2007年6月6日水曜日

Inconvenient Truth and Convenient Lie.

今でもよく覚えていますが、2000年の米国大統領選は大接戦でした。

共和党候補のGeorge W.Bush に対して民主党はそれまで2期8年間続いたClinton政権で副大統領を務めてきたAl Goreを立てた非常に激しい選挙戦となりました。
 実はClintonの地元アーカンソー州、Goreの地元テネシー州を共和党のBushが押さえたことなどが大勢を決した要因だとの指摘もありますが、とにかく当時は最後の最後まで大接戦となったフロリダ州の票の集計方法が問題となりました。

州の中身は群に分かれますが、Bushが取った郡もGoreが取った郡も非常に僅差のところが多く、全ての無効票を再勘定したら最後はどうだったのかは今でも諸説あります。
 
最後は最高裁の判断を仰ぐ大騒ぎの末にGoreが最高裁の判断を受け入れてBush政権が誕生したのですが、Bush政権がイラク戦争などで迷走した事などを考えると当時の民主党側の致命的な戦略ミスのツケはとても大きかったと言わざるを得ないかもしれません。

”全ての票をカウントせよ” 民主主義の根幹でもあるこの主張には誰も反対できなかったはずです。フロリダ全州での無効票の見直しを要求していれば実際に認められた可能性があると私は今でも思うのですが、民主党Gore陣営はここで致命的なミスを犯しました。
 どんなに無効票があっても、どんなに僅差でも、自分が取った郡はそのままにして、僅差で落とした郡のみの無効票の徹底的な再集計を求めて提訴したのです。

結果的にこれでは説得力が無いし、選挙終了後に異常な長期間大統領が決まらないという事態が好ましくないという理由で最高裁がGore陣営に大人の対応を求めたのですが、これはあまりにも手前味噌な作戦ミスだったと思います。

”ウソも方便”と言う意味の”White Lie”とも言えない単なる手前味噌の我侭だったわけですが、この”Convenient Lie”のせいで人生最大の勝負に敗北したAl Gore氏が逆転本塁打を狙って目をつけたのが地球温暖化であり、それを"Inconvenient Truth"(不都合な真実)という題名で世に問う彼のめぐり合わせはにはとても皮肉なものを感じます。

世の中の潮流はGore氏に追い風となっており、最近の地球温暖化というテーマの盛り上がりには物凄いものがあります。

私は、我々の世代が子供や孫の世代にバトンを引き継いでいく今後の50年、100年という期間に世の中を大きく動かす・・・・失敗すれば人類絶滅をも起こしうる・・・そんないくつかの要素についてよく考えます。

①地球温暖化問題 
②国際不均衡問題
③宗教間抗争
④エネルギー革命

今後それぞれについて、考察していく機会を持ちたいと思いますが、特に目先については①と②が重要でしょう。

私はこれを ”不都合な真実” と ”不突合な真実” と名付けていますが、特に後者の産物であるアジア諸国などの巨額な外貨準備の運用手法やリスク管理の多様化は従来の金融市場のパラダイムを抜本から揺さぶり始めているようです。

今後これも掘り下げましょう。