2008年1月14日月曜日

Don't look a gift horse in the mouth.

Look a gift horse in the mouth → "贈られた馬の口の中を調べる"

というのは、折角頂いたものにケチをつけるなという意味で使われるのですが、先週末に米議会が海外の政府系運用機関の実態調査に乗り出すと言う記事が出て株式市場が下落して為替市場では米ドル売り圧力が強まった時は、直ぐにこの言葉が思い浮かびました。

基本的に多くの経常黒字国には潤沢な外貨準備がある訳ですが、各国はこれをファンドとして積極的に運用して増やして行こうというスタンスを強めており、これらはSWF(Sovereign Wealth Fund)と称されています。

昨年後半サブプライム問題に揺れたWall Streetでは、大手米国投資銀行の多くが多額の資本増強の必要性に直面しましたが、不幸中の幸いだったのがアジアや中東各国のSWFが活動を開始する時期だったという事です。

大袈裟に言えば"神の見えざる手"かとも考えたくなるのですが、実際に各国のSWFから米国への投資は、"Sovereign Salvation"と呼ばれており市場の安定に非常に大きな役割を果たしてきました。

・GIC(シンガポールのSWF )⇒UBSへ$9.8billion出資(UBSはスイス系ですが、Wall Streetと同類)
・ADIA(アブダビのSWF)⇒Citiグループへ$7.8billion出資
・CIC(中国のSWF)⇒Morgan Stanleyへ$5.0billion出資
・Temasek(シンガポールのSWF)⇒Merrill Lynchへ$4.4billion出資
・Citic Security(中国の政府系証券会社)⇒Bear Sternsへ$1.0billion出資(相互出資)

これらの報道がなされる度に、株式市場は持ち直してきたのです。(一時的にしても)

まさに、SWFさまさま・・・・というのが米国の立場であり、実際に金融当局はそれを充分理解しているものと思われますが、例によって議会には色々な人がいるものです。Wall Streetを代表する早々たる投資銀行群にあまりにもよそ者の資本が入る事に危機感を持つ人達もいるのでしょう。通貨政策における極端な対中、対日強硬論と言うのも議会の中に存在するもので、それを財務省、FRB,そしてWhite House が抑え込んでいると言うのが実態なのですが、それと類似する構図が浮かび上がったと言うことではないでしょうか。

気持ちは分かるけど、今は有難く黙って感謝しておくのが無難である事は間違いなのですが・・・・

Don't look a gift horse in the mouth. くれぐれも忘れないようにしましょう。

ちなみに、"in the mouth"をチェックするのは、歯並びをチェックする為ではなく、歯を見て年齢を判断するのが目的です。英語でlong tooth(長い歯)は老齢を意味しますが、恐らくこれも馬の年齢判断から来ているものと思われます。

人間でも成人は歯茎が後退して歯が長く見えるそうですから我々も気をつけて歯を磨きましょう。