2012年3月11日日曜日

A bit slowing China.

先週は中国経済の減速の兆候にリスク回避バイアスが急上昇して資産市場全般が売り込まれる局面がありました。

温家宝首相(Wen Jiabao)による2012年の経済成長ターゲットを7.5%に引き下げると言う発表が引き金でしたが、中国が同ターゲットを8%より下に置くのは2005年以来初めての事でした。インフレターゲットは4%のままですが、同時に発表された2月のCPIは年換算で4.5%から3.2%へ大きく低下しており、過去20ヶ月でも最低水準となりました。

貿易統計ですが、こちらも2月の貿易収支が$31.5bioの赤字となり、これは1989年以来最大の赤字だそうです。
 特殊要因もあるのですが1月比で輸入が39.6%増となり輸出の18.4%増を大きく上回っています。

インフレ懸念低下を受けて今後一層の財政支出や金融緩和などの経済テコ入れ策が打ち出される可能性が大きいのですが、一つ気になる話があります。

ここまでの中国経済躍進の基本コンセプトは世界の工場でした。世界中の企業が低賃金を理由に中国に生産設備を持ちたがり、これが中国への雇用の輸出となり米国など先進国では製造業を中心とした中間層が大打撃を蒙る事になりました。
 急速に豊かになる中国は都心部と地方の格差問題なども抱えながら大人口を背景にやがて内需も喚起されて質的な充実にも向かい始めていますが、労働者階級の要求賃金水準も上昇してきている為に中国への進出は数年前よりは格段に複雑な判断を要するようになっています。

そんな折、中国の大手自動車会社が生産拠点を海外に移す動きを始めたというニュースが入っています。世界の工場と言われた中国の企業にとっても自国より低賃金で生産拠点を移そうと言う決断をする事になったのはブルガリアなのですが、こういう動きが今後も広がって行くならば世界の工場と言う中国のコンセプトは大きく変わっていく事になるでしょうし、また中国の欧州への影響力も一層大きなものになっていくのでしょう。

A bit slowing Chinaは,大国としてもmaturing Chinaである事を期待したいところです。