それにしても暑いですね~・・・
金融市場に関しても結構ヒートアップし始めているように見えなくもないのですが、まだまだ序曲といったところでしょうか。
今年は「夏枯れ」相場にはならない⇒特に7月と8月の切れ目前後で大きな変化が起こる可能性もあるという見方を堅持しているのですが、足元の市場の動きには何かそのタイミングに向けた濁流が渦を巻いているかのような不気味さを覚えます。
金曜日は米国のConsumer Sentimentの発表がありましたが、依然として世界経済の胃袋とも言える米国の個人消費のマインドが前月の76.0から11ヶ月ぶりの低水準となる66.5まで急落(市場予想は74.5でした)しており、多くのRiskアセット市場の足元を揺るがした格好になっています。
1 株式市場
これは先ず第一に多くの国の市場が9回裏にサヨナラ負けをしたようなパターンで陰線となってしまっているのがよくないですね。象徴的なのが米株で、金曜日の北米時間にひっくり返ってしまいました。Dowは先週$10,407まで上昇した後に$10,097で終了し,前週の終値の$10,198も下回って週足が陰線になってしまいました。S&P500も週の高値が$1,099.46で$1,100の回復に失敗した格好で$1,064.88まで反落しています。
資金滞留の原因とされていた中国農業銀行の大規模IPOですが、これが終了すればアク抜け感から株式市場に上昇圧力が掛かると言う楽観論もあったのですが、どうやらそれは希望的観測だった可能性があります。
2 債券市場
実は従来の取引レンジを抜けて明確なトレンドが出始めた可能性もあるのが債券市場で、・・・というか長期金利の動向といった方が良いのでしょうか・・・・要するに長期金利が完全に下向きになってきました。
長期金利ということ指標銘柄的に使われるのは主に2年と10年でしょうか。2年物の金利はRecord Lowとなる0.5765%まで低下して0.59%で越週(週の高値は0.61%)しており、10年は3.06%レベルの攻防が金利低下方向に決着したようで2.93%まで大きく下げて越週です。
ここのポイントは、発表される経済指標の大部分が事前予想を下回っている事、インフレ指標が弱い事、4月ー6月期の決算発表は悪くない企業が多いものの新たな資金重要が生じていないと言う事でしょうか。
3 商品市場
これも冴えません。金曜日は原油価格は1バレルあたり$75.93まで下落(▲0.9%)、Goldも1オンスあたり$1,220の抵抗線に阻まれて反落して$1,192.5まで反落しています(▲1.26%)。
4 為替市場
これも濁流ですね。大きく分けると①EURの大反発、②ドル売り、③円高、④資源国通貨の急落、という要素になります。
①のEURの大反発については23日に欧州系金融機関のStress Test結果が発表になる事が大きいのですが、当初危ない銀行は対象としないのではないかと言う疑念が指摘された事を受けて欧州当局が正式に中規模行も含めた91行を対象とする事を発表した事で市場が欧州当局の姿勢を評価した事、またかつて同様の調査をした日米の金融当局のように検査結果資本不足と判定された銀行に対しては何らかの資本注入策を合わせて発表する可能性が高い事が大きいと思われます。
②に関してはEURの買戻しの影響とドル金利の低下要因が大きく、③についてもこの金利差要因と株や商品の下落によるリスク回避的な動きが背景でしょう。
大きく目を引くのが④の資源国通貨の急落です。従来から欧州売り/資源国買いというクロス取引が多かった事からその巻き戻しで欧州買い/資源国売りとなっていると説明するのは簡単なのですが、資源国通貨の下落の規模は明らかにそれだけではないものを感じさせるように思います。
EURCADの反発
CADJPYの急落
欧州売りに一服感が出ていますが、実は資源国市場からの投資引き上げの方が大きな潮流となっている状態で、投資環境は緩和どころか厳しさを増していると考えるべきでしょう。リスク回避の動向と共に足元の円高の動きも予想以上の規模、速度で進行するリスクは否定出来ないように思われます。円に関しては本邦財政などの弱みもある一方で欧州や米国への不安増大と新興国市場への規模や制度面の不安感から大量の資金移動の受け皿となっているという側面がありそうです。一時GOLDに集中しすぎた資金の一部が円に雪崩れ込み始めている事も間違いなさそうです。
足元は斑模様の金融市場はこの夏の大きな変化の序曲かもしれないという意識を共有しておきましょう。