物事の本質は二次元の大きな絵ではなく、三次元の立体的な彫刻のようなものだと書きましたが、今年は初めて9月11日の同時多発テロメモリアルデーを米国外で迎えました。
自国で自国民が被害にあったのと、他国で他国民が被害にあったのとでは随分違うのだなというのが正直な印象です。
日本の場合は、悲しいことに日本人の被害者も随分と出ていますが、遺族の方々以外の殆どにとって、あれは基本的に米国での出来事と言うことになるのでしょう。色々と聞く限りにおいても米国拠点で犠牲者を出した日系企業の中で、9月11日に本社でアナウンス、メモなどが配布されたり黙祷をしたりと言うことも行われた気配はありません。流石に米国拠点では継続していると思いますが・・・・
日本のメディアの報道に関しては、NYでのメモリアル式典の様子を淡々と伝えるというのが殆どだったように思いますが、少し突っ込んだ報道をするところの殆どは反米、嫌米バイアスを前面に出してきていたように思います。
米国の覇権政策、中東政策の破綻が原因だとかいうのが多いのですが、これではかつて日本に2発の原子爆弾が落とされた原因は日本がアジアに進出して隣国に少なからぬ苦痛を与えたのが原因だと言う理屈と何も変わらないような気がします。
暴力や武力で物事を解決する姿勢こそが非難されるべきであり、日本に原爆を落としたことでは米国は加害者として強く非難されてよいと思いますが、9-11では被害者以外の何者でもない米国を非難するような論調が目立つばかりで、テロを行った側への非難・批判が皆無のように思えたのは個人的には全く理解に苦しむ思いを抱きました。
しっかりしたメディアのゴールデンタイムに近い時間帯に登場した人物が展開した9-11は米国の自作自演とする珍説には苦笑を超越した感情すら抱きましたし、それを新事実のように扱って驚いたり感心したりする人々を見て非常に不思議に思いました。
「ビデオを見ればわかるが、飛行機がぶつかる前に最初の爆発音がしている」
「中東の派遣を手に入れるべく軍事介入をする口実を必要としていたBush政権の自作自演なのだ」
「イラクが原油取引をドル建てからユーロ建てに切り替えようとしていた事も米国は許せなかった」
ETC ETC
欧州、米国、ロシア、中国などが中東の利権(覇権と言うより利権ですね)を争っていたことは事実ですし、父親(Bush前大統領)を暗殺されかけたBush現大統領がイラクを敵視していたのも事実でしょう。
最初の、飛行機が当たる前に最初の爆発音がしたというのは、93年春の最初のテロの時のように地下の駐車場に爆弾が仕掛けられていたという仮説ですが、これは今となっては検証の仕様もないし、頭ごなしに否定は出来ないと感じる部分もあります。
ただ、そうだとすれば、やはりアル・カイーダが用意周到に飛行機のハイジャックが失敗するリスクも無視出来ないので地下駐車場にも爆弾を仕掛けていたと考えるべきで、これが米国の自作自演であるという部分は明らかな論理の飛躍です。怖いと思うのはこういう論理の飛躍に気がつかないのは受け手に当初から米国に対する冷めた感情があるからではないかと考えられることです。
こういうこともありました。
XXXステーションという報道番組で初代キャスターを勤めた元アナウンサーが引退した後は二代目も元アナウンサーがキャスターを勤め、リベラル系の大新聞の編集者が論評を加える図式は今でも変わっていません。
まだ初夏の頃でしょうか、日本に復帰してからこの番組を何気なく見ていたら、米国の大学キャンパスで留学生が拳銃を乱射して多数の犠牲者が出て、犯人である韓国からの留学生も拳銃自殺して発見されたと言う事件を特集で報道していました。
非常に怖い、恐ろしい事件でした。
番組では・・・・・
キャスター 「この銃社会アメリカの根深い病巣とでも言うのでしょうか。背筋が寒くなりますね」
解説者 「もともとカウボーイの国ですから立国の精神とも結びついているんですね」
と言うような解説が続き、やがてこのコーナーは終了しました。
OK, So far so good. I would not share what they delivered but can accept them all.
問題は次です。
「続いて国内のニュースをお伝えします」・・・・という出だしで始まった国内のニュースでは関西だったか九州だったか・・・・銃を持って人質を取って立て篭もった元暴力団の男が現場を包囲する警察官を射殺したと言うニュースが有ったのですが、この依然として闇社会との二重構造を有し、”あちら”では法律で禁止されている武器も薬物も普通に流通している日本と言う国の現状が抱える”根深き病巣”は彼ら報道関係者には見当たらないのでしょうか・・・・・ この二つに事件に根本的な違いは有ったのでしょうか?
病巣とは言いませんが、私はこの部分に非常に"根深きもの"を感じてしまうのです。
米国だろうと日本だろうと・・・・世界中どこでも、真面目に一生懸命生きている人達が安全に幸福に生きていける世の中であることを切に願うのみです。
May peace prevail on earth. God bless us all.
初めて米国外で迎えた9-11メモリアルデーは平和に無事に終了して何よりでした。