2010年9月19日日曜日

FX Weekly Recap (9/13-9/17).

先週は何と言っても本邦金融当局による2004年以来6年半振りの円売りドル買い介入が断行されました。非常に効果的な介入第一弾だったと思います。週末まで相場は安定的に円安方向に動いた訳ですが、ちょっとReviewして見ましょう。

1 前週末~先週初の動き

中国の経済指標が強かった事、銀行の資本増強を義務付けるバーゼル会議での新基準バーゼルⅢの内容が自己資本増強幅も適用までの時間的猶予も金融機関に寛容な内容だと解釈された事から世界景気や金融機関の先行きに楽観的なムードが台頭しました。
 これによって週明けの金融市場ではリスク資産が好調なスタートを切るRisk-on的な動きになりました。

2 週央にかけて

世界中から注目された民主党の党首選ですが、予想以上の大差で菅氏の勝利となりました。元々掲げる政策などの違いから、菅氏の勝利なら円高、債券高、株売り、小沢氏の勝利なら円安、株高、債券安という認識が共有されていたために菅氏の勝利を受けて金融市場はシナリオ通りに円高、債券高、株売り方向に反応を開始しました。

3 9月15日(水)

実はリーマンショックのアニバーサリーでもあるこの日は、最も危険な日付でした。と言うのも菅氏の勝利直後で内閣改造を控えて各官僚は身辺整理に忙しいはずでしたし、また米議会では中国を為替操作国に認定するかどうかの公聴会が開かれるところでしたので流石にこのタイミングでの円売り介入は憚られるという状況だったからです。
 市場はこのタイミングで円買いを加速させ、遂にドル円は82円台に突入した後少し戻して83円を挟んだ揉み合いとなりましたが、程なくMOF/BOJが6年半振りの為替介入を断行し、不意を突かれた格好で為替市場では一大ショートカバー大会が始まりました。前述の通り一時は82円台であったドル円はここで85円台まで上伸しています。

4 週後半

中日米欧が事実上の通貨安競争の様相を強める中で、豪州のRBA,カナダのBOC,ニュージーランドのRBNZと資源国の中央銀行からも自国経済の先行きにDovishな声明が相次いで発表されました。これを受けて資源国通貨(AUD,NZD,CAD)が失速、反落という流れとなりアジアや中南米などの新興国通貨も追随し始めました。
 
総括すると、元々ドル安という流れが加速しかけていたところで週央に日本のドル買い介入が実施され、当初はドル安、円安という流れになりかけましたが、やがてその他通貨が反落し始めて週末時点では欧州通貨や資源国通貨にも下値不安が出て来たと言う状況です。依然として介入警戒から円の上値が限られる中で最終的にはドルの下値が徐々に固まってきていると言うイメージで越週しています。

色々ありましたが、やはり15年振りの円高が6.5年振りの本邦介入を呼び込んだ事が最大の出来事でした。また9月15日というリーマンショックのアニバーサリーデートでの一大事は何か象徴的だと感じるのは私だけではないのではないでしょうか。