週末の相場は欧米の3連休前という要素もあって最後は調整食が強まってしまいましたが、大きな絵で言えば依然として金融市場混乱の最悪期は脱したと言うテーマと原油や資源価格の上昇を背景とした物価上昇というテーマが底流で綱引きをしている状況に変わりはありません。前者は投資意欲の回復、後者はリスク回避、或いは自己防衛的な投資バイアスの上昇に繫がります。
それにしても原油価格・・・・やっぱりこれの動きが際立って目を引きますね。
旧約聖書に”乳と蜜の流れる国”と記述された約束の地カナン・・・その中東地域こそが最も良質な原油を豊富に有しているという事実に思いを馳せながら今更ながらに原油について色々と勉強しています。
そうすると面白い事に、原油に関しては多くの"通説”が定着して”神話"と化している事がわかりました。原油を考察する時に、聖書とか神話に思いを馳せるのですから、つくづく不思議なものだな~と痛感します。ちょっと幾つか見てみましょう。
1 供給不足説
世界最大の経済である米国のデータでは、2007年6月をピークに原油需要は減少し続けており、且つ原油の備蓄量は歴史的にも高水準且つガスの備蓄はこの10年で最高ですのでやはり中国やインドなどの新興経済圏の需要が凄いという事なのでしょうか・・・
新興経済圏の結構な部分は資源国だという事実を考えると、供給不足説というのもやや誇張されてきた可能性もあるのかもしれません。
2 ドル安原因説
先進主要国から産油国に増産圧力が掛かるたびに産油国からは現状は原油高ではなくドル安だという反論が出ます。OPECからは原油価格$4が米ドルの1%分に相当すると言う試算が出ており、例えば米ドルが10%上昇すれば原油価格は$40下がると主張しています。
IMFもこの説を支持しており、現状の原油高の$25分は2002年から2007年までの5年間の米ドル下落によるものだと述べています。
しかし・・・よく見ると2002年からのドルの下落は約30%なのですが、原油価格の上昇は実に500%。事実は専門家の主張をはるかに凌駕しており、同時に米ドルの30%の下落で原油価格の500%上昇を説明するのは無理だと思われます。
3 OPECによる価格操作
これも意外な事に現在では非OPEC加盟産油国による生産が全生産量の50%以上、つまりOPEC諸国の総生産量を上回っているようです。そういう意味ではOPECの価格操作にも限界があると言う事になります。
4 中国の爆発的な需要説
上記1とも繫がりますが、中国の消費量は年々増加していますが、増加率は低下しておりこのテーマでもイメージ先行と言う事になりそうです。なんと全体の消費量は2004年にピークアウトしているのですね。
5 気候変動や災害要因説
気候変動や災害による復興需要などが相当な役割を担っていると言う説があり、今回の中国四川省での大規模地震後の復興需要で原油価格が一層上昇すると言う読みがあります。、ミャンマーのハリケーン被害もありましたね。
しかし、2005年8月に米国ルイジアナ州を襲ったハリケーン、カトリーナの影響を見ると原油価格はその後の3ヶ月で約20%下落しています。
6 原油価格と株式価格は最終的にはトレードオフとなるか?
ジムロジャースの本にもそう書いてあるし、私も基本線はそうあるべしと思っているのですが、少なくともこの20数年で見れば両者の逆相関はかなり曖昧になっていますね。
と言う事で原油に関しては調べれば調べるほど奥が深い世界がそこにありました。
これでは夜なべをしてしますね・・・・
夜なべ、夜間残業、深夜まで試験勉強をする事などを Burn the midnight oil と言うのですが、ここにもoil が出てくるのは面白いですね。
A research of crude oil market is so complicated that you have to burn the midnight oil.
と言う事で、ま~人生は探検と探求ですね。