先週は2010年の第一四半期から第二四半期への移行に加えて本邦勢は2009会計年度から2010会計年度への移行と言う大きな節目が入る週でした。また週末には毎月初のお祭りとも言える米雇用統計(3月分)の発表もありましたのでかなりの重要週であったと言えます。
先ずは四半期や本邦会計年度の節目の影響に関してですが、正直な実感としては思ったほど(期待したほどと言ってもいいのですが・・)特別なフローは出なかったような気がします。利益確定売りが警戒された株式市場は極めて足腰の強い動きを見せましたし、特に本邦勢によるRepatriation(本国送金)による円高の可能性も指摘されていた為替市場でも寧ろ目立つのは円売りのフローだったような気がします。
また金曜日に発表された3月の米雇用統計は、失業率が9.7%で横這い、雇用者数が前月比16万2,000人増となりました。国勢調査(Census 2010)実施に伴う臨時雇用や記録的大雪の影響を受けた前月データの反動といった要素が影響していることは留意しておく必要がありますが市場は素直に強い内容と受け止めた格好になっています。
今週からの動きに影響を与えるのに十分なモメンタムが感じられる動きが随所に出ていますが、特に円安の動きには注目していく必要があるでしょう。依然として一部に根強い円高論を振り切る格好で円は最弱通貨の趣を醸し出し始めていますが、チャートで見ればいつか来た道、つまりは2007年以前の円安トレンドの復活前夜を思わせる勢いすら感じます。
ドル円Daily
ドル円の日次チャートはご覧の通り。先週は5営業日全てで陽線で、過去2週間でも8勝2敗です。
ドル円Weekly
ドル円の週次チャートで見ても過去2週間で見事なBOX圏の上抜けを達成しており、丁度その前の2週間がInside barという以前このBLOGでも述べた実体部分の短いトンボの形状となっておりドル円上昇のセットアップ期間だった事がわかります。
二つほどクロス円のチャートも覗いてみましょう。
GBP円Daily
AUD円Daily
GBP円、AUD円ともにこの2週間の10営業日で9勝1敗という安定度で、レベル的にも上に抜けていてます。
ところである統計によれば、戦後米国の月別雇用者数データが今回のようにマイナスからプラスに転じたケースが7回あるそうで、その7回全てでその後株式市場の強気トレンドが続いたそうです。規模も中々のもので、ブル相場の平均期間が3年、平均のリターンが30%という統計データがあるそうです。
株式市場も既に極めて堅調な推移をしている訳ですが、今回の雇用統計が触媒となって更なるブルトレンドを形成すると言う事になるのでしょうか? そうなれば投資家のリスク意欲の高まりから低金利の円で調達した資金を高金利資産で運用する所謂円キャリートレードと呼ばれてきた手法が大きく息を吹き返す可能性もありそうです。
金融市場における円の立ち居地が大きく変わる可能性が出てきたと言う事は要注意ですね。