2012年1月9日月曜日

What Counts is What They Count.

欧州の混乱継続を尻目に年末から年始にかけての無視出来ない傾向として米国の指標が軒並み改善していると言う点があります。

先週末は注目の12月米雇用統計の発表がありましたが、やはりこれも改善していました。この指標はブレが大きく”裏切りの歴史”を挙げれば枚挙に暇が無いのですが今回は市場の事前予想を裏切らなかった格好です。

12月失業率 : 11月 8.6%(今回 8.7%に修正)⇒12月 8.5%
12月非農業部門雇用者数 : 11月 +12.0万人(今回 +10.0万人に修正)⇒12月 +20.0万人



いずれも強めの事前予想をも上回る改善と言えます。

失業率は、2011年の1月は9.0%で年間のピークは6月の9.2%でしたので、そこから半年で8.5%に改善した事になります。

ただし、最近の雇用データの改善はやや心配な側面もあり、数字通りのポジティブな評価だけでは終わらない気がしています。

求職期間の長期化により妥協的な就業が急増しているようです。

 求職中だった私の知人も前職よりも大幅に所得水準の低い職に就きました。
 「流石にこの状況は続けられない。何がしかでも家計にFeedしていかないと生活が破綻する」と言う連絡には深く考えさせられました・・・・・。
  従前から言われていたことですが、米国の状況は決して求職が無いと言う状況ではなくて探しているような条件が見つからないと言う人々が殆どだった訳です。私の知人のように1年以上の期間を経て生活水準を切り下げて生きていく事を受け入れ始めている人々が多いと言うのが失業率の低下、新規就業者数の増加なのだとすれば複雑な思いになります。

・結果としての就業貧困(Working Poor)の増加。

 先日TVで観た報道番組で、職には就いたけど住居が無いとか家族を十分に養えない人々の事例を見て驚きました。職に就きながら、米国における生活保護の一種であるFood Stampの支給を受けている人々が急増しているようです。私が見た事例では月に$400ほどが支給されていました。
  別のレポートによれば、今の米国では国家公務員と地方公務員にFood Stampを受給している家計を加えると実に全米の全家計の50%を超えると言うデータがあるようです。

こういう背景があることを考えれば雇用統計以外の指標の改善も同様の背景を背負っている可能性もあり、ストレートに投資意欲が改善するような展開を想定するべきではないように感じます。

標題どおり、重要なのはカウント結果ではなく実体内容であり、カウントされるもの、されないものまで見て行く必要があるということだと思います。