2009年10月18日日曜日

Is USD left alone and behind ?

上はGBPUSDの日次チャートです。

下はGBPの日次チャートです。

ついでにEURGBPのチャートはこうなります。

要するに、対ドル、円、ユーロにおいて先週GBPが暴騰しているのです。

IMMの建玉における通貨先物のGBP売りの規模が記録で遡れる限り史上最大になっていたと言うのが先々週の話でした。93年にジョージソロスが英国中銀を屈服させたGBP危機の時よりも大きなGBP売りが世の中に存在していたと言うことになるのでしょうか。それを思えばちょっとしたキッカケでGBPが急騰してもおかしくはないという状況になっていたも言えますが、そのキッカケがあればこれだけGBPが復活すると言うことは何を意味するのでしょうか。

GBPに関しては英国のファンダメンタルズや金融政策の緩和バイアスを背景に米ドルよりも弱い通貨というようなステータスが定着しつつありました。事実最近の為替市場は単純なドル安ではなく、ドルを含む一部の通貨群がアジアや中南米などの資源国、新興国の通貨に対して下落すると言う展開となっていました。決して米ドル独歩安という図式ではなかったと言うことです。

私たちも為替市場の動向に関してはドルもGBPも行くところまで行かないと底打ち感も出ないだろうと言うスタンスで臨んでいました。その意味で正直言って先週のGBPの反発規模は全くの驚きをもって見ています。

キッカケとなったとされる事象について幾つか候補を上げることが出来ます。

中銀副総裁による英国景気は最悪期は脱しており、最悪のシナリオが実現する可能性は非常に低いと言うコメント。

M&A関係の巨額なGBP買い。

等です。

他にもいくらでもあるのですが、とにかく重要なのは結果でしょう。つまり何がキッカケだったかということよりも結果としてこの規模でGBPが反発したと言う事実を良く考えたいと言うことです。

明らかに実需だけじゃない

大きな驚きと同時に今後への警戒を持って私が感じるのはこの点に付きます。一方向にMassiveなフローが出続けていた為替市場の動きは、かなり投機的な側面も強く、実需でない部分についてはやがて反対方向のフローが出るということです。

世界中の金融当局がRe-flation政策を採択している中で所謂Carryトレードの調達通貨となってきたのはUSD,JPY,GBP,CHFでした。

 やがて円高相場となってJPYはここから離脱、CHF安全通貨ステータスを復活させて個々から離脱しており、先週は暴力的にGBPが反発した訳です。

ここで思うことは二つです。

1 USDが取り残されていく。USD独歩安が始まるのか?

2 USDにも実はカバーされるべき巨大なショートポジションが極限まで膨張している?

前者の方が世の中にとっては判り易い展開となるでしょうが、どこかで後者を思い出す事になりかねないのも事実でしょう。

世界中の外貨準備を見ても依然米ドル偏重が顕著であり、各国中銀のリスク分散目的のドル売りは手仕舞いの必要はなく、為替市場へのドル一方的な供給が続く以上米ドルは暴落の可能性があるという解釈は全く正当ですが、その各国中銀とやらの性質も意外なほどに理性的でも効率的でもないという事は歴史上の事実でもあります。

米ドルの価値も、その主要な保有者たちの見識もちょっとした過大評価状態なのかもしれないのですよ。

People and things tend to get ahead of themselves to the extent they are not aware of.

Watch out and stay tuned.

Two sides of the same coin.

先週の金融市場も色々見せてくれました。

1 ドルインデックスが14ヶ月安値を更新。

2 NYダウが約1年ぶりに1万ドルを回復。

3 注目の米企業決算は概ね事前予想比良好。

4 GBPの大反発。

5 円の大幅失速。

等の動きが特に印象に残っています。

米ドルに関しては中々反発出来ません。はっきり言えばファンダメンタルズ的にドル上昇を支持する材料に乏しい以上、時折発生するテクニカルな買いサインもせいぜい偏りすぎたポジション調整がいいところで時間的には短命、価格的にも浅い反発となっています。

 ずばりドル以外の主要通貨に現在は認識されていない明確な売り材料が顕在化しない限りドルの上値は限定的と思わざるを得ないでしょう。

ダウの1万ドル回復は昨年の10月3日以来ほぼ1年ぶりで、水曜日、木曜日と1万ドル台で推移した後金曜日は1万ドルを若干割り込んだ水準で終了しました。

株価堅調の背景の一つが企業決算の回復傾向ですが、注目された米系金融機関の決算評価に関して少し面白い現象が指摘されています。CITIグループの決算についてなのですが、メディアの報道の仕方が割れているのです。例を挙げるとこういう感じです。

CITI本部のある地元ニューヨークタイムス紙は同社決算が赤字決算となったことを伝えています。

Citigroup's Struggles Continue in Third Quarter... After pulling off two consecutive quarterly profits, spiraling consumer losses overwhelmed Citigroup's strong trading results in the third quarter.

一方で金融専門誌ウォールストリートジャーナル紙は最後は損失計上となったものの一部では黒字になっていることを評価しています。

Citi Swings to Narrow Profit... Citigroup reported a narrow profit on a gain from its securities-exchange efforts, but had a per-share loss of 27 cents in the latest quarter.

この現象は今の金融市場を理解する上で非常に重要なポイントをついていると思います。

どちらも事実を報道しているのですが、どちらを読むかで一般大衆や投資家の受ける印象はかなり違ってくる事になります。NYT紙は有力紙ですが金融専門誌たるWSJ紙を読む投資家が圧倒的に多い訳で、そのこととダウの1万ドル回復がリンクしていると私は思っています。

現在の世界経済は新興国経済の勃興に支えられつつ先進国経済の病状は実は一進一退というところかと思います。そのような状況下では投資家の行動は与えられる情報次第で大きく変わってくる事になるのですが、これまでは明らかに主要メディアや金融機関のリサーチレポートなどが事実の中の明るい部分をことさら強調してきたという側面があるのではないでしょうか。

ある意味ではこれは壮大な試みとも言えるものであり、高めに誘導された投資家の投資意欲、リスク許容度と言うものが実体経済のカンフル剤となり実態低財の回復その物を可能にしたり、速度を速めたりということは十分に起こりうることだと思います。

世の中全体が良くなる、明るくなる方向ですので個人的にもこの壮大な試みの成功を願うのみですが、同時に投資家の端くれとしてはこの試みに綻びが生じてくるケースへの監視と備えも怠らないようにしようと思っています。

一つのコインをどちらから眺めるか。世間にはどちらを見せるか。或いは見る側がどちらを、どう見たいのか。

ちょっとしたヒューマンドラマでもあるのかもしれませんね。

2009年10月12日月曜日

Jack Frost may be hiding behind falling leaves.

今年の北米は冷夏だったと聞いていますが、友人から日本と同様に3連休となるこの週末は紅葉が凄く綺麗で束の間の秋を感じると言う便りが来ました。四季といっても春と秋が非常に短く1年の殆どが夏と冬と言う気候を今は懐かしく思い出します。

先週書店に2010年の手帳コーナーが出来ていたと言う話を書きましたが、この週末はつい先ほど石焼き芋屋さんの車が通っていきました。太平洋のこちら側でも冬の横顔が垣間見られる思いです。

年末までの第四四半期をどう泳ぐかを世界中の人間が必死に考えていることでしょう。それがやがて大きなうねりや潮流となって金融市場にも大きな変化が起きるのではないかと思います。

自民党の歴史的敗北、民主党政権の誕生、恐らくは無念の死であったであろう中川元金融相の急死などを見ていると世の中がおきな転換点に来ていると考えざるを得ません。先が読みにくいのは確かですがこの状況で挑戦出来る事、勝負出来る事は幸福なことです。

For better or for worse...日本はここからの数年間で劇的に変わりそうな気がします。

しっかりとこのLighthouseから変化の過程をモニタリングして行きたいと思います。

PS

本屋で思い出しましたが横浜のみなとみらいにあった紀伊国屋書店が閉店してしまい残念に思っていましたがクマザワという別の大きな書店に生まれ変わっていました。洋書も豊富で大変結構ですね。今後も子供がポケモンセンターに入り浸る間に十分に自分の時間が過ごせそうです。



AUD Burns while NZD Burps.

と言うことで、現在為替市場ではAUDに強い上昇モメンタムが出ているのですが、この通貨を扱う上で非常に面白いクロスの一つにAUDNZDがあります。

これはそのAUDNZDDailyチャートですが、8月から続いてきたベアトレンドが綺麗に上方にブレイクしているのが判ります。

為替市場では暫くの間AUDよりもNZDの方が強く、AUDNZDというクロスで見ると振幅しながら落ちていくと言うベアトレンドになっていました。世界経済がスッキリしない状況下でニュージーランドが7年ぶりに財政黒字となる等、NZD優勢な状況になっていましたが先般の豪州の利上げやAUDと相関の強い金価格の上昇などが追い風となって形勢が逆転してきました。

このクロスには思い出があるのですが、かつて誰もが見ている主要通貨ペアであるドル円ユーロドルユーロ円などに全くトレンドが出ずにVolatilityも帝位安定というつまらない年がありました。多くの市場参加者が為替に関してはパフォーマンスが低調でしたが市場のVolatilityが低いと言うのが共通した言い訳になっていました。

 そんな時に米銀の友人からそこのProprietaryデスクで通貨取引でその年に100億円規模の収益を稼いだ人がいると教えて貰いました。よく聞いてみるとまさにこのAUDNZDというクロスの巨大なポジションをずっと転がしていたと言うのです。ほとんど銀行と言うよりはヘッジファンドが持つレベルのサイズであり、一時的には大きくマイナス方向に数字がブレたりもしたようで決して平坦な道のりではなかったようですが結果的には長期に及ぶトレンドをしっかりと持ち切って上述のようなProprietary収益を計上したとの事でした。

There is always a bull market somewhere.

といつも強調しているのはMad Moneyという米国の投資家向けの人気番組のメインキャラクターであり個人投資家のグル的な存在であるJim Cramer氏ですが、まさに通貨市場にも無数のクロスが存在する訳でどこかにトレンドは出ているものなのかもしれないと痛感した事を覚えています。

それ以来このクロスに興味を持つようになりましたが、実際に時として大きなトレンドが出ることがあり個人的にもちょこちょこ手を出すようになりました。

私はかつて結婚してハネムーン先を選ぶ時にも人気のあった豪州を検討し、そこのツアーが満杯だったので隣のニュージーランドにしたという経緯があるのですが、このように多くの人にとってはこの両国は似た者同氏の隣人という認識ではないでしょうか。

しかし正確には似て非なる者同士の隣人というべきで、豪州は工業国、資源国というイメージが強いのに対してニュージーランドは工業というよりも酪農業という印象で資源はあるのですが金や石炭などの価格上昇に敏感に連動するのはAUDなのです。

 丁度鳩山首相が国連で大見得を切って話題となった二酸化炭素の排出について豪州は当然工場からの産業排出が主要因なのに対してニュージーランドは何と最大の二酸化炭素廃出要因が家畜のゲップという位の違いがあるのです。これはギャグではなく実際に日本の各商社は家畜のゲップを減らす為に胃薬の入った飼料を開発しては熱心にニュージーランドに売り込む競争を繰り広げています。国策として二酸化炭素排出量の減少に取り組むのは目に見えているからです。

と言うことでAUDNZDの上方モメンタムに注目と言うお話でした。

あまり長く書くとToo much でので、ゲップが出ないうちに終わります。

Still at the mercy of the financial waves.

10月に入り新たな四半期の動向に注目が集まっていますが、各地で予定されていた月初の重要指標やイベントを消化して徐々に絵柄が見えてきた部分もあれば逆に見えかけていた絵が壊される部分も出てきました。全体的な総括としては依然としてBig Trendは出難い状況なのかもしれません。

1 米ドル離れの国際合意

特に先週の為替市場を大きく動かした材料の一つがこれです。The Independent という英国の有力紙(最早そうではないと言う意見もありますが)にアラブ、欧州、日本などが今後の原油取引を米ドル建て以外の方法に移行する方向で非公式に協議中という記事が出たのがキッカケです。これに呼応するようにNYの有力シンクタンクのレポートで欧州金融当局がオバマ政権の強いドル政策へのCommitmentを不安視しており場合によっては何らかの行動も起こす方針であるとの指摘も出されました。

事実先週のECB会合の後で現行の金融政策を維持する旨が確認された後のTrichet総裁の声明にはドルの下落を容認しているように見える米国サイドに対するメッセージとも取れる強いドル政策の維持を求める内容が入っていました。

個人的にも現米政権の強いドル政策へのコミット具合には大きな疑問があります。過去2年間の金融危機で世界経済は新しい時代に入ったと思うのですが、従来どおりの視点から株式市場や債券市場が堅調であれば通貨市場で自国通貨の動向には神経を尖らせないと言うスタンスでは大きな変化を見逃していると思います。

 毎日多くの投資関連資料に目を通しますが、間違いなく米ドルの売り手の上位に来るのは米国人であり米国の企業だと思います。彼らは自国の政府や金融当局が通貨を下落させる政策を取っていると認識しており、大きな資産を保有している、或いは運用している主体ほど資産を米国外に移動させています。米国外というのはドルから外へと言うことでもあり金などの貴金属の購入なども含みます。

 こうした米国の経済主体の動向を把握しているからこそ欧州などが米国当局の姿勢に疑問を持つ訳ですが、その意味では米ドル離れの国際合意の存在の議論以前に米国人の行動が米ドル下落の背景の主因になっていると言うことです。

2 過剰流動性の出口政策

市場を見ていて明らかなのは、実体経済が盛り上がらなくても過剰流動性が存在する限り投資先を求める資金の動きは継続し、商品市場や株式市場の大幅な下落は起こり得ないという気がします。流石に買われすぎだと言う状況になっても価格ではなく時間での調整が主流となっており、価格の下落幅は非常に浅いと言う状況が続いています。

こうなると非常に難しくなるのが過剰流動性が新たなバブルを醸成する前にこれを吸収すると言う所謂出口政策の実施です。これはやり方を間違えると株や商品などの資産市場が一気に崩壊するという事態を招くため、各国の金融当局は大変頭を痛めているというのが現状です。最近のFRB理事の発言を見ても景気回復が確認されれば現行の異常な低金利政策の解除を躊躇しないという内容ばかりですが時間軸に関しては全くのNo ideaという状況であり、正直その程度のことならば私だって言えるというものばかりです。

3 RBAの挑戦

その中で遂に豪州が最初の扉を開けました。先週の政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げたのです。早くも市場は11月の連続利上げを織り込んでいますが、主要紙に11月の利上げ幅が0.5%になりそうだとの観測記事も出されて為替市場では豪ドル(AUD)が急騰中です。週後半に発表された雇用統計も予想以上に強い内容でしたので豪州がいち早く出口政策に踏み切ったと言うのは十分正当化出来るのかもしれません。

ところで経済がグローバル化してからは、各国が金融政策の誤謬に苦しんできました。かつての閉鎖経済モデルでは金融引き締めを行えば自国経済内の余剰資金が吸収されるという事になりましたが、グローバル化されたボダーレス経済の中では自国が金融引き締めを行うと金利の上昇を好感した投資資金が世界中から流入してしまい寧ろ自国経済システムへのマネー供給を増加させてしまうと言う事です。同時に利上げ後の高い金利(コスト)で調達された資本は相応の利息や配当を出さなくてはならないのでビジネス投資活動が活発になると言うメリットもあります。低金利下の過剰流動性がビジネス投資よりも金融市場への投資に向かい勝ちなのに比べて金利上昇時にはビジネス投資が活発になると言う傾向を意識しての行動であれば豪州当局の決断は一層評価出来ると思います。RBAも勝負に出たと言う事なのかなと個人的には解釈しています。

同じロジックで日本経済の失われた10年というのは実はゼロ金利政策が問題だったと言う指摘があります。調達コストがゼロに近い状況では資金は滞留するか金融投資の材料にしかならずこれが円キャリートレードという形でグローバル展開されて世界的なアセットバブルの一因となったと言うもので、ゼロ金利を解除して調達コストを適正に上げてやれば過度のマネーゲームを冷やすと共に調達コストの上がった資金は継続的なリターンを求めて動き出し、多くは真面目にビジネス投資に向かった筈だという内容で、一定の心理を突いていると思います。

4 金融市場の秋場所は・・・

足元の押したり引いたりと言う潮目の満ち干き的な動きが継続しそうですが、どこかでそのSWING RANGE的な動きに変化が出てくると思います。順当に考えればアジアや資源国への資金流入が続き、米国のみならず欧州、場合によっては日本も資金の出し手に回ると言う傾向が強まると言うのがメインシナリオになるのでしょうが、現時点で認識されていない新たなファクターの出現によるサブシナリオとして米ドルが大幅復活し、新興国経済が凋むと言う流れも起こり得るでしょう。大型破綻、戦争などあまりポジティブではないファクターと言う事になるので出来れば前者で行きたいところですね。

Stay Tuned

2009年10月5日月曜日

Who is cokking Turtle Soup this week?

ところで市場参加者の大部分はTrend Followerと呼ばれるスタイルだと言われています。確かに買うなら上値抵抗線を抜けてからが良いし、売りならば下値支持線をブレイクしたところで売る方がある種の安心感もあるのは事実です。

少ない資本で巨額の富をなしたと言うことで有名な人々はほぼ例外なくこのスタイルの実践者であり、代表例を挙げるなら多くの日本人選手も所属する米国メジャーリーグの名門ボストン・レッドソックスの現オーナーであるJohn Henry氏やまさにトレンドフォローというスタイルを世に広めたRichard Dennis氏あたりが有名でしょう。

特にRichard Dennis氏が育てたトレンドフォロー軍団のTurtlesと呼ばれる存在は有名ですが、これは同氏がたまたまシンガポールのスッポン養殖場で同僚と成功するトレーダーは才能が全てなのか教育できるのかと言う議論となり、彼がこのスッポンのように大量に教育(養殖)してみせると断言して始めた試みから付いた名称です。

相場を見ている人はご承知の通り、主に商品先物市場で成功率が極めて高かったこの手法は、他の市場や特に最近では市場環境の変遷と共に勝率の低下という難問に直面することになりますが、その後は復活し市場の主要戦略として定着しています。

その後はトレンドラインを抜けてトレンドフォロワー達が一斉に参入したところで価格が伸びないと見るや一時的に膨張したポジションを切らせに行く動きも多く見られるようになりました。所謂「騙し」という動きですが、これは低勝率でも勝つ時に大勝を狙うトレンドフォロワー達がタイトストップという手法であまり我慢しないという傾向を付いたものでもあります。

金曜日のクロス円のように新安値を取った後に下落が続かず、結局は結構戻してクローズするという動きの後は得てして上述のような動きが出易いのです。

面白いことに、そのようなトレンドフォロワーを炙り出して、茹で上げて、餌食にしてしまおうというそのような市場の逆行の動きをTurtle Soupと呼ぶことがあります。これはスッポンスープですね。

タートル軍団が単純と言うか素直な動きをする事との比較においてやや天邪鬼的な動きですがこれを仕掛ける人々も失敗すれば自らがスープとなる覚悟が必要な訳です。

このあたりの駆け引きは非情な世界そのものですね。

2009年10月4日日曜日

Ebb and flow of markets2

前項で分析した株式市場と債券市場の資金移動に比べると、商品市場と為替市場は非常に判り辛い微妙な状況にある感じです。

大きな絵はリスクラリーのトップアウトだと思うのですが、どうも乱高下を消化しながらこの週末も原油や金はそこそこ反発力を見せているのがスッキリしない理由の一つです。原油も金も一度点灯した複数のベアシグナルの中の半分くらいは中立ゾーンに戻ってきた感じです。

原油

次は為替市場ですが、円とドルがその他通貨にたいして大きく反発する動きとなっていますが、先週末の雇用統計後には結構な失速減少も見られました。

現時点ではドルインデックスはまだブルで、ユーロドルはベアと見えます。

ドルインデックス

ユーロドル

円高進行で注目されるドル円とユーロ円はこんな感じです。

ドル円

ユーロ円

共に依然としてベアな見通しでよいと思いますが、ドル円とユーロ円などクロス円で特に要注意なのは一旦ちょっとしたショートスクィーズラリーが見られる可能性のあることです。特に多くのクロス円では金曜日に一旦大きく下落して重要サポートを割り込んでから最後に戻ってきていますが、このような直近の新値を取ってから同日に大きく戻して引けるという現象の後には新値到達時点で一斉に参入してきたトレンドフォロータイプのポジションを殺しに行く動きが加速する傾向があるからです。

今週は円、ドルが一旦失速する方向の流れから始まるリスクがあるというイメージなのですが、結局は円もドルも実はまだまだUpsideのサプライズがあるのではないかと見ています。

Ebb and Flow of markets.

10月になっちゃいましたね。実は今日はTullyというコーヒーショップで食べたチリドッグのソースが大量にズボンにこぼれてしまい、運悪く白いズボンをはいていたために内股に微妙な色の大きなシミをつけて歩き回っていました。途中で本屋に立ち寄って驚いたのですが、大々的に2010年の手帳コーナーが開設してありました。

2009年も残すところ3ヵ月となれば無理なきことか・・・・と思いましたが、同様に来年度も展望する時期になったせいか金融市場にも幾分変化の兆しが出てきたように感じられます。

1 Risk Rallyの変化

Risk Rallyに関しては事実上過剰流動性というものが吸収されない限りリスク資産が暴落することはあり得ないのですが、流石に3月以来ひたすら上げてきた相場ですので特に株式市場に失速の兆候が現れて来たようです。

以下に米国のダウと日経平均のチャートを見ますが、どこまでベアになるかは意見が分かれるところですが、一旦今回の上昇サイクルのトップは付けたと言う可能性は非常に高いと考えるべきでしょう。三段構成のチャート上段が価格と移動平均で青線(予想移動平均)が黒線(実際の移動平均)を下回り始めており、中段のモメンタム分析(ニューラルネットワーク)と下段のMACDもトップアウトを支持しています。

2 債券市場

こちらはまちまちですね。ただ投資家が株式から債券に資金を移動していることは明らかです。そしてカーブ的には長期ゾーンへの資金流入が起きており、インフレーション懸念よりもデフレーション懸念が強まってきた兆候とも考えられます。これではリスクラリーというわけには行きませんね。米国10年債券は先週半ばにブル転しており、金曜日には幾分売られて長期金利が上昇していますが流れを変えるほどではありません。

商品市場と為替市場は少し悩ましい絵になっていますがそれは次回に言及しましょう。