先週も色々な動きがありました。
1 注目のEURはまさにSelling Climax的な急落の後に反発して越週。
2 一方で持高解消の動きが株式や商品などリスク資産全般に拡大。
3 結局週を通して際立ったのは円高の動き。
と言ったところでしょうか。
1だけを見れば欧州の混乱は一服したかに思えます。ギリシャ救済案の承認と言う非常に重い有権者にも不人気のプロセスが欧州各国の議会で無事に消化されるのかと言う不安材料も注目のドイツ議会がこれを承認した事で一服。更にドイツが株式や債券における空売り規制を発表した事やNYのコンサルティング会社が日米欧によるEUR買いの協調介入の可能性を指摘するレポートを出した事などが引き金となり市場参加者のEURショートポジションの解消が劇的な速度で進行しました。偶然にも先週は自国通貨CHFの上昇と戦い続けるスイス中銀が久し振りにEURCHFのEUR買い介入を実施した事も大きな触媒になったようです。これは1.40という節目を割れればダムが決壊したようにEURが下落すると読んだ投機筋による売りが17bioEUR出たとされる直後の介入だったので絶叫のEUR買戻しが出た事になります。
EURUSD Daily(⇒先週は5営業日で4本の陽線)
EURCHF Daily(⇒SNBの介入でEURが急騰)
これで世の中の混乱の震源地であった欧州売りが一服したと言う事実を好感して他のリスク資産にも安心買いが出ると言うシナリオも十分あり得た訳ですが、実際には上記2の通り株式市場、商品市場共に持高解消の動きが寧ろ拡大する展開が続きました。
この過程では“究極の安全資産”というステータスを欲しいままにして無人の野を行くかのような状況ですらあったGOLDの上昇にも急ブレーキが掛かると同時に持高解消⇒投資資本の組み戻し(現金化)の動きからGOLD価格にも大きな調整が入る事になりました。
市場や国境をまたいで大きな資金移動がある時には為替市場の変動幅は必然的に上昇しますが、先週の主要通貨の動きを終値ベースの変動率順に並べるとトップ10は次のチャートのようになります。
Weekly Top10 Movers.
通貨ペア | 値幅 | 変動率 |
EURAUD | +1142 | +7.57% |
NZDJPY | -427 | -7.00% |
AUDUSD | -532 | -6.39% |
EURNZD | +1036 | +5.60% |
GBPAUD | +952 | +5.48% |
CADJPY | -434 | -5.11% |
AUDCHF | -470 | -4.91% |
CHFJPY | -328 | -4.19% |
NZDUSD | -282 | -4.16% |
AUDCAD | -351 | -3.98% |
この10個のうちの太字で示した4つが欧州買い/コモディティ売りを表す通貨ペアで、例えば首位のEURAUDであれば先週はEURがAUDに対して7.57%も上昇した事になります。欧州失速で欧州通貨の対コモディティ通貨でのショートポジションは相当積み上がっていましたので、先週の動きは既存持高に対する集中豪雨的な手仕舞いが入った事を意味しています。要するに欧州が一服したように見えて実際は世の中のリスク回避的な騒動はむしろ拡大していると言う見方も出来るのではないでしょうか。
EURAUD Weekly(先週の最大値幅ペア:最後の一本=先週の陽線が凄い!!)
今年は欧州危機の年として記録される事は間違いない状況ですが、その第一波では欧州売りの対価は新興国買い、コモディティ生産国買い、コモディティ買いという流れでしたし通貨市場の強弱もこれを反映するものでした。
それがここへ来て始まった感のある第二波では、若干の欧州の買戻しとそれ以上に第一波で買われた資産の取り崩しが起きているという状況であり、今のところこの第二波の中でも踏み止まってグローバルな資本潮流の受け手になっているのが米国債、ドイツ債、通貨では日本円、米ドルという状況です。そして個人的にも最も驚いているのが上でも述べた無敵に思われたGOLDの下落です。先々週の木曜日から先週を通して実に7本の陰線が並びました。
GOLD Daily.(7営業日続落)
今の金融市場の状況は下記のような4つのCの悪循環(Deleverage)なのではないでしょうか。
Confusion ⇒ Contagion ⇒ Correction ⇒ Cash.