先週は金融市場における数々の”ゆらぎ”の周期が、まさにPerfect Storm的な一致を見せた週だったような気がします。
・マクロとミクロのDilenma ⇒ 弱い経済指標(マクロ)と良好な企業決算(ミクロ)の組合せという悩ましい投資環境が続いていましたが、先週はは前者(マクロ)が改善傾向を強めた事で市場は楽観方向のバイアスを強める結果となりました。
・米国と欧州のDilenma ⇒ サブプライム問題やリーマンショックなどは米国発の問題とされますが、結果としての不良債権やバランスシートのレバレッジ規模などの問題は寧ろ欧州系金融機関の方が深刻であるという評価の為に2007年以降の動きは当初は米国売り欧州買い(=ドル売り)に振れた後、米国買い欧州売り(=ユーロ売り)に振り子が逆に振れた格好になっていました。このような状況下で先週は昨今の米国の経済指標の新たな失速感と欧州が曲がりなりにも金融機関のストレステストを無難に断行した事からドル売りユーロ買い方向の流れが強まるとともに、株式市場などリスク資産の多くに力強く反発が見られました。
・新興市場のDilenma ⇒ 為替市場などでは比較優位だの不美人投票だのという優劣付けがあるものの欧米日という所謂G3経済の低迷は明らかな状況で実際に特に欧米への輸出依存の大きい中国など新興国が成長を維持できるのかと言う命題が新興市場に重くのしかかっているのですが、先週は上述の如き悲観の一服により新興市場も強気相場的な風が吹きました。
マクロ指標を見ると英国の第二四半期GDPが大きく伸びていた事や欧州圏のPMIやドイツのIFOと言ったセンチメント指標が予想外に改善されていてまさにUpside Surpriseとなった事、そして米国でも週央にはバーナンキ議長のハト派的な内容の議会証言もありましたがそれ以上に多くのBlue Chip企業から予想を上回る業績発表があった事で株式市場が乱高下を経て週の高値圏で終了しました。
欧州で行われた金融機関のStress Testですが、91行中資本不足と判定されたのは7行のみで、いずれも事前に名前の出ていた金融機関でした。これらの金融機関が不足と判定された資本の要増強額は事前予想の30bioユーロを大幅に下回る3.5bioユーロにとどまっており、こちらも金曜日には大いに好感される結果になっています。資本不足とされた7行はスペインの5行、ドイツとギリシャで1行ずつと言う結果ですが、この規模の資本増強は各国政府にとって容易であり、既に設立されている欧州の安定化基金440bioユーロで余裕を持って対処できる範囲内です。
欧州株式市場では特にGDPが予想外に強く、Stress Testでも問題行無しとされた英国市場が好感されている感じでFTSE市場は上値抵抗線を越えたレベルで越週しています。
米株市場も同様で、先週の数百ドルレベルの乱高下相場を週の高値圏且つチャート的にも上値抵抗線を上抜けした水準で越週しました。
その他リスク資産市場も総じて堅調推移で越週していますので、今週も少なくとも序盤戦はこのRisk-on的な楽観相場で幕を開けることになると思います。