さて・・・今回のSECの動きについてですが、週末時点では憶測も含めて評価が二分している状態だと思います。今後の展開次第でより大きな材料となる可能性もあるので注意が必要である事は間違いないでしょう。
複雑な話ですが、現時点で伝えられている事を要約すると以下のようになると思います。
- SECはGoldman Sachs社(以下GS)とPaulson&Co(HF)を提訴した。
- GSの容疑は自社が組成して販売した(サブプライム)証券に関する重大な事実の説明を投資家に対して行わなかった事。
- Paulson&Coは販売する商品の組合せの選択過程で関与していたが、自身が選択してGS経由で投資家に売り付けていた証券を自身は売り持ちにしていた。
- GSも自社が世界中の投資家に販売していた商品を売り持ちにしていた。
ここで「売り持ちにしていた」というのはショートポジションを取っていたと言う事です。市場に詳しい人ならそのような仕組み債や組成商品には独立した市場やプライスメーカーがいる訳ではないのにどのようにショートポジションが取れるのかという疑問もあるでしょうが、これは要するに自社が推奨し、販売していた組成商品に関するCDSを購入していたと言うことでしょう。GSなどにCDSを一番大量に売却していたのはAIGであり、この世界最大の保険会社を身代わりにすることで米4大証券の中でGSだけが生き延びたと言う批判を思い出せば話がつながると思います。
被害を蒙った投資家は世界中の年金基金なども含まれる訳ですから事態を重く見た複数の国の政府が独自に調査を命じたと言う情報もあります。
さて、一方のPaulson&Coですが、モーゲージ債のショートで大きな収益を計上したという事以上に実は大変なGoldブルで、名を馳せている存在であり金貨市場でも買占めに近いような動きを取る事もあります。今回の話では同社が一部でもポジションの清算や縮小を迫られる(投資家の解約などで)可能性を嫌気して貴金属市場が売り込まれています。
Gold Daily
Goldmanの株価は14%下落して株式市場全体を道連れにしていますが、株式市場は高値圏で調整待ちだったこともあってここから暫く下落する展開となる可能性があり、更に金の下落が商品市場全体の足を引っ張ると、資源国市場や新興国市場への投資も縮小されて投資資本の本国還流から米ドル、円が上昇すると言う流れが出始めています。
今週の市場がこの新たな材料をどのように消化していくのかに注目です。
金曜日に、Goldmanの話で、金が大幅に下落したと言うのは韻を踏んでいると言うのでしょうか??