2013年2月12日火曜日

G7 Joint Statement on Currencies.


今週末にモスクワで開催されるG20の国際会議に向けた駆け引きが盛んになってきていましたが、先ほどG20開催に先んじる形でG7財務相・中央銀行総裁会議が為替に関する緊急共同声明を発表しました。

これは例外的な事だと思うのですが、週末に向けた市場の投機的な動きを封じる意味なのか、このまま本番に突入すると収拾が付かなくなるリスクを感じたのか、はたまた先手を打つ形で日本の戦略が奏功したのか・・・・・背景は色々と憶測を呼びそうですが、内容的にはいたってまともな声明となっています。

 われわれ、G7の財務相・中央銀行総裁は、われわれが長年にわたりコミットしている、為替レートは市場において決定されるべきこと、そして為替市場における行動に関して緊密に協議すべきことを再確認する。われわれは、われわれの財政・金融政策が、国内の手段を用いてそれぞれの国内目的を達成することに向けられてきていること、今後もそうしていくこと、そしてわれわれは為替レートを目標にはしないことを再確認する。われわれは、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与え得ることに合意している。われわれは引き続き、為替市場に関して緊密に協議し、適切に協力する。


この程度の教科書的な内容を”緊急声明”として発表する事になった背景には、今回の足早な円安に対する複数の国からの批判的な懸念表明、日本の反論、日本を支持する意見などが相次いだと言う流れがあったと思います。


早い段階から韓国、ドイツ、ECB、FRB関係者からも批判や困惑の表明がありましたが、ここへ来て本邦の政権や当局者の根回しもあってか、理解を示す内容も増えていました。

The Treasury Undersecretary for International Affairs Lael Brainard 
 
    ⇒”US support the effort to reinvigorate growth and to end deflation in  
   Japan".
  ”G20 must deliver on the commitment to move to market-determined 
   exchange rates and refrain from competitive devaluation."

・ Bundesbank head Jens Weidmann 
 
   ⇒"Latest indicators don’t signal a serious overvaluation of the euro despite 
  its recent appreciation".
  "An exchange-rate policy to specifically weaken the euro would lead to 
      higher inflation in the end."
    "Politically induced depreciations show that they don’t normally lead to a 
      sustained increase in competitiveness."
    "If more and more countries try to depress their currency, it will end in a 
      depreciation competition, which will only produce losers."

・French Finance Minister Pierre Moscovici 

  ⇒"Exchange rates can’t be subject to moods or speculation."
   "A coordinated approach at the international level which enables 
        exchange-rate stability".

ユーロ上昇も円の下落も各国政府の介入も干渉も無い市場力学で決定されるべきと言うことが確認されれば、足元のアベノミクス要因の円安を批判する事は困難になると思います。このあたりはやはり現政権が非常に手堅く動いていると言うことなのかもしれません。