2010年3月28日日曜日

Things are ripe for seasonal correction.

四半期末の足音を聞きながら、海外勢のポジション縮小の動きが顕著化してきました。今週は金曜日に米雇用統計もありますので尚更各市場での調整色が強まる可能性があります。

上がっていたものは売られ、下がっていたものは反発するという潮流が短期的には強まりそうな気配です。

為替市場では欧州通貨が売り込まれてきましたが、ここの所反発傾向を強めています。注目すべきは対ドル、対円という部分よりも非常に大きなトレンドを形成してきた欧州通貨売り/コモディティ通貨買いというクロス取引に大きな調整が入っていることでしょう。

EURAUD

EURCAD

ともに長期間ずっと右下がりに来たトレンドが最後の一本(先週金曜日)に大きく反発していることがわかります。ちょっとした大陽線ですね。

失速する欧州から逃げた投資資金はコモディティ生産国に雪崩れ込んでいたわけですが、この経済活動的にも理解しやすいトレンドも調整の波に晒されていると言うことです。

以下は先週も掲載したチャートの再掲ですが、VIX指数の反発=株価の下落という動きも発生しやすい状況になっていると言う気がする訳です。

期末要因による株価の反落に要注意です!!

JPY is shaken off the back of buck.

3月末は2010年の第一四半期の締めに当たる重要な節目であり、本邦勢にとっては2009年会計年度の年度末という節目でもあります。3月のアノマリーとして円高ドル安になり易いと言うのはその為なのですが今年は本邦勢の動向も今ひとつのようで金融市場は主に海外要因で動いていると言う印象です。

海外要因と言うのは主にギリシャ救済問題に揺れる欧州の材料でしたが、ここへ来て急速に台頭してきたのが米国の金利上昇というカードです。

先週は米国で水曜日に5年債、木曜日に7年債の入札がありましたが、水曜日の5年債の入札結果が弱く、その後もダラダラ売られる流れとなったことで最近の金利上昇バイアスが一気に強まった感じです。木曜日の7年債はそれよりは幾分マシでしたがやはり入札後も売られると言う状況は変わりなく市場ではスワップスプレッドがマイナスになる状態(スワップ金利よりも同期間の米債利回りの方が高くなる状態)が大きく注目されました。

このチャートでも米債の利回りが急上昇していることがわかると思います。上から青が30年のモーゲージ金利、赤が当初5年間固定でその後毎年金利を見直すモーゲージ金利(5/1 ARM)、そら色が10年債利回りです。

10年債利回りの急騰が目を引きますが今のところモーゲージ金利(住宅ローン金利)への波及は限定的ですので実体景気が悲鳴を上げる事態にはなっていませんが長期買うすると影響拡大は不可避であり、先週後半はこの懸念を織り込む形で引けにかけて米株市場が日中の上昇を全戻しして引けるという不穏な動きもありました。

今のところ総合的に見ると米金利上昇は為替市場の米ドル支援材料となっています。元々欧州混乱でドルは強かったのですが、先週は米ドルと同様に対欧州通貨で上昇していた円が売り込まれる動きがあり、その引き金となったのも今回のドル金利の上昇でした。

USDJPY DAILY

入札結果への感応度が明白ですね。最後に地味な陰線を出しているのが金曜日ですが、その前の2本の大陽線は5年債、7年債の入札の悪かった水曜日、木曜日です。90円当たりでふらついていたドル円は一気に93円を目指す動きとなりました。

円安の動きの継続性はここからの大きな注目点です。

特に海外勢は円に対して非常にベアですね・・・・

2010年3月23日火曜日

A wind blows and a market moves.

最近は風の強い日が多いですね。

ちょっと調べてみたのですが、風の正体というのはちょっと謎めいているようです。台風のように明確な起源が掴めないと言った方がいいでしょうか。大規模な風には亜熱帯の空気が赤道に向かって吹き込む貿易風、緯度30度~60度までの偏西風、飛行機にいたずらをすることもあるジェット気流、極地で起こる極東風などがあり、これらが世界の海洋民族の歴史と文化と密接に結びついています。モンスーンとも言われる季節風は陸から海に向かう風と海から陸に吹く風が入れ替わる動きのことで気象学では卓越風というそうです。

すべからく風が起こるのは空気粒子が固まりで移動するからですが、なぜそうなるかと言うと地球が回転している事、その地球が完全球体ではなく微妙に歪である事、北極、南極、赤道付近での角加速度が違っている事などが原因となっていますが、そんな地球の回転に接している空気の塊は慣性の法則によって道筋がずれると言うコリオリの力なども複雑に絡むそうです。

でも・・・そんなものではなく、風自体が何かの意思を持って吹いているとか、大気自体が生き物であるかのような感慨を持つ人は少なくないのではないでしょうか。日本人の花鳥風月的な感覚もそういうものだと思います。そして、なんと・・・実はそういう仮説もある事を知りました。

大気中の酸素やアンモニアの気体濃度は、そこから少しでも外れると生命にとって重大な脅威となる微妙極まりない最適値に保たれているという不思議な事実から導き出されるこの仮説はガイア仮説と言うのですが、大気を生物学的な産物であり、構成物でもあると言うロジックです。
 そもそも地球には酸素も生命も不在であったところに宇宙から「情報の種」、「生命の種」が降り注ぎ海中で発生した初期生命体が酸素を排出したことで色々な生命体が発生していったと考えれられています。この初期生命体の酸素排出呼吸の名残が今の植物の呼吸です。

ガイヤ仮説は今でも宇宙から「情報の種」が降り注ぎ続けていると言う仮説なのですが、これを帰納法的に証明しようと言う実験の中で取り上げられたのが風邪のウィルスのデータでした。これはよく調べてみるとソ連型、ホンコン型だのスペイン風邪だのと言いますが、名指しされた地域に行って見るとトルコ風邪とかアジア型だとか呼んでいたりするようで、要するにウィルスというものがどこから来ているのか良くわからない事が判明したそうです。そこで実はこういうものも何らかの意図を持って(?)宇宙から地球に降り注いでいるものではないかと言う仮設にもつながるそうです。

これ以上深入りすると風邪を引きそうなので、纏めますが、風も風邪もなんだか相場の世界と共通する点が多いように感じませんか? 色々な動きが観測されてトレンドを形成したりするのですが、得てして大本の出所は良くわからないことも多いです。また為替の世界では株や金が上昇して為替も円安担ったなどといいますが、株の世界では為替市場で円安になったことを受けて株も上昇等とやっているのはウィルスの話にそっくりですね。

相場を追いかけることはどこか花鳥風月的な浪漫があると言うことだけは間違いないとは思いますけどね・・・・

Stocks hold the key.

色々な見方があるかとは思いますが、私は今年の1月―3月という期間は、少なくとも幾つかの点においては間違いなく異例な年であった2009年の後を引き受ける2010年が金融市場にとってどのような年になるのかという一大テーマに関する駆け引きが行われてきた期間ではないかと思っています。

金融市場にとって2009年はある意味で異例な年だったと言う事が出来るでしょう。2009年に起きた事を列挙してみると、そのうちの幾つかに関しては本来は同時には起こらない筈のことが同時に起きていたということに気が付きます。

2007年~2008年にはサブプライム問題~リーマンショックという未曾有の出来事がありました。それらを消化した後の2009年において最も意外だったのは2009年が所謂 市場好調期となったことでしょう。

 私も実は2009年度は当然世の中の混乱が継続し、混乱の火種はサブプライムの傷が米国よりも深く、且つレバレッジの掛け具合も米国以上と言われていた欧州に飛び火すると言うシナリオを想定していたものですが、実際の相場は4月からGreen Shoots等と言う言葉が跋扈する完全な投資家天国=市場好調期が継続しました。

市場好調期には、あらゆる資産市場がブルトレンドに入るためにCorrelationが上昇してVolatilityが低下するという現象が起こりますが、このVolatilityの低下と言う現象の広がりは一つの大きなトレンドを形成し、市場好調期であるが故にVolatilityが下落すると言うことに加えて、Volatility自体がベアトレンドを持ち、オプション市場でVolatilityが売られるが故に一層市場好調バイアスが強まるという循環をすら生み出していったと思われます。

また上述の本来は同時には起こらないはずが同時に起きていたと言うことの一例としては例えば通貨オプション市場において、為替がドル安円高方向に動きながらVolatilityが下落したり、円コールドルプットと円プットドルコールのVolatility表示の価格差(リスクリバーサルスプレッド)が縮小すると言う現象が挙げられます。これは大げさに言えば細川政権がクリントン政権の怒りを買ってドル円が一気に80円割れを示現した95年4月以来の「円高でVolatility上昇」という世の中の常識が覆ったとも表現出来る出来事でした。

市場参加者を分類する方法には無数の手法があると思いますが、先ずは実需と非実需に分けて後者を投資家とトレーダーに分けるとすると、投資家はVolatilityを嫌い、トレーダーはそれを必要とすると言うことが出来ます。2009年はその意味では投資家天国でトレーダーは干上がる流れとなった訳ですが、2010年の大きな論点は、上述のような2009年は異例な年であったのか、或いは長期間続く新たな世界の入り口であったのかという事でしょう。

ここで投資家コミュニティは明らかに後者のシナリオで動いており、2010年度版のGreen Shoots相場を作りに来ている事は間違いなさそうです。株価は52週高値、Vix指数は過去1年の最安値を更新しています。

ただし、この過去半年のVixのチャートを見ると明らかなように、Vix指数は最安値をつけた後は短期間で結構な反発をする傾向があります。これは株価が反落することを意味しています。

 今回Vix指数が最安値をつける過程では、今月に入り先週木曜日までダウが8連騰、また小反落した金曜日を入れても15営業日のうち12営業日で上昇という堅調振りでした。

これとパラレルなのが為替市場のドル円のオプション市場の動向です。先週はドル円の1ヶ月物のVolatilityが10%を割り込んで9%台に下落しましたが、Vix同様にこの水準まで下落するとドル円にトレンドが発生してVolatilityが反発すると言うジンクスがあります。

このところのドル円がどれだけ煮詰まっていたかはごらんの通りです。このチャートの右半分が3月の動きですが、殆ど立ち泳ぎ状態ですね。トレーダーとしては打つ手なしと言う状況でひたすらVolatilityが下がってきたと言う感じでしょう。

3月も最終段階に入りますが、この昨年同様に4月以降のGreen Shoots相場を示現したい勢力と欧州の混乱や世界中のソブリンリスクを材料にVolatilityの上下するTradableな市場を望む勢力の綱引が激化する可能性があります。そしてその主戦場はやはり米株市場と言うことになるでしょう。

株価が持ち堪えればGreen Shootsの芽が出てきますし、株価が反落色を強めるのなら4月以降は昨年とは違う流れが出やすくなり、ドル、円、Volatilityが上昇し、株、商品などは下落しやすい展開となりそうです。

ここからは特に株価に注目しましょう。

2010年3月22日月曜日

Well-Tuned EIGO. : A victim of its own success.

ある欧州系の金融機関との面談の中で、数字が出ていただけに従来のやり方に安住してしまい、その結果システム投資等のリソース拡充で後手に回ったという話の中で、彼らが自分たちのことを
"We were a victim of our own success"
と表現していたのですが、この a victim of its own success というのは自分の足元も含めて色々なものに当てはまるように思います。

サブプライム問題などに関してある米銀のCEOが、やりすぎだとは思ったが音楽が鳴り続けている間は踊り続けるしかなかったという発言をしていたのも同じ事だと思います。

今の欧州の問題、そもそもがグローバル資本主義も歴史上の様々なバブルも全てそういうことなのでしょうか。

「仲間だと思ったけど、助けてくれないのならIMFに相談するぞ。それはお前らの挫折にもなるんじゃないの?」と言って独仏を揺さ振り始めたギリシャは完全に逆切れ状態だと思うし、同国の惨状を見て前倒しで財政再建策を実施し始めた他の問題候補の国々(PIIGS)で軒並み与党が支持率を急低下させていると言う危険な状況を見ていると欧州連合や単一通貨EUROというものも自身の過去の成功の犠牲者になりかけていると言う見方も出来るのではないでしょうか。

文化発祥の地として成熟した先進国のモデルとなるような高福祉、充実した老後を実現したかに思えたギリシャは世界中から賞賛や羨みを受けた公務員の52歳定年や高額年金が故に財政を破綻させ、それを維持するが故に同じ公務員が67歳定年制となっているドイツ国民の世論が救済に反対すると言う図式には無理もないという思いもあります。最近では領収書やレシートは発行せずに消費税分の10%を値引きした商取引が横行しており、売り手にも消費者にも全く罪の意識もないという状況が報道されていましたが、ここまで来るとドイツの言い分も尤もだと言う気にもなります。

失敗は成功のもと・・・・と言いますが、成功は失敗のもとにもなりうると言う事を改めて痛感します。

It was a split week.

金融市場にとって先週はかなり複雑な経緯をたどったと言えるのではないでしょうか。

総体的に金融市場は3月に入ってからも短期的な潮流を頻繁に転換しながら御し辛い展開を見せていますが先週の動きにも色々な勢力による2010年度への思惑が見え隠れしていたように感じます。そのうちのいくつかについて考察してみましょう。

1 週前半の動き

先ずは簡単に振り返りますが、先週は序盤からFOMCBOJの政策決定会合という注目材料がありました。FOMCに関しては特にextended period異例な低金利を継続するとしてきた流れがありますが、出口政策を早める意味でこのextended periodという文言を消してくるかどうかと言う点に注目が集まりました。デフレ克服へ向けて追加緩和策が期待されたBOJに関しては既に日本経済新聞が昨年12月に導入した新型資金供給オペ(期間三ヶ月、金利0.1%)の規模を10兆円から20兆円に増額するというすっぱ抜き記事を書いていた事で市場は期間の長期化や規模の更なる拡大と言う強いメッセージを期待していました。

 結果はFOMCextended periodの文言を維持し、BOJは全くサプライズなく期間も金利もそのままで増額規模も20兆円までという日経の記事を裏書しただけの内容に留まりました。

 市場の反応はサプライズが無かった事、日米の金融緩和が継続する事、ギリシャ問題も小康状態で欧州市場も落ち着いていたこと、などから一旦株価上昇、商品上昇、ドル売り、欧州通貨反発という流れとなり、ここで株のVIX指数や各オプション市場で建値されるVolatilityは年初来安値水準にまで低下しました。

2 週後半の動き

やはりギリシャ救済ネタの再燃が引き金を引いたと言う事になるのでしょうか。週後半には先行していた楽観的な市場センチは大きく後退してしまいました。

 今の欧州は明らかに擦れ違っている感じがします。全体的には欧州の問題は欧州連合内デサポートしあうべきという美意識があり、この方向の動きが見えると市場はそれを好感するのですが救済の各論(具体論)になると救済する側から強い違和感が噴出するという展開が目立っており、こうなると市場はこれを嫌気するという展開になります。先週は欧州連合内で救済する流れが出ていましたが具体化のプロセスは難航し、業を煮やしたギリシャがIMFにもアプローチを開始。これを受けてドイツ首脳からもやはりIMFを入れた方が欧州連合内にモラルハザードが発生しないので好ましいと言う発言も出てかなりの暗雲が立ち込めました。ここに突然インドの金融引締めも発表されて投資環境は急速に悪化した格好です。

 市場の反応は、株式市場反落、商品市場反落、欧州通貨反落、VIX指数底打ち、オプション市場のVolatilityも底打ちという流れになりました。

欧州通貨ということでEURUSDDailyチャートで見ればこういう感じになります。

先々週の金曜日からの直近の6本を見れば、金、月、火で乱高下。水、木、金で3日続落という動きで終了しています。

EURUSD Daily Chart.

3月は本邦勢は期末、年度末であり、海外勢は第一四半期の締めという節目でもあるので季節要因から特殊なフローがまとまったサイズで出易いので月末までの期間でも先週のようなセンチメントのFLIPが繰り返される可能性がありますが、メインシナリオは週後半の混乱路線が継続すると言う方向で見ておくのが無難なのではないでしょうか。

2010年3月7日日曜日

Dragonflies are flying around. What do they see?

テクニカル分析の世界では日本の発明であるロウソク足は世界標準の一つとなっており、元々米相場の予測に使用され始めたコンセプトに欧米勢も様々なコンセプトを付加しています。一目均衡表なども注目度は上昇していますがやや概念が複雑な為かロウソク足ほどの市民権は得ていないようです。

さて、ロウソク足には一本のロウソクの形状を見る場合と数本のロウソクの束を分析する場合などがありますが前者の注目点の一つに髭が長くて実体部分が小さいものが出てきたら要注意と言うものがあります。小さい実体部分に縦に長いヒゲが刺さったような感じになるのでハンマーなどと呼ばれることもありますが、私はぱっと見た感じからDragnfly(トンボ)と呼んでいます。

週末には週次のチャートを色々見るのですが、丁度今注目度の高い欧州通貨のチャートでこの状態が沢山出ていることに注目しています。

ちょっと見てみましょう。

先ずはEURUSDの週次チャート。もう4週間もこの状態で、トンボが4匹並んでいます。

EURUSD WEEKLY

USDCHFでもやはりトンボが4匹で短いながら実体部分が陰線なので赤トンボとなりました。

USDCHF WEEKLY

GBPUSDでは尻尾の長い赤とんぼ。

GBPUSD WEEKLY

EURGBPのクロスでも出ています。

EURGBP WEEKLY

EURCHFはSNBのゲリラ介入で怪我人も多く、赤十字と言う感じですね。

EURCHF WEEKLY


上ヒゲ、下ヒゲが長くなると言うことは週内での高値も安値も騙しだったという事です。また実体部分が短いと言うことは始値と終値が同水準で結局トレンドは出ていない気迷い相場になっていると言うことなのですが、このトンボ君はレンジ相場であればトレンドが出る直前、トレンドが出ている時であればトレンドの小休止或いは反転前の踊り場で出ることが多く、トンボ君を見つけるとその後に直近の高値や安値をBreakした方に仕掛けていくと大きな波に乗れることがあります。

チリで地震が起こると日本にも津波が来るように、今ここにいる蝶の羽ばたきが起こした微細な空気の動きが地球の裏側でハリケーンや台風にまで発展することもあると言うのが有名なバタフライ効果ですが、チャートの世界ではトンボ(Dragonfly)も相当な注意信号であるということになります。

大相場を正確に予見できれば連戦連勝でしょう。トンボのメガネが欲しいと感じる今日この頃ですね。


BOJ : JOB Turned Things Around.

先週の金融市場は多くの注目材料を消化しながら小動きに推移しましたが週末には部分的ではありますが月初のお約束となった(?)どんでん返しも見られました。

ギリシャの財政問題に揺れる欧州に注目が集まる中で先週は特に木曜日のECBBOEの政策決定会合、そして金曜日の米2月雇用統計に注目が集まっていました。

終わってみれば木曜日は市場の予想通りの結果に市場の反応も限定的でしたが金曜日にはちょっとした混乱がありました。

BOE(英中銀)は政策金利を0.5%に据え置き量的緩和スタンスを継続し、続くECB(欧州中銀)も1%に据え置きました。いつも通りBOEは結果発表のみで議論の詳細は317日の議事録発表待ちとなりますが、注目されたECB総裁の声明などでも特段のサプライズはなく、あとは金曜日の米雇用統計次第と思われたのですが東京時間の26時過ぎ(金曜日午前2時)過ぎから日本円が売られる動きがありました。

市場の注目が前述どおり木曜日の欧州(BOE,ECB,金曜日の米国(雇用統計)と完全に欧米に向いていたところで突然日経がBOJ(日銀)が追加の金融緩和措置を検討というニュースを出したことがキッカケでした。

 東京の市場参加者にすれば迷惑千万な夜間の出来事なのですが、当然ながら本邦当局がこんな時間に声明を出す訳もなく、この情報を掴んでいた日経新聞が金曜日の午前2時まで報道を差し控えた為にこういう動きになったと考えて間違いなさそうです。ややインサイダー情報になりますが、午前2時と言うのが朝刊の校正作業のデッドラインなのでこれ以降の情報には競合他社は追随出来ないのだそうです。かくしてこのニュースは日経新聞の朝刊にしか出ないと言うことになる訳です。

もともと市場では金曜日の雇用統計という乱気流に向けて断続的にポジションを縮小していく動きが出ていましたが、このニュースを受けてドル円やクロス円のショートポジション保有者達が出口に殺到しましたので一気に円安が進行しました。

金曜日には真打ち登場という感じで米国の2月雇用データが発表となりました。国勢調査(センサス)担当者の臨時雇用が数字を持ち上げるとか昨今の大雪の影響で建築、土木等の工事が凍結状態となった分雇用の数字が劇的に悪化しそうだ等という様々な憶測が駆け巡る中で発表された数字は予想を上回る内容と評価されました。大幅減少懸念もあった非農業部門就業者数は36千人の減少に止まり、9.8%に戻ると予想されていた失業率も9.7%に踏み止まりました。

金曜日の米雇用統計後の金融市場の動きはこんな感じになります。

1 株式市場、商品市場が上昇。

2 債券市場は大幅下落金利が上昇。

3 米ドルは指標直後に急騰してその後に上昇した以上の反落。

4 欧州通貨は指標直後に売り込まれ、その後大きく反発。

5 コモディティ通貨、新興国通貨は総じて堅調。

6 日本円が最弱通貨となりドル円、クロス円が断続的な急騰。

円の下落には市場参加者のリスクテイク意欲の上昇、日銀の追加緩和期待による円の市場金利の低下、という側面がありそうです。

本邦年度末という要因もあり、3月には急騰しやすいアノマリーのある日本円の旧反落は3月の台風の目となるのでしょうか。上記の要因から市場が全面的なRISK-ON状態となるほど世の中が順調とは思えませんが、の円金利が実際に低下していると言う要素は無視出来ないような気もします。

先週は、木曜日に出たBOJの緩和観測で市場センチがひっくり返りました。金曜日にはそのBOJをひっくり返したJOBデータに主役が交代しましたが円安センチはそのままでした。欧州通貨と米ドルの綱引の中で円の立ち居地が随分変わってきたというところでしょうか。以下はドル円の日次チャートです。最後に2本の陽線が立っているのが判ると思います。木曜日と金曜日の分です。

USDJPY DAILY

今週の円にも引き続き注目ですね。