2010年4月11日日曜日

Can Geitner give an inch and take a mile ?

リーマンショック後の金融危機を上手く乗り切ったと言うことで一時は少なくとも一部で高い評価を受けていたFRBバーナンキ議長とガイトナー財務長官ですが、やがて彼らが救済したWall Streetの金融機関の高額報酬体質が問題となり、そもそもベアスターンズは救済したのにリーマンブラザースは破綻させた彼らの一貫性のない対応こそが危機の一因でもあったと言う批判に晒されるようになってしまいました。
 ワシントンDCには米国中から観光客が集まりますが、観光バスがFRB本部につけると乗客から建物に向かってブーイングが起こると言う光景も見られるようになりました。オバマ政権本体も支持率低下という問題に直面し、事態の打開を図りたいオバマ大統領はバーナンキ議長を再任するかどうかは相当悩んだようです。ホワイトハウス内部では一時脇に追いやられていた感のあるボルカー氏が再び重用されるようになるという変化も見えていますが、それだけにガイトナー財務長官も必死に名誉挽回を図りたいところです。

元々アジア通を自認し、中国語、日本語も話せるガイトナー長官は人民元問題を抱える対中関係を名誉挽回のフィールドと定めて様々な手を打ってきていると思います。中国を初めて為替操作国に認定する可能性が高かった議会宛の為替報告書の発表を3ヵ月延期すると言う決断をして議会から弱腰と批判されていますが、これも先に中国に配慮して貸しを作り、より大きな譲歩を人民元切り上げと言う形で引き出そうと言うガイトナー財務長官として必死の駆け引きの一部なのでしょう。

譲歩してもかえって付け上がるだけだと言う相手のことを、 If you given an inch, he will take a mile(yard). などと言う事がありますが、主語を統一して使用する場合は、小さな譲歩をして大きな成果を得るということになるので日本語で言う「肉を切らせて骨を絶つ」というイメージで使えると思います。

Can Geitner give an inch and take a mile ??

甘いマスクのGeitner氏の起死回生の一発が見られるかどうかに大いに注目です。

因みに彼に近い筋によると、Geitner氏は中国語は交渉レベルにはやや苦しいレベルだそうですが日本語は中国語よりもかなり堪能だと聞きました。日本で活躍する外人タレントの平均ははるかに凌駕しているとの事です。一度聞いてみたいですね。