以下は”危険なパラダイム”と言う事で某所に書いた内容です。
日本が連休中の今週の動きは調整色の強いものですが、よく見極めていきましょう。
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足元のユーロの強さは想定以上のものであり、ユーロブルに転向する人が増えていることも無理からぬ事だと感じているのですが、為替市場に限らずここ数週間で意外な大物達によるメイン戦略とシナリオの転換が相次いでいる事には驚いています。
米株上昇をベアマーケットラリーと公言し続けてきた著名投資家達を例に取るとRichard Russell(The Dow Theory Letter)のブル転を皮切りに、David Rosenberg(Gluskin Sheff)は株式市場は聖杯(Holy Grail)を獲得したとまで言い出し、大御所格のJeremy Grantham(GMO)が金融市場ではパラダイムシフトが起きているとして貴金属、コモディティの大幅続伸とドルの続落をメインシナリオに据える戦略への大転換を宣言して世間を驚かせたのはつい先週の事でした。
マーケットタイマーとしての自身の名声を高めてきた”Mean Reversion”(トレンドラインへの回帰理論)が機能しなくなっている要因を市場のパラダイムの変動に求めるGranthamの説明には一定の説得力がありますが、為替市場でも世界中の投資家にとっての為替リスクの定義が”外貨の変動リスク”から”自国通貨の購買力低減リスク”に置き換わるパラダイムシフトが進行中であるとすれば貴金属の上昇や米ドル下落の到達点は相当先なのかもしれません。GOLDやSILVERは今週に入って調整を始めていますが反転の様相ではないのでハイレバレッジのポジションが駆逐された後は再上昇となるでしょう。
そんな折、今月からユタ州では米ドル不信から金貨、銀貨の使用再開が許可されたようです。週末にオバマ大統領の出生疑惑問題が一段落したと思うのですが、自国民にも嫌われる米ドルの動向から目が離せない状況は何も変わりませんね。