2013年7月28日日曜日

A Trend Defining Week?

今週は7月⇒8月への橋渡し週ですが、重要イベントが目白押しとなっています。金融市場の動向に関しても目下の注目材料となっているイベントも多く、相当な重要週となる事は確実な状況です。

主だったところだけでも整理しておきましょう。

・ 7/30(火)

(独) 7月消費者物価指数・速報

・ 7/31(水)


(独) 7月失業者数

(独) 7月失業率

(欧州) 7月消費者物価指数・速報

(欧州) 6月失業率

(米) 7ADP全国雇用者数

(カナダ) 5GDP

(米) 第2四半期GDP・速報値

(米) 7月シカゴ購買部協会景気指数

(米) FOMC政策金利発表(米)


・ 8/1(木)

(英) 7PMI製造業

(英) BOE政策金利発表

(欧州) ECB金融政策発表

(米) 新規失業保険申請件数

(米) 7ISM製造業景況指数


・ 8/2(金)

(英) 7PMI建設業


(米) 7月雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)

欧州、英国、米国の金融政策決定会合が揃い踏みする上に米雇用統計が最後を締め括るという事ですから、いつ何時、何がサプライズになって市場が動意付くか目が離せない週になりそうです。

Review of the Week(7/22 - 7/26 2013)

7月22日(月)~26日(金)までの金融市場の簡単な総括です。

1 Key Events.

①本邦参院選の結果と海外勢の解釈

・多くの本邦勢にとっては与党の勝利とねじれ国会の解消は想定通り。

・一方海外では予想以上に自民党が単独過半数を獲得出来なかった事がPlay-upされた印象。

②主な経済指標

・カナダRetail Sales(5月)絶好調 ⇒ Headline salesで+1.9%(市場予想+0.3%)

・豪州第二四半期CPI減速 ⇒ +2.4%(市場予想+2.5%)で9月の利下げ観測再燃?

・中国7月HSBC製造業PMI減速 ⇒+47.7%(市場予想+48.8%)で2013年の7.5%成長に疑問符

・日本の6月貿易赤字拡大 ⇒ これはもう本邦実需の需給構造トレンドとして定着へ。

・ニュージーランド6月貿易黒字拡大 ⇒ NZD+414mio(市場予想++105mio)

・ユーロ圏7月PMI改善 ⇒ 50.1(市場予想49.1)と景気拡大領域(50以上)へ回帰。独仏のPMIデータも改善。

・RBNZ金利据え置き ⇒ OCR金利を2.5%に据え置き+景気先行きに楽観的な声明文。

2 Fed Speculation

・WSJの観測記事が火付け役。(要約は以下)

・Fedは前回FOMC時のBernanke議長発言とその後公開されたFOMC議事録の内容のギャップ感に金融市場が困惑(混乱)している事を気にかけている。

・理事たちは今週のFOMCで声明文の内容を改定する事等を議論する予定。

・資産買入れの規模縮小、ペース減速と引締めへの転換とはまったく別の議論である事の明確化を志向する予定。

・更に政策金利自体は長期間低水準に据え置かれる見通しの時間軸政策の示し方(Forward Guidance)についてもRefine/Reviseの用意もある。

3 金融市場の反応

・世界的に株価は反落へ。

・債券市場は神経質な展開。株価の反落が債券買いには直結し難い展開に。

・為替市場では米ドルが最弱通貨、日本円が最強通貨に。

・全般的に重要イベント週前のリスク回避モードが主役となった。

NZD Keeps Shining-1.

今の状況でロングメイクする事に最も安心感があるのはNZDではないかと思われます。
NZDUSD DAILY ⇒ NZD Looks so Bullish.

対米ドルのチャートも完全にブルトレンド入りしている事が判りますね。

NZDJPY DAILY ⇒ Toe to Toe vs JPY. 








先週の最強通貨の日本円に対してもしっかりと踏み止まっています。

経済のファンダメンタルズも良好で、足元の経済指標も強く、金利差のアドバンテージもしっかり維持していると言う状況下、今週の材料次第でVolatilityの上昇も予想される中、中長期的な投資戦略として押し目をしっかりと拾うならNZDが一番安心なのではないかと考えます。

NZD Keeps Shinngー2.:What AUDNZD is Telling.

NZDの強さは特に他のコモディティ通貨、特に隣国の豪ドルとの比較でより明らかになります。
AUDNZD DAILY ⇒ Beautifully Bearish!!

AUDNZDはこのブログでも良く取り上げていますが、非常に綺麗なベアトレンドが継続中です。

一般に中国なども元気で産業活動が活発な時には豪ドルが強く、寧ろその逆の時や世界中の投資家がリスク回避モードで動く場合にはニュージーランドドルが強くなる傾向があります。

”では、今現在はどうなのでしょうか?” と言うことになるのですが、基本的に世界経済、特に新興国経済には決して楽観的な見方が大勢であるという状況ではありませんので、AUDNZDがブルトレンドにはなり難い事はわかります。

では、何故ここまでベアなのか?

これに関しては非常に興味深い洞察が示されています。
 新興国が元気な時には、エネルギー需要などから石炭や材木などの需要が活発となり、こういう時にはコモディティ通貨の中でも資源国の通貨が上昇しやすくなります。これは具体的にはAUD,CAD,ZAR等と思えばよいでしょう。
 一方で、そうではない時には当然ながらこれらの通貨の勢いは減速します。そして重要な事は新興国の景気自体が減速したとしても、新興国の人々の生活水準は下がらないと言う事です。言わずもがなですが、新興国の国民の生活水準は著しく向上しており、今や生活水準で言えば新興国とは呼べない国々まで増えてきています。こういう国々からの良質な食材や乳製品等への需要は上昇の一途であると言う事です。
 ここで、ニュージーランドの主要産業は何かと確認してみれば・・・・・おお、なるほど!!! となる訳ですね。

先週、通貨中心の運用で有名なヘッジファンドの総帥が上記のような理由からNZDのロングを保有している事を公表した上で、このトレンドは今後も相当長期間継続するとの見通しを示していましたが、個人的にも非常に感銘を受けました。

ということでこのクロス。引き続きしっかり見て行きたいと思っています。

USDJPY as the Top Mover Last Week.

先週は最弱通貨が米ドルで、最強通貨が日本円でした。結果としてドル円の下落が大きいと言うのは明白なのですが、チャートで確認するとこういう感じです。
USDJPY DAILY ⇒ Consolidation Broken!
非常にトリッキーな動きである事がわかりますが、敢えて注釈をつけるとすれば、一旦市場をロングメイクさせてから下値を崩すと言うような動きだったと言えますね。

100円半ばから一旦下落しましたが、これは海外勢を中心とした本邦参院選の結果を受けた円の買い戻しとされています。

所謂「噂で買って、事実で売る」と言う動きをしていた勢力もいる一方で、自民党の単独過半数ではなかったことを材料に安倍首相の政治腕力が発揮し難いのではという憶測も海外では相当囁かれていたようなので、アベノミクスの主要カードの一つである円安圧力の衰退を見越した動きもあったのは事実のようです。

一方で、これはキャリー取引復権派には絶好の円売り機会を提供した格好にもなった事などから一旦ドル円も底打ち感を漂わせながら100円を回復と言う展開となったのですが、そこからの切り返しで出来た最後の2本の陰線がとても長いですね。

明らかに市場にダメージを残すチャートとなっており、今週の重要材料を考えれば、週初から下値バイアスを強く引きずる展開でスタートする事は間違いなさそうです。そしてそこから先はもう文字通り材料次第と言う事になると思いますが、欧州、英国、そして特に米国の中銀会合(FOMC)が大きな鍵を握るのと最後に控える7月の米雇用統計でのどんでん返しなども十分警戒しておく必要がありそうです。

A Wild Turnaround of JPY-Crosses.

先週は日本円が最強通貨となり、クロス円も乱暴な切り返しがありました。
AUDJPY DAILY ⇒ Coaster-Ride Week.
CADJPY DAILY ⇒ Even CAD is Down vs JPY.












CHFJPY DAILY ⇒ The Last Leg Hurts.












EURJPY DAILY ⇒ Very Weak Finish.












GBPJPY DAILY ⇒ Big Turnaround.












キャリートレード復活モードで迎えた先週でしたので、前半はクロス円も円安方向で進行していたことが判ると思います。

豪ドル以外は最後の2日間で対円で急落している事がわかりますが、これがWSJの記事によるFedのTapering,QE3,Forward Guidance,Tightenningの明確化観測の台頭によるリスク回避志向の急騰かと思われます。
元々今週は重要イベントや先進主要国の中銀による政策会合などの重要イベントや7月の米雇用統計などの重要指標が控える重要週でもあったので尚更リスク量縮小を急ぐ展開になった可能性があると思います。

Top FX Movers of the Week(7/22-7/26 2013).

7月22日(月)から26日(金)までの週を通した主要通貨の攻防戦の結果です。前半、後半で展開が一様ではなかった分、後半の切り返し幅が拡大したと言う展開だったと思います。

  通貨ペア ↑↓ 終値    始値    変動(pips) 変動(%)
USDJPY  98.29   100.59    -230    -2.34% 

NZDUSD 0.8079  0.7929   +150   +1.86% 

GBPJPY 151.19  153.58    -239     -1.58% 

CADJPY 95.61    97.03      -142     -1.49% 

AUDJPY 91.04    92.33      -129     -1.42% 

USDCHF 0.9282  0.9413    -131     -1.41% 

EURJPY 130.51  132.17    -166     -1.27% 

GBPNZD 1.9027  1.9247    -220     -1.16% 

EURUSD 1.3278  1.3138   +140    +1.05% 

AUDNZD 1.1459  1.1572    -113    -0.99%

上記通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ JPY(5回),NZD(3回),CHF,EUR
下落通貨 ⇒  USD(4回),GBP(2回),AUD(2回),CAD,EUR

後半からレンジ抜けして値幅を拡大した動きは、米ドルの反落と日本円の反発でした。この組合せであるドル円の下落が首位であった事も当然の結果ですね。

The Final Round Rush:How They Finished the Week(7/22-7/26 2013).

7月26日(金)の北米市場における取引の最後の4時間の主要通貨ペア動向です。

週後半にレンジを抜けて動いただけに、最後はポジション調整的な逆バイアスが働いていた格好です。

    通貨ペア ↑↓  終値   始値  変動(pips) 変動(%)
AUDJPY    91.04    90.74    +30    +0.33% 

CADJPY  95.61    95.36    +25    +0.26% 

GBPJPY   151.19  150.83    +36    +0.24% 

USDJPY  98.29    98.06     +23    +0.23% 

EURJPY  130.51   130.22    +29    +0.22% 

NZDCAD 0.8296  0.8312     -16     -0.19% 

NZDJPY    79.41    79.27     +14    +0.18% 

CHFJPY  105.84   105.68    +16    +0.15% 

AUDNZD1.1459   1.1443    +16    +0.14% 

AUDCHF 0.8597  0.8585    +12    +0.14% 

上記通貨ペアの分解結果は以下のようになりました。
上昇通貨 ⇒ AUD(3回),CAD(2回),GBP,USD,EUR,NZD,CHF
下落通貨 ⇒ JPY(7回),NZD(2回),CHF

先週の上昇通貨は、JPY,NZD,CHFで、特にクロス円での円高が顕著でしたので、最後にはクロス円が揃って小幅に反発する調整モードで越週したと言う展開でした。

2013年7月22日月曜日

Japan : The Twisted Diet is OVER.



July 21, 2013 | 1401 GMT
Japanese Prime Minister Shinzo Abe's ruling coalition won a majority of seats in the upper house of Japan's parliament, giving it control of both chambers for the first time in six years, according to exit polls, Al Jazeera reported, citing NHK. According to exit polls. Abe's Liberal Democratic Party and its coalition partner New Komeito won a combined 71 seats, giving them a total of 130 seats in the chamber, more than the 122 needed for a majority.

遂に、ねじれ国会も終了しました。インテリジェンス情報のStratfor社も上記の配信を世界中に行っています。

「”ねじれ国会”を作ってしまったのは自分であり、今回は自分でこの”ねじれ”を解消しなければならない」

として強い決意と覚悟で臨んだ今回の参院選で安倍首相は見事に宿願を果たしました。

さて・・・・ここからの安定した国会運営で、何が飛び出すのか?

前回は、腹部の病気で降板した安倍首相ですが、今回は名前の通り、お腹ではなく心臓(しんぞう)が問われます。


冗談はさて置き、個人的にはこれまで水面下で進めてきた外交交渉の成果が注目だと思います。交渉相手国は、今回の選挙結果次第で履行する積りだった口約束も多いはずです。国会のねじれ解消は、外交努力のねじれも解消したと見ています。

2013年7月21日日曜日

FRB still Walks the Fine Line Between Idealism and Pessimism.

行きはよいよい、帰りはこわい・・・

”とうりゃんせ”の歌はあたかも量的緩和をはじめとする異次元金融政策のことを歌っているようです。

米国の量的緩和(QE)は、当初は5次でも6次でも必要なだけ継続されるだろうと言う憶測も有力でしたが、QE3となった現段階でTaperingの議論が出ているのですからある意味ではFRBは相当上手く切り盛りしてきたと言う事になるのだと思います。

2010年の11月の投稿でも、当時のQE2に対する考察で、GoldilocksとGridlockはSpellingも似ているように紙一重であると言う見立てを書きました。


Goldilocksと言う理想とGridlockと言う悲観の間で、Bernanke議長以下FRBの面々は非常に狭い道を上手に渡り歩いてきたように思います。

安倍政権+黒田日銀が行う更なる異次元緩和はQQE(質的量的緩和)とも呼ばれる壮大な大勝負なのですが、ここで米国がQE3まで続いたQE政策を見事に成功させて異次元空間から脱出していくのであれば、これは先進国の中央銀行全体にとっての絶大なる成功体験、先行事例と言う事になるのですが、最大の難問は金融市場の過剰反応というVolatilityのようです。

異次元緩和は資金ジャブジャブ政策とも言われるのですが、これで株式や新興国などリスク資産に資金が供給される間は、市場はまさにお祭り騒ぎになります。
 一方で、少しでも緩和解除方向の話が出れば、世界中から米国に資本が還流してしまい、新興国市場などのダメージへの配慮から当局者が火消しに躍起になると言う図式が定着してしまいました。これは、アベノミクス(or アベクロミクス)にも突きつけられる将来の課題と言うべきものでもあります。

リスク資産市場の価格変動は、QE進行中は低Volatilityでダラダラ上昇し、QE縮小時にはVolatilityの急騰と共に資金は一気に立ち去ります。

冒頭の歌詞は、以下のように書き替えても良いでしょう。

行きは良い酔い、帰りはヤバイ・・・

異次元緩和とは、酒席の如く、程好い所で撤退する事が極めて難しいと言う事です。

Review of the Week(7/15-7/19 2013)

7月15日(月)~19日(金)の金融市場ですが、Bernanke議長の議会証言がDovishな内容であったとの解釈からTapering観測が後退し、リスク資産が巻き返す展開となっています。

1 Key Events.

①Bernanke議長の議会証言

・QE政策の縮小は経済データ次第であり、予め日程をスケジュールしておくものではない旨を明言。

・物価と雇用の安定と言うFEDのMandateを達成する為に必要であれば資産買入れ規模の拡大すらもあり得ると明言。

・上記を明言した上で、今年の後半にQE縮小(=Tapering)が開始される可能性にも言及。

②Fed Beige Book.

・足元の米国経済は、"modest to moderate pace"で経済活動が拡大して来ていると評価。

③BOE議事録

・資産買入れ規模(£375bio)の維持が9-0の全会一致であった事が判明。前回の会合ではKing前総裁と2名のメンバー(FischerとMiles)が買入れ規模の拡大に投票していた為、英国版のTaperingバイアスを確認する結果に。

④BOJ議事録

・6月10日~11日の会合では円債市場のVolatilityの沈静化への施策を議論。

⑤BOC Meeting

・市場予想通り政策金利据え置き(1%)。世界経済の見通しを下方修正。理由は米国の財政緊縮策、欧州経済の再混乱リスク、中国など新興経済の失速懸念。

⑥RBA議事録

・今後の金融緩和観測を後退させる内容。これまでの諸施策を評価し、豪ドルの水準も適正とした上で当面の豪州経済の回復を予想。

⑦中国第二四半期GDP+7.5%に減速(年率換算)。(前四半期は+7.7%)

2 金融市場の反応

・株価は反発上昇へ。特に米株のDOWは$15,543.74、S&P500は$1,692.09の史上最高値で越週。

・米国のTapering観測の後退、欧州の一服感、中国の流動性供給などを材料に俄かにCarryトレードが復活し始める動きへ。

・為替市場では日本円が最弱通貨。米ドルの反落して2番目に弱い展開。

Closer Look at the testimony.

FRB議長の議会証言は、Semi-Annual(半年毎)に行われます。また上院、下院の両方で行われるのですが、当たり前ですが基本的に内容は変わりません。

今回は17日(水)に下院、18日(木)に上院で行われています。

前項のReviewでは踏み込まなかった詳細部分を箇条書きで確認しておきましょう。

1 7月17日の下院議会証言

・債券購入ペースは事前に決めてはいない。

・月額の資産買入れ縮小を年内に開始。2014年半ばごろ終了するのが適切と想定。

・異常な低インフレは経済にリスク。

2%のインフレ目標確実にするため双方向に必要な行動を取る。

・資産買入れは失業率が7%近辺となった時点で終了する可能性大。

・当面(予見可能な将来)は、極めて緩和的な政策の継続を見込む。

・FRBは、QE(量的緩和)終了後も米国債とMBSの保有を継続。

FOMC内部には異なる様々な見解がある。

・長期的に持続可能な財政の道筋が重要。

・失業率は依然として長期的視野で正常な水準を大きく上回っている。

・当局は住宅ローン金利をモニターする必要あり。

資産買入れ終了に向けた目安としては、7%の失業率に幅広い支持あり。

・量的緩和が必ずしも米国債市場を歪めるとは考えていない。

資産購入の規模や変更時期はデータ次第。

データ次第では購入額引上げの可能性も残す。

2 7月18日の上院議会証言

FRBは低過ぎるインフレ率に対処する必要あり。

・改善を待つ時間は長期化する可能性あり。

・失業率は目安として楽観的過ぎる可能性。

6月からの経済データは斑模様。

9FOMCではQE判断で今後も経済データを重視・注視。

今回は、金融市場の動向などにも配慮してバランスを取っていると言う印象ですが、出口戦略を明確化したかのような市場の織込みからすればハト派的な解釈となっているということです。

JPY Carry Trade is on the Way?

環境的に円キャリートレードの復権が叫ばれ始めているのですが、実際の市場の動きも追随しています。
USDJPY DALY ⇒ 100円台定着?












ドル円における円高圧力が減少しているだけでは円キャリートレードの足音も遠い感じなのですが、重要なのは米ドルも結構弱く、ドル円以上にクロス円で円安が実感できる事です。
CADJPY DAILY ⇒ 北米通貨ならUSDよりCAD?












GBPJPY DAILY ⇒ GBP大躍進












AUDJPY DAILY ⇒ 鋭角的な豪ドルの復活












NZDJPY DAILY ⇒ 先週はダントツの王者
Taperingではありませんが、GBPや南半球は金融政策的にも通貨政策的にも従来よりもタカ派的なトーンが強まっています。

一方で、米国はTaperingバイアスを一旦引っ込めざるを得なかった流れの中で米国と日本が引き続きハト派的であると言う図式が復活し始めていると言う事です。

世界的な株式市場の回復傾向も為替市場と歩調を合わせる動きになっています。

お盆に向けてVolatilityの低下とリスクテイク意欲の回復が一つのテーマとなってくる可能性がありそうです。

Weak CHF is not here :A Missing Piece for Goldilocks/Carry Trade Bias.

キャリートレードの復権が叫ばれる根底にあるのは、Goldilocks経済の復活(ぬるま湯景気の復活)への期待があります。世界景気は熱くも無いが冷たくも無いと言うほど良い状態であると言う事です。

米国は好調だがQE政策を止めるほどではない。日本も復活し始めている。欧州も何とか持ち堪えそうだし、中国もどうやら大丈夫だろう・・・・と言う思惑ですね。

かつて流行したキャリートレードというものもこのGoldilocks経済の一風景でしたね。

ところで、米ドル、日本円が弱く、比較上、それでも一応高金利と言う通貨に上昇バイアスと言う事になると、かつてのキャリートレードを支えたもう一つの低金利通貨であるスイスフランの動向も気になります。

キャリートレードが本格化するならば、スイスフランも米ドル、日本円と同様の調達通貨の役割を担う事が多いからです。
EURCHF DAILY ⇒ CHF is Not that WEAK.












GBPCHF DAILY ⇒ CHF Looks Weak vs GBP.












CHFJPY DAILY  ⇒ CHF is SOLID vs JPY.












USDCHF DAILY ⇒ CHF is STRONG vs USD.
為替市場におけるCHFの振る舞いを見る限りにおいては、かつてのようなキャリートレードの復活を騒ぐ状況には無く、今の世界経済をGoldilocks状態と見るのが時期尚早であるのと同様にキャリートレードの復活を確信する状況には無いと言うのが冷静な判断なのかもしれません。

CHFは安全資産でもあり、金利云々以外にも、世間のリスク選好度が高い時には売られやすいという性質から、世界中の投資家の多くがGoldilocks経済を確信するならば、CHFも弱い通貨になりがちと言う事も言えます。
 全ては今後の展開次第ではありますので、市場動向の中でCHFの強弱にも注意を向けていく積りです。

Top FX Movers of the Week(7/15-7/19 2013).

7月15日(月)~19日(金)の週における週次ベースの主要通貨ペア動向を整理します。

 通貨ペア ↑↓  週終値 週始値 変動(pips) 変動(%)
NZDJPY    79.76      77.11     +265     +3.32% 

AUDJPY  92.33     89.79     +254     +2.75% 

GBPJPY    153.58    149.89   +369     +2.40% 

NZDUSD 0.7929   0.7772   +157     +1.98% 

EURJPY  132.17   129.67   +250     +1.89% 

CHFJPY  106.82   104.85   +197     +1.84% 

NZDCAD 0.8217  0.8068   +149     +1.81% 

CADJPY  97.03    95.44      +159     +1.64% 

NZDCHF    0.7464  0.7352   +112     +1.50% 

AUDUSD    0.9178  0.9048   +130     +1.42%

通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ NZD(4回),AUD(2回),GBP,EUR,CHF,CAD
下落通貨 ⇒ JPY(6回),USD(2回),CAD,CHF

先週の大きなポイントは、以下の3点だと思っています。

A、Bernanke議長の議会証言でTapering観測が後退。
B、中国、欧州も緩和バイアスを再強化。
C、結果としてCarryトレードの復権モードへ。

円が最弱通貨である事は、上記を色濃く反映したものと解釈しています。

The Final round Rush:How They Finished the Week(7/15-7/19 2013).

7月19日(金)の北米市場における最後の4時間での主要通貨の攻防戦です。

 通貨ペア ↑↓ 終値     始値    変動(pips) 変動(%)
GBPJPY 153.58   152.96   +62    +0.40% 

USDJPY 100.59   100.20   +39    +0.39% 

EURJPY 132.17   131.66   +51    +0.39% 

CHFJPY 106.82   106.49   +33    +0.31% 

CADJPY 97.03     96.75    +28    +0.29% 

GBPAUD1.6630   1.6585   +45     +0.27% 

EURAUD1.4313   1.4275   +38     +0.27% 

AUDUSD 0.9178   0.9202   -24      -0.26% 

GBPNZD 1.9247   1.9203   +44    +0.23% 

NZDUSD 0.7929   0.7947    -18     -0.23% 

通貨ペアの分解結果は以下のようになります。
上昇通貨 ⇒ GBP(3回),USD(3回),EUR(2回),CHF,CAD
下落通貨 ⇒ JPY(5回),AUD(3回),NZD(2回)

最後までGBPは強かった事、EURとUSDは拮抗している事、そして一番目を引くのはJPYが最弱通貨となっている事でしょう。

先週の動きはCarryトレード復活の狼煙と分析されているのですが、実際にそのような動きが目立ち始めました。後は持続力の勝負と言う事になりそうです。

2013年7月15日月曜日

Review of the Week(7/8-7/12 2013)

7/8(月)から7/12(金)までの週ですが、再び金融市場には大きな変動が見られています。
WeeklyのReviewとしてサマリーを整理しておきましょう。

1 Key Events.

①米FOMC議事録

・投票権のある多くのメンバーは資産買入れプログラム縮小(Tapering)は現時点では適当とは見ていない。失業率7.6%では雇用の健全性を誇張(確信)し過ぎ。
 
・投票券の無いメンバーを含めると年後半でのTaperingが望ましいと言う意見は約半数。

②FED高官発言

・St Louis FedのBullard ⇒ 「インフレ沈静下の緩和縮小は正しくない」

・Philadelphia FedのPlosser ⇒ 「Fedは緩和縮小を早急に開始し、年内には終わらせるべき」

③ECB, EU

・Draghi総裁がFG(Forward Guidance:時間軸効果)を強調 ⇒ 「ECBは、当初予定よりも相当長期間にわたり政策金利を現行水準かそれ以下に維持する」

・EU蔵相会議 ⇒ 追加のギリシャ支援(Euro 3bio)実施で合意。

④欧州の格下げ

・S&Pがイタリアの長期格付をBBB+からBBBに格下げ。(あと2段階下がればJunk債)

・Fitchがフランスの信用格付をAAAからAA+に格下げ。

⑤BOJ

・政策金利など諸施策の現状維持。

・景気判断に2011年1月以来となる”回復”と言う用語を選択。

⑥IMFのWorld Economic Outlook

・全体的な見通しを引下げ。世界経済の減速懸念を表明。

・米国、欧州、中国、新興国の減速を予想。

・日本経済のみ見通しを上方修正。

2 金融市場の反応

①鳥瞰図的には株式上昇、債券上昇(金利低下)、米ドル反落と言う図式。

②米株は反発し、Dowは$15,464.3と史上最高値を更新も行き過ぎ感もあり。

③米10年債利回りは2.601%に低下したが、調整の範囲内との見方多し。

④米ドルは反落。ドルインデックスは3yrs' Highの84.75から82.94へ反落。

⑤貴金属は反発。

以上のような動きが相場の反転の基点となるかどうかは、今後の見極めが必要です。レベル的には、まだまだ調整の範囲内での動きと見ています。

DXY(US Dollar Index) : Still on Wild Swings.

3年来高値を更新し、前途も明るく見えたドルインデックスですが、6月のFOMC議事録の公表後に急落しています。

議事録から具体的に読み取れる事は、主に次の2点です。


①FED内部ではQE縮小のTapering開始の次期については依然割れている。


②投票権を持つメンバーの多くは、時期尚早とする意見が優勢なイメージ。

という感じです。これでは米ドル独歩高シナリオで積み上がった米ドルロングポジションに乱暴な調整が入るのは無理からぬ事ですね。前回のFOMC後の議長発言から受けた印象と今回の議事録から読み取れる内容は確かに大きく乖離している感じがします。               84.50⇒80.50⇒84.75と前回高値を更新したDXYは82.94まで下げて小幅に戻して越週していますが、レベル的には行少し深めの調整があっても良い気がしますので、週明けもポジション調整的な動きが継続しやすいのではないでしょうか。   
DXY(US Dollar Index) ⇒ Big Correction.
市場の関心が完全にFEDのTaperingにフォーカスしているので、次のBig EventはBernanke議長の議会証言と言う事になるでしょう。両院で17日(水)と18日(木)に予定されていますので、それまでは、ポジション調整圧力や思惑相場が交錯するWild Swingが続きそうです。

AUD Falls Off The USD Corrective Bandwagon.

FRBのTaperingを巡る神経質なSWING相場の中で、先週はTapering観測を大きく後退させる内容のFOMC議事録の発表を受けて、発表直後から米ドルが大幅反落しました。

前回のFOMC直後から米ドルの独歩高状態だっただけに、米ドルは一旦全面的な撤退を余儀なくされたイメージになっています。
EURUSD DAILY ⇒ EUR Jumped vs USD.
GBPUSD DAILY ⇒ GBP Jumped vs USD.

USDCHF DAILY ⇒ USD Tumbled vs CHF.
チャートでも明らかですが、欧州通貨の反発はお見事ですね・・・・・・・・・・・・・・・・

では、コモディティ通貨はどうでしょうか。
USDCAD DAILY ⇒ USD Sliped vs CAD.

NZDUSD DAILY ⇒ NZD Strength was LIMITED.

AUDUSD DAILY ⇒ AUD Failed to Recover......

驚くべきは豪ドルの弱さです。豪ドルはチャートの通りですが、反発後に全戻ししてしまっており、週末も事実上の安値引けをしている状況です。この豪ドルの弱さは相当な注目を浴びており、豪州の追加利下げが不可避との思惑から反発局面でもショートカバーではなく新たな売りが殺到すると言うような状況が生じています。ある意味で円安同様に豪ドル安と言うものがグローバルマクロ戦略の主役的な立場であり続けている事は、少し前とは隔世の感すらありますね。

USDJPY :Still Waiting for a Verdict.

ドル円が100円台を回復したものの維持出来ずに悩ましいダッチロールを継続中です。
USDJPY DAILY ⇒ Recovery Failed?

日本株も日本円もアベノミクス相場の中で相場を大きく動かしてきたのは海外勢であり、特に米国の短期筋が最も活発な資金の出し入れを行っている模様です。

そして、どうもこういう類の人達は非常にRadicalだと昔から思っているのですが、安倍政権の第三の矢に失望したり、日銀の政策据え置きに苛立ったりと言う状況になっており、資金の動かし方も結構ドラスティックになってきているようです。

日銀の緩和策にしても、出し惜しみをすれば批判する一方で、追加で新手を繰り出さないとこれまた失望すると言う状況なので、当局者も投資家も彼らとは一層距離を取ったスタンスで振り回されないようにするのが良さそうですね。

ここからの動向にしても下値は固まったイメージがあるものの100円も明らかに抵抗線となっているので、パンチ力のあるイベントがないと調整的且つトリッキーな相場が続くのだと思います。取り敢えずは今週の中盤以降のBernenke議長の議会証言と今週末の参院選が大きな山場となりそうです。両者を消化した来週開けの相場もVolatilityが高そうですので注意しましょう。

Precious Metals : Get Set and.......

底固めを後押しする材料が相当増えてきている貴金属ですが、ここからの問題は反発力かもしれません。
GOLD DAILY ⇒ Flirting with a Resistance.
SILVER DAILY ⇒ Previous High is a Resistance.

ボトムを打ったイメージが強まれば、値ごろ感から買い圧力も復活すると言う流れとなっており、先週も香港の著名業者が保有する金貨、銀貨がSOLD-OUT状態となり、金の貸し借りスワップが貸し手有利に反転するなどの先行きポジティブな材料に注目が集まりました。

そこにFOMCの議事録後の米ドル反落と言う流れも加わって週末まで貴金属の需要は衰えなかったようです。

今後のBernanke議長の議会証言などの重要イベントで米ドルが反発するなら貴金属相場の頭は抑えられそうですが、少し長い目で見ると空売りポジションの積み上がりも大きく、その解消圧力が前述の貸し借りSWAPの反転に現れているなど、貴金属市場自体の需給の改善傾向にも目を向けていくべきではないかと感じます。

これは今、投資業界でも最も熱い議論の対象になっていますので、しっかりフォローしていきたいと思います。

Top FX Movers of the Week(7/8-7/12 2013)

いつもの通り、7月8日(月)~12日(金)までの週次ベースの主要通貨の動向を整理します。

 通貨ペア ↑↓ 終値   始値    変動(pips) 変動(%)
AUDJPY   89.79   91.65    -186     -2.07% 

EURAUD 1.4440  1.4157  +283   +1.96% 

AUDCHF  0.8558  0.8724   -166    -1.94% 

USDJPY 99.23   101.15    -192    -1.93% 

USDCHF 0.9459  0.9631    -172    -1.82% 

EURUSD 1.3067  1.2832   +235   +1.80% 

AUDCAD  0.9407  0.9575   -168    -1.79% 

USDCAD 1.0396  1.0570    -174    -1.67% 

GBPAUD 1.6691  1.6432   +259   +1.55% 

GBPUSD 1.5104  1.4893    +211   +1.40%   

通貨ペアの分解結果は以下の通りです。
上昇通貨 ⇒ JPY(2回),EUR(2回),CHF(2回),CAD(2回),GBP(2回)
下落通貨 ⇒ AUD(5回),USD(5回)

FOMC議事録のトーンが先般のBernenke議長の声明と随分乖離していた事などから米ドルの独歩高と言う状況には随分と乱暴な調整が入りました。上昇サイドの通貨には5種類の通貨が並んでいる事も米ドルの広範な調整範囲の現れですが、ここでも豪ドルがお付き合いして下落している事は目を引きますね。

The Final Round Rush:How They Finished the Week(7/8-7/12 2013)

7月12日(金)の北米市場における最後の4時間の攻防です。


 通貨ペア ↑↓ 終値   始値  変動(pips) 変動(%)
NZDJPY  77.11  77.30     -19    -0.25% 

NZDCAD 0.8068  0.8087  -19    -0.24% 

CHFJPY  104.85  105.08  -23    -0.22% 

AUDJPY ↓  89.79  89.97    -18    -0.20% 

NZDUSD  0.7772  0.7787  -15    -0.19% 

AUDUSD  0.9048  0.9063  -15    -0.17% 

GBPJPY 149.89  150.12   -23    -0.15% 

CADJPY  95.44    95.58    -14     -0.15% 

USDCHF 0.9459 0.9446   +13   +0.14% 

EURJPY  129.67 129.81   -14     -0.11% 

通貨ペアの分解結果は以下のようになります。
上昇通貨 ⇒ JPY(6回),USD(3回),CAD
下落通貨 ⇒ NZD(3回),CHF(2回),AUD(2回),GBP,CAD,EUR

乱高下があった週でしたが、最後の調整は日本円と米ドルに上昇バイアスでした。