左側に青字で示したCottonやSugarは凄い値上がりですね。SilverやOil関係は認識していましたが
たいしたものです。右側の値下がりの大きかったETFではトルコ株や天然ガスはやや意外ですがスペイン株は当然でしょうね。
 そして・・・・Volatilityの約46%ダウンですが、要するにこれはVIX指数に連動したETFの値下がりで、株式市場の大健闘によるVIX指数の低迷が明白ですね。

投資家にとっての為替リスクは、従来の為替変動のリスクから今では通貨そのもののリスクを意味するようになってきたという事なのでしょう。

Top FX Movers Last Week.

先週はクリスマス休暇を控えて徐々に市場参加者も減少していく展開でした。
 こういう時に突発的な事象が発生すると市場が大きく動く事があるのですが、先週は一応無難に通過したと言ったところでしょうか。

海外の債券市場や株式市場はクリスマス休場で金曜日などは為替だけが動いていると言う状況でしたが、簡単に先週の為替の動きを見てみましょう。

  通貨ペア  先週終値 前週終値  変動(pips) 変動(%)

①EURCHF  1.2667    1.2570     +97   +0.77%


②CADCHF  0.9562    0.9494     +68   +0.71%


③GBPCHF  1.4870    1.4785     +85    +0.57%


④NZDCHF  0.7199    0.7161     +38    +0.53%


⑤CHFJPY    86.02      86.46      -44     -0.51%


⑥USDCHF  0.9627    0.9584    +43    +0.45%


⑦EURAUD 1.3110    1.3057    +53    +0.40%


⑧AUDCHF 0.9659    0.9625    +34    +0.35%


⑨AUDCAD 1.0098   1.0133     -35     -0.35%


⑩EURUSD  1.3157   1.3113    +44    +0.33%

値幅は全て二桁の動きであり先週はそもそも小動きだったと言う事がわかりますが、前週に
安全資産としてCHF(スイスフラン)が買われすぎていたのでしょうか、先週は小幅な動きでは
ありますが、変動が大きかった上位10通貨ペアのうちの実に1位~6位までを含む7つがCHFの
下落と言う動きになっています。

或いは・・・この時期にこれだけ多くの通貨に対してCHFが小幅ながらも弱含んだ背景は、
世界中の子供達の為に多くの通貨建てでプレゼントを調達し捲っていたサンタクロースの軍資金
がCHF建てであったと言う事なのかも知れませんね。

だとしたらこのご時世・・・・・世界の子供達の為に安全通貨としてCHFを備蓄しているのなら、
サンタクロースも隅には置けないちゃっかり者と言う事でしょうか。引き続きCHFでもCNYでもよい
のですが、上手く軍資金を守りながら子供たちに夢を運び続けて欲しいと思うところです。

2010年12月20日月曜日

GBP on the defensive.......

先週はGBPが防戦一方でしたが、場合によっては非常に根の深いトレンドになるかもしれません。

丁度1年ほど前に英国のDarling財務大臣が打ち出した賞与課税が業界で賛否両論を巻き起こした事がありました。金融危機の反省から主要国政府が様々な金融規制を打ち出していた頃で、米国ではVolckerルール、欧州でも様々な金融規制が活発に議論されていた頃です。

この英国の賞与課税は、従業員に2万5千GBP(1GBP=130円で計算すると325万円)以上の賞与を支払う金融機関はその50%を納税する義務を負う事や従業員本人にも40%が課税されるという大胆な内容でした。これにより高額賞与が支給されるとその90%が支給者と受給者から国庫に収められると言う内容です。

一見べらぼうな内容に見えますが、多くの金融機関において金融バブル期の幹部職員の処遇は一部でスポーツ界のスーパースター並みになっていた事や”Too big to fail"である事を理由に税金で保護されたり、預金者を犠牲にした政策金利=(短期金利)の低金利維持により必ず儲かる状態に置かれてきたにも拘らず、その収益を企業融資などの投資に回さずに安易且つ過剰に従業員に還元してしまう金融機関が多かったという事も事実ですので結構な支持も集めたと言う訳です。

英国はロンドン金融街(=シティ街などと言われますね)を整備して金融立国としてかつての不況を脱したと言う経緯もあるのでそこを潰しに行くような規制は自殺行為だという批判もありましたが、事実これを機にシティ街からスイスなどに本拠地を移すヘッジファンドなどが増えてきました。

事情通の友人によると当初は登記上の拠点移動が先行していましたが、ここへ来てフィジカルな実体的移動が起きているとのことで、先週はこれを裏付けるようなGBPCHFというクロス取引の売り切りオーダーの執行が相次いだようです。12月の最終週は流動性が極端に低下する可能性がありますので少なくとも大口の取引執行はクリスマスまでに終了させるのが無難だと思われるため、今週もこの手のフローが出続ける可能性がありそうです。

GBPCHF DAILY


2010年12月19日日曜日

Top FX Movers Last Week.

先週は流石にいよいよ年末を意識せざるを得ない相場展開となってきましたね。

足元の金融市場の震源地である日米欧の長期金利動向ですが週半ばまでは金利上昇のPain Tradeが継続したものの終盤はそれなりに債券の買戻しが出て各国の長期金利の急騰はやや落ち着き始めたかもしれません。

債券市場から流出を続けてきた資金の主な引き受け手となってきた株式市場の安定感は抜群で、投資家のリスクに対する恐怖指数とされるVIX指数も非常に低位安定状態を続けています。
 この指標は週末時点で16.09まで下落していますが、これは4月に株価が短期サイクルの高値をつけた時の15.23以来の低水準です。また2008年5月の15.82、2007年10月の16.12にも非常に近い水準ですね。2008年の5月19日に株価は高値をつけた後に10ヶ月かけて株価は50%下落し、2077年の10月9日のVIX指数16.12のボトムはDow平均が史上最高値を更新する二日前のことでした。
 株式市場への強気な姿勢は強まるばかりと言う感じですが個人的には少し慎重なスタンスが必要ではないかと思うところです。

さて、先週の主要通貨ペアの変動規模トップ10を見てみましょう。

  通貨ペア   先週終値 前週終値 変動(pips) 変動(%)



①GBPCHF 1.5065     1.5500   -435    -2.89%


②NZDCHF 0.7147    0.7325    -178   -2.49%


③GBPAUD 1.5702    1.6031   -329    -2.10%


④AUDNZD 1.3414    1.3185  +229   +1.71%


⑤GBPUSD  1.5534   1.5799   -265    -1.71%


⑥GBPJPY   130.41   132.61   -220    -1.69%


⑦CADCHF 0.9571   0.9718   -147    -1.54%


⑧EURCHF 1.2785   1.2975   -190    -1.49%


⑨EURGBP 0.8485   0.8367  +118   +1.39%


⑩NZDUSD 0.7370   0.7467  -97       -1.32%

先週も週内の振幅が結構ありましたが、終わってみれば結構勝組と負組が明確に分かれる結果となっています。

上昇した通貨としては、CHF4回、AUDとUSDが2回、円とEURが1回ずつ登場しています。
下落した通貨としては、GBP5回、NZD3回、CADとEURが1回ずつです。

CHFの強さは相変わらずですが、ここへ来てGBPの下落が目立ってきました。GBPはライバルのEURの混乱を尻目に相対的に堅調な動きをしてきましたが幾つか悪材料が出てきてしまっている状況ですね。

年末にかけては各市場が流動性の極端な低下というこの時期特有のリスクに直面する事になりますが、金融市場の中で最も出来高が大きく、最も流動性が潤沢とされる為替市場も例外では在りません。先週のような上下にヒゲを出す振幅を繰り返しながら、ベースラインとしての流れはUSD,CHFの上昇とEUR,GBPの下落という絵にはまっていくのではないでしょうか。
 この絵の中で、AUDなど資源国通貨と円の動向は株式市場が握っているように思います。

2010年12月12日日曜日

金融市場は海老蔵相場

先週某所で行われた投資家の情報交換及び勉強会において、長期金利市場を中心に年末のPain Tradeが猛威を振るっていると言う話題になりました。

油断していると訳もわからないうちにボコボコにされているという話が多く出たので、思わず、「それでは海老蔵状態ですね」と言う声も上がり、何故か大いに盛り上がってしまいました。

金融市場には様々な情報や噂、戯言が流布されますが、今回の海老蔵騒動に関するものも色々と出回っていました。中には不謹慎にも(?)結構な秀作と言えるものもありましたので一つ紹介しておきます。

ごろ寝してボリビリ食うのがえびせん。土下座してボロボロ泣くのが海老蔵。

マヨと合うのがえびせん。マオと合うのが海老蔵。

大口で食べるのをやめられない止まらないのがえびせん。大口を叩くのをやめられない止まらないのが海老蔵。

お酒のツマミで出されるのがえびせん。お酒でツマミ出されるのが海老蔵。

すぐなくなっちゃうのがえびせん。すぐ殴られちゃうのが海老蔵。

カルビーの工場で袋詰めにされるのがえびせん。ギャラリーの前で袋にされるのが海老蔵。

食べると止まらないのがえびせん。飲むと止まらないのが海老蔵。

カルビーなのがえびせん。歌舞伎なのが海老蔵。

スナック菓子でつまみとして出されるのがえびせん。スナックからつまみ出されるのが海老蔵。

サクサクするのがえびせん。ボコボコなのが海老蔵。

最高にキレがある美味しさがえびせん。介抱でキレられるオッサンが海老蔵。

親が与えるのがえびせん。親が謝るのが海老蔵。

懐かしいのがえびせん。恥ずかしいのが海老蔵。

塩まみれなのがえびせん。血まみれなのが海老蔵。

むさぼって飲み込むのがえびせん。さぼって飲みに行くのが海老蔵。

やめられないのがえびせん。やめてもらえなかったのが海老蔵。

子供に人気があるのがえびせん。子供を認知するのが海老蔵。

人に好まれるのがえびせん。人にボコられるのが海老蔵。

年中口にするのがえびせん。年収を口にするのが海老蔵。

開封したら喜ばれるのがえびせん。介抱したら殴られるのが海老蔵。

用途広いのがえびせん。酔うと酷いのが海老蔵。

不謹慎かもしれませんが出来栄えに感心してしまいました。日本語の奥深さまで感じてしまうようなものですが、ある意味で市場を駆け巡る様々な噂や風説の多くはこのように実に心無い、無邪気でも残酷なものが多いと言うことを再認識させられる気もします。

海老蔵さんには是非とも改心して欲しいと願いますが、改めて家元とか世襲という制度の根深い功罪もあるような気がしました。

Top FX Movers Last Week.

先週の金融市場には長期金利上昇の嵐が吹き荒れました。米国でも欧州でも日本でも数十年続いた債券バブルが一斉に終局に向かう段階に入った可能性があります。

主要な株式市場は概ね堅調なのですが、企業価値や業績と言ったファンダメンタルズは横に置いた状態で、債券市場に眠っていたお金の避難先として資金流入を謳歌していると言う側面が強いので債券市場の調整が一服した後に株式市場の強気相場の持続力が試されるフェーズが来る事になるでしょう。

本稿ではいつも通り主要通貨ペアの先週を通した変動率ランキングを確認します。

通貨ペア  先週終値 前週終値 変動幅(pips) 変動幅(%)


①GBPNZD 2.1143   2.0579    +564    +2.67%


②NZDUSD 0.7467   0.7655    -188     -2.52%


③NZDCAD 0.7535  0.7683    -148     -1.96%


④GBPJPY   132.61  130.18   +243    +1.83%


⑤AUDNZD 1.3185  1.2956   +229    +1.74%


⑥NZDCHF 0.7325  0.7450    -125     -1.71%


⑦USDJPY   83.94   82.53      +141    +1.68%


⑧EURGBP 0.8367 0.8501     -134     -1.60%


⑨EURUSD 1.3225 1.3412     -187     -1.41%


⑩CADJPY 83.15 82.19           +96    +1.15%

上位10通貨ペアで上昇した側での登場回数は GBP3回,USD3回,CAD2回,AUD,CHFが1回づつでした。

一方で下落サイドでの登場回数はNZD5回、JPY3回、EURが2回となっています。

利上げこそ無かったものの雇用データを含む経済指標が好調だった豪州ですがAUDの上昇は限定的でした。NZDの失速感もそうですがやはり中国が度重なる預金準備率引き上げなどで金融政策のスタンスを緩和的から中立に戻した事が資源国通貨の上昇バイアスを鈍らせていると感じます。USDは前週の下落から復調しており、GBPも好調ですがJPYは日経平均の奮闘虚しくJGB市場の大幅下落なども材料になっているので先週は円安だったと言えます。

これから年末にかけては、年内に決済する必要がありながら欧州市場や主要国の債券市場の混乱を理由に様子を見ていた需給が炙り出されてくるはずです。脈絡の無い変動が続く可能性もありますがしっかり捕捉していきたいところです。

2010年12月6日月曜日

Tricked By Trichet.

もう12月なので今年の展開をざっと振り返ると、最初の大きな節目は5月初旬の欧州問題の表面化でした。日本の黄金週間早々にギリシャの財政問題などが材料視されてユーロが暴落したのです。

その後は市場の関心は欧州ソブリンリスク問題から米国の量的緩和(QE2)とグローバルな不均衡問題是正のための中国人民元の切り上げと事実上の米ドル切り下げを国際合意するのではないかというDFCR(De-Facto Currency Revaluation)問題にシフトしていきました。

11月には再び欧州ソブリンリスクに焦点が戻った格好になりましたが、今度はアイルランドが標的になりました。
 どうしてアイルランド問題が再び統合欧州全体を脅かしているのかと言うと大きく言って二つの理由があると言われています。

1 一旦市場を沈静化させた欧州のStress Testの内容が信用出来ないという事が証明されてしまった。

2 各国のイメージで放蕩的なイメージの強いギリシャとは対照的な実直・堅気なイメージのアイルランドまで危機的な状況である事が判ったことでその他の不安視される国々も同じ問題を抱えているという不安が急上昇した。

不謹慎な言い方を許していただければ、クラスで最も不真面目な子と最も生真面目な子が掃除をサボったのなら他の子もサボっていた可能性が高いと疑われるようなものでしょうか。

12月2日(木)のECB政策決定会合では、1週間、1ヶ月物の資金供給オペの継続は確実視されていましたが3ヶ月に関しては変動金利から固定金利に切り替える予定だったものを固定金利のままにして資金調達コストを低めに維持するとともに日米のように中央銀行として購入している国債買取枠の増枠をしてくるかどうかという部分に注目が集まりました。

結果は予想通りの金利据え置きと資金供給オペの継続でしたが、注目された国債買取に関しては総裁の記者会見でも言及が無く、失望した市場がユーロ売りに動いたその時に・・・・ECBが猛烈な勢いでアイルランドなど周辺国の国債を買い始めたので市場は一転ユーロの買戻しに動き始めました。

ECBは金曜日にも同様の動きを継続し、米国の雇用統計も予想を裏切る弱い内容だったことからドル売り・ユーロ買いの動きは週末まで継続し、終わってみれば先週の水、木、金の後半3営業日でユーロは大きく復活を遂げる結果となりました。

1.29台前半から3取引日で1.34代前半まで500pipsレベルの反発となりました。ECBのTrichet総裁に関しては有言実行というよりも今回は無言実行に近い感じでした。言葉よりも行動で示したと言う事になるのでしょうか。見事な手際でした。ユーロがボトムを打ったのかどうかは今週以降見極めていく事になります。





2010年12月5日日曜日

Top FX Movers Last week.

先週は、11月から12月への月替わりの週でしたが木曜日にECB金融政策決定会合、金曜日に米雇用統計が控える重要週でした。

アイルランドの金融セクターの問題がそれを救済せざるを得ないアイルランド政府のソブリンリスク問題となり、更にアイルランドの次はポルトガルだとか最終的にはスペインもイタリアもという具合に不安が不安を呼ぶ負の連鎖を材料にMassiveな欧州売りが先行しましたが、12月2日(木)のECB金融決定会合に併せてECBが大量にアイルランド債等の周辺国債務の購入を断行した事でユーロが反発し、12月3日(金)の米雇用統計では事前に予想されていた新規雇用の大幅増加の期待を裏切る発表があった事で米ドルが大幅に反落する結果になりました。

為替市場の変動を見てみます。先週の変動規模のランキングです。

 通貨ペア 前週終値 先週終値 値幅(pips) 値幅(%)


①USDCHF 0.9735   1.0030       -295           -3.03%


②AUDUSD 0.9930      0.9643       +287          +2.89%


③NZDUSD 0.7655      0.7494       +161          +2.10%


④USDJPY   82.53       84.05          -152          -1.84%


⑤GBPCHF  1.5357    1.5636        -279           -1.82%


⑥GBPAUD 1.5879    1.6158        -279           -1.76%


⑦USDCAD 1.0037    1.0210        -173           -1.72%


⑧EURCHF 1.3060    1.3279        -219           -1.68%


⑨EURAUD 1.3501   1.3725        -224           -1.66%


⑩CADCHF 0.9695   0.9821        -126           -1.30%


⑪EURUSD 1.3412   1.3239       +173           +1.29%

先週は通貨では特にユーロに注目していたので非常に大きな反発をしたと思っていたのですが、こうして客観的に整理してみるとEURUSDの上昇はやっと11位に出てきました。ちょっと驚きです。

各ペアを細かく見ると以下のようになります。

上昇した通貨としての登場回数⇒CHF4回、AUD3回、NZD,JPY,CAD,EURが各1回。
下落した通貨としての登場回数⇒USD6回、GBP2回、EUR2回、CAD1回。

つまりはこういうことでしょう。EURUSDは先週大きく切り返したのですが、EURの反発局面=USD反落局面ではEUR以外の通貨が一層気を吐いていた・・・結果としてEURの切り返しは対USD意外では限定的であった。

12月は始まったばかりですが、第一週(たったの3日ですが)から大いに見せてくれました。これからもクリスマス休暇までは市場参加者も多いので予断を許さない展開が続くのではないでしょうか。
 今週はEUR反発の持続力とUSDの足腰の強さが試されます。

2010年11月29日月曜日

The most painful PAIN TRADE.

日本の会計年度は3月が年度末になりますが、当然ながら海外は12月が年度末になりますのでこの時期にはそれを意識して相場を見ていく必要があります。

基本的には、

①基本的には積極的にリスク量を増やす事は無い
②ただし必ずしも機械的なポジション手仕舞いのフローが出るほど単純でもない
③しかし実際にリスク縮小を余儀なくさせる材料があれば少しでも流動性のあるうちに集中的な手仕舞いを仕掛けてくる場合もある
④どこかが痛むと利が乗ったもので益出し⇒損失補填という動きとなるので直接関係の無いアセットもダメージを受ける傾向がある

等の注意点がありますが、特に③、④のような動きが拡大していくと一部の痛みが全体に広がっていく事になり、市場参加者の間では PAIN TRADEと言われるような動きとなります。

前項では為替市場で順調だったAUDやNZDが一転して売り込まれていると言う現象を見ましたが、これは別のところで出ているダメージを補填する益出しの動きであった可能性が高く、明らかにPAIN TRADEと位置付けてよい動きだったのではないでしょうか。

では、PAIN TRADEの根源はどこにあるのかと言えば、間違いなく長期債市場ということになるでしょう。

とにかく長期金利の急騰(=長期債の大幅下落)は今の金融市場の台風の目となっており、先週は中盤に欧米の債券市場が暴落=金利の急騰が起こり、週末にはJGB市場(円債市場)が暴落して円金利も急騰しています。

米日の未曾有の規模での量的緩和に中央銀行による国債購入という政策も実施されている訳ですので、これを先取りした世界中の機関投資家や金融機関が日米欧の国債を大量購入している状態でしたのでここが崩される事のPAIN TRADEのダメージは計り知れないものがあります。

PAIN TRADEの怖いところは、本来であれば大丈夫そうだったものまでおかしくなってしまう事です。どこかの債券が国債でも社債でも暴落すると、次に市場は誰がそれを沢山保有していたかを探し出してその保有者の信用不安を喧伝して株や社債を空売りすると言うのはよくあることです。

もうすぐ12月。PAIN TRADEの動向には十分な注意が必要です。特にその台風の目となっている各国の国債市場(=長期金利動向)からは目が離せません。

Top FX movers last week.

先週も色々ありましたね。

①アイルランド危機がポルトガルなどに波及するリスクの上昇
②北朝鮮の韓国に対する砲撃

がコアとなり、そこから派生した材料が色々と相場を動かしていました。どちらの材料も非常に根が深いものであり、個人的にも考えるところがありますが先週は木曜日が米国のThanksgiving休暇があった為に金曜日の北米市場も半日営業となり、もともと主要なプレーヤーはここも休んで月曜日から出てくると言う状態だったので結構相場が一方向に動き易かったと思います。

では先週の主要通貨の変動率ランキングを見てみましょう。

 通貨ペア   先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)
①NZDCAD    0.7647     0.7912       -265    -3.47%
②EURUSD     1.3239     1.3671       -432   -3.26%
③NZDJPY      63.00       65.00         -200   -3.17%
④EURCAD    1.3515     1.3898       -383   -2.83%
⑤NZDCHF    0.7514     0.7721       -207   -2.75%
⑥EURJPY     111.30     114.21       -291   -2.61%
⑦GBPUSD    1.5588     1.5977       -389   -2.50%
⑧AUDUSD    0.9643    0.9864        -221   -2.29%
⑨EURCHF    1.3279    1.3565        -286   -2.15%
⑩GBPCAD   1.5913     1.6242        -329   -2.07%
⑪GBPJPY     131.04     133.47        -243   -1.85%
⑫AUDCAD   0.9847    1.0029         -182   -1.85%
⑬AUDJPY     81.05      82.38           -133   -1.64%

今回は欧州通貨とともにAUD,NZDが大きく下げている事を強調するために13位まで掲載してみました。

先週末に同じ分析をした時には上位10ペアの中で実に7ペアがAUDかNZDの上昇という図式でした。イメージで言えば欧米日が下落して資源国が上昇していると言うような図式になっていた訳です。それが今回は上位10ペアの内訳はEURの下落が4回、NZDの下落が3回、GBP下落が2回でAUDの下落が1回です。

上昇サイドはUSD,CADの北米コンビで6回、CHF,JPYの安全通貨コンビで4回となっており、前週のRisk-on的な展開が先週はRisk-off方向に転換している事がわかります。

それにしても・・・・What a turn on event!! 1週間で様変わりです。

2010年11月22日月曜日

Taking the core concept of QE2 to heart.

今回の米国のQE2の凄いところは単なる流動性の大量供給と言うコンセプトを凌駕した大規模なリスク資産価格の押し上げを意図したところにあります。

QE2=LSAP(Large Scale Asset Purchase)というコンセプトなのですが、基本的に新規に発行される米国債をFRBが買い占めてしまう事で従来この市場に流入してきた投資家の資金を締め出してしまうのです。締め出された資金は利回りを求めて広範なリスク資産への投資に回る訳ですが、言葉を変えれば当局お墨付きのグローバル資産市場の壮大なReflation政策と言う事が言えるでしょう。

これまでにも書いてきたように実際の市場はかなり複雑な動きをしているのですが、それでもよく見るとかなりの市場が当局の意を汲んだ動きをしてきているのも事実です。

11月第一週のQE2の発表を受けて様々なリスク資産が2010年の最高値を更新しているのですがざっと拾うだけでも以下のような状況です。

11月5日に高値を更新したもの
Dow、S&P500、インド株、アルゼンチン株

11月8日に高値を更新したもの
香港株

11月9日に高値を更新したもの
Gold、CRB Index、Silver、Nasdaq、FTSE100、Platinum、Singapore株、Corn、

11月10日に高値を更新したもの
Coffee

11月11日に高値を更新したもの
Oil、Copper、Sugar

11月12日に高値を更新したもの
Soybean

色々と内外からの批判が噴出してFRBも反論に躍起になっている感じのするQE2ですが、これだけ見ると、リスク資産のReflationという役割は果たしているじゃないかと言う気にもなりますね。

ここに来てやっと日経平均の1万円台回復が注目されたりしていますが、これは円高の一服と円債(JGB)市場からの資金シフトが主要因であり必ずしも企業業績や経済全体のファンダメンタルズによるものではないでしょう。でもどうせなら一発年初来高値でも目指して欲しいものです。

金融市場はQE2の意図を一応重く受け止めてはいるようだと言うお話でした。

2010年11月21日日曜日

Top FX movers last week.

先週も金融市場では色々な動きがありました。

11月という季節要因に米国のQE2という前例の無い壮大な冒険的金融政策が実施され、市場が素直にドル売り+リスク資産買いに反応したのも束の間欧州でポルトガル、アイルランドといった周辺国不安が再燃して市場はリスク回避方向にFLIPしてしまいました。
 しかしQE2に向けて買い進まれてきた米国債券市場から持続的な資金流出が起きている為に債券売り+金利上昇という流れが米国から日本、欧州などにも波及する流れも出てきて新興国市場をも巻き込むPain Trade(参加者にダメージが残る方向の動き)がMain Stream化し始めているようです。大分投資家コミュニティにも浮き足立ったような動きも出てきました。

さて、為替市場はどうだったのかを見てみましょう。いつもの週次の分析は以下のようになりました。

    通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)



①NZDJPY   65.00        63.78          +122        +1.88%


②NZDCHF  0.7721     0.7582        +139        +1.80%


③GBPNZD  2.0511     2.0824         -313        -1.53%


④AUDJPY   82.38       81.23          +115        +1.40%


⑤AUDCHF  0.9784     0.9655        +129        +1.32%


⑥USDJPY    83.54       82.51          +103        +1.23%


⑦USDCHF  0.9921     0.9807        +114         +1.15%


⑧NZDCAD 0.7912     0.7823        +89           +1.12%


⑨EURJPY   114.21     112.99       +122          +1.07%


⑩GBPAUD 1.6192     1.6359        -167          -1.03%


先週はリスク回避のドル買戻しが先行しましたが、後半は寧ろ誇り高きアイルランドが当初拒否していたECB等からの支援準備を受け入れる方向に話が進んでいると言う報道を受けて流れが反転しています。
 それにしても上位5位までを含めてTop10のうちの7つのペアの上昇通貨がAUDとNZDの上昇と言うのは見事と言えますね。

しかしながら週末には再び中国の預金準備率引き上げの動きを受けてAUDが失速する場面も見られており、Pain Tradeが中心の11月相場だけにまだまだ予断は許さない展開が続きそうです。

2010年11月14日日曜日

Top FX Movers Last Week.

前項で整理したとおり、11月は第一週に密集していた重要イベントを消化して流れはRisk-on方向に大きく傾いたかに見えましたが、第二週を消化した時点でリスク資産買いへの楽観論にはかなりの向い風が吹いてきた格好です。いつものように主要通貨市場がどう動いたのかを整理してみましょう。

 通貨ペア 先週終値 前週終値 変動幅(pips) 変動率(%)

①NZDUSD 0.7731   0.7951       -220           -2.85%

②GBPAUD 1.6359       1.5920      +439          +2.68%
③EURUSD 1.3691       1.4031       -340           -2.48%
④GBPNZD 2.0824       2.0367      +457          +2.19%
⑤EURGBP 0.8495       0.8669       -174           -2.05%
⑥USDCHF 0.9807       0.9612      +195          +1.99%
⑦AUDCAD 0.9964      1.0158       -194           -1.95%
⑧AUDJPY 81.23          82.54         -131           -1.61%
⑨NZDCAD 0.7823      0.7949       -126           -1.61%
⑩GBPCHF 1.5801       1.5554      +247          +1.56%
⑪USDJPY 82.51          81.26        +125          +1.51%

いつもは上位10ペアなのですが、ドル円の反発が11番目につけているので掲載しておく事にしました。かなりの潮流変化を感じる内容になっていますね。

上昇通貨としての登場回数⇒USD4回、GBP4回、CAD2回、円1回
下落通貨としての登場回数⇒NZD3回、AUD3回、EURO2回、CHF2回、円1回

なんと米ドルが下落サイドに一度も登場していません。円は両方に一度ずつ顔を出しているのでスッキリしない状況がよくわかります。またGBPの強さも際立っており、実は私個人も今月に入ってから手を出した投資でGBPを売りサイドに持ってきた物は悉く失敗して撤退済みです(涙)。
 AUD,NZDの失速は中国への懸念の裏返しとなっており、急加熱を冷ますべく利上げや人民元切上げ速度を速めてきた中国の動きが他の資源国通貨にも大きな影響を与えている事がわかります。

資源国市場や新興国市場への投資の縮小はリスクマネーの里帰り(Repatriation)と言う事でドル買いになっていると言う背景ですね。

11月の通貨市場はちょっとざわついて来ました。

So...what do we see now?

先週も金融市場全般で結構な変動がありました。

1 米国 : 皮肉な事にFOMC後でQE2の詳細が示された後に米国長期金利は上昇に転じており、米株には反落の兆候が増えて来ました。通貨では米ドルに底打ち⇒反発の兆候が増えてきました。

2 欧州 : ポルトガルやアイルランド等の所謂”周辺国”の債務不履行懸念が再上昇しています。その他の要因とも相まって欧州市場も荒れていますが、こちらでも金利上昇、株式反落の圧力が強まっています。通貨ではユーロに下落圧力が強まっており11月4日(木)につけた1.4283が戻り高値となってユーロが反落過程に入った可能性が高そうです。

3 日本 : この週末の海外メディアの報道を見ていて意外に感じている事の一つが週末にかけて行われていたG20サミットから手ぶらで(収穫無く)帰ることになる唯一の可哀想な主要国が日本だと言う内容が複数見られる事でしょうか。だから円安なのか、円高圧力再燃が不可避なのかは定見が無い印象ですが日本の株価に強気材料が少ない状況は変わっていません。先週後半はドルの反発を受けてドル円も素直に上昇(円安)していますが円債には売り圧力が強まっており円の長期金利上昇はいつ円高再燃の引き金を引いても不思議ではないという微妙な状況が続いています。

4 新興国 : 経済成長目覚しいアジアを中心とした新興国ですが、従来のG7諸国から見れば新興国勢力が従来のG7型ルールには従わずに新たな自分達で秩序を醸成していこうと言うベクトルを垣間見せる事が懸念材料になってきました。中国にはその中心になろうと言う思惑がありますが、実は他の新興国と中国の間にも微妙な歴史や距離感があるのも事実であり、どうやら世界は多極化に向けた複雑怪奇な過程の初期段階にあるのかなと思わせる状況です。
 市場としては新興国市場にも調整圧力が強まる中で流入過多状態だった海外資本の流出による株式市場や通貨の下落圧力が注目されます。これが加速するなら今週以降の市場動乱の中心になるでしょう。

5 中国 : 特に中国ですが、良い意味でも悪い意味でも”未成熟な大国”と言う状態なので発表される経済指標の信憑性を疑問視される事が少なくない中で、最近では経済実態は指標以上に加熱していた可能性があると言う従来とは逆のリスクを指摘するレポートも出始めています。事実中国はここへ来て人民元の決済レートの切り上げ速度を如実に加速させており、金融機関に課す準備預金のリザーブ義務を強化するなどインフレの暴走を食い止めるのに躍起になっている節があります。上海市場の大幅調整と言う事態になれば世界中の投資資本が結構痛む事は不可避でしょう。

6 商品市場 : 世界景気に強気な見方からも、インフレリスクに悲観的な勢力からもとにかく資本流入が継続してきた商品市場ですが、どうやら調整色が強まってきました。Gold以上のパフォーマンスを誇示してきたSilverに始まり、Cottonなどのソフトコモディティにも拡大の動きを見せる必要証拠金の引き上げなどの措置を受けて資本の流出が始まった格好です。

全般的にRISK-OFFバイアスが強まっている事になりますが、週初の11月15日(月)は今年の年末時点で投資元本を解約したい投資家がその旨を申し出る期限(45日前通知義務)ですので、最近の動きは迷っている投資家の背中を押す方向に動いている事にも留意する必要があるでしょう。当然ながら解約される分はファンドの資産売り、ドルの買い戻しとなる訳ですが年末までの45日間で行えばよいにも拘らず、今年は解約申し出が多いなどと言う噂が流れると市場が先んじて資産売りに動くと言う事も起こり得ます。

QE2直後にかなり売り込まれたオプション市場のVolatilityもここへ来て買戻しが目立っており、多くの市場参加者はちょっとフェイントを食らった格好となっているようですね。

2010年11月8日月曜日

Dancing between Goldilocks and Gridlock.

それにしても今回の米国の追加量的緩和の狙いは凄いと思います。

FOMCの発表内容は雇用増と物価安定という連銀マンデートの達成と政策措置を直接リンクさせており、事実上のインフレターゲット導入を打ち出したと読めます。そしてこのマンデート達成に向け、新たに6000億ドルの財務省債購入プログラムを導入することを発表したのですが、金融市場では5000億ドル程度はやるだろうと思われていたので規模的には上回った格好です。ただし期間は6ヶ月ではなく8ヶ月と言う事なので長期化した分単月の債券購入額は減少する事になります。

ただし、もともと予定されているエージェンシー債から財務省債への再投資が同期間で2500~3000億ドルの予定なので今回の6000億ドルと併せると合計が8500億ドル~9000億ドルとなり、月間で1100億ドルと言う規模になるのが味噌でしょう。

政府の新規再発行が月間1000億ドルというペースなので今後8ヶ月間はFRBが事実上新規発行債券を全て吸収することになります。これにより締め出された格好となる投資家達はイールドを求めて他のリスク資産を購入するしかなくなるのです。

今回の追加量的緩和(QE2)が量そのものよりもこうした強制的な投資資本の再配分にあると言う事は凄い事ですね。LSAP(Large Scale Asset Purchase)という名の下に強制的な資本のRe-allocationを起こすというのですから世界中の株式市場や商品市場が極めてBullishな反応をしているのも無理からぬ事でしょう。

まさに中央銀行がGoldilocks経済を演出しているのですが、前例のない壮大な試みだけに失敗すると米ドル暴落、ハイパーインフレーションと言った暴風雨を世界中にばら撒く事にもなりかねません。非常に微妙な舵取りが求められる事は間違いないでしょう。
 USDをDebaseしているとか、Currency WarではなくCurrency Crisisだとか、Anything but USD(USDだけはやめとけ)等と言う批判や不安も一部ではFOMC直後から噴出していますが、全体的にはUSDの売られ方もパニック的なものではなく株価上昇、コモディティも上昇、オプション市場のVolatilityは急低下という流れになっているので So far, so good という評価になるのかなと思います。

インフレ無き程よい成長(Goldilocks)とにっちもさっちも行かない状態(Gridlock)の狭間でFRBが打ち出した大勝負の行方を注視しないではいられませんね。

2010年11月7日日曜日

Top Fx Mover Last Week.

先週はまさにあり過ぎる位に注目イベントが凝縮された週でした。

1 米中間選挙 ⇒ 共和党圧勝。茶会革命(Tea Party Revolution)と評される保守勢力が急進。

2 FOMC ⇒ 市場の織込みを裏切らない規模の追加量的緩和を決定

3 ECB政策決定会合 ⇒ 欧州は緩和バイアスゼロ。緊急的に供給していた流動性の吸収姿勢 を示す。

4 日銀政策決定会合 ⇒ FOMC直後に日程を前倒ししての実施に様々な憶測が流れましたが、結局はFOMC後に市場が落ち着いていたせいか新たな決定事項は無し。

と言う具合に大きなものだけでも次から次にこれだけの材料がありました。

で・・・毎週の事ながら為替市場がどう動いたかを見てみましょう。

 通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 値幅(%)


①NZDJPY  64.66         61.58         +308         +4.76%


②AUDJPY  82.51        79.04          +347         +4.21%


③NZDUSD 0.7952     0.7660         +292         +3.67%


④CHFJPY   84.53       81.83          +270         +3.19%


⑤EURNZD 1.7636    1.8186         -550          -3.12%


⑥AUDUSD 1.0147    0.9834        +313         +3.08%


⑦CADJPY  81.30      78.83          +247         +3.04%


⑧GBPNZD 2.0360    2.0911        -551          -2.71%


⑨EURAUD 1.3825   1.4177        -352          -2.55%


⑩GBPAUD 1.5960   1.6305        -345          -2.16%

大きな総括図としては米FOMCの大規模な追加量的緩和(QE2)の内容が固まった事で株式市場、商品市場が上伸し、全体的に所謂RISK-ONと言われる動きが再浮上してきました。
 為替市場ではAUDが対USDで等価(Parity=1.0)を至言するなどドル売りの流れが進みました。その中で史上最安値を意識したのかUSDJPYだけは80円割れを視野に入れながらもドル売り円買いが進まなかったために上記の通り先週のTop10通貨ペアにはNZDJPY,AUDJPY,CHFJPY,CADJPYという4つのクロス円の上昇が入っています。先週はドル安、円安だったと言う事になります。

また資源国通貨の強さも圧巻で、先週の上位10通貨ペアは上記の通り9ペアでAUD,NZD,CADが上昇したと言う組合せになっています。対価はJPY,USD,GBP,EURですね。ここにはアジア通貨や中南米通貨は出していませんが、それらを含めたより大きな絵としてはG7通貨が弱く、アジア通貨、新興国通貨、資源国通貨が強いと言う流れが確認できます。

そんな中で、11日からはG20首脳会合(サミット)が始まるのですが、通貨安競争に歯止めをかける方向の議論が上手くまとまるのかどうかに注目していきましょう。

2010年10月31日日曜日

Off to an event-packed week 2

米中間選挙、FOMCが終了して週後半に入るといきなり日銀政策決定会合があります。実は日銀は10月28日に政策決定会合を終えたばかりなのですが、そこで「包括緩和」の一環としてETFやJリートなどの買取も行うと言う意向を表明するとともに次回の会合の開催を大幅に早めてFOMC直後の11月4日(木)からの二日間に前倒ししてきました。

為替では不可能と思われた日米協調介入ですが、ともに量的緩和に突っ走る日米の中央銀行が協調して何かを企んでいる可能性を感じさせる動きですので、中身の有無に関わらず市場には大きな影響を与える事だけは間違いないでしょう。

そして11月5日(金)のNY時間には10月の雇用統計が控えており、更にその週末にはギリシャの地方選挙があるはずです。これはさほど騒がれていませんが、緊縮財政で事実上の生活水準の切り下げを強いられている有権者の与党支持率の低さが与党の大敗北を齎す可能性があり、追い込まれた与党が解散総選挙に打って出る事になれば欧州不安の再燃にもつながりかねない話です。

このように週後半にもイベントが盛りだくさんということになるので金融市場からも全く目が離せない時間帯が続きそうです。

Off to an event-packed week 1

今週から11月なのですが、いきなり11月2日(火)に注目の米中間選挙があります。日本は11月3日(水)が文化の日で休日なのですが、場合によっては結構相場が動いてしまうかもしれませんね。

先進国はどこも景気が悪いので、共通した問題として与党の支持率がどうしても落ちますが、今回の選挙も民主党の苦戦は不可避な状況で勢い付く共和党には下院で過半数を制する可能性があり、最も強気の予想によれば上院をも制する可能性があるとの事です。

9月末時点での支持率で41%対51%と共和党に10ポイントのリードを許していた民主党は必死の巻き返しにより10月に入ってその差を5ポイントに縮めてきているようなのですが、肝心のオバマ大統領の支持率が40%後半を推移しており、更にTea Partyと呼ばれる保守勢力の著しい台頭により民主党に逆風が吹いていると言う状況です。

Tea Partyと言う勢力はやや複雑で”小さな政府”のコンセプトを掲げているので基本的には共和党よりなのでしょうが、実態はこの勢力を利用して指示を伸ばす民主党議員も少なくなく、寧ろ超党派的な保守勢力の結集というイメージに近いようです。

ところで共和党が結果的に勢力を伸ばし、上院、下院ともに議会を牛耳るとすると二つの可能性が浮上してきます。

一つはアジアへの影響です。これは読みにくいのですが、従来から基本構図としては民主党は親中反日、共和党は新日反中的なアジア戦略を取ってきました。その意味では民主党のオバマ政権において既にギクシャクし始めている米中関係は明確に対立の図式を強める可能性があるでしょう。

もう一つは米ドルです。現在支持を伸ばしている共和党のリーダー格の主力議員の多くはオバマ政権やFRBが推し進める米ドルの価値を暴落させかねない経済政策、金融政策を強く批判してきました。中間選挙で共和党が圧勝でもしようものなら翌3日から始まるFOMCで発表されるQE2(追加の量的緩和策)の規模感にも微妙な影響を与える可能性が否定できないでしょう。

週前半の米中間選挙とFOMCは歴史的な転換点にすらなり得る注目イベントと言えるでしょう。

Top FX Movers Last Week.

先週は市場の実働ベースで10月最終週である事や11月に第一週からBig Eventが集中している事などから全般的に調整的な値動きが先行し、後半から週末にかけては為替市場は乱高下を繰り返す難しい展開になりました。

一応最終的な週を通したパフォーマンスは以下のランキングになります。

 通貨ペア 先週終値 前週終値 変動幅(pips) 変動率(%)


①NZDCHF 0.7523       0.7291       +232     +3.08%


②GBPCHF 1.5752       1.5323       +429     +2.72%


③EURNZD 1.8186       1.8679       -493     -2.71%


④NZDUSD 0.7660       0.7464      +196     +2.56%


⑤AUDNZD 1.2828      1.3153      -325     -2.53%


⑥EURGBP 0.8693       0.8894      -201     -2.31%


⑦GBPUSD 1.6038       1.5683      +355     +2.21%


⑧GBPAUD 1.6305      1.5956      +349     +2.14%


⑨NZDCAD 0.7807     0.7657      +150     +1.92%


⑩CHFJPY 81.81         83.26        -145     -1.77%

この上位10ペアのうちで、上昇する通貨としての登場回数はNZD 5回、 GBP 4回、 JPY1回です。 一方で下落する通貨の登場回数はCHF 3回、 EUR2回、 USD2回、 AUD2回、 CAD1回でした。

非常に調整的な斑模様の相場展開だったことがわかりますが、AUDの脇役だったNZD, EURやCHFの脇役だったGBPの反発が顕著である事は11月入りを前に市場参加者がポジションを縮小してきていた事の証左だと思われるのと、基調としては米ドルに下落圧力、円には上昇圧力が掛かっている事がわかります。
 ひたすら金利低下が続いてきた金利市場にも調整圧力が強まっており、株式市場も上昇トレンドの継続には悲観的な材料が目立ち始めていますので為替市場で感じられる警戒感は金融市場全体を覆っていると言ってよいでしょう。

11月は第一週から重要イベント目白押しですので展開次第では久し振りの規模でVolatilityが上昇する可能性がありそうです。

2010年10月25日月曜日

A rare race that everyone does not like to win.

現在の金融市場の興味深いテーマは幾つかあるのですが、特に私は以下の二つに強い興味を感じています。

①我々が直面しているリスクは、ハイパーインフレーションなのかデフレーションなのか。

②通貨切下げ競争の仕掛け人且つ下手人は米国なのか中国なのか。

この二つのテーマは中々結論の出ないものですが、私の周りでも意外な人から意外な見解が飛び出したりする事も非常に多いと感じています。

G20財務相会議が終了したばかりですので今回は②の方を取り上げて見ましょう。

私が知る米国はずっと貿易赤字です。財政は黒字だった時代も知っていますが貿易収支はずっと赤字でした。米国自身は貿易赤字の解消は輸出を伸ばして輸入を減らす事しかないので米ドルは貿易黒字国の通貨に対してもっと下落するべきだと言う見方を堅持してきました。事実米ドルは長期的にずっと減価して来ましたが米国の貿易赤字をこれだけで大きく改善するほどの下落はしていません。従って米国人の中には米ドルの下落を阻む問題を取り除こうと言う短絡的な考えに走る人々も少なくありません。事実通常の二国間を考えると貿易赤字国の通貨を獲得した貿易黒字国はその通貨を売って自国通貨にExchangeするので為替市場では黒字国の通貨が上昇し、赤字国の通貨は下落するのですが米ドルの場合は何故か下落し難いと言う事情がずっと多くの人々を悩ませて来ました。

ここに"基軸通貨”の特殊事情があります。米ドルは泣いても笑っても事実上の世界の基軸通貨なのです。世界中どこに行こうが、裏路地のようなところに入って行こうが、米ドルの威力は絶大です。これを受け取ってもらえない事は極めて稀と言ってよいでしょう。
 また原油にしても金などの貴金属にしても殆どのコモディティ価格は米ドルで建値されるので世界中のどこの誰であっても国際市場でコモディティを調達するには先ずは米ドルを調達する必要があるのです。こうなると多くの人は他国への輸出で獲得した外貨は売却して自国通貨に転換しても米国への輸出で獲得した米ドルは備蓄するなり使用するなどして売却しないケースが増えていきます。つまり、米国の貿易赤字は世界中の地域や人々への事実上の基軸通貨である米ドルのマネーサプライのような役割を担って来たという事になります。

こうしてずっと基軸通貨である米ドルを備蓄してきた国々は米国が自国経済の事情のみで量的緩和を行って事実上米ドルの価値を低下させる政策を取る事に強い疑問を感じる事になります。通貨安戦争の仕掛け人は米国であると言う論拠はここにあります。

一方、中国ですが、こちらは米国のドル安容認による人民元高により自国の輸出産業が打撃を受ける事のないようにずっと人民元の価値を米ドルにリンクさせてきました。これがかつてのペグ製です。その後は米ドルやユーロを中心とした複数通貨のバスケットに連動させるように制度変更をしていますが、その詳細は明らかにしていない状態で、実は特段大きくは変えていないのではないかと言う見方も有力です。こうなると中国と”世界の工場”ステイタスや”安価なで優秀な労働力”で競合関係にある多くのアジア諸国が四六時中為替介入(ドル買い・自国通貨売り)によって自国の競争力を維持するという行動に出ますので本音では米ドルの秩序だった段階的な減価を望む米国の神経は大いに逆撫でされることになります。

アジア諸国が対中国での自国産業の競争力維持を目標にして為替介入を行っている以上、中国が人民元の切り上げなどを行えば、他のアジア諸国も対抗措置としての為替介入はしなくなるだろうと言うのが米国の読みと言う事になりますが、米ドルが世界の基軸通貨の役割を果たしてきた事に背中を向けて量的緩和で段階的な減価を仕掛けるのは無責任だと言うのがカウンターオピニオンということになります。

為替市場は通貨間の保蔵価値の競争と言う事になりますが、皆が自分の通貨には負けて欲しいという他にはあまり例の無いCompetitionということになりますね。

今の米中は、非常に微妙な関係にあるわけですが、韓国で行われたG20財務相会議の後に米国のガイトナー財務長官が中国に乗り込んで人民元と米ドルの問題を討議するという計画が明らかになっているので注目しています。誰もが勝ちたくない、出来れば負けたいという通貨レースの中で米中の”引き分け”の地点を探りに行くものと考えられます。中国からは人民元レートの変動柔軟化の前倒しか加速策、米国側からはQE2の段階化、予定規模の縮小などが交渉カードになるのでしょうか。

2010年10月24日日曜日

G20=G二十 or G二重 ?

さて、注目度の高かった週末のイベント、韓国南部の慶州という所で開催されていたG20財務相・中央銀行総裁会議が23日に終了しました。


採択・発表された声明文の評価は色々あるようで、その評価と実効性を巡る思惑が今週の金融市場の大きな材料となる事は必須でしょう。

どういう事が合意されたのでしょうか? ちょっと声明文をの骨子を見てみましょう。

・The G20 countries agreed to "move towards more market determined exchange rate systems"

・And "refrain from competitive devaluation of currencies."

・Agreed to be "vigilant against excess volatility and disorderly movements in exchange rates"

・Such actions would "help mitigate the risk of excessive volatility in capital flows facing some emerging countries." 

・The G20members will "pursue the full range of policies conducive to reducing excessive imbalances and maintaining current account imbalances at sustainable levels".

・There will be indicative guidelines to be agreed on current account balances to be rolled out at the meeting of 
G20 leaders in Seoul next month. 

以上の部分がポイントという感じかと思います。

①市場本位の通貨制度への移行。
②自国通貨切下げ競争の回避。
③通貨市場における過度の変動や無秩序な動きを監視する。
④新興国が直面する過度の資本流入・流出による過度な変動リスクの軽減。
⑤広範な政策を駆使して国際不均衡を維持可能な水準に維持し、減少に向かわせる。
⑥今後その推進及び評価のためのガイドラインを策定する。

と言うのが合意事項というところでしょうか。米国が今回の議長国である韓国を抱込んで共同提案した黒字国も赤字国も2015年までに経常収支をGDPの4%以内に抑えていこうと言う数値目標の設定は合意には至りませんでした。経常収支は大部分が貿易収支ですので内需・外需のバランスを取って貿易収支の勝ち負けを抑制すると言うガイドラインは、巨額の貿易黒字による外貨準備の備蓄を武器に軍備を増強し世界中の資源を買い集める中国を強く牽制する意図があるのは明白であり、当然ながら中国が最後まで強く反発した結果のようです。
 また準備不足からでしょうか、同様に貿易黒字国である日本やドイツも慎重姿勢を示したと言う事ですので11月のG20首脳会議(サミット)での合意も容易ではなさそうです。実際に財政収支は政府部門の話ですが一国の経常収支というのは民間部門の経済活動の結果ですのでこれをコントロールするのは容易でないのは事実でしょうね。

現時点では、「強制力は無い」、「抽象的」、「中身は乏しい」というような評価が目立っている印象ですね。ただし、軽視出来ないのが歴史的に見て結局はG7会合が転換点となって大きな潮流が変わってきたと言う事例が少なくないと言う事でしょう。新興国の台頭によりG20と形を変えていますが、その時々で同じように実効性が疑問視されても世界のリーダー達が示した方向性は大きな意味を持ち、有形無形の影響を市場に与えてきたのは事実です。

今週の市場は短期的な評価で動くでしょうが、中長期的な評価は市場に任せるしか無いのかもしれません。

新興国の経済発展を受けてG7からG20という形になって今年で5回目なのですね。通貨問題なども明らかにCO2排出問題と同じで、”先進国vs新興国” という構図になっている事が明白です。

世界の構造があらゆる切り口で先進国/新興国という二重構造化してきていると思うのですが、このG20の20というのも”二十”というよりは”二重”と読めるような気がする昨今ですね。

とんだ ”ちょうかん” 違い

先週後半には少し面白い動きがありました。

韓国のG20蔵相会議に臨む前の米国のガイトナー財務長官にインタビューしたWSJ(Wall Street Journal)紙の記者による解説(+憶測)記事を巡って相場が乱高下したのです。

インタビュー記事の目玉は二つあって、①米国はドルの減価を志向していない、②ユーロや円に対しては既に実現している以上のドルの減価は不要、と言うものでした。

①については、もう米国当局者による"強いドル政策”発言は米人カップル間で連発される”I love you"のごときものでとうの昔に文字通りの意味を失って久しいという事は皆知っていますので市場が騒ぐ事はありませんでした。

市場が大きく揺れ動いたのは②の方なのですが、これでドルは対ユーロや円に対して一時かなり買い戻されると言う現象が起こりました。事実米国の本音は今更欧州や日本を指差して不均衡問題を持ち出すことには何の興味も無いと思われ、むしろ欧州や日本とはスクラムを組んで対新興国に対して今や恒常化している為替介入(ドル買い/自国通貨売り)や資本規制などを撤廃させる圧力をかける事で自由な通貨市場における不均衡の調整弁としての通貨の役割を復活させたいと思っているはずなので市場も反応し易かったという背景もありました。

ところが実際にはガイトナー長官はユーロや円には言及しておらず、恒常的な介入や資本規制などで自国通貨にアンフェアなアドバンテージを与えている国々が問題と言う趣旨の発言をしている部分をWSJ紙の記者が行間を読む形でユーロや円を持ち出したという事だったようで、この話が伝わるとすぐに市場は対ユーロ、対円でドルを売りなおすという動きに回帰してしまいました。

この乱高下に巻き込まれた為替ディーラーは少なくなかったと思いますが、結果的にWSJ紙の言葉をガイトナー長官の言葉と取り違えてしまったと言う事なります。

とんだ、”ちょうかん”違いであり(長官、朝刊)、超勘違いとも言えるでしょう。

Top FX Movers Last Week

先週の為替市場の主要通貨ペアの値動き(変動率ベース)のランキングです。

総括すれば週末に韓国で開催されるG20蔵相会議において国際不均衡是正に向けた新たな国際通貨協調が議論されるとの思惑を巡る神経質な相場でしたね。


通貨ペア  先週終値  前週終値  変動幅(pips) 変動率(%)
GBPJPY    127.58       130.23        -265          -2.08%
CHFJPY    83.26         84.93          -167          -2.01%
GBPUSD    1.5683      1.5990        -307          -1.96%
USDCHF    0.9768       0.9587        +181         +1.85%
EURGBP   0.8894       0.8738        +156         +1.75%
EURCHF   1.3631      1.3399        +232          +1.70%
CADJPY    79.27         80.60         -133            -1.68%
USDCAD   1.0258       1.0100       +158           +1.54%
EURCAD   1.4314       1.4114       +200           +1.40%
NZDJPY     60.71         61.55        -84            -1.38%


円が最強通貨という週でしたが、95年4月以来の80円台まで円高が進んでいるUSDJPYはランクインしていません。USDも殆どの通貨に対して上昇しているので円高は主にクロス円で顕著に信仰したことになりますね。上昇した通貨は円が4回、ドルが3回、ユーロも3回、下落した通貨では、GBPが3回、CHFが3回、CADが3回、NZDが1回という構成になりました。

G20に向けたポジション調整と新たな通貨協調合意の可能性の動きの中でドル、ユーロ、円というG3通貨が気を吐いたと言うのは面白いですね。世の中がG7だけでは動かせなくなり、新興国に自覚と責任ある役割を果たしてもらうスキームを構築しないと立ち行かなくなっていますが、実際に今回の会議でも欧州がIMFの議決権を2つ手放して新興国に譲ると言う象徴的な出来事が起こる中でG7の中核を担って来たG3通貨が最後の(?)輝きを放ったという事だったのでしょうか。

2010年10月17日日曜日

Top FX Movers Last Week

先週の金融市場は前週末の雇用統計、IMF、G7という重要指標・イベントを消化して引き続き米国のQE2(追加金融緩和)の時期や規模に対する思惑を中心に動いていたと言えるでしょう。

さらに、Currency Warだの通貨戦争だのという言葉がメディアを賑わせるようになっており、国債不均衡是正に向けた正面切っての議論が遂に始まろうとしている可能性もあります。1985年のプラザ合意並みの出来事(これは米ドルの切り下げでした)を予感させるような動きも確かに出ている事は事実ですので何か世の中の仕組みを変えるような変革が起こる可能性もゼロでは無いと言う意識で今後数ヶ月の転回を注視したいところです。

先ずはいつものように為替市場の変動率基準のTop Moversを確認しましょう。

通貨ペア  先週終値 前週終値 変動幅(pips)変動率(%)

①AUDUSD        0.9905        0.9846         +59                   +0.60%
②USDJPY          81.45          81.92           -47                    -0.58%
③AUDNZD        1.3094       1.3024         +70                    +0.53%
④NZDJPY          61.55         61.87           -32                     -0.52%
⑤AUDCAD        1.0005       0.9954         +51                    +0.51%
⑥CADJPY         80.60         80.99            -39                     -0.48%
⑦NZDCHF        0.7242       0.7271          -29                     -0.40%
⑧GBPAUD        1.6136       1.6200          -64                     -0.40%
⑨USDCHF         0.9587      0.9625          -38                     -0.40%
⑩GBPJPY          130.23      130.73           -50                    -0.38%

この上位10ペアの組合せの中身を見ると上昇する側に登場するのはたったの3通貨です。AUDが4回、JPYが4回、CHFが2回です。AUDは終値こそ0.9905ですが先週遂に対ドルでのParity(等価)超えを達成して1.0003という高値をつけています。同じくJPYは前週のG7でMOF/BOJの介入行為に対して同情と一定の理解は得られたものの同意や支持は得られなかった事が明らかになっており、USDJPYは遂に80.88という安値をつけた後週末のショートカバーで81円半ばまで戻して引けた格好です。CHFは抜群の安定感を保っていますが、足元は完全な安全資産として資金流入が続いています。

一方で下落サイドの登場回数は、USDが3回、NZDが3回、CADが2回、GBPが2回となっています。

現時点で米ドルの先安感は払拭しがたく、ドル売り相場が継続している事は間違いありませんが、個人的には少し潮目の変化も感じているところです。漠然としていますが、ドルの全面安から選択的なドル安相場にギアがシフトしており、一部の通貨に関しては調整が入り始めていると言う印象です。特に中長期の目標ゾーンへの到達を達成したEUR(1.4を回復)、AUD、CAD(ともに対ドルで等価(Parity)を達成)等には調整も入り易いという要因もあるので今週の動きにも引き続き注意していきたいところですね。

2010年10月11日月曜日

Short $ extremes beget extremes.

まさに、Short, Shorter,Shortestという感じで市場参加者の保有するドルショートポジションが拡大中です。

CFTC(Commodity Futures Trading Committee=商品先物取引委員会)の発表するIMMの建玉は週次での公表となりますが、9月28日の週で2008年6月以来となる$22bioものドルショートポジションが注目を集めましたが、10月5日に発表されたデータでは、その規模は更に拡大して$30bioを越えた水準になっています。

FRBが11月か12月にもQE2(第二次量的緩和)に踏み切る姿勢を明確にして以来、世界の基軸通貨である米ドルの先安感が強まっており、既に外貨準備などで大量の米ドルを保有している世界中の中央銀行や機関投資家の間にドルの保有を減らしたり、ユーロなどへの分散を加速する動きが出ている事などが背景です。

更に中国が見せかけの制度改革を繰り返しつつ実質的には人民元を米ドルに連動させたままの状態を維持しているために米ドル安=人民元安と言う事になるので対中国での輸出競争力を維持するのに躍起となっている他のアジア諸国が大量の自国通貨売り+ドル買い介入を繰り返しており、この行為で増加した米ドルをユーロや円などに振り替える動きが止まりません。

欧州危機を経ても尚、こうなると米ドルの代替候補の一番手となるのがユーロなのですが、ユーロは5月に1.1875まで下落した後、今月に入りまさかの1.40台回復を実現し、1.4030を高値にこれを書いている時点で1.39台後半での取引となっています。

このIMM市場の建玉のユーロロングのサイズですが、9月28日のデータでは約35千コントラクトとなっており、前週の約5千コントラクトから一週間で7倍もの激増をしていたのですが、これが10月5日のデータでは更に増えて48千コントラクト強となっています。先物市場におけるユーロの買い持ち規模は2週間で10倍弱になっているというのがこのデータのキモであり、これはやはり尋常ではないと言わざるを得ないのではないでしょうか。

参考にその他の通貨の先物市場でのロングポジションの推移は以下の通りです。
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通貨 9月28日データ  10月5日データ


円 28,666 contracts    49,206 contracts


GBP  -2,194 contracts       9,403 contracts 
(これはショ-ト⇒ロングですね)


CHF   19,993 contracts       22,599 contracts


CAD   27,870 contracts       42,678 contracts


AUD   11,866 contacts        12,835 contracts


NZD   17,270 contracts       16,334 contracts
(これはロング減少)


MEX  66,591 contracts        85,764 contracts
(南米も新興国。メキシコペソも人気ですね)
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今の状況を見ていると、Beget(生み出す)という動詞が心に浮かびます。

Money begets money. Enthusiasm begets enthusiasm.というのはバブルの発生過程です。お金がお金を生み、熱意が熱狂を生む。リスクの傾きは尋常ではなくなるのですが、ここはもう降りたもの負けのチキンゲームのようになってきているかもしれません。Extremes beget extremes.というやつですね。

勇気ある恐怖心を持ってきっちりリスク管理をしたいところです。
A brave( wise) fear begets care.!!

2010年10月10日日曜日

Top FX Movers Last Week

先週は主要国の金融決定会合が目白押しで、週初からBOJ,RBA,BOE,ECBと続き、経済指標としては金曜日に米9月雇用統計の発表、そして直前になって俄然注目度を増したイベントとしてワシントンでIMF,G7会合が開催されると言う材料目白押しの週でした。

先ずは結果が全てと言う事で、先週の主要通貨ペアの変動率Top10を並べてみましょう。

通貨ペア  先週終値 前週終値 変動幅(pips) 変動率(%)


①USDJPY          81.92         83.22           -130                  -1.59%
②NZDUSD        0.7555       0.7439         +116                 +1.54%
③AUDUSD        0.9846       0.9722         +124                 +1.26%
④USDCHF         0.9625      0.9735          -110                  -1.14%
⑤EURUSD        1.3937       1.3790         +147                  +1.05%
⑥GBPUSD        1.5960       1.5817         +143                  +0.90%
⑦USDCAD       1.0107       1.0194           -87                    -0.86%
⑧CADJPY         80.99         81.58             -59                   -0.73%
⑨NZDCAD       0.7636       0.7583           +53                  +0.69%
⑩GBPJPY         130.73      131.60            -87                    -0.67%

ある意味で情け無いの一言のような気もしますが本邦当局の介入も虚しくドル円の下落がトップになってしまいました。実はAUDやEURは円よりも走っていたのですが、週末の調整時に結構値を戻してしまっており、週の終値ベースではこのような順位になっています。つまりドル円はEURやAUDなどがドル売りで突っ走る時にはそれなりに下値が持ち堪えているのですが、ドルが調整的な反発に転じてEURやAUDが後退するような局面においても円売りはあまり出ないと言う状況なのです。実際にチャートなどで見ても明白なのですが、ひたすらダラダラと下げていると言う印象です。

週初のBOJ会合ですが、これはPositive Surpriseという評価が多いですね。実質的にゼロ金利政策に回帰してバランスシートの拡大や時間軸の長期化と考えられたカードを出し惜しみせずにセットで切って来たと言う結果となっており、金融政策の美学を優先して実体経済への危機感が欠如していると言う批判が強かった白川総裁体制下のBOJとしては出色の出来だったと言う評価になっています。市場はこれで一旦は円安に振れましたがその日の高値が83.99と84円すら回復出来なかったという失望感が週末の81円台への序曲となってしまいました。

RBAは利上げ期待を裏切る据え置きで、AUDが大きく反落しましたが、その後の雇用データが予想を大きく上回る強い内容であったことと米雇用統計の不調を受けて大きく復活して終了しています。BOEはバランスシート拡大せずという内容でGBPが買われ、ECBも量的緩和に走る日米とは一線を画す内容でEURが対ドルで1.4台を回復する局面もあるほどの上昇をしています。

今の為替市場はある意味で極めて単細胞的な動きをしています。経済実態を考えると金融緩和が正しいと思われる先進国が多いのが実態なので、利下げなり量的緩和なりと踏み込んだ国の方が景気回復が期待出来るという側面があるのですが、今はそれを躊躇して緩和をしない国の通貨が強いと言う流れです。金融政策の方向性や弾力性ではなく単純な目先の金利に最も反応しているという事ですね。

ここから暫く市場は結構Volatileになりそうです。

2010年10月3日日曜日

To intervene in MOF/BOJintervention.

月末に公表された日銀の介入データが注目されています。

これによると9月の介入規模は2兆1249億円でした。

9月15日の介入規模は下馬評で2兆戦程度ではないかと考えられていたので、市場参加者の予想比では大きな数字だったと言う評価です。
当局は9月15日には市場介入の事実を公表したものの、その後は沈黙を保っているのですが、今回の数字を見て当局はその後も水面下では小規模に介入を継続していたのではないかと言う憶測も浮上しているようです。

この介入の回数が明確になるのは数ヶ月先の話になるのですが、私個人的には恐らく9月の介入は15日の1回だけだったのではないかと見ています。またその後も水面下での介入努力(=覆面介入などと言われます)をしていたとしても、していないにしても結局は多くの輸出企業の半期決算を大きく左右する9月末の為替レートを防衛し切れなかった事は実需筋の市場参加者にとっては大きな失望となった可能性を危惧しています。(是非論は別として)

前項にも書いたとおり、先週末時点でドル円は83円20銭レベルになっています。9月15日には83円を割り込んだところで介入が断行されて一気に86円超え寸前まで押し戻す事に成功した訳ですが、今週は介入効果がほぼ帳消し状態でスタートすることになり、週初から始まる日銀の政策決定会合の結果や財務省の介入スタンスなどが新たな円高圧力によって試される展開が不可避となっています。


USDJPY DAILY










中央の大陽線が9月15日の大規模介入です。その後はダラダラ下げ続けてしまい、先週末時点で殆ど全戻ししてしまっているのがわかると思います。ちょっとまずい・・・そんな感じです。

FX Top Movers Last Week.

先週も米ドルが続落する展開でした。

9月の後半は本邦当局が6年半の沈黙を破って円高是正目的の円売りドル買い介入を断行しましたが、それ以上に米FOMCが必要があれば11月にも量的緩和第二段に打って出るという意向を明確にした事が金融市場にとっての大事件になっています。

この米国の量的緩和第二段ですが、二発目の量的緩和(Quantitative Easing)と言う事でQE2と表記される事が多くなってきました。これが金融市場に与えたインパクトは想像以上だったと言えますが、その理由はこのQE2のSpeed感とScale感にあります。
Scaleに関しては既に1兆ドル規模を超える可能性も出ているのですが、1ドル=85円として85兆円規模と言う事になります。更にQE2はLSAP方式(Large Scale Asset Purchase)という方法で行われる可能性が高いのですが、これは広範なリスク資産を大規模に買い上げる方式ですので資産効果を経由した経済活力浮揚効果は相当なものになるはずです。Speed感でもこれを1年程度でやっていこうと言う事ですので物凄い事です。

日本の9月15日の為替介入規模が約2兆円で、1国の中央銀行が単独で行った介入としては史上最大でした。これで市場に放出された円資金を日銀が全く吸収しないという前提(=介入資金の非不胎化)で考えて、それを42.5回やるイメージが85兆円です。毎月3回~4回あれだけの規模の介入をやると言う事になったらまさに経済システム内を円資金の津波が駆け巡ると言う事になるでしょうが、まさにFRBは米ドルでそれをやろうとしている事になります。

これを受けての米ドル下落、資産価格上昇という動きが進行中なのですが、通貨毎に見てみると対米ドルでの上昇規模や速度にはかなりのばらつきも出始めています。

以下が先週の主要通貨ペアの変動率ベースTop10です。


 通貨ペア  先週終値 前週終値 変動率(%) 変動幅(PIPS)                        
EURGBP          0.8715     0.8524          +191    +2.19%

EURUSD           1.3790           1.3488               +302     +2.19%

EURCAD          1.4057           1.3809               +248     +1.76%

GBPAUD          1.6262           1.6491               -229     -1.41%

NZDUSD          0.7439           0.7336               +103     +1.38%

GBPNZD          2.1248           2.1541               -293     -1.38%

AUDUSD          0.9722           0.9590               +132     +1.36%

EURCHF           1.3426           1.3260               +166     +1.24%

GBPJPY           131.60           133.22               -162     -1.23%

USDJPY           83.22              84.20                  -98        -1.18%

欧州復活には程遠い状況だと思っていますが、とにかくEURが強いです。この通貨は対ドルのみならずあらゆるクロス取引で売り込まれてきただけに、新たな米ドル下落シナリオの台頭を受けて先ずは物凄い勢いで買い戻されているという背景がありそうです。

また9月15日には市場に強烈なメッセージを送る事に成功した本邦金融当局による円売りドル買い介入でしたが、上記の通り先週は83円割れ寸前のところまで反落して終了しており、本邦介入後に出てきた米国のQE2という材料によってドル円の水準もほぼ本邦の為替介入実施時点の円高水準にまで戻って来てしまいました。

今週からは、足元のドル安の動きの中で、大規模な介入努力が水泡に帰した格好の本邦当局の介入姿勢にも大きな注目が集まる事になります。

2010年9月26日日曜日

MOF intervention : A Job WELL-DONE leaving FX Market MEDIUM-RARE

9月15日(水)の実に6.5年振りという本邦当局(MOF/BOJ)による円売り介入はその手際と規模感ともに見事な手際だったと思います。

市場は菅政権が民主党代表選における小沢陣営からの「菅政権は円高に無策」という攻撃をかわすためにむしろ代表選の投票前に円売り介入が執行される可能性を警戒していましたが、結局は介入は行われませんでした。流石に民主党は市場介入を党内政局に利用したと野党から批判されかねない事や介入が効果を発揮しなかった時には菅陣営の致命傷になるリスクも大きかったので結果的には党首選までは寧ろ動き難かったという事情もあったようです。

14日(火)には菅陣営の勝利が決まり(予想外の圧勝でしたね・・)、市場は菅陣営の勝利なら円高、債券高、株安という事前シナリオ通りに動き始めました。
円高に関しては15日(水)には遂に83円も割り込んで82.87まで下落して一気に80円を目指すかのような勢いすら出たところで今回の為替介入劇の幕が切って落とされたのでした。

このタイミングは見事だったと思いますが、それ以外にも今回の介入を効果的なものにした要因は複数指摘できます。一部メディアも混乱しているところがあるようですが、日本の場合は為替介入は財務相(MOF)が決断するものであり、日銀(BOJ)はその執行機関でしかありません。今回も当然MOFからBOJに介入指示が出された訳ですが、両者の連携は非常に円滑且つ一枚岩になっていたと思います。
介入は2004年以来で6.5年振りとされていますが、MOFもBOJも所謂”お役所”であり、働いている人々も”お役人”さん達ですので定期的な人事異動により流石に6.5年も経っていれば介入実務の経験者は現場にはいないと言う話は有名になっていました。それが比較的最近の異動では数名の実務経験者が現場に”呼び戻されていた”事が判明していて為替業界では当局の警戒態勢が高まっていると言う認識が広がってはいました。

しかし、9月15日(水)というのは米国で人民元の切上げが遅々として進まないことに業を煮やした議会が中国を為替操作国に認定するかどうかの公聴会が開かれる直前でしたので、ここで介入が実施される可能性は殆ど有り得ないという認識も共有されていたのです。

ドル円が82円台に入ったのはそんな背景があったのですが、それだけに介入断行のタイミングは絶妙で、流石に金融市場には激震が走りました。ドル円は82.87から一直線に85.78まで急騰し、単日で2兆円規模の介入となった事に敬意を払った市場では16日(木)、17(金)に85.94まで円安が進み、ドル円は86円手前で越週することになりました。

So far, so good. 1つの中央銀行の単独介入規模としては一日で2兆円規模というのは歴史的にも間違いなく新記録だそうです。

ただ、ここからがいけません。当局には頭の良い人が多いと思うので、私ごとき一介の投資家が思いも付かないような戦略があるのかもしれませんが、個人的な経験からも先週の沈黙にはやや疑問を感じています。勿論、市場が値持ちしていれば話は別ですが、86円目前で始まった先週は結果的に84円割れ寸前まで円高に戻って越週しており、15日の2兆円規模の介入は何だったんだろうと言う雰囲気に包まれています。

実は金曜日の東京時間に介入かと思わせるドル円の一時的急騰がありましたが、これはほぼ間違いなく市場の勘違いで一部邦銀ネーム(複数と言う説も)がM&A案件がらみで執行した大口の円売り取引を見て市場が勝手に盛り上がったと言う背景だった可能性が高いようです。これは裏を返せばそれだけ市場参加者が”そろそろ第二段があってもおかしくない”と考えていたと言う事であり、実際に相場は84円台まで円高になっていたのでそう思うのも当然だったと言えるでしょう。

今回はECBやFRBなどの援軍が期待できない(協調介入ではない)、単独介入なので、成功させるためのポイントは市場自体を味方に付ける事しかありません。為替市場の重層的な規模感を考えればいかなる当局も、間違っても自分達が市場をコントロールし続けられると言う錯覚は持たない事です。寧ろ市場にメッセージを出して理解させて、そのメッセージを裏書するようなぶれない対応を継続する事で市場はある意味では味方に付けることが出来るはずです。円高による収益圧迫に困っている輸出業者や投資家という実需勢を守りたいのなら、尚更投機筋をこそ味方に付けるべきでしょう。

海外の論調も早くもMOF/BOJのCredibilityが試されていると言う論調が目立ち始めていますが、先週の沈黙が余計にゲームを複雑で難しいものにしてしまったと言っても過言ではないでしょう。

今回の標題のように、初仕事はWELL-DONEでしたが、市場は生焼け状態で期末週に突入です。

Top FX Movers Last Week

先週の為替市場も結構な動きでしたね。

基本的には週央に米国で行われたFOMCで11月に追加の量的緩和策が実施される可能性が強く示された事で米国景気の二番底懸念が後退し、この米国経済が腰折れはせずに世界景気もサポートされるという安堵感から株式市場や新興国・資源国市場に大量の投資マネーが雪崩れ込む動きとなっています。為替市場では米ドルが全面安ですね。

一方もう一つの特筆すべきポイントは前週に本邦金融当局が6.5年振りの円売り介入を断行した事で一旦は円安に触れていたドル円が先週は再び円高方向に戻してしまっている点です。別項で取り上げたいと思いますが、9月15日(水)の手際が見事だった本邦MOF/BOJですが、先週からは為替市場とのコミュニケーションを失敗し始めているような懸念が強まっています。金曜日には大きく市場が円安に振れる場面もあり、一部メディアが2回目の介入が行われたような報道もしていましたが、どうやら介入行為は無かった可能性が高く、梯子をはずされた格好となった市場参加者は海外市場で円を買い戻す動きに出ています。

通貨ペア 先週終値 前週終値 変動幅(PIPS)  変動率


 ①   EURUSD       1.3488           1.3048            +440        +3.26%


 ②   USDCHF       0.9829           1.0096            -267         -2.72%


 ③   EURCAD       1.3809           1.3475           +334        +2.42%


 ④   AUDUSD       0.9590           0.9360           +230        +2.40%


 ⑤   EURNZD       1.8365           1.7971           +394        +2.15%


 ⑥   EURGBP       0.8524           0.8346           +178        +2.09%


 ⑦   USDJPY        84.20             85.85             -165          -1.96%


 ⑧   CADCHF       0.9595          0.9772           -177          -1.84%


 ⑨   AUDCAD       0.9819          0.9666           +153        +1.56%


 ⑩   NZDCHF       0.7209          0.7320            -111         -1.54%



今週は本邦の上半期末となっており、9月30日(木)の水準を意識した神経戦となりそうです。先週終盤は米ドル全面安でしたが、多くの通貨が対ドルで短期的にやや買われ過ぎ水準にある感じがするのでドルが自律反発する局面があれば当局も押し上げ的な介入の好機となりそうです。

2010年9月19日日曜日

Top FX Movers last week.

前項の通り、本邦当局が6.5年振りに円売り介入を実施した事により先週の為替市場では大きな値動きがありました。

もともとドル安地合いでの円安なのでドル円そのもの以上にクロス円での円安が目立ちます

 通貨ペア 先週終値 前週終値 値幅(pips) 変動率(%)
①EURJPY   112.03   106.70   +533     +4.76%



②GBPJPY   134.17   129.19   +498     +3.71%


③EURNZD     1.7971       1.7391       +580             +3.23%


④CHFJPY    85.01   82.50    +251     +2.95%


⑤AUDJPY    80.33     77.97      +236             +2.94%


⑥EURUSD     1.3048      1.2679       +369             +2.83%


⑦EURCAD     1.3475      1.3140      +335             +2.49%


⑧CADJPY       83.08        81.15       +193             +2.32%

⑨GBPNZD     2.1526      2.1064      +462             +2.15%


⑩USDJPY       85.85        84.16       +169             +1.97%

介入の対象であったドル円はやっと10位に入った程度ですが、これは一旦大きく下落してから大きく戻したと言う理由がありますね。

さて・・・始める事よりも止め方が難しいのが為替介入です。今週以降も目が離せませんね。

FX Weekly Recap (9/13-9/17).

先週は何と言っても本邦金融当局による2004年以来6年半振りの円売りドル買い介入が断行されました。非常に効果的な介入第一弾だったと思います。週末まで相場は安定的に円安方向に動いた訳ですが、ちょっとReviewして見ましょう。

1 前週末~先週初の動き

中国の経済指標が強かった事、銀行の資本増強を義務付けるバーゼル会議での新基準バーゼルⅢの内容が自己資本増強幅も適用までの時間的猶予も金融機関に寛容な内容だと解釈された事から世界景気や金融機関の先行きに楽観的なムードが台頭しました。
 これによって週明けの金融市場ではリスク資産が好調なスタートを切るRisk-on的な動きになりました。

2 週央にかけて

世界中から注目された民主党の党首選ですが、予想以上の大差で菅氏の勝利となりました。元々掲げる政策などの違いから、菅氏の勝利なら円高、債券高、株売り、小沢氏の勝利なら円安、株高、債券安という認識が共有されていたために菅氏の勝利を受けて金融市場はシナリオ通りに円高、債券高、株売り方向に反応を開始しました。

3 9月15日(水)

実はリーマンショックのアニバーサリーでもあるこの日は、最も危険な日付でした。と言うのも菅氏の勝利直後で内閣改造を控えて各官僚は身辺整理に忙しいはずでしたし、また米議会では中国を為替操作国に認定するかどうかの公聴会が開かれるところでしたので流石にこのタイミングでの円売り介入は憚られるという状況だったからです。
 市場はこのタイミングで円買いを加速させ、遂にドル円は82円台に突入した後少し戻して83円を挟んだ揉み合いとなりましたが、程なくMOF/BOJが6年半振りの為替介入を断行し、不意を突かれた格好で為替市場では一大ショートカバー大会が始まりました。前述の通り一時は82円台であったドル円はここで85円台まで上伸しています。

4 週後半

中日米欧が事実上の通貨安競争の様相を強める中で、豪州のRBA,カナダのBOC,ニュージーランドのRBNZと資源国の中央銀行からも自国経済の先行きにDovishな声明が相次いで発表されました。これを受けて資源国通貨(AUD,NZD,CAD)が失速、反落という流れとなりアジアや中南米などの新興国通貨も追随し始めました。
 
総括すると、元々ドル安という流れが加速しかけていたところで週央に日本のドル買い介入が実施され、当初はドル安、円安という流れになりかけましたが、やがてその他通貨が反落し始めて週末時点では欧州通貨や資源国通貨にも下値不安が出て来たと言う状況です。依然として介入警戒から円の上値が限られる中で最終的にはドルの下値が徐々に固まってきていると言うイメージで越週しています。

色々ありましたが、やはり15年振りの円高が6.5年振りの本邦介入を呼び込んだ事が最大の出来事でした。また9月15日というリーマンショックのアニバーサリーデートでの一大事は何か象徴的だと感じるのは私だけではないのではないでしょうか。

2010年9月12日日曜日

Celebration of Life-2

It's already been 9 years..........

毎年9月11日には深い感慨がありますが、2001年の同時多発テロから早くも9年の歳月が経過しており、来年は10年目のアニバーサリーとなるのかと思うと少し驚いてしまいます。

振り返れば大した起伏もなく、両親をはじめとして多くの人達に守られて極めて平坦な恵まれた道を歩んで来れたと思って感謝していますが、そんな自分の人生にとって危機でありある意味で転機にもなったと思える出来事が二つあります。偶然ですがその二つとも9月でした。

2001年の9月11日のテロですが、私はWorld Trade CenterのNorth Towerにいました。最初の飛行機が突っ込んできた方のビルです。数名の仲間と下っていた非常階段の破損が激しく、壁にも亀裂が入って天井と壁から水が噴き出すような状態でしたが、何とか2系統あった非常階段を梯子する形で無事に非難することが出来ました。少なからぬ同僚、知人、そして親友を見送る事になりました。

2004年の9月には年齢的にも当時の自分に起こるとは考えた事も無かった癌が見つかり、緊急的に手術をしました。その後約一月の間毎日放射線療法というものを受けましたが、医師からはその後5年間再発も転移も見つからなければ、少なくとも今回の癌は治癒した事になる事、その後この病気にかかる可能性は他の人達と同じで、要するに予備軍ではなくなると言う説明を受けました。
 その5年後と言うのが昨年2009年の9月だったのですが、幸いにして再発はしておらず、少なくとも一つの節目は越えることが出来たのだという思いを噛み締めました。

今年の9月には、生かされていることに感謝して何か一つでも生命を救うとか育む事に関与したいと思ってきましたが、丁度子供たちが犬を飼いたいと希望していたので7月位から色々調べてきました。

生命を救うと言う事に拘って、ずっと保険所などで引き取り手がいないと安楽死処理されてしまうような犬をと思っていたのですが、なにやら複雑で条件も色々あるようで初めて犬を飼うという家族には色々と難しい点もありそうでしたので近場のペットショップにも相談に行っていたのですが、先日丁度当方の理想にぴったりの候補が見つかり、その時点で手続きすると何時ごろ貰えるかという質問をしたところ9月11日だという回答があり、何らかの巡り合せの様な気がしてその場で手を打ちました。

そして昨日、9月11日に遂に小さな生命がやってきました。















7月生まれのPuppyです。トイレトレーニングなど全てが試行錯誤で、早速絨毯の上にかりんとうのような糞を落とされたりしていますが、うちに飼われて不幸だったと言うことにならないように頑張ってみたいと思います。

Celebration of Life-1

先週は台風の影響で日本各地でゲリラ豪雨と言われる程の大雨などもあったのですが、その直後こそ秋の気配を感じる爽やかな気候となったものの、二日ほどであっさり猛暑日に戻ると言う有様で、いったいこの夏にかいた汗の量は如何程だろうかと思ってしまいます。

ところで植物の多くは気候や日照時間の変化から時間の感覚を把握するようで、冬でも電気で日照時間を延ばしたり温室等で高温を維持すれば夏の花を咲かせる事も出来る訳ですが、昆虫などは絶対的な時間間隔を持っているのでしょうか、今年はこんなに真夏日が続いているというのに9月に入ると例年通り力尽きたセミが路面や駅のホームなどに落ちているのをよく見かけるようになりました。まだ半分位は生きていてちょっと刺激をしてあげると驚いて飛んで行ったりするのですが直にまたどこかで静かに横になると言うパターンを繰り返し、やがて土に帰ります。

私は今年も子供たちとカブトムシを飼っていたのですが、8月下旬には突如メスが他界してしまいました。昆虫に情があるかどうかは知りませんが、その後オスにも明らかな変化があり、元気に動き回ってはいるものの餌をあまり食べなくなって行くという状態が続き、程なくオスも動かなくなってしまいました。

子供たちと一緒にメスのお墓を作ったすぐ横にオスも埋葬する事として、飼育していた容器の中の腐葉土を盛り土のようにしてこのカップルを弔う事したのですが、そこでサプライズがありました。


今我々の手の中にたった二匹ですが、旅立ったカップルの忘れ形見が残りました。恥ずかしながら何となく・・・胸に来る出来事でした。

The past is history, the future is a mystery and today is a gift - that is why they call it "the present".

と言う言葉が思い出されます。 カブトムシのペアは立派に彼らの歴史を作り・共有し、彼らの今を立派に生きて、今その証を残して旅立った・・・というような気持ちになりました。

Celebration of Life........

Top Fx movers last week.

先週の主要通貨の変動率トップ10は、こんな感じです。

 通貨ペア  先週終値 前週終値 変動幅(Pips) 変動率(%)



①EURNZD     1.7391       1.7885         -494          -2.84%


②EURAUD     1.3680       1.4066        -386           -2.82%


③EURCAD     1.3140       1.3392        -252           -1.92%


④EURJPY       106.70       108.69       -199           -1.87%


⑤GBPNZD      2.1064      2.1429       -365           -1.73%


⑥GBPAUD      1.6569      1.6853       -284           -1.71%

⑦EURUSD      1.2679      1.2895       -216           -1.70%


⑧AUDCHF     0.9447      0.9313       +134          +1.42%


⑨NZDCHF     0.7422      0.7318       +104          +1.40%


⑩EURCHF      1.2928     1.3104        -176          -1.36%

先週の動きを総括してしまえば、欧州通貨失速、資源国通貨上昇、円は膠着という図式になると思います。上記の10通貨ペアの組合せも基本的にその枠組みで説明し切れると思います。

欧州通貨の失速に関しては週初のWSJ紙にイラスト入りで欧州が行った金融機関のStress Testの内容を疑問視する記事が掲載された事がキッカケで、特に当初はCEBS(欧州銀行監督委員会)が沈黙を保った事からEUR売りが先行しました。しかし、週央になって同委員会が様々な機関がそれぞれの基準で算出したデータを詳細に比較する事は意味がないとする反論を出してきた事で週後半にはEUR売りも一服していますが、金曜日は北米市場の終了間際になって新たにドイツの金融機関の資本増強の必要性が明らかになってEURが売られて終了しています。

堅調だった資源国通貨は、カナダが利上げをし、先行きにもHawkishな声明文を出した事や豪州の雇用統計が予想以上に強かった事などが原因ですが、不安材料を敢えて挙げれば中国の金融引き締めの可能性や先週は堅調でしたが出来高が極端に少なかった株式市場の下値不安と言う事になるでしょう。先週はユダヤ休日やイスラムのラマダン明けの祭典などもあって幾分参加者が減っていたと言う指摘もありますので今週の動きを注視しましょう。

それにしても日本は一向に涼しくなりませんね・・・・

2010年9月5日日曜日

A historical cross-over may be here.

 EWI(Elliot Wave International)に興味深い記事がありました。
米国の長期債利回りとDow Jones構成銘柄の平均配当利回りとを比較しているのですが、もともと1800年代から株式の配当利回りが長期債利回りよりも高かったものが1959年に逆転したまま現在に至っています。
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  このチャートの通り1959年に長期債利回りが株式の配当利回りを上回って以降は以下の通りそのまま現在に至っています。
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そして今、2010年に起きている事は言うまでもないでしょう。
この両者が約50年ぶりに交差しようとしているのです・・・・というか既に遭遇し始めていますよね。
現在ダウの平均配当利回りが2.7%でほぼ現状の10年債利回りと一緒です。つまり投資家にとって利回りという観点からは株式への投資と債券への投資は全く遜色ないということになります。
では、投資家はどうするのでしょうか?常識的に考えれば次のようになるはずです。
1 景気回復⇒株式への投資のほうがベターと判断
2 景気後退⇒債券への投資のほうが安全と判断
言うまでもなく1はクレジットリスクも取るし、強気の投資です。要するにRisk-onの潮流につながります。
一方で2はクレジットリスクは取れないと言う判断で安全資産を選択するわけですね。要するにRisk-offの潮流です。
Riskのon/offという潮流は歴史的な転換点とも重なってきわめて重要な局面を迎えていると考えれられるでしょう。
今月の債券と株式の綱引には従来以上に注目していきたいと思います。