会社では色々なものが配布されますが、不埒にも大半はその日の内に捨ててしまいます。ちょっとは目を通すようにしていますが・・・・
でも、最近配布された人権意識の啓蒙に関するペーパーは、ちょっと心に刺さるものがありました。
「江口いと」さんと言う方の「人の値打ち」という詩です。
ちょっとだけ抜粋すると・・・
いつかもんぺをはいてバスに乗ったら隣座席の人は私をおばさんと呼んだ。
戦時中よくはいたこの活動的なものを、どうやらこの人は年寄りの着物と思っているらしい。
よそ行きの着物に羽織を着て汽車に乗ったら、人は私を奥さんと呼んだ。
どうやら人の値打ちは着物で決まるらしい。
講演がある。何々大学の先生だと言えば、人々は耳をすませて聴き、良かったと言う。
どうやら人の値打ちは肩書きで決まるらしい。
名もない人の講演には、人々はそわそわとして帰りを急ぐ。
どうやら人の値打ちは学歴で決まるらしい。
後略
これを読んで、全くその通りだと思いました。
この2週間ほどの事だけを振り返っても、こういう事がありました。
事例1
後輩の一人が欧州、米州に出張する事になりました。出張の趣旨とは少し違うのですが、どうせなら海外の主要な市場参加者達と情報交換をして来たらと言う事で、彼の為に出張時のAppointmentを取るように頼まれました。
早速ロンドンオフィスの英人とNYオフィスの米人に作業を依頼すると・・・・なんと欧米の両方から面談希望先とのアポは難しい事、アポ自体は可能な先でも先方のシニアな人には会わせられない事など・・・なんとも寂しい反応がありました。
理由は、この後輩がポジション的にも肩書き的にも役不足だと言う事で、面談希望先の主要な人物にはせめてGeneral Managerクラスでないと釣り合わないという事が彼らの主張でした。
事例2
ある米系投資銀行が運用している債券ポートフォリオの国別投資比率のリバランスが注目されていますが、サブプライムで市場環境が大きく変わる中で8月末のリバランスもちょっとした注目を集めていました。
「これに関する情報が入手出来ないだろうか?」・・・そんな依頼を受けた私が同じように英人や米人に情報収集を依頼すると・・・・・こんなやり取りとなりました。
先方 "OK, but who needs it there by the way?"
当方 "Everyone here is interested in that"
先方 "I will have to take time and ask around. Who am I doing this for?"
この野郎、いつもテメーらの尻拭いをしている俺が頼んでいるだけでは動けねーとでも言うのかよ・・・・・と大いなる脱力感を感じながら、勝手にちょっと偉い人の名前を拝借して伝えたところ・・・・
"Wow"などと言ってやつらは探し始めました。
結局頭に来た私は事例1では、彼らを通さずに自分で外部にコンタクトして後輩のアポを整え、事例2の資料も彼ら以外から入手しました。
どうやら組織の中でも、人の価値はポストや肩書きで決まるようです・・・・ま、仕方ないですかね・・・
そう言えば、こんな表現があるくらいです。
The name of the game is the game of the name.
要するにネーム次第よ・・・・と言う意味です。
やや自虐的なるも切れる英語表現でございます。
今後とも健気なLighthouseの管理人、Robert Henryをよろしゅう頼みます。