足元のマクロ経済の大きなテーマの一つがInflation vs Deflationというテーマであり大御所レベルのエコノミストやプレーヤー達の間でもちょっとした論争が起きています。
ここに所謂不況下の物価上昇であるStagflationも入ってくると更に議論は複雑になる訳ですが、商品市場の広範な価格上昇を背景に物価上昇圧力が強まってきているのは紛れも無い事実です。
Deflationトレンド下の一時的な物価上昇やStagflation下の物価上昇というものに対して金融当局が利上げで対応する事の是非と言うものも非常に大きなテーマである訳ですが、先週もそのプロローグ的な事象も散見されています。
先週はECBのExecutive Board MemberであるBini Smaghiの発言によりECBが利上げを検討する可能性が浮上してEURが買い戻される展開となりました。発言内容は以下の通りです。
As the economy gradually recovers and global inflationary pressures arise, the degree of accommodation of monetary policy has to be monitored and, if needed, corrected. The ECB's objective is to maintain price stability for the euro area as a whole.
これだけでEURは100pips以上の反発をしています。
英国では、BOEが公表した四半期報で経済成長の鈍化と足元のインフレ懸念への言及が織り込まれており、同国のインフレ懸念に関してキング総裁からも以下の声明が公表されています。
There is "a great deal of uncertainty about the medium-term outlook for inflation and there are real differences of view within the Committee.
委員会の中でも大いに意見が割れていると言う事なのですが、事実BOE内でもタカ派のSentance氏からは、こういう指摘がありました。
Sentance also noted that his " judgment is that the upside risks to inflation are understated," and "monetary policy would most likely need to be tightened fast and by more than the markets currently expect to bring the inflation back to target."
これでGBPも随分と上昇している訳です。
先週は中国の預金準備率引き上げもありました。繁栄を極める中国経済も貧富格差の拡大と言う難題を抱えており、衣食住の領域での物価上昇は暴動等の社会不安にも繋がり易い状況になっています。おりしもエジプトなどで起きている反政府デモの拡大という社会現象の国内への悪影響にも神経を尖らせている状況ですので中国の金融政策も難しい局面に入ったと言えるのではないでしょうか。
中国は2010年には利上げが2回、預金準備率の引き上げが6回ありました。今年はこれで利上げが1回、預金準備率の引き上げを2回行った事になります。
東部が深刻な洪水被害を受けた豪州でも国全体ではインフレ懸念が払拭出来ないという理由で中央銀行であるRBAは利下げを見送っており、多くのアナリストが年内には利上げサイクルに入ると予想しています。
米国の景気回復や株価への楽観や世界的なインフレ圧力の上昇に金融市場がVividに反応していると言う印象ですが、果たしてこの流れは中長期的な潮流となるのでしょうか?
2011年2月20日日曜日
Listening for footsteps of inflation?
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