2010年5月9日日曜日

Curse of financial Frankenstein.

先週は日本は黄金連休で実働は木曜、金曜の二日間でした。休み中も東京市場以外は開いていましたので欧米市場を中心に欧州売りが加速し、やがてそれが広範なリスク縮小の動きに転換していきました。

今のKey WordはContagionです。悪影響の感染、伝染という意味ですね。実際に金融市場では二つのContagionが意識されています。

第1のContagion ⇒ ギリシャからその他PIIGS国への不安の連鎖。

第2のContagion ⇒ 欧州から新興国への不安の連鎖。

先週の序盤は前週から続いていた第1のContagionが加速する展開でしたが、週央からは第2のContagionをベースとした動きが加わり、欧州市場における債券市場(ドイツ以外)、全株式市場、統一通貨ユーロの続落を凌駕する規模で新興国市場の下落が加速すると言う事態になっていました。

2007年のサブプライム問題、2008年のリーマンショックで米国経済が大失速した後、2009年のGreen Shootsと言う市場回復期を支えた欧州市場と新興国市場が2010年には大きな試練に直面しているというのが今の図式だと思います。金曜日の米雇用統計は米国経済の回復を一層印象付ける内容でしたが、一時は米国をReplaceして完全に世界を引っ張ると思われた欧州経済と米ドルの代替として世界の基軸通貨に躍り出ることが確実視されてきたユーロの急失速は中国、インド、ブラジルという新時代の旗手達への投資資金をも大きく逆流させる事になりました。

上述の2つのContagionにより、市場のベクトルは欧州売りからリスク回避、レバレッジ再縮小へのシフトを演出している訳です。

そして、この二つのContagionが勢力を結集したかのような大混乱が起きたのが木曜日だったということになります。

Dow工業平均で一時は998ドル安というリーマンショック時を越える下落幅を記録した木曜日は、その他全てのリスク資産の価格を崩壊させるほどのインパクトがありました。安全資産へ逃避的に雪崩れ込んだ資本が押し上げたものは米ドル、米債、ドイツ債、金、日本円と言ったところでそれ以外は全てが下落した日であったと言ってよいと思います。

Dow工業平均チャート

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2009年のボトム$6469.9からの上昇は既に$11,258.01でトップアウトしたと見るべきでしょう。この上昇の38.2%戻しが$9423水準、61.8%戻しがあるなら$8299水準が下落メドと言うことになります。(飽くまでもテクニカルでは)

これだけの株価の下落は様々な憶測を呼んでいますが、どうやら当初確実視されたHuman Error説というのは大幅に後退しています。主犯格は人間ではないとすると??? そうです、ロボットです。人工知能、アルゴリズム、高頻度トレード、プログラムトレーディング・・・色々な種類がありますが金融技術の発展が生み出した非人間の市場参加者が暴走した結果の出来事だったと言うのが今ではほ間違いない事実と言う認識になっています。

まさに金融版フランケンシュタイン博士とでも言いたくなるような話が起きてしまった訳です。

とにかく大変なことになりました。