2008年2月24日日曜日

Human Factor

週末に自衛隊のイージス艦と漁船が衝突し、これを書いている時点でもまだ2名の漁師(父子)が行方不明になっています。

海上ルールで回避義務があったのはイージス艦サイドだった事は既に明白であり、一方で記録上は殆ど回避活動の痕跡が見られないという事も明らかになっています。自衛隊サイドの情報と周囲の漁船からの情報には食い違いも目立っており今後の真相解明が待たれるところです。

ところで、疑問で仕方がない事があります。

メディアの報道等も含めてこれまでの議論の大部分は、①何故衝突したのか、②誰が悪かったのか、と言うような部分に集中しすぎているのではないでしょうか?

全ての報道をカバーしているわけではないのですが、①衝突の後でイージス艦の乗組員はどのような行動を取ったのか、②何故2名の漁師を救出できなかったのか(救出活動はあったのか)

と言う部分の方が余程重要だと思うのですが、どうもこの部分については焦点が当たっていないように感じます。

確かに衝突事故は起きてはいけない事であり、どちらに回避義務があったのか、誰が任務を怠ったのか、現行の管理・報告体制はどうなっているのか・・・・などの議論は大事なのですが、一方で残念ながらどのような体制を作っても必ず事故や問題は起きるものです。このような観点に立った時に最も大事なものは別のところにあることに気付きます。
 それは、人間として、人として、当然あるべき決断や判断が出来たのか、それを行動に移せたのかどうかと言う事ではなかったかという気がしてなりません。

イージス艦の数十名の乗組員は、衝突事故の後で、どのような救出活動を行ったのでしょうか?私はその事が非常に気になります。無事に救出できるかどうかは、全くこの衝突直後の初期動作にかかっていたと言っても過言ではないように思われます。

かつて日本は、脆弱なシステムを優秀な人材がカバーする形で強みを発揮していたと思います。米国などは人材サイドの能力のバラツキの大きさを優秀なシステムがカバーする格好でした。
 
日本は、米国並みにシステム整備の強化に注力し、当局の指導なども明らかに業務の平準化、マニュアル化、そして詳細なコンプライアンスの規定と硬直的ともいえる水準での運用強化を目指してきました。

フェアに見て、それらはかなりの成果が上がってきたと言えると思います。しかしその一方で、優秀な人材というファクターも消えてしまっているような危惧を抱きます。かつてそれを支えた、善良さ、勤勉さ、正直さ等は、最近では利己主義、保身、差別などに置き換わってきていると感じてしまう事が多くなりました。

船の話だけに、FriendSHIP, RelationSHIP,PartnerSHIP...等の根幹となる人間力というファクターについて改めて考えさせられるような気がします。

最後は人。 人生でも相場でもHuman Factorは、決定的に大きい要素となりますね。