欧州危機でEURが下落する中で安全資産としてCHFが急騰した結果、欧州内でのスイス企業の輸出競争力が急低下してしまいました。
またスイス在住の友人の話でも、スイス国内の物価上昇は著しい一方でCHFを持って国境を越えればその購買力により多くのものが安価で手に入るとの事で、週末などに国境外に買出しに行くのは当たり前と言う状況になっているそうです。
こういう状況に業を煮やしたスイス当局がCHFの対EURの取引価格に上限を設定し、これを超えるCHFの上昇には断固とした無制限の介入を行う旨を表明して何度か実弾介入も行ってきました。2011年はこれが功を奏して相場は安定していましたが、2012年に入り再びこの2通貨の取引レートはスイス当局が設定した介入水準に肉薄するCHF高EUR安レベルに張り付いています。
EURCHF DAILY⇒1.20の攻防が続く・・・ |
具体的にはEURCHFのクロスレートを1.20を下限としてそれ以上のEUR安CHF高を断固阻止すると言う事なのですが、このクロスのチャートは上記の通り、段階的にレベルを下げて1.20水準にて横一線状態が続いています。
スイス当局が腰を上げれば数百ポイントの上昇が見込まれますが、欧州危機がいよいよスペインに及ぶとすればEURの下落は防げないとすれば、当局は防衛水準を例えば1.1などに下げなければならなくなって相場は一気に数百ポイントの下げとなるでしょう。
今は市場参加者の間に両方の読みがあって、静かに裁定の瞬間を待っていると言う状況なのではないでしょうか。トレーディングの視点で言えば、決着がついてから飛び乗るのは困難かもしれません。きわめて短時間の間に大きな値幅が出る可能性が高いからです。一方でどちらかに決め打ちしてポジションを取ると言う手もありますが、所謂StopLossのオーダーが機能する保障も無いので(相場がGAPを開けてしまうと、執行レートは大きな誤差(Slippage)を伴うので)、一番良いのは絶妙のタイミングでオプションのストラドルでも買って置くと言う事かと思っています。