2011年5月30日月曜日

Being cut from a different cloth.

Bernard Hopkins
(AP通信より)

21日にカナダで行われたWBCライトヘビー級タイトルマッチで米国のBernard HopkinsがカナダのJean Pascalを明確なUnanimous Decisionで下して世界王者を奪取しました。

何が凄いかと言えば・・・この人46歳なんですね。

1994年にGeorge ForemanがMichael Moorerを電撃逆転KOで屠って打ち立てた最年長世界王者記録を6ヶ月更新しました。

私はBoxingを中心に多くの格闘技を見ていますが、これは快挙中の快挙だと思います。

それにしてもこの選手、とても不思議です。

I am cut from a different cloth.=自分は本物である。

と試合後に彼も語っていますが、過去にFelix TrinidadやあのOscar Delahoya等のスター選手もも彼にKOで敗れており、従来から実力はピカ一なのですが、地味なイメージと前科もあるというダーティなイメージからむしろ悪役的な存在であり続けてきました。

ただ、私が考えるにはもう一つ彼が人気が出ない理由はズバリ試合がつまらないからに他ならないと思います。この選手は重要な試合で強い相手に勝つのですが試合内容は得てしてつまらないもので、この人が凄いパフォーマンスをすると言うよりは、この人とやると皆が実力が出せないという存在なのです。一言で言えば相手の持ち味を殺してしまう選手なのですね。野球でも剛速球も凄い変化球も無いのに何故か打たれない投手が時々いますが、あれに近いといえるでしょう。

不思議な不思議な選手なのですが、これはある意味で為替市場における日本円にも通じるところがあります。

円は人気通貨ではありません。日本の財政赤字、経済のファンダメンタルズ、政治基盤の脆弱性、超緩和的金融政策などを考えれば円安と言うシナリオのほうが断然描き易く、どうして円高になるのかと言う声は国内外から上がり続けています。

世の中に絶対評価と相対評価があるとすれば、通貨ペアとして売り買いされる為替市場は完全に相対評価の世界なのですが、多くの通貨が日本円との相性が悪くクロス円での円高傾向も中々払拭されません。

では円の強みは何かと言えば、失礼ながらBernard Hopkins選手同様に上手く説明出来ない事が多いと思います。Hopkins選手も特段スピードがあるわけでもなければパンチが強い訳ではないのです。でもやり難い・・・・兎に角スター選手達のハードパンチは空を切り、彼の強くは無いけど差し込むような独特のパンチは相手のガードの隙間から相手にダメージを与えたり、ボディを抉ったりするのです。

Hopkins選手は元々ミドル級の統一王者であり、ジョールイスの25回に次ぐ史上第二位の20回の連続防衛記録も持っていますが、46歳にしての新たな快挙は見事の一言に尽きます。

今年は特に震災の後は円安への転換を予想しているエコノミストが多い中で中々円高が反転の気配を見せてくれません。私もどこかで円安に振れると見ていましたが、中々そうならずに6月に突入する事になりました。

今回のHopkins選手の快挙は意外な円高の長期化や最高値更新の可能性を示唆するなんてことは・・・・無いでしょうか?