2008年2月17日日曜日

Who smiles between optimism and pessimism ?


金融市場は相変わらず悲観論と楽観論の間で揺れ動いている状態だと言えるでしょう。

多くの市場参加者が悲観論をベースとした相場観を持っている一方で市場参加者の少数派は楽観論をベースとし、更に何よりも金融当局及び当事者達による必死の努力が過度の悲観論を抑制しつつ市場の中で楽観的な見方を存続させていく事に成功していると言うのが今の状況かと思います。

そして更に、米国で悪い指標が出たり、金融機関の損失が拡大したりと言う報道が出る際の米ドルの粘り腰的な底固さが多くの悲観論的相場観に水を差してきたとも言えると思います。


「サブプライム問題⇒米国発の問題」、「米国景気の詐欺まがいの繁栄の終焉」、「Wall Streetのデタラメ金融商品の破綻による米国Recessionシナリオ」という言いたい放題の悲観論が世の中に溢れかえっています。・・・私はこれらを全面的に否定する積もりはありませんが、世の中に跋扈する「だから米ドルは暴落」というシナリオは中々実現しないようです。事実それはあまりにも短絡的な相場観でしかないとも思えます。


Globalizationと呼ばれてきた大きな流れが今、大きな岐路に立っている。

そういう大きな絵を前提に考えてみれば、色々な視点が浮かび上がります。そもそもGlobalizationとは、先進国の経済が成熟度を増していく中で、中国、インドなどの新興経済圏が積極的な規制緩和や資本誘致を行う事で米国を中心とした先進国から新興国に資本が移動していく過程であったと定義する事が出来ます。

Globalizationを語る時にややもすれば欧米型の価値観や商慣行の押し付け的なコンセプトで語られる事も多いのですが、実際には新興経済圏が積極的に欧米資本主義経済を導入して先進国からの投資が増加しやすい環境を整備した結果と言う側面が無視できません。そして、金融経済的に見れば先進国(特に圧倒的に米国)から新興経済圏に巨額の投資(=資本移動)が起きて来たという事になります。

Globalization=先進国から新興国への資本移動=新興国通貨の上昇+先進国通貨の下落。(特に米ドル)

通貨市場ではまさにそういう現象が起きていました。米ドルが過去数年間緩やかな下落過程にあった事はこういう形で説明出来ます。

ところで、今後のシナリオを再点検してみると、①米国経済大復活、②米国経済の成熟的衰退(小規模なRecession)、③米国経済の大規模Recession入り・・・という3コースに大分されて、通貨市場でのシナリオは、①はドル高、②はドル安、③はドル高となります。

米国がここから復活するとすれば、現状の主要企業の株価は大いなるお買い得となるため米国への投資が加速する事になるでしょう。当然①のシナリオなら米ドル上昇となり、最早一部では不可避と言われる米国のRecessionが小規模に留まり、他国経済への影響が警備であればGlobalizationプロセスは継続と言う事で②はドル安、大規模Recession入りで米国経済が一気に縮小して主要企業も業容縮小を加速させればGlobalization過程が一時的にでも逆流する事になり③はドル高・・・と言う事になります。

縦軸に米ドルの価値、横軸を今後の米国経済の強さとしてグラフを作れば、両端が持ち上がるSMILEカーブが出来上がります。

   
実はSoft Landing、軟着陸シナリオこそが米ドルが新安値に向かい易いシナリオであり、米国の深刻なRecession入りや奇跡の復活ならばドル高となる可能性のほうが高いと言う事ですね。

皮肉なSMILE・・・・かもしれませんね。