5月最終週は金融市場において大いに注目するべき動きがありました。
値幅と言うよりも各市場のベクトルが変わり始めた可能性が出てきたと言う意味においてです。
物価上昇、景気後退、原油、食料、資源価格の上昇などが主導する形の株安、ドル安という多くの市場参加者が思い描いていたメインシナリオに対するサブシナリオとして徐々に存在感を強めてきたサブシナリオであるインフレ懸念による金利上昇、債券下落⇒株式上昇の流れから米ドルも安定するという流れが加速度的に強まってきました。
6月を迎えるに当り、二つのシナリオはほぼ拮抗した状態か寧ろメインシナリオとサブシナリオが入れ替わりつつあるという状況になっているのではないでしょうか。
何はともあれ原油価格の反落が大きな引き金になりました。
直接的な引き金は、米商品先物委員会と英金融サービス庁が共同で原油先物市場の価格動向、大口取引、投機的取引の監視を行うことで同意したと言うニュースでした。
そんな事が出来るならもっと早くからやればいいのにと言う気もしますが、ひとつの推測として2008年の原油価格上昇が5月まででほぼ2007年度の上昇幅を達成してしまったと言う事実があったと言う指摘もあります。(約$37)
更に長期金利の上昇ですが、インフレ懸念から世界中で債券市場が崩壊して長期金利が上昇していますが、スタート時点で最も金利が下がっていた米国金利の上昇が最も大きく世界的な金利上昇の中でも米ドルが最も恩恵を受ける形になっています。特に10年債利回りが4%をしっかり超えてきた事はインパクトが大きいのではないでしょうか。
最後に株式市場の上昇ですが、長期金利の上昇は単独では株式市場のマイナス要因であるものの、資本市場内のトーレードオフ関係から債券価格下落は株価上昇バイアスを持つと言う事と長期金利の上昇よりも原油価格の反落の方が株式市場に大きな福音をもたらしているという事情から世界的に株価が堅調で、ここでも最もお買い得感の強い米株に世界中から資金が流入しています。
金利上昇、株上昇、ドルが反発という流れが6月相場のメインシナリオとして定着出来るかどうかが大きなテーマになってきました。