2010年5月31日月曜日
知ってるつもり or 知らぬソブリン ?
記事の要点は、以下のように纏める事が出来るでしょう。
1 引き金はギリシャの債務危機。
2 リスク懸念が投資マネーの広範囲なリスク回避となり影響は世界中に拡大。
3 投資マネーの逃避先は安全資産とされる債券市場の他には金など。
4 ダウは5月に871ドル(7.9%)の下落。
5 日経平均も5月はリーマンショック直後以来の高い下落率となりそう。
6 日米の株価下落は震源地の欧州以上。
7 為替市場では5月は対円で主要通貨が下落。
事実とデータの羅列と言う感じですがよく整理された記事だったと思います。私は個人的にも金などに興味を持っていますが、私が得ている話しで補足しておくと、欧州の金貨、銀貨の販売は爆発的に伸びているようで欧州におけるコイン販売の中心であるオーストリアの金貨・銀貨販売業界のデータによると4月26日から5月初旬にかけてのほんの1週間程度の間の金貨の売り上げは今年の第一四半期(1月~3月)の販売高を上回ってしまったそうです。
しかも注文の99%以上は欧州域内からのものでアジアや米国などからの注文は1%にも満たないとの事ですので欧州の富裕層などが債券や株式から一斉に金貨などに流れた事が判ります。
またこれは先週のニュースですがギリシャ国内のい金貨市場では金貨の価格が急騰中で、なんとオンス換算にすればユニット価格が$1700レベルになるほどに高騰してしまっているようです。これは供給が枯渇している事に他なりませんが、とにかく今は市場で1オンスあたり$1200程度で購入しておいてギリシャ国内で販売すれば実に$500もの裁定利益が生じる事になります。流通ルートなどを持っているならまさに濡れ手に粟の収益が得られそうですね。
元々欧州ではコイン販売や収集が盛んでドイツなどでも金貨・銀貨は一部では自動販売機で購入できるほどです。希少価値のある製造年度や製造元のものであれば所謂コレクターズ・バリューというプレミアムも付くので金価格が下がっても金貨の価格は下がらない事すらあるので財産の一部をこういう形で保有するのは当たり前と言う風潮もあるようです。
また日米の株価下落が震源地の欧州株の下落率を上回った事については、やはり欧州への投資を損切りして資金を引き上げたことをカバーする益出しと言われる行為によるところが大きいと思います。所謂損失補てんといっても良いでしょう。特に日本株は為替の円高との併せ技で海外投資家にとっては自国通貨換算ベースで結構利が乗っていたはずなので損失補てん、ダメージコントロールの為の益出し行為の格好のターゲットとなった事は確かでしょう。
またもう少し長期的な目線では、今後のギリシャを含めた各国の財政再建努力による債務リストラなどの動きが結果的には企業や家計のバランスシート悪化に直結することに市場が気付き始めた為ではないかと言う鋭い指摘もあります。このあたりは引き続き掘り下げていくべきテーマなのではないでしょうか。ソブリンリスクというポテンシャルなリスクがあるという認識は共有されていましたが、こんなに早く、このような形で現実のものとなって我々に対峙する事になるとは誰も思っていなかったのではないでしょうか。そしてそれが短期的、中長期的に齎すであろう影響なども我々は知っている積りであったほどには知らなかったと言うことなのではないでしょうか。
2010年5月23日日曜日
Simply "PUT"......
それにしても5月は世界中の株式市場が大変な事になっています。上昇・下落の双方に非常に大きな値幅を記録するSWING相場なのですが基調は明らかにベアマーケット入りを示唆していると言わざるを得ません。
米株を中心に見てみましょう。先週の動きです。Dow平均はご覧の通り週初に少しだけ前週比プラス圏にいたものの後はずっとマイナス圏での推移となりました。金曜日に小反発していますが、ここから大きく反発してブル相場に回帰出来る状況とはとても思えません。
ナスダックも全く同じです。
S&P500も相似形ですね。
私が購読している株式関係の投資レポートの一つにPut Strategyと言うものがあります。これは優良銘柄のスクリーニングや押し目で拾う際の目安となる推奨水準の紹介と言う通常のサービスとは一線を画すもので、レポートに掲載されているのは推奨銘柄と売却するPUTオプションの行使価格です。
これは今後も値上がりが見込めるある優良銘柄の株価が現在$100だとすれば、$85あたりを行使価格とするPUTオプションを売却しようと言うものです。オプションの売却と言うのは無限大の損失を招くリスクのある戦略ですが、以下の条件さえそろえばメリットの方が大きいと言う発想です。
1 自分がその銘柄を買いそびれたと思っている事。
2 もう一度何らかの理由で値下がりしたら買いたいと思っている事。
3 そうなるまでの間にも利益を得たいと思っている事。
この3つにYESと答えることが出来るのならば、$85を行使価格とするPUTオプションを売却しておけば、①売却時にオプション料が受け取れる、②期日までに$85までの値下がりがなければ受け取ったオプション料が利益確定する、③もしも値下がりして買い手からオプションを行使されれば$85でありがたくその銘柄株を買えばよい。
と言う事になります。$85に買いオーダーを入れて待っているだけなら株価が現行の$100近辺でうろうろしている間は何も起こりませんし、そのまま値上がりしてしまえば何も残りませんが、このように$85のPUTオプションを売却しておけば繰り返し売却益を懐に入れながら値下がりを待つ事が出来るし、値上がりした場合には自分が売却したPUTオプションの価値が下がるので株を持っていなくとも収益が上がると言うからくりです。
2009年の春以降はほぼ完全な市場好調期で、このようなPUT売却戦略は機能し続けました。そして当然ですが、この戦略を採択する人も増え、採択した人達はこの戦略の規模を拡大し続けたと言う事も間違いありません。
オプションの講義をする積りはありませんが、オプションの売却は高勝率である反面、8勝2敗や9勝1敗という成績でもトータルで損失を出す事のある危険な戦略です。大抵は上手く逃げ切れる事が多いのですが、こういう戦略を取っている際の最悪シナリオがまさにここ3週間位続いているパニックの連鎖的な相場です。
所謂デルタヘッジと言われる現物ヘッジで、早めに必要な売却数以上の現物売り(デルタのオーバーヘッジ)を被せてしまう事が出来るようなヘッジファンド等はともかく一般投資家のレベルや超長期の年金勘定のようなアカウントでは完全に後手に回るはずです。実際に現時点で自分が売却していたPUTオプションが In the money状態となり(実勢価格がオプションの行使価格を突き抜けている事)、潜在的に持値の悪いロングポジションを抱え込んだ格好の投資家は市場に溢れている可能性があります。今後の市場回復局面ではそうした勢力による「やれやれ売り」が断続的に出てくる事になるはずで、反発局面の上値は抑制され続ける事になるのではないでしょうか。
多くの投資家にとって株式市場は軍資金の貯蔵庫になっており、ここが痛めばどこか他の市場から益出しして穴埋めをする動きも広がるので商品市場や新興国市場への投資も縮小されると言う負の連鎖(Delevering)が断続的に続いていく事になりそうです。
これは市場間、資産間の相関が崩壊し、Volatilityは上昇すると言う図式を意味します。これは2009年とは間逆の展開と言う事になるのですが、そういうリスクシナリオの芽を早めに摘み取っておきたい世界中の金融当局と金融市場のダイナミズムとの駆け引きが今まさに始まったところと言えるのでしょう。
株式市場の動向は本当に心配ですね。大幅に値を下げながらもまだ調整の範囲内(それまでの上昇が急すぎたので)と解釈されている上海市場でも大規模な益出しが不可避と言う事態も想定しておくべきかもしれません。その時に買われるのはGOLDか、米ドルか、日本円か・・・? 現時点では全てのシナリオが並列的に可能性を共有していると言う感じでしょうか。
Confusion/Contagion/Correction ⇒ Cash
先週も色々な動きがありました。
1 注目のEURはまさにSelling Climax的な急落の後に反発して越週。
2 一方で持高解消の動きが株式や商品などリスク資産全般に拡大。
3 結局週を通して際立ったのは円高の動き。
と言ったところでしょうか。
1だけを見れば欧州の混乱は一服したかに思えます。ギリシャ救済案の承認と言う非常に重い有権者にも不人気のプロセスが欧州各国の議会で無事に消化されるのかと言う不安材料も注目のドイツ議会がこれを承認した事で一服。更にドイツが株式や債券における空売り規制を発表した事やNYのコンサルティング会社が日米欧によるEUR買いの協調介入の可能性を指摘するレポートを出した事などが引き金となり市場参加者のEURショートポジションの解消が劇的な速度で進行しました。偶然にも先週は自国通貨CHFの上昇と戦い続けるスイス中銀が久し振りにEURCHFのEUR買い介入を実施した事も大きな触媒になったようです。これは1.40という節目を割れればダムが決壊したようにEURが下落すると読んだ投機筋による売りが17bioEUR出たとされる直後の介入だったので絶叫のEUR買戻しが出た事になります。
EURUSD Daily(⇒先週は5営業日で4本の陽線)
EURCHF Daily(⇒SNBの介入でEURが急騰)
これで世の中の混乱の震源地であった欧州売りが一服したと言う事実を好感して他のリスク資産にも安心買いが出ると言うシナリオも十分あり得た訳ですが、実際には上記2の通り株式市場、商品市場共に持高解消の動きが寧ろ拡大する展開が続きました。
この過程では“究極の安全資産”というステータスを欲しいままにして無人の野を行くかのような状況ですらあったGOLDの上昇にも急ブレーキが掛かると同時に持高解消⇒投資資本の組み戻し(現金化)の動きからGOLD価格にも大きな調整が入る事になりました。
市場や国境をまたいで大きな資金移動がある時には為替市場の変動幅は必然的に上昇しますが、先週の主要通貨の動きを終値ベースの変動率順に並べるとトップ10は次のチャートのようになります。
Weekly Top10 Movers.
通貨ペア | 値幅 | 変動率 |
EURAUD | +1142 | +7.57% |
NZDJPY | -427 | -7.00% |
AUDUSD | -532 | -6.39% |
EURNZD | +1036 | +5.60% |
GBPAUD | +952 | +5.48% |
CADJPY | -434 | -5.11% |
AUDCHF | -470 | -4.91% |
CHFJPY | -328 | -4.19% |
NZDUSD | -282 | -4.16% |
AUDCAD | -351 | -3.98% |
この10個のうちの太字で示した4つが欧州買い/コモディティ売りを表す通貨ペアで、例えば首位のEURAUDであれば先週はEURがAUDに対して7.57%も上昇した事になります。欧州失速で欧州通貨の対コモディティ通貨でのショートポジションは相当積み上がっていましたので、先週の動きは既存持高に対する集中豪雨的な手仕舞いが入った事を意味しています。要するに欧州が一服したように見えて実際は世の中のリスク回避的な騒動はむしろ拡大していると言う見方も出来るのではないでしょうか。
EURAUD Weekly(先週の最大値幅ペア:最後の一本=先週の陽線が凄い!!)
今年は欧州危機の年として記録される事は間違いない状況ですが、その第一波では欧州売りの対価は新興国買い、コモディティ生産国買い、コモディティ買いという流れでしたし通貨市場の強弱もこれを反映するものでした。
それがここへ来て始まった感のある第二波では、若干の欧州の買戻しとそれ以上に第一波で買われた資産の取り崩しが起きているという状況であり、今のところこの第二波の中でも踏み止まってグローバルな資本潮流の受け手になっているのが米国債、ドイツ債、通貨では日本円、米ドルという状況です。そして個人的にも最も驚いているのが上でも述べた無敵に思われたGOLDの下落です。先々週の木曜日から先週を通して実に7本の陰線が並びました。
GOLD Daily.(7営業日続落)
今の金融市場の状況は下記のような4つのCの悪循環(Deleverage)なのではないでしょうか。
Confusion ⇒ Contagion ⇒ Correction ⇒ Cash.
2010年5月17日月曜日
Another Front of Contagion or Spreading.
SECの訴追という民事の話から連邦検察の刑事犯罪捜査まで始まって先行きが注目されるGoldmanの事件ですが、驚いた事にMorgan Stanleyにまで拡大しています。この問題に対する動きは結構複雑になってきておりGoldmanに対する捜査自体が英国など他国にも拡大している動きがある中で米国当局のWall Street追求の動きがMorgan Stanleyに拡大してきたと言う動きです。
Goldmanに関しては国策捜査ではないかと思われる節も確かにあり同社を擁護する動きは金融界にも少なくありません。実際にAbacusという一番問題にされているCDOはサブプライム証券の集合体をインデックス化してその値動きを反映させた物で売り手と買い手の両サイドがいないと取引が成立しません。つまり買い手は反対の相場観を持つ売り手の存在を認識しているはずだと言う事になります。
一方でMorgan Stanleyですが、こちらが問題にされているのは複数のサブプライム証券を束ねて組成して投資家に売却したCDOであり、Goldmanの商品とは微妙に違う内容になっています。判り難いのですがGoldmanの商品がSynthesized CDOで、Morgan Stanleyの商品はTangible CDOと言う事になります。Goldmanはインデックス、Morgan Stanleyは現物のCDOと言うイメージです。そしてある種の分析によれば後者の方が相当悪質ではないかと言う事になるようです。
法的なことはよく判りませんので深入りは避けますが、E-mailなどの内部の書類によって両社とも顧客に売却した自社商品を紙屑だのゴミだのと呼んでいた事は購入した投資家が損失を出す事を想定していたと言われても仕方がない部分はありそうです。またAbacusに関しては同情も多いGoldmanですが最近はTimberwolfという別の商品に関する扱いが取り上げられています。自社が保有する同証券の価格が将来値下がりしてしまうと言う事を予想して自社在庫を投資家に売り付けて逃げようとしたという疑惑が持たれているのです。またMorgan Stanleyは顧客に販売した懸案のCDOに過去の大統領の名前を付していたのですが(james Buchanan, Andrew Jackson),社内ではこれらの商品を"Dead Presidents"と言及していた事が判明しています。繰り返しますが法的な判断は出来ませんが少なくとも道義的な部分で、これでは確かに投資家が怒っても反論は難しいでしょうね。
それにしてもこれらの商品名は面白いですね。Abacusはソロバンという意味でしょうが、後ろ暗いことがあって結果的に当局やメディアにその部分を”暴かす”事になっては洒落になりません。
またTimberwolfというのは平地ではなく森林地帯に生息するオオカミということですが、米国のシークレットサービスのコードネームでは、Timberwolfとは前大統領のGeorge W.Bush氏のことなのだそうです。不名誉なネーミングもContagionしていたと言うところでしょうか。
今後具体化する金融規制法案の内容にも影響を与える可能性がある話です。
2010年5月16日日曜日
There's so much we do not know yet.
1 先週木曜日の株価の下落は実際何だったのか?
2 株価が998ドルも下げた後で700ドル程急回復した背景は何か?
3 週末の大規模なギリシャ支援策と欧州の債券買取発表の背景は何か。特に数日で宗旨替え
をした格好のECBに決断を迫ったものは?
1に関しては当初FAT FINGER(電子端末上の誤注文)と言う噂が流れていました。それもCITIのトレーダーによるもので、売り注文の入力でmillionとbillionを間違えた等といかにも尤もらしい話になっていたのですが当のCITIが調査までしてこれを明確に否定し、一転AlgorithmやRobotと言われるプログラムトレードの誤作動もしくは同時多発的な損切り執行注文のせいだという説が有力になりました。
当局の調査は継続中ですが現時点で明確な見解は出されていません。その後はCITIの名義と信用を借りて市場に出てくる(Prime Brokerという契約方式です)ヘッジファンドの誤注文だったと言う説も出ていましたが週末にはWaddillというミステリアスな名称のEntityから大量の売り注文が執行されていた事が判明したと言う報道が出ています。このWaddillというのがどういう人(達)なのかは調査が継続されるようですが、何か非常に込み入った背景がありそうです。
2に関してはBlack Monday以降に仕組みが出来上がったと噂される急落防止システムが発動したと言う憶測が根強く広まっています。これはWhite Houseも関与する殆ど国家機密レベル(?)の仕組みでありPlunge Protection Program等と呼ばれる事もあります。
3に関しては事態を放置すると(=つまり週末に思い切った施策を発表しないと)週明けにも破綻する組織があり、それを回避するために緊急的な対応をしたと言う説や最近では週末に行われたG7による電話会議で既存の枠組み内で事態に当たろうとしていた欧州当局者の認識の甘さを日米(特に米国が)厳しく糾弾してインパクトのある数字を出させたという話も出てきています。
1に関しては私もFat Finger説は消えたと思っています。Waddillというのは殆ど覆面組織と言う気がしますが注文の規模からして結構な大所のAgentの可能性がありそうです。2に関しては噂されているようなプログラムの発動があった可能性は個人的には高いように思います。市場はそれを確かめに行くような再下落を見せるリスクも否定出来ないのではないでしょうか。3に関してもいかにもありそうな話です。
いつかそう遠くない将来には真相が判明しているのだと思うのですが、このような灰色の霧に覆われた金融市場においてあっさりとRISK-ON相場が回復する可能性は殆ど期待出来ないものと考えます。
当面はInvestorもTrader並みの機動力が求められる状況が続くのではないでしょうか。
EU Implosion = Volatility Explosion.
先週もかなりの変動がありました。多くの市場が日替わり的にかなりの値幅で方向感をFLIPしながら大きな変動幅を記録していますが、やはり週後半特に最後の需給が拮抗する金曜日の海外市場の動きが重要だったと思います。
前週末のEU/ECBによる大規模なギリシャ支援策の発表を受けて先週は週初のシドニー時間からユーロが買い戻される展開で始まりましたが、1.27台から1.31目前まで反発した後はアジア午後から欧州時間にかけて大きく反落し、結局火曜日以降も週を通して下落する展開となりました。
EURUSD daily ⇒先週も5本の陰線
週末には一時1.2352まで下落していますが、これは2008年の底値1.2329に肉薄した事になります。EURクロスは大きなトレンドを形成していますが、EURCADが2001年以来の安値、EURAUDは史上最安値更新です。
欧州の状況は非常に憂慮されるべき状況で、最もギリシャ救済救に対する世論の反発が厳しいドイツでメルケル首相が政治生命を賭けて議会説得に当たる横でフランスのサルコジ大統領が世論の反発に押されてフランスのEUR脱退の可能性に言及するなど、ギリシャの次に市場の標的となりやすいポルトガルやスペインが緊縮財政策を前倒しで発表するなどの努力もむなしく欧州連合の瓦解リスクが燻り続けています。
リスク資産全般が一層の調整リスクに晒される中で日々乱高下しながらも株式市場は踏ん張っていて、Dowは週を通して240ポイントの上昇、FTSE100も139ポイント、日経平均も98ポイント上昇するなど気を吐いています。しかし商品市場は究極の安全資産と位置付けられるGOLD以外は原油価格を始めとしてスランプ状態が継続しており、AUDやCADなどのコモディティ通貨の足を引っ張る形で世界中の投資家の資金がGOLD,米ドル,日本円という安全地帯に雪崩れ込む動きが一層強まる格好で週の取引を終了しています。
今週も各市場でかなりの乱高下が予想されます。2010年はやはりVolatility復活の年となる可能性が急上昇していると思います。
週明けの相場はやはりユーロと株の動きが焦点になるでしょう。Daily Sentiment Indexなるものを見るとユーロに関しては既にBullが3%、Bearが97%という状況であり投資家はともかくトレーダーという括りに入る勢力は皆が売っている(ショートにしている)状況のはずです。通常はこういう時には大きなショートスクイーズが入り相場は一旦大きく反発する事があるのですが、大相場の特徴としてはこうしたテクニカル面の行き過ぎシグナルを無視し続けながら相場が走るという事象も起こりますので安易な短期逆張りは怪我の基です。リスク量を落としながらユーロショート等を持ち切るか、一旦ポジションをニュートラルにして反発局面を待つかという選択肢となりそうです。
2010年5月9日日曜日
A day for the history books.
1 株や為替などで市場がもしもその水準に到達したら電話をくださいというオーダー(Call order)に基
づく電話。
2 上記以外でも想定外の事象が発生した時に来る報告電話。
実際には1の場合が殆どですが、先週の木曜日のような”数年に一度”というべき事象が発生した際には2のパターンとなります。当然ですがどちらの場合でもロンドンやニューヨーク拠点の同僚からの電話と言うことになります。
先週の木曜日は床に就くまでの動きは見ていましたし、既に米国株式市場は200ドル程度は下げていることは確認していましたが、ニューヨークの同僚から電話でダウの下げ幅が1000ドル程度まで拡大していると知らされた時は思わず正座してしまいました(笑)。
更にこの日の市場の異常さを物語る話としては、恐らく夜中に貰う電話としては5年振り位に同業他社で働く友人からもほぼ同時に電話を貰いました。
結局その後は寝る訳にも行かず、私は金曜日の始発電車で出社しましたが、東京では少なからぬ人々が始発を待たずに車で夜中のうちに出社していたようです。
さて、株価下落の背景ですが、当初はFat Finger説が有力でした。しかも妙に具体的な話になっていてCITIグループのトレーダーが電子端末上でP&G社の売りオーダーの数量欄でmillionの代わりにbillionという単位間違いをしでかしたために大量の売りが成約してしまったというもっともらしい話になっていました。こういう話が出ると自社株下落要因になる為かCITIグループの対応も迅速で早速社内調査をして該当する事実は全く見つからなかったという否定声明を発表しています。実際の当局の調査でも色々とおかしな事象が発見されており、CITIのトレーダーによるFat Finger説は消えたと言ってよいでしょう。突如雪崩が発生したように不自然な売りを浴びた銘柄は他にも多数見つかっているのですが、噂された様なチョンボがここまで多発・頻発することは極めて不自然ですので私もFat Finger説は間違いだと思います。
Dow▲5.7%、S&P▲6.4%、日経平均▲6.2%、CRBコモディティインデックス▲5.9%、原油▲12.8%。
FXではEURJPY▲6.82%、AUDJPY▲6.58%、GBPJPY▲5.72%、CHFJPY▲5.35%、CADJPY▲5.1%。
これだけ多くの値崩れを見た先週は間違いなく記憶にも記録にも残る週であり、特にエネルギーの集中した木曜日は尚更です。
どうやらその背景はFat FingerではなくAlgorithmトレードという事に落ち着きそうです。Algorithmと一言で括ってよいのかどうか不安な位多種多様なプログラムがあるのですが、最近の株式市場において出来高を伴わない・・・寧ろ出来高が減少しながらの・・・価格上昇という不思議な現象が続いていた背景自体がこのAlgorithmトレードであり、この価格と出来高やモメンタムの不統一(Divergence)を嫌気してHumanトレーダーが売り仕掛けるのを須らく吸収して断続的なショートスクィーズを演出していた感情を持たないAlgorithmというロボット達が突如活動を停止したり、総売りに転じる等の動きをしたというのが真相らしいです。この活動停止や持高の総投げの背景は予め組み込まれていた関数が市場の流動性が一定水準以上に悪化した場合や市場のVolatility(株であればVIX指数でしょうか)が一定す順を上回った場合にそのような指示を出すことになっていたと言うことのようです。バグなどではないということですね。
よく調べてみると、ここ数年毎年出来高増加を続けてきた外国為替市場の取引でもとっくの昔に純粋な銀行間取引は頭打ち状態になっている中で、個人の証拠金取引を中心としたRetailのFX取引と金融機関やヘッジファンドの多くが規模を拡大させ続けてきたAlgorithmアカウントの取引こそが出来高増加の立役者だった事が浮き彫りになってきます。
またこれとは別枠の話になりますが、金曜日に為替専門の人間から聞いた話では大手金融機関の多くがより多くのフロー獲得目的で顧客に展開している自社のFXプラットフォームの多くも先週後半は市場のVolatility上昇を理由に通常の社内で両サイドのフローをマリーやマッチングさせるモードを停止させて直接且つ愚直に市場でカバーを取ると言う緊急モードに変更していたらしいです。一方向への値動きがある程度続いたところで突如こういう普段は直接出てこないアカウントから追撃のフローが出たりして値幅が伸びると言うパターンが散見されていたそうで、こういうところでも人間が自らを補助する役割を担わせるべく開発したフランケンシュタインの暴走に人間が翻弄されると言う事象が頻発していたと言う事のようです。
デリバティブ取引等を対象とした金融規制法案が米議会で議論されてますが、こういうロボットやサイボーグ達はどうするのかという議論が出てくる可能性もゼロではないのかもしれません。
デリバティブ取引にしても、Algorithmにしてもあらゆる金融技術は須らく基本的に市場の流動性を増やす方向の影響を齎してきた物が殆どです。今後は一部の商品や技術の応用に何らかの制限が掛かる方向なのだとすれば、恐らく世の中の動きは流動性の部分喪失による値動きの拡大⇒Volatilityの上昇というベクトルを育て始めているのかもしれないと思えて来ました。TradingからInvestmentの時代になったと言われて久しいのですが、Tradingビジネスが幾分復権すると言う流れなのかもしれません。
Curse of financial Frankenstein.
先週は日本は黄金連休で実働は木曜、金曜の二日間でした。休み中も東京市場以外は開いていましたので欧米市場を中心に欧州売りが加速し、やがてそれが広範なリスク縮小の動きに転換していきました。
今のKey WordはContagionです。悪影響の感染、伝染という意味ですね。実際に金融市場では二つのContagionが意識されています。
第1のContagion ⇒ ギリシャからその他PIIGS国への不安の連鎖。
第2のContagion ⇒ 欧州から新興国への不安の連鎖。
先週の序盤は前週から続いていた第1のContagionが加速する展開でしたが、週央からは第2のContagionをベースとした動きが加わり、欧州市場における債券市場(ドイツ以外)、全株式市場、統一通貨ユーロの続落を凌駕する規模で新興国市場の下落が加速すると言う事態になっていました。
2007年のサブプライム問題、2008年のリーマンショックで米国経済が大失速した後、2009年のGreen Shootsと言う市場回復期を支えた欧州市場と新興国市場が2010年には大きな試練に直面しているというのが今の図式だと思います。金曜日の米雇用統計は米国経済の回復を一層印象付ける内容でしたが、一時は米国をReplaceして完全に世界を引っ張ると思われた欧州経済と米ドルの代替として世界の基軸通貨に躍り出ることが確実視されてきたユーロの急失速は中国、インド、ブラジルという新時代の旗手達への投資資金をも大きく逆流させる事になりました。
上述の2つのContagionにより、市場のベクトルは欧州売りからリスク回避、レバレッジ再縮小へのシフトを演出している訳です。
そして、この二つのContagionが勢力を結集したかのような大混乱が起きたのが木曜日だったということになります。
Dow工業平均で一時は998ドル安というリーマンショック時を越える下落幅を記録した木曜日は、その他全てのリスク資産の価格を崩壊させるほどのインパクトがありました。安全資産へ逃避的に雪崩れ込んだ資本が押し上げたものは米ドル、米債、ドイツ債、金、日本円と言ったところでそれ以外は全てが下落した日であったと言ってよいと思います。
Dow工業平均チャート
2009年のボトム$6469.9からの上昇は既に$11,258.01でトップアウトしたと見るべきでしょう。この上昇の38.2%戻しが$9423水準、61.8%戻しがあるなら$8299水準が下落メドと言うことになります。(飽くまでもテクニカルでは)
これだけの株価の下落は様々な憶測を呼んでいますが、どうやら当初確実視されたHuman Error説というのは大幅に後退しています。主犯格は人間ではないとすると??? そうです、ロボットです。人工知能、アルゴリズム、高頻度トレード、プログラムトレーディング・・・色々な種類がありますが金融技術の発展が生み出した非人間の市場参加者が暴走した結果の出来事だったと言うのが今ではほ間違いない事実と言う認識になっています。
まさに金融版フランケンシュタイン博士とでも言いたくなるような話が起きてしまった訳です。
とにかく大変なことになりました。
2010年5月5日水曜日
A strong YEN for weaker JPY.
2010年は円安の年になると言うのは市場参加者のMajorityが共有する一大テーマです。
毎年色々なイベントやテーマがありますが、ポートフォリオ運営やトレーディング業務における毎年度末のReviewで明らかになるのは、結局はその年の中で何度かあった重要局面でどれだけのパフォーマンスを出せたかと言う要素が非常に大きく、普段からの細かい積み上げ以上の決定要素となる事が多いようです。
2010年にはどういうテーマがあるのかと言う事前予想において、色々な戦略が想定されているのでしょうが、上述の通り大多数の参加者が共有しているテーマとしてはアジアであれば人民元の切り上げが最大のテーマとなります。そしてその次位に来るのは円高水準の是正による円安トレンドの復活と言うことがあるでしょう。
円を取り巻く環境は随分と変化しています。アジア経済の発達は目覚しいものがあり、かつては欧米から人民元切り上げ圧力が掛かると必ず円が身代わりに上昇すると言うパターンで円高となっていたのですが、最近では明らかにその人民元のProxyの役割はシンガポールドルや韓国ウォンが果たすようになっています。(香港ドル然りですがこれはポジションが既に過密な印象があり、政情不安さえなければ欧米の投資家が非常に好んでいたはずのタイバーツも今は回避されています。)
更に今年はソブリンリスクというものが一大テーマにもなっており、ある意味では欧州のPIIGS諸国の問題もこれに尽きる訳ですが、この政府債務、国の財政状況というテーマでもその矛先が何時日本に向けられても不思議ではない訳ですので現状の90円~95円と言うあたりに滞留しているのは実力以上の円高と言う見方が定着していると言っても良いでしょう。これが100円~105円水準に是正されるだけでもレンジが10円切り上がる訳ですし、勿論105円どころか110円以上と言うシナリオを描く人達も多いので2010年はこの10円(以上)の動きをしっかり取りたいと言う戦略が広く共有されていると言う訳です。
最近では民主党の多数の議員による円安誘導活動も盛んにメディアに取り上げられるようになっており、円安への機運は相応に盛り上がりを見せています。
相場的には95円の関門を越えると風景が変わる(=円安トレンドが着火する)という見方が根強いのですが、この95円は本当にタフな抵抗線となっており、思った以上に近くて遠い通過点という位置付けになっています。
足元のドル全面高の動きは一つのキッカケとなる可能性があるのですが、ドル円は火曜日に94円99銭という直近の高値を付けたものの、あと1pip届かずに反落し、今日もここまでは昨日の高値に迫りながらリスク回避に呼応したクロス円売り圧力に阻まれて逆に93円台突入寸前まで反落した後は小康状態となっています。
ドル円Daily
日本は依然として輸出立国です。円高時には輸入面での円高メリットも確かにあるのですが、今では多くの輸入企業も少々オーバーヘッジ状態らしく一旦円安になってもらった方が良いくらいだという指摘もあります。
政府も当局も実業界も円安で困らないか、むしろそれを望んでいるというのならやはりどこかで100円回復と言うシナリオはありそうなのですが、恐らくは外貨の買い方向から入る人達が圧倒的に多いFXの個人投資家の人達もその方が総じて潤うのでしょう。
そう考えると、相場は今の欧州売りの如く誰かが困る方向、或いは過半数が痛みを感じる方向に動く傾向もありますので円安が中々実現しないのはそのあたりにも原因があるのかという気にもなってきますね。
リスク回避バイアスが危機的な水準にまで高まれば相当なクロス円売りが出るでしょう。円ベア陣営のリスクシナリオはそのあたりにあると言うところでしょうか。
Yenは一般名詞では希望や渇望と言う意味になりますので、今の市場には根強い円安待望論があると言うのは A strong yen for weaker jpy と表現出来る事になりますね。
Negative Feedback Loop and Grave Contagion
今日も欧州の混乱が拡大しています。
1 ECBのウェーバーがギリシャ問題が欧州内の他国への連鎖の可能性に言及。
2 ウェーバーは同時に金融市場の”negative feedback loop effect”への懸念を表明。まさに負の連鎖と言うやつですね。
3 ギリシャ国債の10年物利回りが再び10%を超えてきました。ドイツ債との利回り差は7%以上です。
4 ポルトガルの10年債利回りが6%に肉薄、スペインの10年債も4%超えに急騰。
5 S&Pに追随してMoodysもポルトガル政府債務の信用格付け(現行Aa2)を引下げ前提のNegative Watchに置くと発表。
6 緊縮財政に抗議するギリシャ国内のゼネストが継続中。一部で暴徒化。
ユーロ売りが加速です。
ユーロドルDaily(→今週の月,火,水の3本の陰線が強烈です)
ところで単純な欧州売りかと思うと実は欧州以上に他のリスクアセットが売られています。
通貨で言えばAUDやCADが大きく売られています。今通貨で強いのはドルと円なのです。
AUDUSD Weekly(→今週の陰線に注目)
AUD円でも一緒です。
AUD円Weekly
もうこれは完全な恐怖ゲームとなっていますね。完全なリスク回避でありレバレッジの急縮小と言うことになります。
今年の黄金週間は久しぶりに大変な事になりました。
Watch out for stocks.....what do they tell us?
欧州やGSの話に振り回されてここのところダウで言えば上がっても下がっても100ドル以上の振幅幅となっている米株市場ですが、5月4日の取引では遂に200ドル以上の下げ幅となっています。
あらゆる調整期待、調整予想を嘲笑うかのごとく足蹴りにして上昇し続けてきた米株市場ですが、実際に経済指標や企業業績の回復に加えてFRBが出口政策に言及はしても実際には金融引き締めを行えるような状況ではないという株式市場にとっては極めて都合の良い環境が整っています。
足元の下落が誰もが待っていた調整であり、テクニカル的にも健全な調整で終われるのかどうかに注目していきたいと思います。
基本的には欧州問題のギリシャ以外のPIIGS国への飛び火やGS問題の悪化⇒範囲拡大という流れあるのかどうかがポイントなのでしょうか。
S&Pのチャートも気になる形状になっています。
価格の振幅が大きく、上昇モメンタムは縮小ですね。
徐々にグローバルなリスクマネーは徐々にドルと金への引力を感じ始めていると言う状況下、米株の強気トレンドに著変があればかなりの影響が出るはずですね。
Caught between positives and negatives.
Dennis Gartmanと言えば投資業界の古株のご意見番といったところかと思いますが、彼が繰り返し唱えるマントラの一つに以下のような物があります。
- ブル材料が出ても上昇しないのはベアマーケット。
- ベア材料が出ても下落しないのはブルマーケット。
この重要なマントラをベースに今の市場を見るとやはりユーロを筆頭に非常に気になる動きをしているものがあります。
1 ユーロ
これは重い。文句なく重いですね。先週の水曜日(4/28)に対ドルで1.3111まで下落したところで市場のポジションが大幅にユーロショートに傾いた事もあり、その後のギリシャの正式な支援要請やEU内の結束確認コメント、更にはより大口の欧州域内融資の実行計画の詳細まで発表されたことで一旦はショートカバーが入りますが1.34台すらつけられずに反落しています。
ギリシャの負債総額はドル換算で$236billionですが、ポルトガルが$286billionでやや大きいと言う程度ですので市場の投機筋は次のターゲットを負債総額が$1.1triilion規模のスペインに絞っている感じで、市場には同国に関する様々な怪情報なども流布され始めているようです。因みにイタリアの負債総額が$1.4triilionとの事でですのでこちらに飛び火しても話が大きくなりますね。
以下の如くユーロの下落は4週目に入っており、既に1年振り安値圏となる1.30台前半ですので今週は1.30割れにトライする事になりそうです。
ユーロドルWeekly
2 AUD
本日はRBA(オーストラリア中銀)の政策決定会合があり、0.25%の追加利上げがありました。これで過剰流動性吸収路線、所謂出口政策の先頭を走る同国の政策金利は4.25%にまで復活しています。
ところで、今回の利上げ発表後のAUDですが、売り込まれています。確かに利上げ後の声明文では今回の利上げを持って金利水準は適正レベルに近づいたという一旦打ち止めと解釈出来る文言が入っており、これがAUD売りの原因であると言う説明がなされていますが、これまでは金利据え置きでも買われて来た通貨です。曲がりなりにも利上げをした直後に売られると言うのはこれまでとは違っていますね。
AUDUSD Daily( 今日の陰線が大きいですね)
3 GOLD
ユーロや豪ドルは強気の材料にも弱気な反応をしていると言う事例でしたが、その反対がGOLDです。これはここのところ世の中全体が悪いニュースに反応している所謂RISK回避的な動きをしている時にも下落する他の資産や通貨を尻目に独り勝ち状態を続けているのです。今日は小幅に調整していますがヘルシーな調整の域を出ません。
GOLD Daily
今週の多くの投資レポートにはこのGOLDの安定的独り勝ち状態を指摘して貴金属を保有していないならば絶対に買っておけという推奨が載っています。あらゆる押し目を利用して持ち高を増やすべきだという書きっぷりです。
豪州も引き締め一服で、今日はNYベースのコンサルタント会社が欧州の混乱や中国の今年三度目となる預金準備率引き上げによりカナダの利上げもお預けだろうと言う予想を書いているようです。結局世界中で通貨供給量の増加基調が維持されるであれば、GOLDなど貴金属は究極のインフレヘッジとして選好され続けるというシナリオはありですね。
Positiveな材料にNegativeに反応する、Negativeな材料にPositiveに反応するというGartman流の定義によるトレンド判定では金融市場は全体的にSWINGしながらも依然としてConfidenceが後退してVolatilityが上昇しやすいトレンドを維持しているという絵が見えてくるようです。金融市場は2007年にサブプライム問題、2008年にはリーマンショックという衝撃波に洗われましたが2009年にはGreen Shoots相場を実現して資産市場が回復し、その後も基調はRisk-onというConfidenceトレンドを維持してきました。2010年には再びFearがConfidenceを蹂躙する展開があるのでしょうか?
2010年5月4日火曜日
Come first of May ..........
1 欧州の混乱拡大
・先々週に遂にギリシャがEUとIMFに対して正式に支援を要請。これを受けてEU報道官が内部の結
束を強調。これで一旦欧州混乱は沈静化に向かいました。
・ところがドイツでは世論に後押しされた一部議員らが強く反発。オランダも同様で市並みの乱れを露
呈。
・4月27日にはS&Pがギリシャの長期国債を一気に3段階引き下げ。ポルトガルも2段階引き下げを発
表。長期ソブリン債格付けが「BB+」となったギリシャ国際は投資不適格のジャンクボンド扱いに。
・翌28日にはスペインも格下げ。(S&P)
・市場混乱を防止するべくユーログループは今週初となる5月2日に総額1100億ユーロ(13.8兆円)の
ギリシャ支援を発表。初回の実施は市場が注目するギリシャの大量償還日である19日以前に行う旨
も発表。投機筋の動きを先んじて抑制する動きに出ました。
2 GS問題
・先月SECが民事訴訟でGSを提訴。これ事態はGSにとっては昨年9月から判っていた動き。
・先週元々予定されていた公聴会でGSブランクフェイン会長や訴状で名指しされているトーレ氏などが
疑惑を全面否定すると共に徹底抗戦の姿勢を表明。
・民事訴訟であることやSEC内部もGS訴追に関しては3-2と票が割れていた事が判明した事、業界の
世論はGS擁護論も多く、今回のSECの動きには政治的な意図も指摘される等、徐々に市場は冷静
に反応し始めていました。
・それが先週末、米連邦司法当局も刑事事件としての立件可能性を視野に捜査を開始したとの報道を
受けて再び緊張感が復活しました。
おまけに(?)先週末にはマンハッタンのタイムズスクエアでテロ未遂があり、コネチカット在住のパキスタン系米国人が身柄を拘束されています。
市場はかなり複雑な反応をしていますが、とにかく日本は大型連休でスタートした5月ですが、金融市場ではVolatilityの上昇でスタートした格好です。